上口耕平×水田航生インタビュー　ミュージカル『ダブル・トラブル』「とてもライブ感溢れ、スリリングで、ハッピーな作品」（後編）

2022.12.24

INTERVIEW

2022年 12月23日（金）より東京・自由劇場にてミュージカル『ダブル・トラブル』=2022-23冬=TeamEが上演されます。本作は、出演者はたった2人、演奏はピアノだけというシンプルな構成で、次から次へと現れる登場人物、およそ10人もの人物をたった2人で演じる、抱腹絶倒のミュージカルコメディです。

本作には、独特のセンスが光る実力派の上口耕平さん、ミュージカルを中心に活躍し、キレのあるダンスも得意とする水田航生さんがTeamEとして出演します。

翻訳・訳詞は今作で第14回小田島雄志・翻訳戯曲賞(2021年)を受賞した高橋亜子氏、演出は「第27回 AMD アワード」を受賞し、ミュージカルやストレートプレイ、ライブ演出など、ジャンルレスな活躍をみせるウォーリー木下氏が務めます。

THEATER GIRLは、上口耕平さん、水田航生さんにインタビュー。後編では、TeamEのアピールポイントや本作にちなみ、お二人が俳優のお仕事でチャンスを掴んだと感じた瞬間について語っていただきました。

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二人のダンスが見どころの一つ

――TeamEの特徴や、アピールポイントを教えてください。

上口：ダンスですね。二人ともダンスが大好きなので、その感じがとても出ていると思います。シルエットも少し近い気がしていて、一緒に踊っていると気持ちがいいんですよね。「ダンスが好きな人はこう手を伸ばすよね、こういうショータイムの時はこう踊るよね」という感覚が似ているので、そういった身体表現に僕たちの色がすごく出るのかなと感じています。

水田：耕平君のダンスや立ち振る舞い、シルエットが本当に美しくて。横目で盗みながら稽古しています。そこも兄弟感として付随して表現していけるのではないかと思っていて。もうジーン・ケリーとフレッド・アステアのようなペア感を彷彿とさせるような存在感と、ラインの綺麗さと、個性を備えられるように頑張っています（笑）。

――本作品では、たくさんの役柄を演じられますが、演じていて特に楽しいと感じるキャラクターはありますか。

水田：ジミーとボビーのやり取りを、最初に稽古で一番長くやっているので、その楽しさは二人とも感じていますね。僕はこの作品で描かれている、二人の兄弟の関係性や変化、パッションといった兄弟感を推していますが、他にも大好きなキャラがいるので、それが今後どう膨らんでいくのかというのも含めて楽しみです。

――本作品では、マーティン兄弟がミュージカル映画の曲を書くというチャンスを掴みますが、お二人が俳優のお仕事でチャンスを掴んだと感じた瞬間について伺えますでしょうか。

上口：幾つかあると思いますが、初出演したミュージカル作品のオーディションが一番大きいですね。それまでミュージカルという世界もほとんど知らなかったですし、自分には高いところにあるものだと思っていたんです。そこで挑戦する機会を与えていただいて、ミュージカルはもちろん、生の舞台のライブ感の喜びを知りました。何も知らない裸の状態でオーディションに行って踊った、あの瞬間は印象深いですね。

水田：初めてオーディションで勝ち取った、ミュージカル『テニスの王子様』ですね。未だに覚えているのが、オーディションの特技披露でダンスを踊ったんです。でもその時代、スタジオで曲を流せることを知らなくて、わざわざ大阪からラジカセを持参したんですね。そしたら曲を流そうとしたときに止められて（苦笑）。そういった思いをして、いただけたお仕事だったので、すごく嬉しかった記憶があります。

上口：めっちゃかわいいやん（笑）。

何度でも、その日の『ダブル・トラブル』をお楽しみいただけたら

――今年を振り返ってみて、お二人にとってどんな1年でしたか。

上口：台詞劇への挑戦や、2020年に中止になってから自分の中でずっと温めてきたミュージカル『ヘアスプレー』という作品の上演、そして初めて宝塚歌劇団で振り付けをさせていただいたりしました。それぞれで頭をフル回転して過ごした一年でしたね。この一年、何かを自分で生み出す喜びを培ってきたので、今こうして二人で作ることが集大成だと感じています。もちろん、ここから先も色々と学んでいくと思いますが、今年の経験がミュージカル『ダブル・トラブル』をやる上でのステップだったのかなとすごく感じていて、とても感謝しています。

水田：今までは作品に入るとき、あれもこれもやらなきゃいけないと色々考えていたのが、当たり前のように自然とやれるようになってきました。やらなきゃではなく、自分がやりたいからやろうとシンプルに思えるようになって。日常から芝居のことをずっと考えているのが好きだからやっているんだという考えに至って、幸せ度数が上がった一年でしたね。もちろん体力的に大変だったり、しんどい思いをしたりしたこともたくさんありましたが、根本的な、ゆるぎない芯を構築できたことが大きな変化でしたし、前向きになれる一年でした。

――来年の抱負についても伺えますでしょうか。

上口：この作品には僕の好きなものが本当にたくさん詰まっていて、そんな作品で今年を締めくくり、また年を明けることになります。だから来年は、好きな世界で生きているということを強く感じた状態でスタートできるので、その気持ちを貫きたいですね。本当にこれが好きで伝えているという思いを強く持って、皆さんにお届けできる一年にしたいと思います。

水田：今はミュージカル『ダブル・トラブル』のことで頭がいっぱいです（笑）。この作品をどう演じて、作品が完成した時にどういう景色が広がっているのかは、僕自身まだわからないですし、それが楽しみでもあります。今は楽しみながら日々の稽古をして、それ次第で来年どう思うかを考えていきたいと思います。

――では、最後に改めて作品を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。

水田：年末年始に、エンターテイメントの力を存分に感じてもらえる作品です。華やかなエンターテイメントの部分はもちろん、登場人物の繊細な心情や、音楽の緻密さなど、この二人ならではの色を感じ取っていただけたら嬉しいですね。忙しい時期だと思いますが、その日、その日の『ダブル・トラブル』があります。一度見て面白かった方は、友達や家族を連れて、SNSでいっぱいつぶやいて、たくさん観に来ていただきたいと思います。よろしくお願いします。

上口：とてもライブ感溢れ、スリリングで、ハッピーな作品です。日によって、色んな角度や発見ができて、舞台上の生の熱量を皆様にお届けできると思います。そして最後はあたたかな気持ちで、そしてまたボビーとジミーに会いたいという思いで劇場を後にしていただけるのではないでしょうか。何度でも、その日の『ダブル・トラブル』をお楽しみいただけたらと思います。劇場でお待ちしています。

取材・文：THEATER GIRL編集部
撮影：岡千里

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