戸塚純貴インタビュー 『グラウンドホッグ・デー』「自分にしかできないミュージカルを」(前編)
2024年11月11日より東京国際フォーラム ホールC、11月27日から大阪・新歌舞伎座、12月5日からは愛知・御園座にて、ミュージカル『グラウンドホッグ・デー』が上演されます。
本作は、1993年にアメリカで公開された傑作コメディ映画「Groundhog Day(邦題:恋はデジャ・ブ)」をミュージカル化したもの。この作品が、新たに日本版ミュージカルとして生まれ変わり、演出を数々のコメディ作品を世に送り出す福田雄一さんが手掛けます。
アメリカ・ペンシルベニア州の小さな田舎町で、毎年2月2日に行われる平凡なお祭りの日「グラウンドホッグ・デー」を永遠に繰り返すことになった主人公のフィルをWEST.の桐山照史さんが演じます。何度目覚めても退屈だと感じるタイムループに嫌気がさしながらも、心から望むことを手に入れるために同じ日を生きることを利用し、楽しみ始めます。やがて繰り返す日常の中で、フィルの内面にも変化が生まれ、新たな一歩を踏み出すまでを描いたコメディです。
共演には、映像にも活動の幅を広げている咲妃みゆさん、本作でミュージカルに初挑戦となる戸塚純貴さん、抜群の歌唱力に定評がある豊原江理佳さん、多くのジャンルで存在感を示す川久保拓司さんら豪華キャストがそろいました。
今回、THEATER GIRLではフィルの高校時代の同級生ネッドを演じる戸塚純貴さんにインタビュー。前編では、初挑戦となるミュージカル作品への出演にかける思いや主演の桐山照史さん、演じる役柄の印象などをお聞きしました。
福田さんはいつも壁を与えてくれる
――本格的なミュージカルは初になるかと思いますが、本作への出演が決まったときのお気持ちを聞かせてください。
初ミュージカルですね。歌えるとも踊れるとも一度も言ったことはないのですが、福田(雄一)さんはいつも壁を与えてくださるので(笑)。今回も、ミュージカルという壁を与えてくれたので、断る理由はないなという気持ちでした。
――福田さんからのお話でなければ、挑戦していなかった可能性もあるのでしょうか?
そうかもしれません。苦手意識があったわけでもないのですが、タイミングが重なったのと福田さんだから入りやすかったということはあるかもしれません。福田さんはとてもミュージカルが好きな方ですし。元々僕は原作の映画も好きだったので、この作品にしかない面白さもあると思いました。ブロードウェイ版は今回のお話が来てから知りましたが、ミュージカルだと一体どういうものになるのかとても興味深いです。
――戸塚さんは、映像では多数の福田作品に出演されていますが、福田さん演出の舞台作品へは二度目の出演となりますね。
そうですね。ただ、ミュージカルは初なので、どうやって歌とお芝居を融合していくのか、すごく新鮮な気持ちです。
――歌以外にもダンスシーンもあるとのことですが。
そうなんですよね。でもダンスはみんなで一緒に踊るようなものになると思います。なので、やっぱり歌が心配ですね。特に今回は、聞かせるタイプのバラードもあるので。
――そこは、戸塚さんとしての見どころになりそうですね。
バラードだと特にごまかしがきかないと言いますか。最初に音源を聞いたときは「嘘だろ!?」と思いました(笑)。ポップな曲もあるのですが、人間味を歌で表現するような感じで、生きることへの価値観を共有する、作品の中でも厚みのあるシーンだと思います。なので、まだ怖さのほうが大きいです。
――戸塚さんは主人公・フィルの高校時代の同級生・ネッドを演じられますが、キャラクターの印象はいかがでしょうか。
ネッドはどこか流されやすい人という印象です。保険会社で働いているのですが、ノルマを与えられていて、社会や組織に制圧されている人なのかなと。同級生に自分の仕事のセールスを持ちかけたりする部分もあったりして、人間っぽさもあり、生命力のあるキャラクターだと思いました。フィルが鬱陶しく思うようなそんなネッドの明るさを、愛らしく演じたいと思っています。
――フィル役の桐山照史さんとは、セリフの掛け合いも多そうですが、桐山さんの印象はいかがですか。
桐山くんが所属するWEST.のライブを拝見したのですが、メンバーの方々とコントをやられたりしていて、元々面白いことがお好きなんだろうなと思いました。そこに福田さんの演出も合わさるとどうなるか楽しみですね。同じことをしても福田さんは全く笑ってくれない方なので(笑)。毎回違うことを考えてやらないといけないので、桐山くんと一緒にどんどん新しいことを生み出していけたらいいなと思います。
――稽古場から常に新しいものを求められるんですね。
台本にないようなこともやってほしいと思っている方なので、稽古から常に求められていると思います。
現場で共演者から学びたいものは「全部!」
――初のミュージカルへの出演ということで、今回新たに取り組んでいることもあるのでしょうか。
出演が決まってからボイトレはすぐに始めました。みなさんにご迷惑をかけないように、追いつかないといけないので。今回丸腰なのは僕だけですし。自分にしかできないミュージカルを、ネッド役をやる意味を持たせられるように、自分なりのネッドを頑張ります。
――多数のミュージカル作品に出演されている共演者の方も多いですが、現場の皆様から何か勉強したい、学びたいと思っていることはありますか?
全部、全部全部です! ミュージカル脳を……!(笑)考え方から勉強したいです。稽古が始まってからは、恥を捨てて、分からないことはいろんな人に訊きたいと思っています。
――今はまだ不安が大きいと思いますが、楽しみにしていることや期待していることはありますか。
ミュージカルを好きになりたいです!
――ちなみに、今の“好き度”はどれくらいですか?
元々観るのは好きなんですけど、自分が出るとなるとまだ……。福田さんは「楽しいよ! みんなで歌を合わせて、オーケストラも入ると絶対またやりたいって思うから」と言ってくださるのですが、まだピンと来ていなくて。
――終わった頃にはそうなっているかもしれないですね。
そうなっていたらいいなと。そうなれるように、いいものをお見せできるように頑張りたいです。
取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:梁瀬玉実
ヘアメイク 千葉良太
スタイリスト 森大海(AGENCE HIRATA)
スウェット6万500円(SEVESKIG / Sakas PR Tel: 03-6432-9313)、シャツ3万800円、パンツ3万8500円(ともにSOL / JOYEUX)、シューズ2万6400円(ALTERUM / JOYEUX Tel: 03-4361-4464)
公演概要
ミュージカル『グラウンドホッグ・デー』
日程 2024年11月11日(月)~22日(金)
場所 東京国際フォーラム ホールC
料金 S席 15,500円 A席 10,000円 (全席指定・税込)
【地方公演】
大阪公演:新歌舞伎座
日程 2024年11月27日(水)~12月1日(日)
愛知公演:御園座
日程 2024年12月5日(木)~8日(日)
【CAST】
フィル・コナーズ・・・・・桐山照史
リタ・ハンソン・・・・・・・咲妃みゆ
ネッド・ライアーソン・・・・戸塚純貴
ナンシー・テイラー・・・豊原江理佳
ラリー/ガス・・・・・・・・川久保拓司
(五十音順)
ランカスター夫人・・・・・・・家塚敦子
クリーブランド夫人・・・・・・・井上花菜
バスター・・・・・・・・・・・・・岡田誠
ピアノの先生/他・・・・・・可知寛子
チャビーマン・・・・・・・・・・ぎたろー
ドリス・・・・・・・・・・・・・・・小山侑紀
ジェンソン/嵐を追う男・・・・・・・坂元宏旬
ラルフ/他・・・・・・・・・・・・・・・高橋卓士
デビー・・・・・・・・・・・・・竹内真里
ジェフ・・・・・・・・・・・・・・・茶谷健太
保安官代理・・・・・・・・・・常住富大
嵐を追う女・・・・・・・・・伯鞘麗名
クリーブランド/ビリー・・・・・・・堀江慎也
保安官・・・・・・・・・・・・・・横山敬
フレディ・・・・・・・・・・・・・・横山達夫
スウィング・・・・・・・高山裕生、田中真由
【STAFF】
演出:福田雄一
翻訳・訳詞:福田響志
振付:上島雪夫・福田響志
音楽監督・指揮:上垣 聡
美術:二村周作
照明:高見和義
音響:佐藤日出夫
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:宮内宏明
歌唱指導:平岡由香
振付助手:遠藤瑠美子
稽古ピアノ:杉田未央・後藤沙希乃
音楽制作:カンパニーAZA
演出助手:伊達紀行・斎藤歩
舞台監督:津江健太
制作:花澤理恵・市川喬之
プロデューサー:柳原一太・梶浦智嗣(パルコ)、冨田雅子・鳥澤勇人(東宝)
宣伝美術:野寺尚子(ウルトラグラフィックス)
宣伝写真:HIRO KIMURA
製作:パルコ・東宝
公式サイト https://groundhogday.jp/