太田基裕×平間壮一インタビュー ミュージカル『キングアーサー』「世界中でこれだけ知られている作品と触れ合えることが嬉しい」(前編)
2023年1月12日より新国立劇場 中劇場にて、ミュージカル『キングアーサー』が上演されます。(※ 1月12日~ 1月15日までは公演中止)
本作は、ミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』『太陽王』『ロックオペラ モーツァルト』、宝塚歌劇花組公演『CASANOVA』など、数々のヒット作を生み出しているドーヴ・アチア氏が音楽・脚本・歌詞を手掛けるフレンチミュージカルの日本版。
日本版の演出を手掛けるのは、2020年には韓国演劇界最高峰の演劇賞にて演出賞を受賞、今、韓国演劇界で最も注目される新進気鋭の演出家オ・ルピナ氏が担当します。
天から下される運命に立ち向かう主人公アーサーを演じるのは、浦井健治さん。最強の騎士として評されアーサーの敵として立ちはだかるメレアガンを演じるのは、伊礼彼方さんと加藤和樹さん、アーサーに忠誠を誓うが恋敵となるランスロットを演じるのは、太田基裕さんと平間壮一さん、アーサーの妻グィネヴィアには小南満佑子さんと宮澤佐江さん、アーサーの甥ガウェインを小林亮太さん、アーサーの兄ケイを東山光明さん、アーサーに仕え導く魔術師マーリンを石川禅さん、アーサーの異父姉であるモルガンを安蘭けいさんが演じます。
THEATER GIRLは、Wキャストでランスロットを演じる、太田基裕さんと平間壮一さんにインタビュー。前編では、ランスロット役への取り組み方や今回が初共演となるお互いの印象、稽古場の雰囲気など、たっぷりと語っていただきました。
発表されたとき、周りがすごく盛り上がっていた
――本作は日本初演となりますが、出演が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
太田:『キングアーサー』というタイトルを聞いたことはあったのですが、今まで全く触れてこなかったので、世界中でこれだけ知られている作品と触れ合えることが嬉しかったです。それから、平間くんをはじめ、初めて共演するキャストの方との出会いも楽しみでした。
平間:発表されたとき、周りがすごく盛り上がっていたんです。ただ、僕は『キングアーサー』の原作を知らなくて。そんなに有名な作品なのかと驚いたんですが、出演するのがますます楽しみになりました。
――今、絶賛稽古中ということですが(取材時)、今回Wキャストで演じられるランスロット役について、現在どのように取り組まれていらっしゃいますか?
太田:今回はWキャストなので、いろんなことを一緒に共有しながら、今稽古をしているところです。でも、作品の世界観もあって本当に難しいのでまだ探り探りやっている状況ですね。
平間:本を読む前は、ランスロットって「運命的な人と出会って、自分が自分でなくなるくらい心が動いてしまう」というイメージだったんですけど、今の段階では、割と騎士道を貫いている感じですね。
――では、今後グィネヴィアと恋に落ちて、心境が変化していくのでしょうか?
平間: ただ、恋に落ちたとしても、「こんな気持ちは愛じゃない!」と言って、それを見せない人なんですよ。なので、今のところは「僕は騎士としているんだ」という思いの方が強い感じがします。
太田:でも、一目惚れだけどね(笑)。
平間:そうなんだよね。だから最初のイメージでは、やるべきことを投げ出して、グィネヴィアの元にいくんだと思っていたんですよ。
太田:わかるわかる! 俺もそう思ってた。
平間:じゃなかったんですよ(笑)。
太田:かなり入り組んでるよね。
平間:だから、キングアーサー好きの方はランスロットにあまり期待しないでください!(笑)だって周りに話を聞くと、グィネヴィアのことをすごく愛しているところが、「ランスロット好き!」ってなるらしいじゃないですか。でも、意外とずっと陛下に命を捧げてるんですよ。
――そうなんですね、たしかに、そこはちょっとイメージと違うかもしれません。
平間:だからちょっとイメージと違うので、難しいですね。
太田:本当にいろんなことが入り組んでるよね。だから、まだあまりわからない状況です。
お互い良いものを共有しながら、作品に貢献できたら
――今回、お二人は初共演となりますがお互いの印象はいかがでしょうか?
太田:今回が初めましてなので、やっぱり最初は探り探りでしたね。でも、いろんなところで話を聞いていたので、もちろん存在は知っていました。だから、こんなにラフに話してくれてすごく助かるなって(笑)。でも、今回シングルキャストだったら本当に大変だったと思います。やっぱり色々と共有できる人がいるのはすごく救われるし、お互い良いものを共有しながら、作品に貢献できたらいいなと思いますね。
平間:僕は、最初のイメージはすごく怖かったんですよ。
太田:それ、けっこう言われる(笑)。
平間:最初は、クールっぽくて何を考えているかわからなかったので、けっこうライバル心が強いタイプなのかなと思って。僕も今までWキャストの時は「彼は彼で良い部分があるけど、自分は自分だし」という感じでやってきたので。
太田:たしかに多少そういう気持ちが芽生えることが、全くない訳ではないよね。羨ましいと思うこともあったりするし。
平間:そうそう、素敵だなと思うことはあるしね。
太田:それでへこんだりすることもあるんだけど、それも含めて受け入れる姿勢が、お互いに波長が合う感じがしたんです。
平間:そうそう、だから今すごくラクにWキャストをやれています。
オ・ルピナさんは「明確に演出をつけてくださる」
――今回、韓国演劇界最高峰の演劇賞にて演出賞を受賞され、韓国演劇界で注目されているオ・ルピナさんが演出を務められますが、実際に演出を受けられた印象はいかがでしょうか?
平間:やっぱり元々、韓国でやっていらっしゃる方なので進みが早いですね。「ここで神に祈ります。ここでの立ち位置はこうです」と、明確に演出をつけてくださるので、とてもスムーズに進んでいます。
太田:ただ、まだ僕らが追いつけていないところもあるので、どうしようか悩んでいるところです。
――稽古自体の進みが早いと、大変な部分もありそうですね。
太田:元々、ストーリー自体もすごく展開が早いんですよ。さらにシーンを作っていくのも早いから、整理するのがなかなか難しいですね。
平間:今は全体の大枠を作っている段階なので、役についての話し合いも、まだできていないので、これからっていう感じです(取材時)。
――今回、主演の浦井健治さんをはじめ多彩なキャストの方が揃っていますが、稽古場の雰囲気などはいかがでしょうか?
平間:ここ二人がずっと穏やかにいますね(笑)。でも、とにかく今回はアンサンブルの皆さんがずっとフルで頑張っている感じです。
太田:ずっとフル稼働だよね。
平間:僕たち、こんなに休んでていいんですかっていうくらい、アンサンブルの皆さんができることの全てをステージでやってくれているので、カンパニーの熱気はすごいですね。
――今回、アンサンブルの方たちは、出ずっぱりな感じなのでしょうか?
平間:本当に心配になるくらい出ていますね。僕たちは騎士なので、けっこうピシッとした芝居が多かったりするんですけど。静と動というか。アンサンブルの皆さんが動いて、こっちはあまり動いていないからその差がすごいです。なので、今までにあまり味わったことのない空気の稽古場だなと思います。
――今回、お二人もダンスや殺陣などのシーンはけっこうあるのでしょうか?
太田:ちょこっとあります。アンサンブルの方に比べたら全然ですけど。平間くんは物足りなくてうずうずしてると思います(笑)。
平間:そうですね(笑)。
――ではどちらかというと、ランスロットは歌唱がメインのシーンが多いのでしょうか?
太田:そうですね。特に二幕はグィネヴィアとの関係性がメインなので、割と落ち着いたシーンも多いと思います。
取材・文:THEATER GIRL編集部
公演概要
ミュージカル『キングアーサー』
2023年1月12日(木)~2月5日(日)
新国立劇場 中劇場
(※ 1月12日~ 1月15日までは公演中止)
日本版台本・演出:オ・ルピナ
アーサー:浦井健治
メレアガン:伊礼彼方/加藤和樹 (Wキャスト/五十音順)
ランスロット:太田基裕/平間壮一 (Wキャスト/五十音順)
グィネヴィア:小南満佑子/宮澤佐江 (Wキャスト/五十音順)
ガウェイン:小林亮太
ケイ:東山光明
マーリン:石川禅
モルガン:安蘭けい
他