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瀬戸さおり×村井良大インタビュー『きらめく星座』「何気ない日常が、改めて大切だと思わせてくれる作品」(前編)

INTERVIEW

2023年4月8日から東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAを皮切りに、こまつ座第 146 回公演 『きらめく星座』が上演されます。本作は、「昭和庶民伝」三部作の第一作目で、太平洋戦争前夜の昭和16年12月7日までの約 1 年間を描いた作品です。2017 年公演は8 回目の再演にもかかわらず、第 72 回文化庁芸術祭演劇部門にて大賞を受賞しています。

出演者には、松岡依都美さん、久保酎吉さん、村井良大さん、粟野史浩さん、瀬戸さおりさん、後藤浩明さん、髙倉直人さん、小比類巻諒介さん、木村靖司さん、大鷹明良さんと実力派キャストが名を連ねました。演出は2019年に『母と暮せば』ほかで読売演劇大賞・最優秀演出家賞を受賞した栗山民也氏が務めます。

THEATER GIRLは、小笠原みさを役の瀬戸さおりさん、小笠原正一役の村井良大さんにインタビュー。前編では、本作の印象や出演への思いを語っていただきました。

インタビュー後編はこちら

もう一度やれることがすごく嬉しい

――瀬戸さんは2020年の上演の際にもご出演されていて、村井さんは今回からのご出演になりますが、本作へ出演が決まったときのお気持ちをうかがえますか?

瀬戸:すごく嬉しかったです。2020年の時は、中止になってしまった回もあったのですが、多くの方にこの作品を届けたいという思いがずっと皆の中にありました。「またみんなでやれたらいいね」と話していたので、今回もう一度上演できることがすごく嬉しかったです。

村井:僕はこまつ座の作品に初出演なので、自分という役者を底上げできるきっかけになると良いなと思いながら、挑んでいる最中です。 2020年に本作をお客さん側として見ていて、一つ一つのシーンが脳裏に焼きつくぐらい感動しました。それほど好きな作品だったので、出演できることが本当に嬉しいです。

――今回は演じる側になることで、心境の変化などもありそうですね。

村井:見るのと演じるのとでは全然違いますね。こんなにも大変だったのか、ということを痛感しております(笑)。

――こまつ座作品の印象や、出演への思いを聞かせていただけますでしょうか?

瀬戸:やっぱり、すごく大変だなと思います。井上さんの作品は感情の起伏が本当に大きいので、それを切り替えて前に進めていくのが難しいですね。私は再演が初めてなのですが、井上さんの作品は読めば読むほど、やればやるほど、もっと深いところに行けると感じています。初演ではわからなかったことや気づけなかったことに、また新たに気づけているのは、井上さんの作品だからなのかなと思います。

――再演は、また新鮮な気持ちで演じられそうですね。

瀬戸:そうですね。言葉がある程度入っていたり、動きも分かっていたりする分、周りのことがよく見え始めたんです。見えていなかったところが見えた時に、同じ言葉を言っていても「こんな気持ちで言っていたんだ」と、初演では感じられなかったことがたくさん拾えるようになりました。ただその分、役に対する葛藤が前よりもっと大きくなってきましたし、兄さんと源さんとの間で苦しんでいたことが、さらに大きくなりましたね。

村井:僕はお客さん側から作品を見る回数が多かったので、演劇を非常に大切にされている雰囲気を感じていました。始まる前の、演劇を観るぞという雰囲気が、他の作品とは印象が違うんですよね。柔らかくもあり、良い意味で堅い感じもして。これから、今まで見たことのない演劇が観られますよといった雰囲気があるんです。そんなこまつ座さんの舞台に立たせていただくからには、それ相当の努力や意気込みをしっかりと持ちながら、稽古に参加したいと思いました。

前から一緒に演じていたような親近感を感じています

――今回お二人は初共演になりますが、お互いの第一印象について聞かせてください。稽古を重ねる中で印象の変化はありましたか?

村井:顔が小さいというのが第一印象でした(笑)。最近の印象で言うと、シーンが始まる前に確認をされている時に、意外とサバサバしている瞬間があったのが意外でした。もちろん悪い意味じゃないですよ。

瀬戸:大丈夫でしたか?(笑)

村井:むしろ、どんどん出してください(笑)。始まる前は皆が集中していて、シーンとしている時間もあるんです。なので、プロフェッショナルな仕事の空気感をたくさん感じています。普段の感じについては、まだまだ知らない部分があるので、そういった一面を見ると安心しますね。

瀬戸:私は、良い意味で緊張感を与えない人だなと思いました。その場にスッと入って来られる人だなと。前から一緒にやっていたような親近感があるんです。その場にスーッと馴染めるのは、すごいなと思いますね。

村井:じゃあ、第一印象は嫌な感じではなかったですか?

瀬戸:優しい方だなと思いましたし、今も思っています。

村井:ありがとうございます。普段はもっと適当です(笑)。

瀬戸:稽古が始まる前にも台本を確認しないと、どんどん進んでいってしまうので、なかなか話す機会がないんですよね。動きもちょっとずつ変わるので、公演まで時間がなく、余裕がないなと感じています。

村井:確かに、稽古場では一回の集中力に全てを詰めるといった感じですよね。

――村井さんは本作からの出演となりますが、稽古などを通して大変だと感じている部分はありますか?

村井: 正一は、来るたびに空気を変えるキャラクターなので、みんなと同調し過ぎずに、全然違う人が来たみたいな感じで帰ってくるんですよね。でも皆で喋っているときに、周りの人たちがリアクションをしてくれると「ああ、よかった。馴染めている」と、すごく安心してしまって。最近は、その安心に頼ってはいけない、自分は空気を変える役目なんだと思い直して、少しフォーカスを変えました。今は毎回、自分が空気を作っていく、くらいの感覚で、怖いと思いながらも必死でやっています。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:MANAMI

インタビュー後編はこちら

公演概要

こまつ座第 146 回公演 『きらめく星座』

作:井上ひさし 演出:栗山民也

出演:
松岡依都美、久保酎吉、村井良大、粟野史浩、瀬戸さおり
後藤浩明、髙倉直人、小比類巻諒介、木村靖司、大鷹明良

<東京公演>
2023年 4月8日(土)~23日(日)
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

入場料:
8,800円(全席指定・税込み)
U-30 6,600円(観劇時30歳以下)
高校生以下 2,000円

<ツアー>
5月7日(日)~14日(日) 北海道演劇鑑賞団体連絡会 ※会員制公演
5月20日(土)~27日(土) 神奈川演劇鑑賞団体連絡会議 ※会員制公演
5月29日(月)~31日(水) 福島演劇鑑賞会 ※会員制公演
6月3日(土) 山形・川西町フレンドリープラザ
6月9日(金) 群馬・高崎芸術劇場
6月18日(日) 大分・J:COMホルトホール大分

公式サイト:http://www.komatsuza.co.jp/program/index.html#439

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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