一ノ瀬 颯インタビュー 『紅鬼物語』 「一緒に空間や感情を共有できたら」（後編）
2025年5月13日(火)より大阪・ＳｋｙシアターＭＢＳにて、6月24日(火)より東京・シアターＨにて、2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』が上演されます。
緩急のある飽きさせない表現で楽しませ、古参ファンから若年層まで、幅広い世代から支持を得ている劇団☆新感線。本作は、旗揚げ45周年の記念イヤーを飾る第1弾公演。“【譚】Retrospective”と銘打ち、古の悲恋物語に材を得た、新たないのうえ歌舞伎、新感線流お伽噺が誕生しました。
主演を務めるのは、2024年5月に宝塚歌劇団を退団し、演劇としては本作が退団後初の舞台となる元花組トップスター・柚香 光さん。ほか、新感線初参加となる、ゴールデンボンバーの喜矢武 豊さん、一ノ瀬 颯さん、樋口日奈さん。さらに、準劇団員・早乙女友貴さん、千葉哲也さん、鈴木拡樹さんら、ひさしぶりの参加となるメンバーも集結。さまざまな出自のゲスト俳優たちを、粟根まことさんをはじめとする劇団員が迎えます。
THEATER GIRLは、一ノ瀬 颯さんにインタビュー。後編では、新感線作品の印象や本作のテーマでもある「鬼」にまつわるエピソード、“これから叶えたい野望”などをお聞きしました。
“ジャンル新感線”という印象
――新感線の作品を以前からご覧になっていたとのことですが、どんな印象をお持ちですか？
今まで観てきた舞台とはまったく別ジャンルの、“ジャンル新感線”のようだと感じました。やっぱり見た目が派手なところも魅力的ですし、殺陣がとても多かったり、さらに歌もあったりして。エンタメの良いところをすべて詰め込んだような感じだなと。だからこそ、普段舞台を観ない方でも観やすいと思いますし、もちろん舞台が好きな方も楽しませられるような、本当に魅力的なコンテンツだと思いました。
――初舞台が新感線作品だと聞いたときはどんなお気持ちでしたか？
ありがたいなと思いました。ワークショップを受けている時も、まさか自分にご縁があるとは思っていなかったので、とても光栄ですね。
様々な経験ができるという意味でもありがたいと思いますし、これだけ歴史もあってファンの方がたくさんいらっしゃる劇団の作品に、最初の舞台として出演させていただけるのは、とても贅沢なことだと思っています。
――新感線作品の“歌と笑い”の部分に関してはいかがでしょうか？
歌は小さい頃から好きで、家で勝手に歌っていました。ちゃんと習ったことはないのですが、ボイトレの先生の動画を見たりもして。基本的には自分が好きな歌を歌っているだけですが、いずれ歌の仕事ができたらと思っていたので、とてもありがたい機会だと感じています。
――桃千代役としては、アクションシーンもけっこうあるのでしょうか？
役柄的に殺陣はけっこう多い方だと思うので楽しみです。（早乙女）友貴さんとも対面する機会があると思うので教えていただきつつ、引けを取らないくらいに仕上げられたらなと。認めてもらえるように頑張りたいと思います。
――殺陣のどんなところに魅力を感じていますか？
殺陣は “魅せる”という部分が大切になってくると思います。人を斬って戦っている必死さと、綺麗に見せるところのバランスがとても大事になるのではと。それは自分の身体表現や所作みたいなところにも通じると思っています。勉強の意味と、単純に身体を動かすことが好きなので、そういった意味でも楽しみですね。
今では親近感が湧いています
――本作は「鬼」がテーマとなっていますが、一ノ瀬さんの鬼にまつわるエピソードを聞かせてください。
パッと思い出したのは、小さい頃によく大きな鬼に追いかけられて踏みつぶされる夢を見ていたんです。その時は怖かったのですが、今では親近感が湧いています。
夢は覚えていないことが多いですが、その夢は今でも覚えている一つで、特に強い思い出ですね。今だったら踏みつぶしてやります（笑）。
――このお話の中で、鬼のイメージが変わりましたか？
鬼と言われると、昔話や絵本で描かれるような、虎皮のパンツを履いて、赤と青がいて、角が生えていて、金棒を持っているみたいなイメージが当たり前になっていましたが、今回はそういうものとは限らないのではないかなと。
ビジュアル的にも、行動的にも、小学生くらいの印象で止まっていた鬼のイメージを大きく変えてくれる作品なのかなって。ただ、より怖くなるかもしれないので、さらに怖い夢を見るかもしれません（笑）。
自分の好きなことを仕事にできたら
――一ノ瀬さんは、映像作品への出演の他にも、バラエティ出演や今回の舞台出演など様々なフィールドで活躍されていらっしゃいますが、“これから叶えたい野望”はありますか？
自分の好きなことを仕事にできたらいいなと思っているので、歌に関しては、今回の舞台で叶いますが、また違うジャンルの歌のお仕事も、この作品がきっかけで繋がればいいなと思います。ダンスに関するお仕事もやってみたいですし、ファッションも好きなので、一から服や靴も作ってみたいなとも思います。
――本当に幅広いですね。
好きなことが多すぎてちょっと困っているんです（笑）。趣味と仕事を一致させるのはどうなのかという人もいますが、僕の場合は好きと仕事が繋がっているのが今の仕事なので。そういうところで、さらに自分の好きなものを生かせたらいいなと思っています。
――歌とダンスがお好きとのことなので、将来的にミュージカル出演も期待できそうですね。
本当ですか！ 特に海外の作品だとミュージカル映画も多いですし、歌を聴くと映像も想起されて本当に感動します。僕はずっと『グレイテスト・ショーマン』が好きなので、そういった舞台や映像でのミュージカル作品にも挑戦してみたいですね。
――最後に本作を楽しみにされている皆様にメッセージをお願いします。
僕を映像作品で知ってくださった方も多いと思うのですが、今まで直接観てもらえる機会がなかったので、やっとこの時が来たと思ってくださる方もいらっしゃると思います。
舞台では一緒に空間を共有して、自分たちが生きている世界にリアルタイムでいてもらえることになるので、その時に持つ感情も共有できたらなと。僕にとっても、観に来てくださる方々にとっても今までになかった素敵な経験になると思うので、ぜひ観に来てもらえたらうれしいです。
さらに今回は大阪公演もありますし。今までの僕の6年間プラスアルファをぶつけにいくので、ぜひ受け取ってもらえたらと思います。
取材・文：THEATER GIRL編集部
撮影：梁瀬玉実
ヘアメイク／池上豪(NICOLASHKA)
スタイリスト／檜垣健太郎(tsujimanagement)
公演概要
2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演
いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』
作： 青木 豪
演出： いのうえひでのり
出演：
柚香 光／早乙女友貴 喜矢武 豊 一ノ瀬 颯 樋口日奈／粟根まこと 千葉哲也／鈴木拡樹
右近健一 河野まさと 村木よし子 インディ高橋
山本カナコ 礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ
村木 仁 川原正嗣 武田浩二
川島弘之 あきつ来野良 藤田修平 北川裕貴
米花剛史 武市悠資 本田桜子 藤 晃菜
【大阪公演】ＳｋｙシアターＭＢＳオープニングシリーズ
公演日程： 2025年5月13日(火)～6月1日(日)
会場： ＳｋｙシアターＭＢＳ
【東京公演】
公演日程： 2025年6月24日(火)～7月17日(木)
会場： シアターＨ
企画・製作 ヴィレッヂ 劇団☆新感線
