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木津つばさ×田村升吾インタビュー「Dr.STONE」THE STAGE〜SCIENCE WORLD〜「分かりやすさの中にも複雑さを織り込む努力を」(前編)

INTERVIEW

2023年9月に東京、兵庫にて「Dr.STONE」THE STAGE~SCIENCE WORLD~が上演されます。

本作は「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載されていた大人気漫画「Dr.STONE」を舞台化、2022年7月に初演が東京にて上演されました。特筆すべきは演劇の楽しさのみならず、目の前で繰り広げられる科学実験など、五感への刺激を体感しながら「科学」を学べること。子どもから大人まで世代を問わずに楽しめる「科学ファンタジー演劇」となっています。

今回は主人公・千空役の木津つばささんと、クロム役の田村升吾さんのお二人にインタビュー。前編では、再演が決まった時の気持ちや、初演を経たからこそ分かる見どころ、お芝居に取り組む上で意識したことなどについて語っていただきました。お二人が抱く演劇への熱い気持ちが垣間見えます。

インタビュー後編はこちら

「諦めなくてよかった」やれると信じて巡ってきた機会

――昨年7月の初演では当初、東京と兵庫での全21公演が予定されていましたが、新型コロナウイルスへの対応により、東京での7公演のみの上演となりました。再演の知らせを受けた時には、どのような心境でしたか?

木津:初演の時には、どうにもならない状況で仕方のないことではあるんですけど、僕たちだけでなく、観に来ようとされていた方たちや観てくださったお客さまも、みんな悔しい思いをしたと思うんです。けれど、そこで諦めなかった僕たちの勝ちだなというか、諦めなくてよかったなって実感しました。アンサンブルさんがひとり替わってしまうのですが、ほぼ同じメンバーでできることも、何より嬉しいです。交代したメンバーの思いも含めて、みんなでまた一からの気持ちでできたらいいなと思います。

田村:僕もつばさくんと同じ思いなんですが、いつかはやれるんじゃないかと信じていたところがあります。初演の途中で公演が止まってしまった時に、それが再演なのか続編なのかどういう形になるのかは分からないけれど、この作品だったらまたやれると僕は信じていたので。そして、関係者の方が動いてくださって、お客さまの思いが繋がって、信じたことがこうして形になったんだなということをすごく感じています。初演よりもたくさんの方に届けたいですね。

見どころは心躍る実験「稽古場で子どもみたいにはしゃいでます」

――初演の振り返りも踏まえながら、改めて今作の見どころを聞かせてください。

木津:やはり、大人も子どもも楽しめるということをテーマに、僕たちも一致団結してやっているところです。実験があったりするのは「Dr.STONE」ならではだし、舞台ならではの手法で観ているお客さまもいっしょに楽しめたり、共感できたりします。僕たちも舞台上で実際に実験をやるので、一体感を味わいながら楽しめるのもひとつの見どころかなと。

田村:うんうん、一体感ありますよね。

木津:そうやってみなさまもストーンワールドの住人になったような気持ちになれるのが、大きな見どころ……というかむしろ、体験どころ?(笑) 実験体験舞台みたいなところがあるので、五感で感じながら楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。

田村:実験は本当に面白いです。同じことを何度もやってるんですけど、それでも面白いんですよね。

木津:僕たち、稽古場で子どもみたいにはしゃいでますから。

――(一同笑)。

田村:そうなんですよ。老若男女問わず、絶対に心躍るはずだって、僕は思ってるんです。

木津:いや、絶対躍るよ。

田村:目の前で水蒸気爆発なんて起こった日にはやっぱり「おおぉ!」「うぇーい!」ってなるんですよ。どんな大人でも童心に戻れるし、子どもたちにとったら全てが輝いて見えて、驚きに満ちていると思うので。大人が子どもに戻れて、子どもが最高に楽しめるのがこの作品。再演では僕らもその驚く心の感度をより高めて、実験や科学をお客さまよりも楽しむぞくらいの気持ちで作りたいと思います。

課題となったのは「子どもも大人も楽しめる作品を届けること」

――先ほど触れられていたように、今作は子どもでも楽しめる作品となっていたり、実験コーナーがあったりと、これまで出演されてきた作品とは一風違ったところがありますが、お芝居の上で何か意識されたことなどはありますか?

田村:初演の時に演出の伊藤マサミさんが、子どもに分かりやすいようにという演出方法を取られたんですよ。その時に僕たちが思っていたのが、子どもにも分かるけど、大人にも楽しんでもらいたいし、観劇後、家に帰って「あぁ、面白かったな」ってあれこれ思い返してもらえるようにもしたいいうことで。子ども向けの演出表現であっても、僕たちの中の緻密なものや心の機微をできるだけ乗せられるように、分かりやすい中にも複雑さを織り込めるように努力したところはありましたね。

木津:そんなまた、素晴らしいことを……。

田村:いや、つばさくんも言ってましたよ! いっしょにめちゃめちゃ話したじゃん!(笑)

木津:あはは。そうだね。

田村:難しいですよね。大人が楽しめるお芝居にした場合、子どもがついて来られなくなるし。

木津:そうそうそう。

田村:でも、子どもにだけ向けたキッズ・ショーみたいになってしまうと、演劇としては面白みが薄れてしまうんじゃないかというところで、すごく苦戦しました。子どもと大人、どちらの年代の方が観ても楽しめる作品を届けるっていうのは、けっこうな課題でしたね。

木津:マサミさんが演出を担当してくださって、実験の監修には市岡元気先生という僕たちの心を躍らせてくれる素晴らしい大先生がいてくれて。そしてスタッフさん含めみんなで一丸となって全力で楽しめるというのはもちろん、その上でマサミさんがおっしゃった言葉があるんです。子どもだけでも、大人だけでもなく、みんなに楽しんでもらうことをテーマとした時に「子どもたちがお家に帰ってから理科の教科書を開いてくれたら嬉しいんだよね」って。それは大人でもそうだなって思ったし、「うわ、もっと勉強しとけばよかった」って思ってもらえたらそれはもう。

田村:勝ちですね。

木津:うん。その言葉は僕たちに与えられた種子のようなものでしたね。お芝居を作る上では、演技をしている僕たち俳優はもちろん、スタッフさんたちも、この作品をより多くのみなさまに届けようということを強く意識しながら作っていて。その大前提として、楽しむということを演劇で昇華できたらいいなと思いながらやっていました。

ほんわかかわいい、けれど熱さも抱いたカンパニー

――キャストのみなさんがほぼ再集結されるということで、今からまた顔を合わせられるのを楽しみにされているかと思いますが、どういった雰囲気のカンパニーなのか知りたいです。

木津:かわいい感じだよね、なんか(笑)。

田村:子役ちゃんがいるお陰で、すごくね。

――スイカ役の石田結彩さんと三浦あかりさんのお二人ですね。

木津:ただびっくりしたのが、僕、ドクステの初演後に、別の子役ちゃんが二人いる作品に出演したんですけど、やっぱり雰囲気が違うわって感じて。だから作品によるところもあるんだろうなと思います。

田村:あー、そうかも。僕も別の子役がいる舞台に出演した時、違うなって感じた。

木津:でしょ?

田村:スイカ役の結彩とあかりの二人がいると、なんというか……小学校みたいな雰囲気出ますよね?

木津:学校というか、授業感が出るよね。

田村:これはドクステだからこそなのかもしれないですけど。学校に送り迎えしてるお兄ちゃんみたいな気持ちになる(笑)。

木津:なるなる(笑)。

田村:というわけで、二人のお陰もあって、すごくほんわかしてます。

木津:ただ、二人もプロフェッショナルなので。言うこともしっかりしていて、役者……というか女優なんですよね。だからすごく、カンパニー自体は熱いものを持っていると感じます。仲がいいのはいいことなんですが、それだけではダメだと思うし、(熱さという)別の要素もちゃんと持ち合わせているからこそ、みんなでしっかり仲間になれるというか、一致団結できる感じがあります。ちなみに、マサミさんが一番子どもの心を持ってますね。

田村:確かにね。でもそれが大きいなって思う。

木津:一番はしゃいで「やってみようぜ」みたいなところあるよね。

田村:童心に帰れるメンバーが多いというか。大人になるとそういうのがちょっと恥ずかしくなったりしますけど、恥ずかしがらずに子どもになれる人が揃っているし、それを子どもたち二人が率先して引っ張ってくれているカンパニーかなって思います。

木津:いや、間違いないですね。

――そうやって楽しめる才能があった方が、実験コーナーもきっと盛り上がりますよね。

木津:そうなんですよね、ひとつひとつをみんなが楽しんでやってくれるから。

田村:みんな見に来るもんね。

木津:実験の稽古の時には「え、なになに。何か始まったぞ」ってみんなが集まってくるんですよ(笑)。

取材・文:古原孝子
Photo:梁瀬玉実

インタビュー後編はこちら

公演概要

「Dr.STONE」THE STAGE~SCIENCE WORLD~

【公演期間・劇場】
東京:2023 年 9 月 2 日(土)~9 月 10 日(日) 品川プリンスホテル ステラボール
兵庫:2023 年 9 月 15 日(金)~9 月 18 日(月・祝) AiiA 2.5 Theater Kobe

【原作】稲垣理一郎・Boichi 「Dr.STONE」(集英社 ジャンプ コミックス刊)

【脚本・作詞】浅井さやか(One on One)
【演出】伊藤マサミ(進戯団 夢命クラシックス)
【主題歌】40mP
【科学監修・指導】市岡元気(GENKI LABO)

【キャスト】
千空:木津つばさ

大木大樹:岩城直弥
小川 杠:西葉瑞希

コハク:永利優妃
クロム:田村升吾

金狼:長塚拓海
銀狼:田口 司
スイカ:石田結彩(W キャスト)
スイカ:三浦あかり(W キャスト)

あさぎりゲン:大隅勇太

獅子王 司:宇野結也

ドクタロー:石田 隼

サイエンスボーイズ&ガールズ:宮本親臣 阿比留大樹 渡邊彩乃 青山瑠里

【主催】ネルケプランニング

【チケット料金】大人 7,000 円 子供 3,500 円(全席指定/税込)
【チケット一般発売日】2023 年 7 月 29 日(土)10:00

【公演に関するお問い合わせ】
ネルケプランニング https://www.nelke.co.jp/about/contact1.php

【公式サイト】https://drstone-stage.com/
【公式Twitter】@DrSTONE_stage

Ⓒ米スタジオ・Boichi/集英社・ネルケプランニング

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