• HOME
  • topic
  • INTERVIEW
  • 一色洋平インタビュー『くるみ割り人形外伝』「夏の思い出に、楽しい仕掛け満載の音楽劇を家族でお楽しみください」(後編)

一色洋平インタビュー『くるみ割り人形外伝』「夏の思い出に、楽しい仕掛け満載の音楽劇を家族でお楽しみください」(後編)

INTERVIEW

2023年8月5日よりKAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>で開幕する音楽劇『くるみ割り人形外伝』。

内気な少女が、大好きなうさぎの人形とともにくり広げる一夜の大冒険を描く本作は、芝居にバレエ、踊り、歌、生演奏の音楽など、演劇の魅力がギュッと詰め込まれたものとなっています。作・演出は演出家、脚本家としてマルチに活動する根本宗子さん。音楽と演奏はチャラン・ポ・ランタンの小春さんが担当します。

THEATER GIRLは、“演劇の案内人”役を務める一色洋平さんにインタビュー。後編ではご自身の少年時代の夏休みの思い出や本作への意気込みをお聞きしました。

インタビュー前編はこちら

――公演は8月5日から開幕。一色さんのお誕生日(8月6日)の前日から舞台の幕が開くんですね。

公演中に誕生日を迎えるのは初めての経験なので、その日はテンションが上がって陽気にお芝居しちゃったらどうしようって心配(笑)。大勢の人の前で誕生日に大好きな舞台に立てる幸せを噛みしめながら、自分の役割を全うしたいと思っています。

――今回はキッズプログラムなので、普段一色さんが出演されている舞台を観に来る方々とは少し客層が変わるのかと思うのですが、その点はどうですか?

キッズプログラムは別の作品で4年くらい前に出演させていただいたことがあるんですけど、(※東アジア文化都市2019豊島 舞台芸術部門スペシャル事業 子どもに見せたい舞台 vol.13 おどる韓国むかしばなし『春春〜ボムボム〜』/あうるすぽっと)その時に「子供は正直だな」と思いましたね。舞台に対してちょっと前のめりになって夢中になって観てくれている子がいれば、深ぁ~く椅子に腰かけている子もいて……。でも「つまんないのかな?」と思って顔を見ると集中していてすごく真剣なんです。「大人じゃないと伝わらないかな?」というような表現にもちゃんと反応してくれるし、キッズプログラムといえど子ども扱いするような要素は特に必要ないんだなって思いましたね。

今回の『くるみ割り人形外伝』でも「子供にも分かるように」みたいなことを気にかけて稽古するようなことは正直あまりなくて、ただただ演劇の楽しさを伝えたい、夏休みの素敵な思い出作りのお手伝いが出来ればという気持ちでお届けできればと思っています。

――話は脱線しますが、一色さんの子供のころの夏休みの思い出もぜひ聞きたいです。

僕の実家は山の上だったので、コンビニにアイスを買いに行っても帰宅する間に溶けちゃうから「ただいま!」って玄関を開ける頃には全部食べ終わっていたり(苦笑)。あと周囲が森だったので友達と秘密基地を作ったり、カマを手に道なき道を草刈りしながら進んで行ったら友達の家の庭に出ちゃって「お前ん家から直接秘密基地に行けるから良かったな」って笑いあったり(笑)。日中は外を走り回って、夕方家に帰ると頭の中には草や砂がいっぱいな、わんぱく少年でした。

――幼少期から演劇に触れる機会もあったと思うのですが、そちらの方の思い出は?

父が脚本家だったこともあり、10歳に満たない頃からお芝居を観る機会には恵まれていましたね。一番最初に観た舞台は、父が地球ゴージャスに書き下ろした『紙のドレスを燃やす夜 〜香港大夜総会〜』(1997年)という作品。シアターコクーンで観たのですが、それまでテレビから流れてくる音ぐらいしか知らなかったのに、耳からだけじゃない全身を震わす音に包まれてビックリしたし、大勢の人が同じタイミング笑ってる光景は衝撃的でした。その後、父に連れられて楽屋に挨拶に行ってお会いした岸谷さんの優しいお顔や、照明ブースに上がらせてもらって網状の床から下を覗き込んだ景色とかは今も鮮明に覚えていますね。

通っていた小学校にもレクリエーションの一環で劇団が来てくれたこともありました。ストーリーはあまり覚えてないけど(苦笑)、スタントマンが体育館の天井付近から下に敷いたマットにボーンって落ちるシーンは強烈に覚えています。今回の『くるみ割り人形外伝』も視覚的記憶に残るシーンが冒頭からたくさん出てくるので、子供たちの記憶に残る作品になったらいいですね。

――一色さんと言えばアクションが得意な印象がありますが、今回そんなシーンも見られるのでしょうか?

そうですね。終盤のどこかで蹴りとか入れてみたいかな(笑)。まぁそれは冗談だけど、アクションはなくても僕が目指している「身体で語る」表現には本作でも挑戦していきたいと思っています。共演者の方々は身体表現のプロがそろっていますからね。手を動かすだけで空間が変わるように、共演の皆さんが各々のシーンを素敵に彩ってくださるので、皆さんとのバランスを大切に、演出の根本さんとも相談しながら、いい塩梅で自分の信じる表現を入れていけたらいいなと思います。

――最後に公演を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。

本作は横浜からスタートし、豊橋公演、松本公演、北九州公演と巡ります。劇場によってサイズ感も変わってくるので、いろんな『くるみ割り人形外伝』の世界を見せられると思うので、その辺も楽しみにしていただきたいですね。僕はこの台本を読んで3ページ目くらいで「あー、宗子さん、やったな!」って爆笑したんですけど、そんな楽しい“仕掛け”が随所にちりばめられています。

目で見て楽しいし、耳で聞いて楽しいし、物語の内容も子供にとってはすごく共感性があるかもしれないし、主人公のクララと自分を重ねて「自分のことかも」と思う子もたくさんいるかもしれない。大人には「自分も子供の頃、こういうことあったな」ってちょっと切なくなるかもしれないし、お子さんを持つ親の立場で観たらラストのクララの成長は胸にグッと来るものがあるかも……。自分の名字にかけるわけじゃないですけど(苦笑)、“一色”には染まらないカラフルな作品です。夏休みのいい思い出になること間違いない作品と、自信を持って推させていただきます!

取材・文:近藤明子
Photo:MANAMI

インタビュー前編はこちら

公演概要

KAATキッズ・プログラム2023『くるみ割り人形外伝』

2023 年 8 月 5 日(土)~13 日(日)
KAAT神奈川芸術劇場 <大スタジオ>

作・演出:根本宗子

音楽・演奏:小春(チャラン・ポ・ランタン)

出演:大橋凜乃 / 澤田杏菜(Wキャスト)
中村鶴松、一色洋平、もも(チャラン・ポ・ランタン)、山之口理香子

公式サイト:https://www.kaat.jp/d/kurumi

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

プロフィール

PICK UP

関連記事一覧