小池徹平インタビュー ミュージカル『どろんぱ』「日本から世界へ発信できるような作品にしたい」(前編)
2026年3月16日(月)より東京・日本青年館ホール、4月3日(金)より大阪・SkyシアターMBSにて、MOJOプロジェクト第2弾 ミュージカル『どろんぱ』supported by にしたんクリニックが上演されます。
MOJOプロジェクト(Musicals of Japan Origin project)は「日本発のオリジナルミュージカルを世界へ」をテーマに、ワタナベエンターテインメントと劇作家・末満健一がタッグを組んで立ち上げたプロジェクト。第2弾となる本作は、互いに孤独を埋め合うように出会った“妖怪”と“人間”の関わり合いを軸に、“親子の愛と絆”を描き出します。
主演は第 42 回菊田一夫演劇賞を受賞するほか話題作に多数出演する実力派俳優、小池徹平さん。人間の遠野爽子に取り憑き「夫」だと思い込ませる煙の妖怪・烟々羅(えんえんら)を演じます。遠野爽子役には、次世代のミュージカルスターとして頭角を現す屋比久知奈さん。
そして、年に一度の祈願祭《どろんぱ》に集まる個性豊かな妖怪を豪華キャストが演じます。憑いた家に繁栄をもたらす座敷童子にミュージカル初出演の生駒里奈さん、人間を襲って食らう猫又に木内健人さん、全国に勢力を広げる河童に東島京さん、欲望のままに行動する犬神を加治将樹さん、さらに、混沌から生まれた妖怪・九尾狐(きゅうびこ)に土井ケイトさん、人の欲望をかき立てる天邪鬼に相葉裕樹さん、妖怪の総大将・滑瓢(ぬらりひょん)に吉野圭吾さん、願いを叶える代償に死後地獄に落とす妖怪・人形神(ひんながみ)に真琴つばささん。
THEATER GIRLは、主演の小池徹平さんにインタビュー。前編では、本作で演じる煙の妖怪・烟々羅の印象や新作ミュージカル立ち上げの楽しさと難しさ、稽古場の雰囲気や共演者から刺激を受けていることなど、たっぷりとお聞きしました。
自由気ままでありながら自分探しの旅をしている
――本作では、人間の遠野爽子に取り憑き「夫」だと思い込ませる煙の妖怪・烟々羅を演じられますが、現時点でどのような役柄だと捉えていらっしゃいますか。
今回演じる烟々羅は煙の妖怪で、実在する妖怪として、浮世絵師の鳥山石燕氏が描いた存在でもあります。河童や座敷童子、滑瓢(ぬらりひょん)など、皆さんが幼い頃から親しんできた妖怪とは少し生まれが異なる存在です。
一般的に知られている妖怪は、古くからの伝承や言い伝えの中で「本当にいるのではないか」と人々に信じられながら語り継がれてきた存在ですが、烟々羅は、同じ妖怪ではありながら、どこか孤独で、煙の中にひっそりと存在し、人々を見守っているような存在です。
物語の核心部分でもありますが、烟々羅は遠野薫という人間に化け、爽子という女性に“夫”として寄り添っています。最初は彼女を見守るという立場で、情のような感情を抱いていますが、次第にその情が愛情へと変わっていきます。妖怪と人間という大きな垣根を越えた愛の力と言いますか、そのテーマはきっと違和感なく皆さんの心にも届くのではないかと思っています。
妖怪と聞くと、人間とはまったく違う存在のように感じますが、烟々羅は意外と人間味のある妖怪で、孤独を抱えながらも、なぜ自分が爽子に取り憑いていたのかを打ち明けなければならない場面もあります。人間・薫として生きているときの顔と、烟々羅として正体を明かす瞬間、その演じ分けは大切にしたいところです。
自由気ままでありながら自分探しの旅をしているような役柄で、割と人間味もあるので、そこはとても楽しみな部分でもあります。
――ご自身と似ていると感じる部分はありますか?
自分と似ている部分については、正直あまり思い当たりません。ほとんど違うと感じています。とても優しくて健気な妖怪ですし、自分の出生や来世への願いを抱いているところも、どこか憎めない魅力があります。
ただ、自分からかけ離れているからこそ演じがいがある役だと思うので、皆さんにどう映るのか、今からとても楽しみです。

「初演を超えられるのか」と言われるくらいの気迫で作りたい
――昨年ご出演されたミュージカル『ある男』に続き、今回も日本発のオリジナルミュージカルの立ち上げに参加されます。新作を創り上げていく面白さや大変さについて教えてください。
ここまで続けて新作ミュージカルに関わらせていただけるのは、本当に光栄なことです。昨年のミュージカル『ある男』のときも、オリジナルを一から作る面白さと同時に、その大変さも強く実感しました。やはり幕が開いてみないと分からない部分が大きいですし、不安もありますが、前回は多くのお客様から温かい言葉をいただけて、本当にやってよかったと感じました。
今回は前回とはまたジャンルが異なっていて、ミュージカル『ある男』は平野啓一郎さんの原作がありましたが、今回は末満(健一)さんが長年大切に温めてこられた作品です。その思いを受け取りながら、主演として「素敵なミュージカルだ」と思っていただける作品にできたらと思います。
さらに、今回はMOJOプロジェクトという、海外発信を視野に入れたプロジェクトの第2弾という位置づけでもあります。和物で、妖怪という題材は世界にも通用する可能性を秘めていますし、日本らしさをしっかり打ち出せるテーマです。
初演のオリジナルキャストとして基盤を築けるのは、とてもうれしいことですし、今後ブラッシュアップされるのか、この形のまま海外にいくのかは分かりませんが、やるからには「初演を超えられるのか」と言われるくらいの気迫で作りたいと思っています。
和の要素や妖怪というモチーフだったり、啖呵を切ったり、決め台詞もあったりと、日本の方々にも好んでいただけそうな要素もたくさんあるので、国内にとどまらず、その先も見据えながら取り組んでいきたいです。

本当に個性豊かな妖怪たちが揃っています
――現在、絶賛稽古中とのことですが(取材時)、稽古場の雰囲気などはいかがでしょうか。
今回は、初めてご一緒する方もいれば、久しぶりの方もいます。さらに楽曲も和のテイストが強く、思わず「うわぁ」と盛り上がるような曲もありますし、皆の声が重なった瞬間に、「新しいものが始まる」という高揚感がありました。
今回は妖怪一人ひとりにしっかりスポットが当たり、それぞれに歌唱シーンがあります。だからこそ音楽面でも見どころが多く、お客様に楽しんでいただける場面がたくさんあるはずです。
歌だけでも、皆それぞれが自分の妖怪像を作り込んできているのが伝わります。隣の席が真琴(つばさ)さんと吉野(圭吾)さんだったのですが、ものすごい妖怪に囲まれて、とても刺激的な稽古場でした。顔合わせの時は少し離れたいと思うくらいの迫力でしたが(笑)、それも含めて幸せな時間です。本当に個性豊かな妖怪たちが揃っています。
――烟々羅の衣裳で注目してほしいポイントについても教えてください。
実際の舞台でどう見えるのかはまだ分からない部分もありますが、本番を想定して作られている衣裳になっています。チラシなどのビジュアルで着ているものは全体的に白っぽく、煙の妖怪らしい雰囲気がありますよね。帯の部分が紐状になっているなど独特のデザインですが、見た目の印象とは違ってとても軽いんです。
アクションが多い作品なので、その点も考慮して作ってくださっているんだなと。すでに細かい部分まで工夫されていて、「さらに軽くすることも考えています」とおっしゃってくださるなど、衣裳チームのプロフェッショナルさには信頼を寄せています。あれだけインパクトのある見た目でありながら軽やかに動けるというのは、本当にすごいことだと思います。

まさに“煙の妖怪”のような立ち位置
――本作でも、個性豊かな共演者の方々がいらっしゃいますが、先輩から後輩まで幅広いキャリアの方々との共演で、刺激を受けることはありますか?
もちろんあります。歌稽古の段階から、ベテランの方々は歌だけでとんでもない妖怪像を作り上げてこられて、雰囲気がしっかり伝わってくるんです。その表現力には大きな刺激を受けました。
一方で、若いキャストのエネルギーもすごいです。勢いや若々しさは作品にとって大切な要素ですし、今の自分には出せないエネルギーだと感じるので。そうした若い力からも日々刺激をもらっています。
――座長を務められることも多いですが、座長として大切にしている姿勢などはありますか?
昔は「みんなで頑張ろう」と前に立つ感覚が強かったかもしれません。ただ、今は時代も変わっていますし、無理に引っ張るというよりは、程よい距離感で見守るようにしています。今回の作品で言えば、まさに“煙の妖怪”のような立ち位置でしょうか。
様子を見ながらコミュニケーションを取りつつ、みんなが自由に意見を言える雰囲気を作りたいと思っているので。互いに出しやすい環境の中で、「みんなでより良くしていこう」と思える現場にしたいですね。
――小池さんがいらっしゃる現場は、雰囲気が良さそうですね。
そう言っていただけると励みになります。

肩の力が抜け、仕事への向き合い方もすごくラクになった
――今回演じられる烟々羅は「自分探しの旅」をしているというお話がありましたが、小池さんご自身の歩みと照らし合わせて、“アイデンティティの模索”という観点からご自身を振り返られてみていかがでしょうか。
学生の頃からこの仕事を始めて、気がつけば25年近く走り続けてきました。アーティスト活動と俳優業を両立していた時期もありましたが、どちらも全力を出し切れていないような感覚に陥って、「どっちつかずだな」と自分の中で悩んだこともあります。
そんな中でミュージカルに出会い、自分の知らなかった世界が広がり、生半可な気持ちではできない仕事だと感じて。それまで抱えていた迷いに、一筋の光が差したような感覚で、そこからまた歯車が噛み合い、仕事に向き合ってきました。
でも、仕事だけが人生ではないと感じるようになったのは、30代を超えてからです。家族ができ、新しい視点を得たことで、これまでとは違う景色が見えるようになりました。一度少し引いて物事を見られるようになったことで、肩の力が抜け、仕事への向き合い方もすごくラクになったところで30代がちょうど終わったなと感じています。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:Jumpei Yamada
ヘアメイク/加藤ゆい(Hair&Make-up fringe)
スタイリング/松下洋介
公演概要
MOJOプロジェクト -Musicals of Japan Origin project- 第2弾
ミュージカル『どろんぱ』 supported by にしたんクリニック
東京公演:2026年3月16日(月)~29日(日) 日本青年館ホール
大阪公演:2026年4月3日(金)~7日(火) SkyシアターMBS
作・演出:末満健一
作詞:森雪之丞
作曲・編曲・音楽監督:深澤恵梨香
ゲストコンポーザー:和田唱
出演:
小池徹平 屋比久知奈
生駒里奈 木内健人 東島京 加治将樹 土井ケイト 相葉裕樹
吉野圭吾 真琴つばさ
アンサンブル(五十音順)
暁矢薫 天野翔太 岩淵心咲 北園真弓
工藤翔馬 熊野ふみ 高田紋吉 星賢太 森さとる 横山慶次郎
スウィング(五十音順)井上望 堂元晴近 丸山真矢
協賛:にしたんクリニック
主催:【東京】ワタナベエンターテインメント 【大阪】ワタナベエンターテインメント/MBSテレビ
企画・制作:ワタナベエンターテインメント
お問合せ ワタナベエンターテインメント 03-5410-1885(平日11:00~18:00)
公式サイト:https://mojo-doronpa.com/
公式X:@watanabe_engeki
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