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上口耕平×水田航生インタビュー ミュージカル『ダブル・トラブル』「とてもライブ感溢れ、スリリングで、ハッピーな作品」(前編)

INTERVIEW

2022年 12月23日(金)より東京・自由劇場にて、ミュージカル『ダブル・トラブル』=2022-23冬=TeamEが上演されます。本作は、出演者はたった2人、演奏はピアノだけというシンプルな構成で、次から次へと現れる登場人物、およそ10人もの人物をたった2人で演じる、抱腹絶倒のミュージカルコメディです。

本作には、独特のセンスが光る実力派の上口耕平さん、ミュージカルを中心に活躍し、キレのあるダンスも得意とする水田航生さんがTeamEとして出演します。

翻訳・訳詞は今作で第14回小田島雄志・翻訳戯曲賞(2021年)を受賞した高橋亜子氏、演出は「第27回 AMD アワード」を受賞し、ミュージカルやストレートプレイ、ライブ演出など、ジャンルレスな活躍をみせるウォーリー木下氏が務めます。

THEATER GIRLは、上口耕平さん、水田航生さんにインタビュー。前編では、お二人の印象や作品の魅力について語っていただきました。

インタビュー後編はこちら

二人の「感覚や、目指しているものが近い」

――稽古が始まった、今のお気持ちはいかがでしょうか。

上口:先に航生が稽古を開始していて、僕がこの間合流させてもらいました。なので、やっと二人で色々なセッションをスタートできたところです。それまでは歌稽古と振り付けをとにかく入れて、解釈していく作業が多かったですね。今はやっと自分たちの色を探しながら、見つけつつあるような感じです。

水田:耕平君が合流して五日目ぐらいのときに、すでにセリフを覚えていて。さすがだな、本当にすごいと思いました。

上口:いやいやいや(照笑)。

水田:俺は結構早い段階からTeamDを見学させてもらったり、振付けや歌を練習させてもらったりしていたんですけど。耕平君は五日目とは思えない速度で覚えていました。

上口:航生はこう言っているんですけど、違うんですよ。かなり引っ張ってくれています。何かあったらパって航生を見ると、こういう振り付けですよと教えてくれるんです。振り付け中に航生が「次はあなたこっちよ」「はい、そこに座るのよ」と言って、台本にないキャラとして導いてくれたときは面白かったですね(笑)。

――作品同様に、良い兄弟感が育まれている感じでしょうか?

上口:はい。兄弟っぽいよね?

水田:いや、本当に。申し訳ないですが、実の兄より頼りがいがあります(笑)。

上口: 声の相性が良いと思うんです。なので、歌っていてすごく心地が良い。

水田:それは俺もめちゃめちゃ思います。昨日お母さんに電話で言いましたもん。「耕平君とめっちゃ相性いいねん」って(笑)。ほんまにめっちゃ好きなんですよ。

上口:ははは(笑)、嬉しい。

水田:初日に、いきなり本読みと歌稽古をやったんですけど、すごく楽しかったです。何も打ち合わせをしていなくても、合致した部分があったし、テンポもすごく良くて。初めて一緒にお芝居をしたとは思えないぐらいの感覚で本読みができました。

上口: 好きなものが似ているんだろうなってそこで思いましたね。多分お客さんとして観ているときに感じる、こういうお芝居や空気感が好きとか、そういった感覚や目指しているものが近いのかな。なので、こうかなっていうところが合致しやすいんです。こう来たらこう来てくれるのかな、こう来たのか、じゃあこう行こうって思えて。だからすごくノリやすい。この作品にいろんなチームがある意味がすごくわかりましたね。もちろん台本の力もあると思うんですけど、二人だけの空気感が生まれやすい作品なんだと思いました。

――お二人に共通点はありますか?

上口:それが面白いことに、ほぼないんですよ。

水田:確かにそうですね。例えばわかりやすく、サッカーが好きとか。そういった共通点はないですね。

上口:そこも兄弟っぽいですよね(笑)。お兄ちゃんと弟ってそれほど趣味が合わなかったりするじゃないですか。育ってきた環境や、触れてきたものが近いから自ずと感覚が近い部分があるので、「それ好きなんだ。じゃあ俺もそれ好きだわ」っていうやりとりをあえてしないのかもしれません。

水田:休憩中でもお芝居の話をしますしね。一緒に帰りながら、「あそこのシーン、どう思いますか?」という会話をしたり。休憩中でも常に頭の中でお芝居のことを片隅に考えていて、僕がポンって出しても、それに対してすぐ返してくれるんです。そう言った、熱量もすごく似ているのかな。

――お芝居の関係性が出来上がっていて素晴らしいですね。

水田:本当に耕平君で良かった。

上口:こちらこそ。

ダブル・トラブルは「緻密で繊細な作品」

――この作品の魅力について教えていただけますか。

上口:二人だけでノンストップで何役もやるというのは、もちろん大きな魅力として皆さんに感じていただけると思うんですけど。稽古をして改めて感じるのは、音楽がものすごく緻密で、レベルが高いということですね。例えば半音階にも全部意味があって。この音楽をちゃんと皆様にお届けできれば、とても面白いんじゃないかと思います。

水田:この作品を最初にイメージしたときに、ザ・エンターテイメントという感じに見られがちだと思うんです。でも実はすごく緻密で繊細なことをやっていて、そこが魅力的だと感じます。音楽の作り方はもちろん、お芝居の構築の仕方に関しても、二人きりでやるからこそ緻密に台本が作られていて。その中には、マーティン兄弟が生きてきた世界が反映されていたり、今までのハリウッドの世界をリスペクトしたオマージュが盛り込まれていたりするんです。

単にキャラクターものというわけではなくて、台本に出てくる登場人物たちの人間関係や、兄弟間で思うこと、エンターテイメントに対する思いなど、心の動きをすごく繊細に演じています。だからこそ、 初演から構築されてきた素晴らしい部分はトレースできるところはしたいですし、僕たちが気づいた今までにないところはどんどん細かく提案していきたいですね。それができれば、また一歩『ダブル・トラブル』の真髄に近づけるんじゃないかという気持ちで、今は稽古しています。

――演出家のウォーリー木下さんの演出で感じられていることや、心に残った言葉などはありますか。

水田:ウォーリーさんとご一緒したのは初めてなんですが、この一ヶ月弱で、大好きになりました(笑)。俺が言語化できないぐらいの些細な部分を汲み取ってくださるんです。疑問に思うことを質問しても、「前はこうだったから」っていう言葉を絶対に使わないんですよね。「確かにそこって、今までそういった解釈はなかったけれど、面白いね」という風に、俺たちの言葉を新鮮に受け取ってくれて、やってきたことをそのままやるということをしないんです。そういった演劇の作り方なので、演じる側としても、もっと俺たちなりにいっぱい出していこうと思えますし、それを引き出してくださる演出家の方だと思います。無駄な時間が一秒もない稽古をできていることが、本当に幸せです。

上口:僕は今年の3月に、舞台「僕はまだ死んでない」という作品で、初めてウォーリーさんとお会いしたのですが、僕も大好きです。今回ご一緒して特に強く感じたのが、二人の間に起きている繊細な反応を、誰よりも早くキャッチしてくださる方なんです。それを僕たちに伝えるときに「こっちの方が良いから、こっちにしよう」ではなくて、「今はこう見えているから、そこをこう膨らましたら、もっと面白そうなんだけど、やってみる?」というような選択肢をくださるんです。

そういう、僕たちの隣に来てくださる感じにプラスアルファで、客観的な意見も くださるので、もう一個石を投げてもらっている感覚です。台本をとても広い懐で、いかようにも解釈があるよねというスタンスで読んでいらっしゃるんですよね。だから「その解釈もありだね」という風に言ってくれますし、懐がすごく大きい方だと感じます。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:岡千里

インタビュー後編はこちら

公演概要

ミュージカル『ダブル・トラブル』(A Musical Tour de Farce)=2022-23冬=

脚本・作詞・作曲:ボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトン 翻訳・訳詞:高橋亜子
演出:ウォーリー木下 音楽監督:落合崇史/大塚茜  振付:TETSUHARU タップ振付:本間憲一

ピアノ:中原裕章 中西 司 篠原祐伴

【TeamD】
出演:ジミー・マーティン(兄) 浜中文一 × ボビー・マーティン(弟) 室 龍太

2022年12月12日(月)~2023年1月21日(土) 
自由劇場

2023年1月26日(木)~1月29日(日) 
新国立劇場 小劇場

【TeamE】
出演:ジミー・マーティン(兄) 上口耕平 × ボビー・マーティン(弟) 水田航生

2022年12月23日(金)~2023年1月22日(日) 
自由劇場

【Team F】 
出演:ジミー・マーティン(兄) 越岡裕貴(ふぉ~ゆ~) × ボビー・マーティン(弟) 松崎祐介(ふぉ~ゆ~)

日程:2023年2月2日(木)~2月19日(日)
会場:新国立劇場 小劇場

公式HP:https://www.musical-wtrouble.jp/
公式Twitter:@wtroublejp

企画・製作/主催:シーエイティプロデュース

お問合せ:チケットスペース 03-3234-9999(平日 10:00~12:00/13:00~15:00)

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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