木村達成×須賀健太インタビュー 『血の婚礼』「常に最高を更新し続ける二人でなければいけない」（後編）

2022年9月15日（木）よりBunkamura シアターコクーンにて、『血の婚礼』が上演されます。

本作は、実際に起きた事件を元に1932年に執筆され、翌年にロルカ自身の演出によりスペインで初演、同年にアルゼンチンでも上演された、ロルカの3大悲劇の1作。

舞台はスペインのアンダルシア地方。婚約した一組の若い男女が互いの家族の期待を背負いながら結婚式を迎えようとする姿、そしてそこに現れた花嫁の昔の恋人がすべてを変えてしまう抑えきれない愛が描かれています。

本作の演出を務めるのは、演劇界から熱い注目を浴びる気鋭の演出家、杉原邦生さん。一人の女性を奪い合うレオナルドと花婿を演じるのは、ミュージカルは勿論のこと近年ではストレートプレイや映像でも存在感を放つ木村達成さんと、幅広い作品で活躍する実力派、須賀健太さん。レオナルドと花婿の間で揺れ動く花嫁役を早見あかりさん、息子を溺愛する“花婿の母親”を安蘭けいさんが演じます。

THEATER GIRLは、レオナルド役の木村達成さんと花婿役の須賀健太さんにインタビュー。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」以来、約5年ぶりの共演となるお二人に、後編では本作の演出に期待していることや作品の内容にちなんで、お二人が我慢できずについやってしまうことをうかがいました。

インタビュー前編はこちら

自分たちの中で選択しながら、一番ベストな方向でやれたら

――杉原邦生さんの演出でどのような舞台になっていくか期待が膨らみますが、本作では生演奏やダンス、歌を融合した表現を取り入れるとのことですが、どのようなところに期待されていますか？

須賀：歌はもう達成くんにお任せします（笑）。僕はダンス担当なんで（笑）。

木村：ミュージカルでもそうでなくても僕の中ではあまり変わらないです。お客さんを置いていくような歌にはしたくないですし。

それこそ、表現方法でいったらダンスであったり、たくさんある中の一つが音楽ってだけの話なんで。普通に言葉で話すだけでなく、そこに音をのっけて話さないといけないから、難しいところもたくさんあると思うんですけど。自分の意思だけではなく、何かの力を借りられることは確かにメリットかもしれないけど、後ろに乗っかっている音が自分の表現したい音じゃなかった場合は、反発し合うじゃないですか。それを味方につけながら、自分の中でお客さんに伝えていかなきゃいけないから、すごく難しいことでもあるんですよね。

でも、「何かを伝えたい」って意思は、お芝居にとっては全部同じだと思うんです。今回の音楽は、「いろんな方法があるよ」という中の一つだと思っているので。それでいて、本作の舞台であるスペインって、文化的には音楽がすごく根付いているんですよね。そういうマインドで生きている人たちがたくさんいるからこそ、ロルカの戯曲の中に詞的な表現や歌みたいな表現がたくさんあるので。さらに、ダンスっていう表現も昔からあるものなのかなと考えると、 いろんな手法を使って伝えなくちゃいけないと思うんです。

ミュージカルとストレートって分かれていることも、自分としては意味が分からないことなので。自分たちでいろいろと選択しながら、一番ベストな方向で『血の婚礼』という作品を作っていければいいなと思います。だから、健太が（歌を）やりたくないっていうならやる必要ないしね（笑）。

須賀：今のところ太字にしておいてください！（笑）

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