鳥越裕貴×橋本祥平インタビュー舞台『文豪ストレイドッグス共喰い』「６年間の絆を想いに乗せて、悔いのない“戦い”を！」（後編）

2023.06.16

INTERVIEW

名だたる文豪の名前を懐いたキャラクターが “横浜 ” で繰り広げる異能力バトルアクション漫画「文豪ストレイドッグス」（原作：朝霧カフカ・漫画：春河３５／KADOKAWA「ヤングエース」連載）。

そのアニメを原作とした舞台の第一弾、『文豪ストレイドッグス』（以下：文ステ）は、2017年12月に開幕し、現在までに7作品を上演。2022年1月には舞台出演者が出演する実写映画「文豪ストレイドッグス BEAST」が公開され話題となりました。

2023年6月9日（金）よりCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて幕を開ける『文ステ』シリーズの最後を飾る舞台『文豪ストレイドッグス共喰い』が上演されます。

「武装探偵社」「ポートマフィア」「元組合（ギルド）」に加え、盗賊団「死の家の鼠」の頭目フョードル・Dら、豪華23キャラクターが登場し、ラストにふさわしい激しい異能力バトルを繰り広げます。

THEATER GIRLは、中島敦役の鳥越裕貴さんと芥川龍之介役の橋本祥平さんにインタビュー。後編では、今作での自身の課題や役を通じて変化したお二人の関係性、今作の見どころについて、たっぷり語ってもらいました。

インタビュー前編はこちら

演劇の力を信じて、23人が一丸となって挑む！

――さきほど鳥越さんは「６年間、中島敦役を演じてきても、まだまだ迷うことがある」とおっしゃっていましたが、今作でのご自身の課題は何ですか？

鳥越　今までもいろいろ足掻いてきたものがあったけど、中島敦として孤児院の院長のくだりを乗り越えて以降、その先の敦がいつもみたいに日和ってないというか（笑）。課題とはちょっと違うかもしれないけど、また新しい敦の“居心地”みたいなものを発見して、今それにちょっと自分が戸惑っている感じですかね？

――その戸惑いを、稽古でどのように自分の中で消化できるのかが、一番の課題ということでしょうか？

鳥越　そうですね。その答え合わせの意味もあって、久しぶりにまた最初からアニメを見返している最中です。

――橋本さんの課題はどうですか？

橋本　課題かぁ……う～ん。やっぱり今回で最後なので悔いなく出来たらなと思っているけど、果たして満足して終われるのかな？　なんかこの公演が終わっても実感が湧かなくて、「また次がある」と思い込んで、そこに向けてなんかやってしまうような気がするんですよ。だからまずは「今回で終わりなんだ」「芥川龍之介を演じることはないんだ」と自分の中に落とし込む作業が必要になるのかなと思います（苦笑）。

鳥越　あはは！　確かにな。

橋本　あと芥川としては、前までは敦と会ったら「殺す！」しか言わなかったけど（笑）、彼なりに敦に歩み寄って、少しずつ大人になっているんですよね。６年間一緒に歩んできた身として、その成長をちゃんと理解して精一杯芥川龍之介を演じたいと思います。

――お互いの役の関係性を通じて、鳥越さんと橋本さんの関係性も変わってきましたか？

鳥越　いや、変わらんよな？　少しずつ微妙な変化があるとは思うけど、根本はそんな変わってないような気はしているけど……どう？

橋本　え？　微妙な変化とは？

――そこ、ぜひ聞きたいです！

鳥越　まぁ、この作品以外にもお互い仕事でいろんな現場に行って、そこでの居方とかを学んだり、多少なりとも空気を読むようになって……。その後に久しぶりに会うと「無鉄砲に何かをするんじゃなく、ちょっと人目を気にするようになったな」みたいに感じることがふえたよね。お互いに視野が広まってきたのを感じる。

橋本　確かにそういうのはありますね（笑）。以前は周り関係なく自分たちの世界に入っていたけど、それがなくなってきたかも。でもそれは自覚してやっているわけではなく、無意識にそうできるようになってきたことかもしれないですね。そういえば今回の『共喰い』で久しぶりに会うキャストが多いんですけど、君さん（フランシス・F役の君沢ユウキ）に「祥平、なんか今日元気ないよ？」って言われたんですよ。君さんの中では、昔のキャッキャした僕の記憶で止まっているみたいで「いやいや、全然そんなことないです。元気です」って答えたんですけど……。

鳥越　僕、全く同じことを宗兵さん（福沢諭吉役の和泉宗兵）に言われたわ！　「今日どうした？　疲れてるのか？」って。まぁ日々疲れてはいますけどねっ！

橋本　僕ら前と変わらずやっているつもりですけど、久しぶりの共演者の目には落ち着いたように映っているんでしょうね。

鳥越　まぁ年取ったってことやろな～（苦笑）。

――最後に、ネタバレにならない程度で今作の見どころを教えていただきたいです。

橋本　チラシのこのビジュアルが物語っていると思います。この外套を敦が……舞台で着るのか着ないのかは、まぁお楽しみにっていうところですけど。

鳥越　えぇっ!?　撮影で着といて舞台では着ないってある？　嘘やん！　そりゃお客さんも「おーい！」ってなるわ（笑）。

橋本　あはは！　まぁ『三社鼎立』（2019年上演、第三弾）の時も芥川と敦の共闘はありましたが、今回はまたちょっと心が近くなった二人の共闘なので、僕個人としてもそのシーンは今から楽しみです！　あとクライマックスの戦闘シーンがすごく見ごたえのあるものになっているので、そこはぜひ注目してほしいところですね。

鳥越　前作に比べたら今作はみんながバトルをしています。「え？　こことここが？」みたいな組み合わせが、あったりなかったりみたいなのがあったりして……（笑）。

橋本　あるのかないのか、どっちなの（笑）。

鳥越　観劇後に原作を見返して「なんでこことここが？」とか考えてみるのも、また違った楽しみ方になるんじゃないかと思いますよ。