加藤梨里香×水嶋凜インタビュー　ミュージカル『シンデレラストーリー』「それぞれの役たちが舞台上で生きている姿を見せられる作品」（前編）

2022.09.10

INTERVIEW

2022年9月6日(火)より、東京・日本青年館ホールにて舞台ミュージカル『シンデレラストーリー』が開幕しました。

2003年に、シンデレラ役・大塚千弘さん、王子役・井上芳雄さんのコンビで初演の幕が開いた本作。その2年後、浦井健治さんに王子役が引き継がれました。そして今回、一新されたキャストで、7年ぶりの上演が決定したのです。

主演のシンデレラ役には、舞台で活躍中の加藤梨里香さん、さらに今回が初舞台で大抜擢となった新人女優の水嶋凜さんがWキャストとして決定しました。王子役には大野拓朗さん、義母役には佐藤アツヒロさん、そのほか、入野自由さん、ゆいP（おかずクラブ）さん、まりゑさん、彩吹真央さん、吉野圭吾さん、アンミカさんなど、バラエティに富んだ実力派俳優陣により本作に新たな魔法がかかります。

本作は「シンデレラ」を子供から大人まで楽しめるようにと鴻上尚史さんが書き下ろした作品。演出をウォーリー木下さんが務め、2003年、2005年の公演時同様に、音楽は武部聡志さん、作詞は斉藤由貴さんという強力タッグが担当しています。

ファンタジーとしての物語の大筋は変えることなく、また大人に向けては、魔法が解けたのにどうしてガラスの靴だけはそのままだったのか、なぜ家事ばかりしていたシンデレラが華麗なダンスを踊れたのか、などリアルに考えたら避けては通れない問題に回答していくのがミュージカル『シンデレラストーリー」です。

THEATER GIRLでは、Wキャストとして主演を務める加藤梨里香さん、水嶋凜さんにインタビューを敢行。前編では、出演が決まったときの気持ち、共演者の印象などを語っていただきました。

インタビュー後編はこちら

小さい頃から見ていた作品、決まったときは不思議な気持ちだった

――本作への出演が決まったときは、どんな気持ちでしたか？

加藤：決まったときは、よく知られているシンデレラ像と、自分が結び付かなすぎてびっくりしましたが、スタッフの皆さんが『花より男子』のときにお世話になった方だったので、また今回お声を掛けていただけたのがとても嬉しかったです。

水嶋：この作品のDVDが家にあって、小さいときから見ていたので、映像の中にいたシンデレラを自分がやるというのが最初はすごく不思議な気持ちでしたね。ミュージカルの経験もなかったので、とにかくもう実感が湧かなかったです。でも、やっぱり小さい頃から親しんでいた作品というのもあって、嬉しさといいますか、ドキドキワクワクする感覚がありましたね。

それぞれの個性が活かされたシンデレラになっているはず

――今回Wキャストでシンデレラ役を演じられますが、お互いの印象はいかがですか？

加藤：本当に全く違うシンデレラになっていて、そこがすごく面白いと思います。私と凜ちゃんのそれぞれ持っている個性が活かされているな、と。

あと、凜ちゃんの声質って、私には絶対に真似できないんですよ。生まれ持っている声がとても素敵で、この作品の曲ともマッチしていると思います。

――どんな声質なのですか？

加藤：凜ちゃんは、息遣いが素敵なんです。彼女のキャラクターも相まって、声に優しさと温かさが滲み出ている感じがします。

水嶋：いやいや、そんなこと言っていただけて、非常に嬉しい限りです……。逆に、私は梨里香さんの持っている、鋭くてはっきりとした声がとても羨ましくて。聴いている方の心に届く声なんですよ。長年積み上げてきたからこそ、絶対に揺るがないものという感じがしますし、とにかく何でもすぐできちゃう。

本当に、かっこよくて尊敬できる方です。私が稽古中に分からなくなってしまって、梨里香さんの方をちらっと見ると優しく教えてくれるんですよ。一緒にいると、心強くて。いつも助けてくださるので、とてもありがたいです。

――Wキャストということで、お稽古はお互いの演技を見ながら進んでいく感じなんですかね？

加藤：Wキャストは客観的に自分の役を見られるので、自分1人でやっているときは気付かないこと、例えば「この台詞に反応できるんだ」みたいなところも気付けるので、そこがやっぱり面白いなと思います。

水嶋： 1人だったら多分、このスピードで成長はできていなかったと思いますね。Wキャストは稽古時間が半分になってしまうので、スピード感的には大変ではありますが、お手本となる存在がいてくださるので、自分と見比べて「私はこれができていなかったんだ」と分かりやすくて。初めての舞台がWキャストでよかったなと思っています。

本番を目前にして「周りの方たちをがっかりさせたくない」

――水嶋さん今回が初舞台で初主演ということで、もちろん緊張もあるかと思いますが、本番を目前に控えて、率直に今のお気持ちはいかがですか？

水嶋：日に日に呼吸が浅くなっていく感覚ですね（笑）。

でも、周りの方がすごく助けてくださるんですよね。だから、その周りの方たちをがっかりさせたくない気持ちが今はとても強いです。いろんな助言をくださった方たちに迷惑をかけたくないし、いいものをちゃんとお見せしたいし、梨里香さんももちろんなのですが、本当に皆さん優しいので、しっかりとやってうまく恩返したいなという気持ちが日に日に強くなっています。