福澤侑、廣野凌大、糸川耀士郎インタビュー　舞台「ナナシ-第七特別死因処理課-」「面白いものができるっていうのは胸を張って言える」（後編）

2023.10.26

INTERVIEW

DMM TV「2.5次元的世界」にて配信のオリジナルドラマ「ナナシ-第七特別死因処理課-」が遂に舞台化。2023年10月27日（金）より、天王洲銀河劇場にて上演されます。

ストーリーの舞台は中央死因管理局。ここに勤務する死神たちはこの世に存在する様々な死因を管理し、人間の人生最後のストーリーを考えながら、日々忙しく働いています。第一死因処理課のエースであるチョッキューは全ての死神の憧れ的存在でしたが、あることがきっかけで死神引退を考えるように。そんな彼の元に新部署立ち上げの話が舞い込みますが、それは特殊な死因を担当するポンコツ死神ばかりを集めた部署で……。

ドラマ版では、エリート死神がポンコツ死神たちが集まる第七特別死因処理課（通称“ナナシ”）に移動となり、日々葛藤しつつも成長していく姿が描かれましたが、今回の舞台版で描かれるのは第七特別死因処理課の結成当初の物語。

“ナナシ”メンバーとしては、ドラマ版より続投のチョッキュー役・立花裕大さん、デンデン役・田中涼星さん、レイト役・福澤侑さん、ツヨビ役・永田聖一朗さん、ハズイ役・高橋祐理さん、ブコツ役・相澤莉多さんが出演。新キャストとして、チョッキューと同期の死神・カンセイ執行官役に糸川耀士郎さん、口が悪く気性が荒い天使・ダラク監察官役に廣野凌大さん、ダラクの部下の新人天使・オザキ監察官補佐役に森下紫温さんが決定しました。

今回、THEATER GIRLのインタビューに登場いただいたのは、福澤侑さん、廣野凌大さん、糸川耀士郎さん。後編では、生きている実感ができる瞬間や、走馬灯に現れそうな思い出について語っていただきました。真面目さあり、おちゃらけありで交わされる、軽妙な空気感も見どころです。

インタビュー前編はこちら

生きていると実感できるのは、やはりあの瞬間

――ここからは、作品にちなんだ質問もさせてください。死神たちが取り扱うのは人の命の炎ですが、命の炎が一際輝くのは「生きてる！」と実感できる瞬間ではないかと思いまして。みなさんにとってそれはどんな時でしょうか？

糸川：舞台に立ってる時です。お客様の前に立ってる時。

廣野：マジかー。

糸川：もっと言えば、お客様のことを考えて、家で台本を読み込んでる時。その時の自分が、一番カッコいいって思います。

廣野：某ジャムおじさんも同じこと言ってたなぁ。みんなを思ってパンを作ってる時が楽しいって。

糸川：よく出てくるな、その流れが（笑）。やっぱり、そういう心を持った人がプロなんですよ。

福澤：確かに、あれは誰が見てもプロ。どんだけ作ってんのって話でしょ、アンパンをさ。

糸川：それに、あのおじさんのことを嫌いな人っていないじゃん。

福澤：確かに、聞いたことない。

廣野：じゃあ、現場のジャムおじでいい？

糸川：それはヤダ（笑）。だったらジャムがいい。

廣野：じゃあ、ジャム士郎って呼んでいい？　糸川ジャム士郎。

糸川：いいよ、ジャム士郎で。

福澤：ちなみに、どんなジャムが好きですか？

糸川：えー？　……みかんかな。

廣野：ヒャハハ。おもろい。

――福澤さんはいかがでしょう？　生きてるって実感できる時は。

福澤：朝起きた時ですね。

廣野：あー。寝たまま死ななかったなって？

福澤：そう。やっぱり、いつ死ぬかわかんないじゃないですか。だからよくある「毎日を後悔しないように生きる」って、本当にその通りだと思ってて。起きてる間には仕事があったり、プライベートの自分の時間があったりとかしますけど、目が覚めた時に「あぁ、今日も生きてんな」って実感しますね。

廣野：俺は脳汁が出る時ですね。いろいろと。パチンコ然り、スロット然り、あとはステージ然り。自分がやってきたことがカチッとハマった瞬間。脳から汁が止まらんです。

福澤：でもやっぱり、表舞台に立ってる人って全員そうじゃないですかね。

糸川：そうだね。

福澤：ステージに立って、お客さんやファンの方はもちろん、裏方の人たちも含めて、いろいろな人に「いいね」って言ってもらったり、拍手が起きたり。そういう時に全員「生きてるな」って思うだろうし、それが好きだからみんなやってると思うので。俺、頑張ってちょっとギャグ言おうかなって思ってましたけど、耀士郎くんの言ったことが正しいです。

いい話から爆笑の渦に！　三者三様の“走馬灯に現れそうな思い出”

――では、お次は走馬灯について。死の危険を感じたりした時に、人生のハイライトとも言えるようなシーンが次々と脳裏を過ぎることを「走馬灯を見る」と言ったりしますが。ご自身の走馬灯に現れそうな楽しかった思い出や、「あの時の自分は輝いていた」という記憶に残るエピソードがあったら聞かせてください。

福澤：まぁ、言っても仕事しかしてないんで。多分、走馬灯を見たとしても、その仲間や自分が大好きな人たちが過ぎると思うんですよね。

廣野：なるほど。仕事で関わって、好きになった人たちか。

福澤：うん。本当にそれしかできないから、今ここにいるんだけど。普通には生きていられないんで。

廣野：で、それが（走馬灯に）出てくる？

福澤：出てくると俺は思う。

――ということは、ご自分でもいいと思える仕事をやれてきている、ということかなって感じたりしますけど。

福澤：そうですね、本当に。これをとったら、もうおかしくなっちゃう。仕事なかったら、俺ヤバいもん。

廣野：確かにね。仕事なかったらマジヤバい。

糸川：ヤバいんだ（笑）。

福澤：あの、いっこだけいいっすか。（廣野さんに）アンタもね！！

――（一同爆笑）。

廣野：違うよ。

福澤：これ（役者の仕事）、やってるからいいけど！　やってなかったらヒドい。俺と一緒で。それだけ理解してもらっていい？（指先でテーブルをトントン叩きながら）

糸川：（大笑）。

廣野：俺は、高校の時にめっちゃモテたことですね。

福澤：村でね？

廣野：あははは！　村じゃねーわ、市だわ！（笑）

福澤：モテたんだ？

廣野：モテたモテた、バンドやってたし。その時がモテ期ピーク。1年2年の校舎の窓、『ウォーキング・デッド』みたいになってたもん。

糸川：うわー……。

福澤：みんな凌大のこと見てたの？

廣野：みんな見てた、ゾンビみたいに。

糸川：『ウォーキング・デッド』に例えるなよ、レディをよ。

廣野：だってもう本当、窓割る勢いだったもん。

福澤：『ウォーキング・デッド』のゾンビってさぁ、歩くからいいよね。『バイオハザード』になると、走るから。

廣野：そうなのよ！　怖いよね？

福澤：あれは無理。

糸川：あはは！　でも『ウォーキング・デッド』はイケるんだ。ていうかもう、ゾンビいいから！

――あの、同じ高校のレディたちが窓に張り付いていたというのは、廣野さんが外で何かをされていたんですか？

廣野：あぁ、俺がテラスで飯食ってたんです。

――それだけでギャラリーが！

廣野：はい。これが一番自分がモテた時の話ですね。

糸川：僕は学生時代にバスケをやってて。今でこそ、仕事が一番っていうマインドですけど、学生の頃はもうバスケ一筋でした。で、凌大じゃないですけど、バスケの試合に行けば他中学の女の子たちが……。

福澤：あら！

糸川：「○○中の△番、めっちゃカッコいい」って言ってくれたりみたいなこともありました。でも、結構ちゃんとやってたんですよ。元プロの方に教わっていたので、すごく真面目に取り組んでたし、中学のバスケ部が一番楽しかったですね。それが（走馬灯に）出てきそうかなって思います。

福澤：自分が死の間際になった時に、バスケ部時代の青春が出てくる。それくらい本気だったと。

糸川：そうそう。

――それくらい何かに打ち込んだ記憶があるっていいですよね。では最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

福澤：これを読まれたら分かるように、本当に和気藹々みんな仲の良い現場になると思います。演出も史也さんなんで、面白いものができるっていうのは胸を張って言えるので。あとはみなさんに劇場へ観に来ていただいて、一緒にその空間を作れたら良いなと思います。まずはとにかく、稽古が楽しみですね。仲がいいメンツなので、そのみんなで作る話なら熱量も絶対あると思いますし。どんなものになるのか、それをしっかりお客さまに届けられるように頑張るので、ぜひ楽しみにお待ちいただけたらと思います！

廣野：見ての通り、こうやって文になると意識して言葉を発してしまうと、お二人が優先的にふざけてしまってこう、なかなかまとまらないことが多いんですが。なぜか舞台上ではまとまるという、奇妙な関係なんですよ、僕たち。だから、仕事はちゃんとやるんだぞっていうのを、今のうちに保険をかけておいていいですか……？

――（笑)。

廣野：この記事を最後まで読んでくださった方、あざす！　そして、すみません。本番を観に来てくら、くだされば……。

福澤：今の、このまま書いてくださいね？　詰まった感じも。

廣野：くだされば！　みなさん、本当に心の中、Full fill！　あ、すみません、英語で言っちゃいました。満たされますんで。ぜひ、よろしくお願いします……！

糸川：まずは、僕や凌大はこの舞台版から出演させていただきますので、これまでの「ナナシ」のファンのみなさまには「このメンバーが加わってくれてよかったな」って思ってもらえるように絡みたいですし、これから「ナナシ」を観る方々には、最初も言いましたけど、僕らのオリジナルの作品なので、史也さんの演出や、僕らのお芝居の見せ方、関係性がそのまま舞台に反映されて、いい雰囲気が出るんじゃないかと思っています。そうやってどんどん大きな作品にしていけるよう頑張りたいと思いますので、ぜひ劇場に足を運んでもらえたら嬉しいです。