風間俊介×岡本玲×伊礼彼方インタビュー 『トランス』「観劇後にさまざまな解釈が生まれるような作品になるはず」(前編)
2026年4月28日(火)より東京・本多劇場を皮切りに、KOKAMI@network vol.22『トランス』が上演されます。
本作は、3人の登場人物、スピーディーな展開、軽快なセリフで巧みに紡がれながら物語が目まぐるしく展開し、やがて妄想と現実が入り乱れ、予想を超えたラストシーンを迎える、鴻上尚史氏の代表作のひとつ。
俳優陣の高い演技力が際立つ質の高い戯曲は、1993年の初演以来33年にわたり、日本国内にとどまらず、海外でも上演され続けてきました。その『トランス』が、鴻上氏自身の演出で、ロンドン公演から19年ぶり、国内では21年ぶりに上演されます。
フリーライターの立原雅人役には、その確かな演技力でドラマ・映画・舞台で引く手あまたの風間俊介さん、精神科医の紅谷礼子役には、数々の舞台に出演し確かな演技力が評価されている岡本玲さん、ゲイ・バーに勤める後藤参三役には、最近ではドラマ出演も増え、ミュージカルからの枠をも越え異彩を放つ伊礼彼方さんという、若くして才能を開花させ、今もなお第一線で活躍する実力派俳優が揃いました。
THEATER GIRLは、風間俊介さん、岡本玲さん、伊礼彼方さんにインタビュー。前編では、本作に挑む思いや、2026年の今上演されることの意義、長く愛され続けてきた作品への意気込みについて。さらに、初顔合わせから感じたチームとしての手応えや、それぞれの役柄への印象についてもお話をうかがいました。
「いつかやってみたい」と憧れる作品だと感じていた
――まずは、鴻上尚史さんの演出で改めて本作に出演する思い、2026年の今上演されることの意義についてうかがえますでしょうか。
風間:まず、この『トランス』という作品に出演できること自体がとてもうれしいです。これまで劇場のロビーで戯曲集やDVDといった映像作品を目にしてきましたし、盟友たちが演じているのを見て、演劇を志す人にとって「いつかやってみたい」と憧れる作品だと感じていました。そんな作品に関われることに、強い意気込みを持っています。
2026年の今上演されることについては、初演当時にあった“心と向き合うこと”や“医療との関わり”に対するタブーのような感覚が、時代とともに少しずつ変化してきていると感じています。今の観客の皆さんがこの作品をどう受け取るのか、とても興味深いです。
また、作・演出を手がける鴻上さんご自身が、この時代にどう作品と向き合うのか、その考えを直接伺えることも楽しみにしています。

岡本:これまで多くの演劇の先輩方が、それぞれの『トランス』を作り上げてこられていて、「自分にとってのトランス」がある作品だと感じています。出演が決まった際にも、さまざまな方から声をかけていただき、改めて多くの方に愛され続けている作品なのだと実感しました。緊張感はありますが、自分たちなりの『トランス』をどう作っていけるのか、期待も高まっています。
伊礼:僕は鴻上さんの『朝日のような夕日をつれて 2014』という作品にも出演させていただいたのですが、そのときも同じように、業界の方から「この作品のファンなんだよ」とたくさん声をかけていただきました。『朝日~』も『トランス』も、今ではベテランになっている方々が若い頃に、まさに青春として触れていた作品なんですよね。
実際の上演中には、観客の方が台詞を一緒に口ずさんでいる場面もあって、その熱量に圧倒されることもありました。それほど多くの人の記憶に残っている作品だからこそ、今回も大きなプレッシャーを感じています。
それから、約30年前に書かれた作品でありながら、今でも十分に通用する内容だと思います。特にトランスジェンダーや精神疾患に関する問題など、現代ではより繊細に扱われるテーマでもあるため、今この時代に上演することには確かな意味があるはずです。鴻上さんの中には、その問いに対する明確な答えがあるのだろうと感じています。

演劇や表現に対する熱量は共通している3人だと感じる
――これから3人で芝居を作り上げていくにあたって、どのような期待感を感じていらっしゃいますか?
風間:まず、この3人でスタートできたことに安心感があります。初日からすでに自然と冗談を言い合える関係性ができていて、良いチームワークで作品を作っていけそうだと感じました。
一方で、この作品はチームとしての連携が重要であると同時に、それぞれが孤独な存在として立つことも求められるので、そのバランスをどう表現していくかが鍵になると思っています。
岡本:その通りだと思います。おこがましいですが、演劇や表現に対する熱量は共通している3人だと感じました。お芝居が好き、演劇が好き、表現することが好きで、しかもその表現の仕方や経験したこと、大切にしていることにそれぞれ違った個性がある気がしていて。その違いが作品に良い影響を与えてくれるのではないかと期待しています。
伊礼:僕だけ初共演なので、最初は少しアウェイ感を感じるかなと思っていたのですが(笑)、皆さんとても優しく接してくださって、すぐに打ち解けることができました。

風間:今回、東京だけではなくツアーもありますしね。
岡本:たくさんツアーを回りますよね。こんなにいろいろな箇所を回るの、私は初めてです。
伊礼:ちょっと仲が悪くなったら大変なことになる(笑)。
岡本:でも、一回くらいは仲が悪くなりそうですよね(笑)。
風間:本当に!? そんなことある?(笑)
岡本:でも仲直りできる期間があるので。
風間:そもそも仲が悪くならなくていいのよ(笑)。
セリフ量の多さに一度台本を閉じてしまいました
――本作で演じるそれぞれの役柄について、現時点での印象はいかがでしょうか。
伊礼:これまでお二人のお芝居は映像などを通して拝見してきましたが、役や作品に向き合う熱意がしっかり伝わってきていました。必ずしも表に強く出さなくても、役を深く煮詰めていることは芝居からにじみ出るものだと思っています。実際にこうしてお話ししていても、その熱量を十分に感じられるので、チームとして大丈夫だという安心感があります。
ただ、台本が届いたときはセリフ量の多さに一度閉じてしまいました(笑)。いったん寝かせて翌日に改めて読みましたが、本当に面白い作品だと感じましたし、これを30年前に、しかも短期間で書き上げたと聞いて、驚きを通り越して圧倒されました。
僕は今回ゲイ・バーの店員という役どころで、以前、中性的な“蚊”の役はやったことがあるのですが(笑)、こうした設定は初めての挑戦になります。むかし、ネタとして遊びで「伊礼彼子」というキャラクターを生み出した経験もあるので(笑)、その引き出しを生かしながら取り組めたらと思っています。熱量としてはしっかり届けられるのではないかと感じていますが……本音を言うと、風間さんの役もやってみたいんですけどね(笑)。

――風間さんはいかがでしょうか。
風間:先ほど岡本さんもおっしゃっていましたが、「雅人役をやるんだね」と本当に多くの方に言われました。それからセリフ量が本当に多くて、正直驚いています。現時点ではまだ明確なイメージを掴みきれておらず、「こう演じてみよう」と思っても、それが正解なのか分からない感覚があります。
だからこそ、ここから鴻上さんと一緒に作り上げていくしかないと思っています。この作品は多くの方にとって憧れの存在でもあるので、その期待に応えるべきなのか、あるいはまったく新しいものを生み出すべきなのか、その方向性もまだ模索している段階です。
本多劇場という場所も大好きですし、これまでは「すごい役で、大変だね」と言われても、そこまで大変だと感じないこともあったんです。ただ今回は、本当に大変だと実感しています。観に来てくださった方に「すごかった」と思っていただけるように挑みたいですし、この経験が10年後、20年後に振り返ったとき、「あのときが転機だった」と思えるものになるのではないかと感じています。自分にとって大きなターニングポイントになるはずです。
――岡本さんはいかがでしょうか。
岡本:とても魅力的なセリフが多い作品なので、その言葉を誠実に発することで、自然と物語は立ち上がっていくのではないかと感じています。あまり「挑戦しよう」と気負いすぎず、初めて台本を読んだときの純粋な「好きだ」という気持ちを大切にしながら稽古に臨みたいです。
最終的には鴻上さんがしっかり導いてくださると思うので、その流れに身を委ねつつ、丁寧に役と向き合っていきたいと考えています。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:梁瀬玉実
風間俊介、岡本玲、伊礼彼方出演、鴻上尚史の傑作戯曲。KOKAMI@network vol.22 『トランス』開幕!「新しい『トランス』が、誕生しました」
公演概要

KOKAMI@network vol.22 『トランス』
作・演出: 鴻上尚史
出演: 風間俊介 岡本玲 伊礼彼方
【東京公演】
2026年4月28日(火)~5月10日(日)
本多劇場
※公演終了
<地方公演>
静岡公演 2026年5月13日(水) アクトシティ浜松 大ホール ※公演終了
岡山・津山公演 2026年5月15日(金) 津山文化センター 大ホール ※公演終了
大阪公演 2026年5月17日(日) サンケイホールブリーゼ ※公演終了
愛媛公演 2026年5月20日(水) あかがねミュージアム 多目的ホール ※公演終了
石川公演 2026年5月23日(土) 北國新聞赤羽ホール
新潟公演 2026年5月30日(土)・31日(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
神奈川・藤沢公演 2026年6月2日(火) 藤沢市湘南台文化センター 市民シアター
広島公演 2026年6月4日(木) JMSアステールプラザ 大ホール
兵庫公演 2026年6月6日(土) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
北海道・札幌公演 2026年6月9日(火) カナモトホール(札幌市民ホール)
北海道・帯広公演 2026年6月10日(水) 帯広市民文化ホール 大ホール
北海道・北見公演 2026年6月11日(木) 北ガス市民ホール(北見市民会館) 大ホール
企画・製作: サードステージ
