鳥越裕貴×橋本祥平インタビュー 舞台『文豪ストレイドッグス 共喰い』「6年間の絆を想いに乗せて、悔いのない“戦い”を!」(前編)
名だたる文豪の名前を懐いたキャラクターが “横浜 ” で繰り広げる異能力バトルアクション漫画「文豪ストレイドッグス」(原作:朝霧カフカ・漫画:春河35/KADOKAWA「ヤングエース」連載)。
そのアニメを原作とした舞台の第一弾、『文豪ストレイドッグス』(以下:文ステ)は、2017年12月に開幕し、現在までに7作品を上演。2022年1月には舞台出演者が出演する実写映画「文豪ストレイドッグス BEAST」が公開され話題となりました。
2023年6月9日(金)よりCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて幕を開ける『文ステ』シリーズの最後を飾る舞台『文豪ストレイドッグス 共喰い』が上演されます。
「武装探偵社」「ポートマフィア」「元組合(ギルド)」に加え、盗賊団「死の家の鼠」の頭目フョードル・Dら、豪華23キャラクターが登場し、ラストにふさわしい激しい異能力バトルを繰り広げます。
THEATER GIRLは、中島 敦役の鳥越裕貴さんと芥川龍之介役の橋本祥平さんにインタビュー。前編では、6年間の『文ステ』の思い出と役への想い、最新作の稽古場での様子や今作への期待が高まるエピソードをたっぷり語ってもらいました。
6年前はキラキラ&キャッキャしてました
――舞台『文豪ストレイドッグス』(以下、文ステ)がいよいよ終劇を迎えます。新作の舞台が観られるのは楽しみですが、これが最後だと思うと寂しくもあります。
鳥越 『文ステ』が終わってしまうのは僕らも寂しいけど、それ以上に「ここでひとつの区切りを迎える」という達成感のような気持ちも大きいです。
橋本 なんだかんだ初演からもう6年が経っているんですよね。よくぞこのキャストでここまで続けてこられたなと改めて思います。
――『文ステ』に関わって来た6年間を振り返って、ご自身の中の気持ちや芝居への向き合い方の変化などを実感することはありますか?
鳥越 どの作品もそうですけど、同じ役を長年演じられることって滅多にないですからね。毎回その時にしかできないことを全力でやって、役とリンクしながら自分自身も成長できているなというのは感じます。僕自身、6年間「中島 敦」役を演じてきましたが、まだまだ迷うこともあり……でもそれが芝居の面白さ・奥深さであり楽しみだと思うんですよね。
橋本 6年前の僕は役者としてまだまだ駆け出しで「頑張ります!」みたいな感じでキラキラしていた時期で……もちろん今もキラキラしているつもりではあるんですけど。
鳥越 えぇっ!? キラキラしてるかぁ?
橋本 あはは! 僕は『文豪ストレイドッグス』という作品に出会えて、芥川龍之介を演じて、ある種の爆発力みたいなものを役から教えてもらったというか……。まぁそこに至るまでに結構分厚い壁がいくつもあって、それを越えていく作業がけっこう大変だった記憶があります。あと「誰と芝居をやるか」もめちゃめちゃ重要で、役者として様々なことを吸収する大切な時期に、このキャストとお芝居をやれたことは、今の自分を作ってくれた大切な財産になったと思っています。
鳥越 確かに6年前の祥平はキラキラしてたよな。キラキラっていうかキャッキャ♪って感じだったかも(笑)。
橋本 僕も今年で30歳になりますし、後輩もできて稽古場でもちょっとおとなしくしている時間が多くなったけど、『文ステ』の稽古場に来ると相変わらずテンションが上がるんですよね。なんか時間が6年前のあのころで止まっているような感じ(笑)。
鳥越 地元の中学校に戻って来たみたいな独特な空気感があるよな?
橋本 あー、そうですね(笑)。初演からのキャストが多いっていうのも安心感があります。
――現在、稽古が始まって約2週間と伺っていますが、順調に進んでいますか?(取材時)
鳥越 『文ステ』あるあるで「すぐ通す」っていうのがあって、稽古場にキャストが全員揃う前に、とりあえず参加している人だけで一幕通すっていうのをやるんですよ。演出の中屋敷さんが早い段階で「1回全体像を観たい」っていうタイプの方なので、僕たちは毎日ヒーヒー言いながら必死でやってます(苦笑)。
橋本 役者仲間の間でけっこう噂が広がってませんか? 「『文ステ』すぐ通すんでしょ?」っていう噂が。
鳥越 あー、ほかの現場でよく聞かれるな。新しいキャストが入って来てペースの速さにビックリされるけど、もう僕らは「当たり前」みたいになって来てる。そうやって中屋敷さんに揉まれて来たおかげか、みんなセリフ覚えが早くなってる気がしますね。
――何より、中屋敷さんの要求に対応できる役者の方々のポテンシャルがすごいです。
鳥越 まぁね(ドヤ顔)! そんな感じで楽しくかつ真剣に稽古をしていますけど、ふとした瞬間に「これで最後かぁ」と、しみじみしてしまいます。
――初演から演出を担当されている中屋敷法仁さんも今までの想いも込めて作品に向き合われていることと思います。台本を読んで感じたことや、演出の中で伝わる想いなどはありますか?
橋本 原作は『共喰い』編が終わっても続いていますけど、舞台は今回で最後。ちゃんとひとつの作品として完結してくださっていて、そこに中屋敷さんの愛を感じましたね。ファンの皆さんは、全部原作に添わせて作るのが嬉しいと思っているかもしれないけど、原作をリスペクトしたうえで「こういう世界線もありだよね」って納得できる物語になっているので安心していただきたいです。
鳥越 舞台だけでなく、昨年は同じキャストで映画もやらせてもらいましたけど、色々な『文豪ストレイドッグス』の世界線がある中で、舞台『文豪ストレイドッグス』というひとつの世界の終わらせ方を、変に泣きに走る感じではなく、すっきりと終わらせているところが中屋敷さんらしくていいなと思いました。
――原作の朝霧カフカ先生からは終劇に向けて何かお言葉がありましたか?
鳥越 顔合わせの時に、カフカ先生のメッセージをコミックスの担当編集さんが代読してくださったんですけど、すごく信頼をしてくださっているのが感じられてうれしかったし気持ちが引き締まりました。「カフカ先生に信頼されたら、それは絶対に裏切れないだろ!」と、僕らのいいプレッシャーになっています! あと忘れられないのが、初演の時のパンフレットで「『文スト』は演劇に向いている」みたいなコメントを寄せてくださったこと。作品の中で本当に素敵な台詞を書かれる方だから、言葉のひとつひとつが僕らすごく力になったし、だからここまで頑張ってこれたのかなと思います。
――演劇に向いているとはいえ、原作ファンは「あのシーンはどう再現するの?」と最初はドキドキしたかと思います。
鳥越 「これ出来るの?」と思うようなシーンも、キャストが一丸となって“演劇の力”で乗り越えた時の快感や、劇場でお客さんの驚きを肌で感じた瞬間は「よっしゃ!」ってなります。
橋本 うん、そうだね。今回も皆さんがビックリするような演出がたくさんあるので、楽しみにしていてほしいですね。
取材・文:近藤明子
Photo:渡辺美知子
公演概要
舞台「文豪ストレイドッグス 共喰い」
原作:TV アニメ「文豪ストレイドッグス」
脚本・演出:中屋敷法仁
協力:朝霧カフカ・春河35
出演:
鳥越裕貴 田淵累生 輝馬 長江崚行 桑野晃輔 堀之内 仁 桑江咲菜
今村美歩 齋藤明里 和泉宗兵/
橋本祥平 植田圭輔 正木航平 夢月せら 根本正勝/君沢ユウキ 永田紗茅/
大石 樹 エリザベス・マリー/岸本勇太 香取直登 鹿野宗健/松田 岳
岡村 樹 山中啓伍 小林らら 美守 桃 よし乃
【大阪公演】
2023 年 6 月 9 日(金)~11 日(日)
COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホール
【東京公演】
2023 年 6 月 22 日(木)~7 月 2 日(日)
日本青年館ホール
【チケット情報】
チケット料金 全席指定 9,900 円(税込) ※未就学児入場不可
主催企画:東京公演/舞台「文豪ストレイドッグス 共喰い」製作委員会
大阪公演/サンライズプロモーション大阪
制作:バンダイナムコミュージックライブ/ゴーチ・ブラザーズ
公式サイト:http://bungo-stage.com/
公式Twitter:https://twitter.com/bungo_stage
©舞台「文豪ストレイドッグス 共喰い」製作委員会