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加藤梨里香×水嶋凜インタビュー ミュージカル『シンデレラストーリー』「それぞれの役たちが舞台上で生きている姿を見せられる作品」(後編)

INTERVIEW

2022年9月6日(火)より、東京・日本青年館ホールにて舞台ミュージカル『シンデレラストーリー』が開幕しました。

2003年に、シンデレラ役・大塚千弘さん、王子役・井上芳雄さんのコンビで初演の幕が開いた本作。その2年後、浦井健治さんに王子役が引き継がれました。そして今回、一新されたキャストで、7年ぶりの上演が決定したのです。

主演のシンデレラ役には、舞台で活躍中の加藤梨里香さん、さらに今回が初舞台で大抜擢となった新人女優の水嶋凜さんがWキャストとして決定しました。王子役には大野拓朗さん、義母役には佐藤アツヒロさん、そのほか、入野自由さん、ゆいP(おかずクラブ)さん、まりゑさん、彩吹真央さん、吉野圭吾さん、アン ミカさんなど、バラエティに富んだ実力派俳優陣により本作に新たな魔法がかかります。

本作は「シンデレラ」を子供から大人まで楽しめるようにと鴻上尚史さんが書き下ろした作品。演出をウォーリー木下さんが務め、2003年、2005年の公演時同様に、音楽は武部聡志さん、作詞は斉藤由貴さんという強力タッグが担当しています。

ファンタジーとしての物語の大筋は変えることなく、また大人に向けては、魔法が解けたのにどうしてガラスの靴だけはそのままだったのか、なぜ家事ばかりしていたシンデレラが華麗なダンスを踊れたのか、などリアルに考えたら避けては通れない問題に回答していくのがミュージカル『シンデレラストーリー」です。

THEATER GIRLでは、Wキャストとして主演を務める加藤梨里香さん、水嶋凜さんにインタビューを敢行。後編では、現在感じている課題、楽曲の印象などを語っていただきました。本作『シンデレラストーリー』にちなんで、お二人が今までの人生の中でターニングポイントだと感じた瞬間についてもうかがってきたのでお楽しみに。

インタビュー前編はこちら

「曲が美しいからこそ、言葉をきちんと伝えなくてはいけないと思う」

――お稽古を通して、難しかったところ、課題として見えてきたところはありますか?

加藤:やっぱり歌とお芝居の繋ぎの部分が難しいと感じています。曲が美しいからこそ、言葉をきちんと伝えなくてはいけないと思うので、より最近自分に課題を課している部分ですかね。

歌を必然にする。いろんなところがクリアになってきたからこそ、見えてきた課題だと思っています。

水嶋:課題はたくさんあるのですが、最近感じているのが、人の台詞を食ってしまうといいますか。まだ相手の台詞の続きがあるのに、自分が「言わなきゃ、言わなきゃ」と焦って、どこか雰囲気に飲まれて、自分の台詞を慌てて言ってしまうという……。

あとはやっぱり、舞台で歌うことの難しさを実感しています。普段歌うときとは全く違って、舞台上だとちょっと萎縮しちゃうんです。今までだったら絶対に外さないようなところで、音程を外してしまうので、どこかで冷静になるきっかけを作って挑まないといけないなと思いますね。

歌詞から感じるメッセージ性は、「自分を信じる、諦めない」

――今回ミュージカル作品ということで、楽曲についてはどんな印象ですか?

加藤:率直な印象としては、キャッチーな曲が多いなと思います。歌詞も素敵なワードがたくさんあって。

水嶋:おしゃれなんですよね、曲の終わりとか、間奏に入る前とかが。

加藤:ミュージカルすぎないといいますか、ポップス寄りで皆さんにも歌ってもらえそうな馴染みやすい感じになっています。コロナ禍でなければ一緒に歌いたかったな、と思うくらい。それをまたバンドさんが演奏してくださるので、そこがまた今回の見どころの一つですね。

歌詞から感じるメッセージ性としては、「自分を信じる、諦めない」というのが強い印象です。

「将来、どうしよう」と考えたタイミングでのターニングポイント

――ここからは、ストーリーにちなんだお話をお伺いできればと思います。シンデレラの物語として、環境が大きく変化する主人公というイメージがありますが、お二人が人生の中でターニングポイントになった瞬間ってありますか?

加藤:私はこのお仕事を4歳から始めているのですが、大きく変わったなと思うのは、やっぱり『花より男子 The Musical』で牧野つくし役に選んでいただいたことと、最近だとミュージカル『レ・ミゼラブル』に出演させていただいたことが大きな出来事だったと思います。大きいターニングポイントで、これをきっかけにたくさんの方に出会ったり、たくさんの方に知っていただけたな、と。

ミュージカル『レ・ミゼラブル』のときは、ちょうどコロナ禍で緊急事態宣言が出た時期だったり、私も大学を卒業したときだったりで、「将来どうしよう」と自分の中で初めてこのお仕事を続けるかどうか迷っていた時期で……。

なんといいますか、「(このお仕事以外にも)いろんな選択肢もあるな」と考えたタイミングでもあったので、そこでミュージカル『レ・ミゼラブル』の出演決定の知らせを聞いて、「もうちょっと頑張ってみなよ」と言われたような気がして。その後、たくさんの作品とまた出会えるようになって、今回もそうですが、ひと踏ん張りしておいてよかったなと思いましたね。

『花より男子The Musical』のときも高校3年生だったので、自分自身の生活の変化とタイミングが合わさって、少しずつ道が広がっているな、と。

「そんなに真剣に悩むくらい強い気持ちが自分の中にあったんだ」

――水嶋さんは、いかがですか?

水嶋:私の大きいターニングポイントは、2年前くらいに「役者のお仕事をしたい」と思ったとき、ですかね? 実は目指すかどうか、半年間も迷ったんです。

身近な存在として母が同じお仕事をしているので、このお仕事ならではの大変さをなんとなく分かっていたといいますか。自分が実際にその場に置かれたとき、きちんとできるのかな、って……。全く自信もなかったので、すごく悩んだ期間でもあって。

それでもやってみたい気持ちが、自分の中に強くあったことに気付けた時期でした。今まではこんなに心底悩むことがなかったので、そんなに真剣に悩むくらい強い気持ちが自分の中にあったんだというのを知れたのもとても嬉しかったな、と。

――半年間も悩まれたのですね。

水嶋:元々大学で映像の勉強をしていて、モノ作りが好きだったので、制作側でやっていきたいと思っていたんです。でも、自分自身の体で表現するのも面白そうだなと感じた瞬間が、どこかであったみたいで、それが蓄積されて、「ある日、やってみたい!」という気持ちにふつふつと変わったのかな、と。

ちょうどそのとき、映画『記憶にございません!』の舞台挨拶を観に行って、舞台上にいる方々を目の前にしたら、同じ人間とは思えないオーラを持っていらっしゃったんですよ。「この人たちが、役者なんだ……」みたいな。それに圧倒されてしまって、そこからさらに挑戦したい気持ちが増しましたね。

「キャラクターの心情を体感しやすい」のが、ミュージカルの魅力

――お二人にとって、ミュージカルの魅力とは何だと思いますか?

加藤:私自身、ミュージカルを観るのも好きなので、やっぱり音楽の力はとてつもないパワーを持っているなと感じます。音楽があるからこそ、登場人物の気持ちの振れ幅が大きくなると思っていて、観ている側の心も揺り動かしてくれる。そんなパワーがあるのがミュージカルなのかな、と。一気に非現実的な世界に連れていってくれるのも魅力だと思います。

――観るのもお好きということで、加藤さんがお好きなミュージカル作品を教えていただけたりしますか?

加藤:少し前の作品になるんですけれど、『アリス・イン・ワンダーランド』ですかね。視覚的にもビビッドな作品で、もちろん耳でも楽しめる作品だったので、すごく惹かれまして大好きです。

――水嶋さんはいかがですか?

水嶋:ミュージカルの魅力は、やっぱり歌だなと思います。自分でやると大変さが一番前に出てきてしまって、その楽しさを忘れてしまう瞬間があるくらい追い込まれてしまうのですが、客観的に……それこそ梨里香さんを見ていると「ミュージカルってやっぱり楽しいものなんだよな」と思い出させられます。

歌があるから、キャラクターの心情を体感しやすいですし、作品の雰囲気に入り込みやすいと思うんですよね。今回でいえば、シンデレラは1人で歌っている場面が多いんですけれど、他の人たちは大人数で歌うシーンがあるので、楽しそうでちょっと羨ましいです(笑)。

「底抜けに明るい作品」、成長した状態でお客さまと一緒に楽しみたい

――最後に、本作を楽しみにしている方々へメッセージをいただけますでしょうか。

加藤:こんなにハッピーで平和な作品は他にないのではないかなと思うくらい、とても幸せで、出てくる人みんなが生き生きとしている作品なので、ぜひこのパワーを劇場で皆さんに体感していただきたいなと思います。現実世界では大変なこともあると思いますが、劇場にいる間だけは全部忘れて、一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。

水嶋:私自身、今回が初めての舞台出演ではありますが、それでも底抜けに明るい作品なのが分かるくらい、とってもパワフルな舞台だと思うので、私も成長した状態で、皆さんと一緒に楽しみたいです。

梨里香さんのシンデレラと、私のシンデレラ、全く違う雰囲気になっていると思うので、その違いもぜひ楽しんでください。

取材・文:矢内あや

インタビュー前編はこちら

公演概要

ミュージカル『シンデレラストーリー』

作:鴻上尚史
音楽:武部聡志
作詞:斉藤由貴
演出:ウォーリー木下

出演:
シンデレラ 加藤梨里香/水嶋凜(Wキャスト)
王子・チャールズ 大野拓朗  
義母・ベラドンナ 佐藤アツヒロ 
廷臣・ピエール 入野自由
義姉・オードリー ゆいP(おかずクラブ)
義妹・ジェシカ まりゑ 
ミスターマウチュ 川原一馬 

チュウ太郎 和田泰右
チュウ1 Homer
チュウ2 夏目卓実
安福 毅 棚橋麗音 神里優希 中野太一
花陽みく 吉田 繭 田之上もも
大澤えりな 小倉優佳 森本さくら
王妃・ガードルート 彩吹真央
王様 吉野圭吾 
魔法使い アン ミカ

<東京公演>
日本青年館ホール
2022年9月6日(火)~19日(月・祝)

<愛知公演>
東海市芸術劇場 大ホール
2022年9月24日(土)~25日(日)

<福岡公演>
キャナルシティ劇場
2022年10月1日(土)~2日(日)

<大阪公演>
梅田芸術劇場 メインホール
2022年10月7日(金)~10日(月・祝)

企画・製作:サンライズプロモーション東京/パルコ

公式サイト:https://www.cinderellastory2022.com

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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