黒柳徹子 主演、松島聡 共演。『ハロルドとモード』開幕!「ここで毎年やれることが本当にうれしい」
2024年9月26日(木)EX THEATER ROPPONGIにてハロルドとモード『HAROLD AND MAUDE』が開幕した。
1971年にアメリカで公開された映画『ハロルドとモード』を舞台化した本作は、ブラックユーモアを随所に散りばめながら、年齢差のあるちょっと変わった二人のラブストーリーと、生きることの楽しさを描いた作品。
破天荒でキュートな79歳の主人公・モードを演じるのは、黒柳徹子。1977年の来日公演を観劇して以来、出演を熱望していた黒柳は、2020年の公演で長年の夢を実現させた。以降、自身のライフワーク的作品となり、今回で5回目の上演となる。モードに恋する19歳の少年・ハロルドを演じるのは、timeleszのメンバーとして活躍する松島 聡。2020年公演の生田斗真、2021年公演の藤井流星(WEST.)、2022年公演の佐藤勝利(timelesz)、2023年公演の向井康二(Snow Man)からバトンを受け継ぎ、新たなハロルドを作り上げる。
さらに、深川麻衣、山崎樹範、平田 満、板谷由夏といった豪華キャストが顔を揃え、二人の生き様と恋模様を脇で支え、2020年公演時に新たに朗読劇として脚本を書き下ろし、意匠を凝らした世界観を構築しているG2が、今回も脚本・演出を手掛ける。
囲み取材には黒柳と松島が登壇し、作品への思いや、開幕に向けての意気込みを語った。
主演を務める黒柳は、「(今年で)5回目ですけれども、毎回お相手が違うこともあり、同じようにならないよう、新鮮な気持ちでできるようにと考えながらやっています」と、5度目の再演となる本作への心持ちを語った。また、相手役を務める松島については、「とても(ハロルド)役に合っている方だと思いました」と述べると、松島に「あなた、どちらかというと人の言うことをちゃんと聞くでしょう?」と質問。「はい、そう心がけています」という松島の返答を受けて「そんなような感じです」と、冒頭から徹子節が炸裂。
そんな黒柳について、松島は「とてもフランクに接してくださるので、緊張感を与えない。なので、僕も気になることをグイグイ聞いてしまうのですが、距離の詰め方がすごくお上手な方」と絶賛。「いまだに目を見てお話しすることが夢のよう。だから、この時間を大事にしています」と照れ臭そうに話す様子は、モードに恋するハロルドそのもの。
朗読劇初出演となる松島は、「3代目ハロルドを務めた(佐藤)勝利の回を観させていただいたときに、観る側の人がいろんな想像力を持ちながら、この景色を楽しむエンターテインメントだと思ったので。動きすぎても、ただ字面を読むだけでもダメという、そのバランスがすごく難しかった」と、朗読劇ならではの苦労を吐露。さらに、「生田斗真くんにアドバイスをいただきました。技術面についても教えていただきましたが、“心の底から徹子さんを愛しなさい”というメッセージが一番響きました」と、心温まるエピソードを披露すると、「(生田に)よろしく言ってね」と、黒柳も顔をほころばせた。
モードとの共通点について、「自分と似ているところもありますけど、私はもうちょっとちゃんとしています」という黒柳。その理由として、「19歳の若い子を愛した話ですけど、私はそういうことはしないだろうと思います。でも、やっぱり若い人と一緒に(芝居を)やるのはいいなと思ったりして。私と似ているところがあるとすれば、そこかもしれません」と語った。
そんな黒柳の言葉を受け、松島は「モードと徹子さんの似ている部分は、絶対にこうあるべきだという固定概念がなく、縛られていないところ。徹子さんと、“普通はこうあるべき”ということが、果たして本当に普通なのかという深い会話をしたときに、感性がモードに近いなと感じました」とコメント。「僕自身、誰かに認められたいという気持ちがある。ハロルドは孤独な少年と青年の狭間を生きている子なので、僕が19歳だった頃の気持ちとリンクさせながら芝居をしています」と、ハロルドを演じるにあたっての気構えを語った。
劇中で披露するギターについては、「(コンサート)ツアー中、バックヤードで勝利にも教えてもらいました。いざステージ上で弾くとなると、緊張して思うようにいかないところもありますが、すごくいいものだなと感じたので、これからもアコースティックギターを続けたいなと思います」と目を輝かせ、「いずれはコンサートで、勝利とのデュエットもやってみたいなと思いました」とうれしい目標も口にした。
また、ハロルド役についても、佐藤から「毎年、演じられる方によって表現のしかたも伝わり方も変わるので、“総ちゃんらしくやったら?”」というアドバイスをもらったことを明かした松島。「斗真くんと勝利の回を観て、(二人のハロルドに)寄せたほうがいいのかなと……それは、原作へのリスペクトも含めて思ったのですが、G2さんから自由にやってほしいと言われたので、のびのびと僕の思うハロルドを演じさせていただいてます」という言葉から、稽古を経ての手応えが伝わってきた。
稽古場で黒柳に対してキュンとしたことを聞かれた松島は、「このエピソード、お話ししても?」と黒柳に許可を求めると、自身のグミを黒柳が完食してしまったという秘話を披露。「(グミの)袋をこっちに引っ張ってきて食べているうちに、気がついたら全部なくなっていたので、空の袋をお返しした。次の日、新しいグミを買ってきてお渡ししました」という黒柳らしい天然エピソードに、会場は笑いに包まれる。
本作の上演を毎年楽しみにしている方も多いことにちなみ、「毎年楽しみにしていることは?」という質問が飛ぶと、「この舞台は、とても楽しみにしています。芝居でも朗読でも、舞台の上に立って何かをやることが好きなので、これからもやっていきたい」と舞台に立つことへの意欲を素直に言葉にする黒柳。松島も同様に、「ファンの方と一番触れ合うことのできるライブですかね。毎年ライブをやっていないと、耐えられないかもしれない。コロナ禍を経験したこともあり、お客様と直接触れ合える時間、場所を大事にしたいし、好きです。『ハロルドと~』を有観客で上演できることにも、すごく価値を感じています」と、ステージに立つことの喜びを語った。
さらに、黒柳が今夏に訪れたタイでの水中ヨガに話が及ぶと、「インドの人でも10年練習しないとできないのに、私はすぐにできた。なぜできるのか、自分で研究してみるのもいいかもしれない」と、新たな抱負を口にした黒柳。「夏は仕事が詰まっていて、夏らしいことがあまりできないので、サーフィンをやってみたい」という松島の「徹子さんが水中ヨガをやっている隣で、僕はサーフィンをやります」という発言に、「ぶつかってこられると怖いなぁ」と返すなど、すっかり息の合った様子に、取材陣から「(役どころのように)恋人同士の雰囲気が出ていますね」とツッコまれる場面も。
最後に、松島が「『ハロルドと~』を観たとき、この作品の内容に時代が追いついてきたなという印象を受けました。いろんな人の心に刺さるようなワードもたくさん散りばめられていて、ハロルドとモードの感じている生きづらさに共感してもらえるんじゃないかなと思います。生田くんの言葉をお借りして……とにかく徹子さんを心の底から愛し、5代目ハロルドとして一生懸命生きたいと思います」と意気込むと、黒柳も「何回やっても、やはり難しいことは難しい。だけど、私はこの芝居が好きなので、何度やってもやっぱりいいなと楽しみにしています。ずいぶんいろんな劇場でやらせていただいてますけど、私、この劇場がとっても好きなの。もちろんテレビも好きですけど、やはり私は舞台が好きなので。ここで毎年やれることが本当にうれしくて、いつもいそいそと参ります。ですから、私が何かここでやりますときには、みなさまどうぞいらしてくださいませ。よろしくお願いします」と、率直な思いを紡いだ。
文:林桃
公演概要
ハロルドとモード『HAROLD AND MAUDE』
作:コリン・ヒギンズ
上演台本・演出:G2
製作 : テレビ朝日 サンライズプロモーション東京
<東京公演>
公演期間:2024年9月26日(木)~10月10日(木)
会場:EX THEATER ROPPONGI
主催:テレビ朝日 サンライズプロモーション東京
チケット料金:
・S席:9,800円
・注釈付S席:9,800円
・A席:8,000円
※全席指定・税込
<大阪公演>
公演期間:2024年10月17日(木)~21日(月)
会場:森ノ宮ピロティホール
主催:サンライズプロモーション大阪
チケット料金 ¥9,800(全席指定・税込)
公式サイト:https://haroldandmaude.jp/
公式X:https://x.com/HAROLD_MAUDE_jp
宣伝:キョードーメディアス