大貫勇輔×小野田龍之介×木村達成インタビュー　ミュージカル『マチルダ』「絶対に面白いミュージカルになる確信があります」（後編）

2023.03.20

INTERVIEW

2023年3月22日（水）より、東京・東急シアターオーブを皮切りにミュージカル『マチルダ』が上演されます。本作は英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが2010年に製作した大ヒットミュージカル。

英演劇賞ローレンス・オリヴィエ賞において、ミュージカルとしては過去最多の7部門を受賞。さらに米演劇賞のトニー賞では5部門を受賞するなど、100もの国際的な演劇賞に輝きました。そんな全世界で愛される人気作が、豪華キャストにより日本で初上演されます。

厳しいオーディションにより選ばれたキャストは、主人公のマチルダ役に嘉村咲良さん・熊野みのりさん・寺田美蘭さん・三上野乃花さん。ミス・トランチブル役は近年、映像作品にも多数出演している大貫勇輔さん、ミュージカルを中心に活躍する小野田龍之介さん、確かな演技力が評価される木村達成さんがトリプルキャストで務めます。さらにミス・ハニー役には咲妃みゆさん・昆夏美さん、ミセス・ワームウッド役には霧矢大夢さん・大塚千弘さん、ミスター・ワームウッド役には田代万里生さん・斎藤司さんがいずれもWキャストで演じます。

THEATER GIRLは、ミス・トランチブル役の大貫勇輔さん、小野田龍之介さん、木村達成さんにインタビュー。後編では、それぞれ俳優として尊敬している部分や本作の上演時期にちなみ、「今年こそは卒業したいこと」ついて語っていただきました。

インタビュー前編はこちら

全く違う素養の三人だから、面白い

――本作は上演される3月は卒業シーズンですが、お三方が今年こそは卒業したい、辞めたいと思っていることはありますか？

小野田：ふざけたことを言うのを卒業したいです。でも、そうすると個性が死んじゃいますね（笑）。僕、子供の頃から夏休みの宿題を最後の一日にまとめて頑張ってやる方で。間に合わなかったらいいやぐらいの感覚だったんです。だからそういう風に、やらなきゃいけないことを溜め込んじゃうのを卒業したいですね。

木村：今も溜め込んでるんですか？

小野田：うん。セリフを覚えるのを溜めているもん。

大貫：嘘ですよ（笑）。だって小野田くん、稽古初日にセリフも歌も完璧にしていて。溜め込んでないですもん。

小野田：いやいや、1幕だけやったんです！　2幕からはセリフを入れないって決めてます（笑）。絶対にやらなきゃいけないことは、前の日にならないと開始できないタイプなんです。そういうところを卒業して、ちゃんと余裕を持っていきたいですね。

木村：僕はお誘いを断れないんですよ。それは相手が怖いからとかではなくて、明日のことを気にして断ったら、自分に負ける気がすると思ってしまうんですよね。

小野田：すごいね（笑）。

木村：もっと自分を大事にしようと思っているんですけど。どうしても誘いを断れずに行ってしまうんですよ。なので、「明日朝早いからごめんね」と言えるようになりたいですね。

大貫：僕は酔っぱらってくると、ネットで高いお酒を買っちゃうことをやめたいです。前に4万円もするお酒を買ったりしてしまって。家に届いてから「何これ！」と気付いたりします（苦笑）。

小野田：勢いね、それはわかる！

大貫：でも高いお酒って美味しいから、つい飲んじゃうんですよね（笑）。

――お三方が、お互いに尊敬する部分について聞かせていただけますでしょうか？

大貫：小野田くんは対応力や、歌の説得力がすごいです。僕が最初に小野田くんに出会ったのは、彼が18歳頃の時でした。ダンサー出身で、お芝居もやっている若手がいると聞いて。そして、また数年後に会ったら歌の人になっていたんです。元から歌が上手だったんだと思うんですけど、もうミュージカルスターだなと思いましたね。最初に出会ったときは可愛らしい青年って感じだったのに、20代半ばからすごく大人の雰囲気を出し始めていて。彼とは同じ小学校で後輩なんですけど、芸歴は大先輩なんです。そういう、不思議なバランスでやらせていただいています。

達成は誰よりもセリフが完璧に入っていて。この間も家で振り付けを練習した動画を「ダメ出ししてください」って送ってくれたんです。そういった真面目さ、勤勉さがすごいなと思います。二人とも、それぞれすごいですよね。

木村：やめたいことが加わりましたね。真面目なこと。

大貫：真面目なことは良いことだよ。

小野田：木村さんは今回初めてお会いしましたが、本当にきっちりされている人だなという印象ですね。しっかり準備されて稽古場に来て、ここでもらったものをまた構築するというのをとても丁寧にされる方です。そういった部分は、僕も見習いたいですね。

大貫さんは元々フィジカル的な部分を生かしたお仕事をずっとやってこられている方で。舞台に関してもミュージカル『メリー・ポピンズ』やミュージカル『キャバレー』など、自分に近い役からキャリアを積み重ねてこられていて。そんな中で本作のミス・トランチブルというような、全くご自身がやってこられなかった役に飛び込んでいく様が、本当に大胆な方だなと思います。

これまでに何作か共演させていただいていますが、与えられた役の中で、ご自分のエッセンスを加えるのが非常に上手な方だと感じますね。僕はクリエイティブスタッフがおっしゃっていた原作の挿絵の中で、テーマを持って稽古をやっています。

そして木村さんは、非常に厳格な言葉遣いや立ち振る舞いのミス・トランチブルに見えていて、とても魅力的ですね。大貫さんは、立ち姿や動きとか、そういったもので威圧感を作っていらっしゃいますし、お二人の持ち前の素敵なところがミス・トランチブルに組み込まれていて、すごいなと感じます。

木村：全く違う素養、感覚の三人なので本当に面白いです。尊敬し合いながら、楽しく三人で日々を過ごせることが幸せですね。大貫さんはミュージカル『ロミオ＆ジュリエット』で共演させていただいた時も思いましたが、手が大きいので、ミス・トランチブルの怖い動きがとてもよく表現されていると感じて。僕も学ばせていただきたいと思いました。

そして、小野田さんより歌が上手い人は見たことがないというくらい、本当に毎回感動させられています。初日から歌が完璧でしたし、スピードもすごいんですよね。僕のことを褒めてくださいましたが、小野田さんもお家でしっかり練習されているんだろうなと思いました。さらに、今以上のものを求める探求心もあって、そういう所をすごく尊敬しますね。