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平埜生成×松岡広大インタビュー 『たもつん』 「笑って少し目頭が熱くなって、ほっこりするような作品」(後編)

INTERVIEW

第40回向田邦子賞、ギャラクシー賞などを受賞し、NHK連続テレビ小説『虎に翼』の脚本でますます注目を集める脚本家・吉田恵里香氏が、2015年にFMヨコハマ連続ラジオドラマとして書き下ろし、その後オンライン朗読劇として配信されるなど、常に話題を集めてきた“ちょいダメ男”たちのくすっと笑えて、くすっと泣ける、友情コメディ。

脚本はもちろん、吉田恵里香氏が担当。今回の朗読劇用に自ら一部リライトし、物語により一層奥行きを持たせます。演出は、長年、劇団プレステージのリーダーとして、出演・作・演出を手掛け、退団後も俳優業のみならず、近年では Netfiix シリーズ「忍びの家 House of Ninjas」では原案・出演や、ドラマ 24「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」では、原案・企画、脚本、プロデューサー、出演も務めるなど、多彩な活動を続ける今井隆文氏が担当します。

キャストには、ユーキチ役に千葉雄大さん、平埜生成さん、渡邊圭祐さん、しゅうまい役に平埜生成さん、八村倫太郎さん(WATWING)、松岡広大さん、ヤベ先輩役に落合モトキさん、土佐和成さん、浜野謙太さんといった個性豊かで、確かな演技力を誇る俳優たちが3名ずつ入れ替わりで出演。さらに渡邉美穂、演出も担当する今井隆文が全日程出演します。

THEATER GIRLは、平埜生成さんと松岡広大さんにインタビュー。後編では、このチームならではの魅力や脚本の印象、お二人の共通点などをお聞きしました。本作にちなんだ質問にも答えていただいているので、お楽しみに。

インタビュー前編はこちら

ヤベ先輩役が一番のポイント

平埜:やっぱり、ヤベ先輩役の土佐(和成)さんが一番のポイントではないでしょうか。

松岡:僕もそう思いました!

平埜:とにかく今回、チームごとにヤベ先輩が全く違いますから。もちろん、ユーキチとシュウマイの色もありますが、今回は土佐さんがポイントだと思います。ヨーロッパ企画の方なので、コメディを主戦場としていらっしゃいますし。言わばプロのような方が僕たちのチームにはいるので心強いです。なので、乗っかっていけたらと思います。

松岡:心強いですね。あと、個人的に年齢の差があるというのも面白いと思います。演劇だからこそできる組み合わせだと思いますし。お二人ともそれぞれ違った歩み方をしてきた方々なので、舞台を普段観ている人にとっては「こういう組み合わせ面白いな」と思うのではないでしょうか。僕もキャスト表を見て、面白い組み合わせだと思ったので、楽しみです。

平埜:そうですね。

松岡:でも、僕はそれが逆に安心します。2役を演じてチームも変わるので、きな兄の心労は大変だと思いますが……。

平埜:でも、超楽しいですよ。

松岡:本当ですか?

平埜:読み方も変わりますし、役の印象も変わりました。

コメディは非常に難しい

平埜:僕はラジオドラマの台本も読ませていただいたのですが、ラジオドラマは全部で10話ちょっとあって、1話が10分くらいですごく短いので、1話の中に盛り上がりを作って落とすという流れがあるんです。それを朗読劇にギュッとまとめているので、話の起伏がとてもあって非常に面白いです。ただ演じる側としては、だからこそ難しい印象があります。

松岡:読んでいて登場人物たちの会話は、頭の中でとてもイメージしやすいのですが、会話のスピードがとても速い感じがしました。ある程度の速さがないと笑えないなと思うところや、説明的にした方がいいけれど、説明しすぎるとちょっと野暮になりそうだな……と、頭の中で間の長さや句読点の意味を考えながら読んでしまって。

でも、まずは会話劇としてとても面白いと思いました。人を笑わせること、コメディというものは非常に難しいと思うので、真剣に取り組まなければなと思います。面白いことをやっているのが見えた瞬間に、観客は冷めてしまいますから。とても難関な戯曲だと思いますね。

松岡:難しいですね。コントも軽演劇と言われるようなものなので、コントをやる方々はお芝居がとても上手ですよね。ちょっと怖いですし、どこまでできるかわかりませんが、楽しみです。

平埜:僕は、最近落語家さんと仲良くさせていただいていて、お話をしていてなるほどと思ったことがあって。笑いの間というのは、お芝居の間とは少し違って、リアルとは異なるんだよと。それがなるほどと思うと同時に、だからこそ難しいのだと思いました。

役を演じるとき、その役の視点で考えると突っ込むタイミングが難しいのですが、コメディの世界観では言葉を被せる方が面白くなることがあったりするので。そこは俳優の技量や経験が如実に表れる部分なので、個人的には難しいなと思っています。

リアルを追求しすぎると成立しない部分が結構あるということを、落語家さんとの会話で学びました。今回はコメディでさらに朗読劇なので、役者に課せられた難しさはありますが、観客の皆さんには楽しいものに見えるのではないかと思っています。

お二人の共通点とは

平埜:別の取材で、広大がこの10年ほどで演劇が大好きになっていろいろな作品を観るようになって変わったという話をしていたのですが、そのルーツは共通しているかもしれません。ちょっと恥ずかしくて青臭いので言いづらいですが、僕も舞台を観て人生が変わったと感じたことがあるので、そこは共通点かなと思います。でも、あとは全く似ていないと思います(笑)。

松岡:僕もそう思います(笑)。でも、きな兄は本を読まれるのもあって、言葉に含蓄があり、思想体系がまるで毛細血管のように広がっているように感じます。言葉を大事にしていると言うと軽薄に聞こえるかもしれませんが、僕は言葉をすごく大事にしているので。きな兄のお話を伺っていると、発する言葉をよく確かめながら話されているように思いました。

平埜:広大は、どういう本を読んでいるの?

松岡:最近は3冊同時に読んでいます。哲学書と、詩集に関する本、そしてフランス文学の翻訳などですね。きな兄は、 日本と海外の作家だとどっちが多いですか?

平埜:日本の作家さんが多いかな。でも僕も哲学系の本を読みますし、小説は現代作家のものが多いです。でも最近は知らなさすぎると感じることがあるので、アメリカ文学なども読まなければと思っています。

お二人がそれぞれ余興をやるとしたら……!?

平埜:僕はけん玉ですね。あとはジャグリングも。けん玉は上手くはないですが、余興として2分くらいなら持たせられると思います。

松岡:2分はけっこう長いですよ(笑)。

平埜:2分ならいけると思う(笑)。

松岡:僕は……なんだろう。でも、その人の物語を演劇的にモノローグのように語るかもしれません。一人芝居のような形で。今思いついただけなのですが、他に得意なことがあまりないんです。踊るというのもどうかなと思いますし。

平埜:そうだよ、広大は踊れるんだよね! いいなあ。

松岡:独白なら5分は持たせられます!(笑)

松岡:朗読劇というジャンルにお客様がどんなイメージを持っているかわかりませんが、非常に高尚なものでも敷居が高いものでもありません。観たいように観て、聞きたいように聞いていただけたらと思います。朗読劇も演劇もそうですが、朗読というのは台本があって言葉を届けることに重きを置いていると思うので、言葉から連想される情景や心情などを想像して、自分の中で旅をしていただけたら。朗読劇だと構えなくても大丈夫です。会話劇を楽しんでいただけたらと思うので、お待ちしております。

平埜:本作のタイトルがひらがなで4文字の「たもつん」なんですが、その通りの作品だと思います。笑って少し目頭が熱くなって、でもほっこりするような作品に仕上がっています。面白いことは間違いないので、ぜひ来ていただきたいです。自分が2役演じて思ったのは、これは「スルメ作品」だということです。2度3度読んだり観たりすることで、役者が変わるだけで印象が変わりますし、二度三度味わえば味わうほど見えてくるものがあると思います。せっかくキャストも3チームあるので、ぜひ様々なほっこりを味わっていただきたいと思います。

取材・文:THEATER GIRL編集部

インタビュー前編はこちら

公演概要

朗読劇『たもつん』

脚本:吉田恵里香
演出:今井隆文

出演:
落合モトキ、千葉雄大、土佐和成、八村倫太郎(WATWING)、浜野謙太、平埜生成、松岡広大、渡邊圭祐
(※50 音順)

[全日程出演]渡邉美穂/今井隆文

日程:2025年5月14日(水)~18日(日)
5月14日(水) 19:00 千葉雄大、平埜生成、浜野謙太
5月15日(木) 19:00 平埜生成、松岡広大、土佐和成
5月16日(金) 14:00 渡邊圭祐、八村倫太郎、落合モトキ
19:00 渡邊圭祐、八村倫太郎、落合モトキ
5月17日(土) 11:00 平埜生成、松岡広大、土佐和成
15:00 渡邊圭祐、八村倫太郎、落合モトキ
19:00 平埜生成、松岡広大、土佐和成
5月18日(日) 13:00 千葉雄大、平埜生成、浜野謙太
17:00 千葉雄大、平埜生成、浜野謙太

[全日程出演]渡邉美穂/今井隆文
※配役の詳細はHPをご確認ください。

会場:IMM THEATER

チケット:全席指定/未就学児入場不可
¥7,800(税込)

公式サイト:https://tamotsun2025.com/
公式X:@tamotsun2025

公演事務局:0570-200-114(12:00~17:00 土日祝休業)
主催・企画・製作:サンライズプロモーション大阪

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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