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門脇 麦インタビュー 舞台『ねじまき鳥クロニクル』「舞台に立つことは“至高の時間”」(前編)

INTERVIEW

2023年11月 7日(火)より東京芸術劇場プレイハウスにて、舞台『ねじまき鳥クロニクル』が上演されます。

本作は、世界的に評価される村上春樹の傑作長編『ねじまき鳥クロニクル』を、イスラエルの奇才インバル・ピント氏と気鋭のアミール・クリガー氏の演出、演劇界の俊英 藤田貴大氏の脚本で舞台化し、音楽を大友良英氏が手掛けた創造性豊かな意欲作。2020年の初演時に、公演期間の短縮を余儀なくされた伝説のステージが、ついに再演されます。

初演から引き続き、主人公の岡田トオル役は成河さんと渡辺大知さんが二人で一人の人間の多面性を演じ、村上ワールドにいざなう不思議な女子高生・笠原メイ役を門脇 麦さんが演じます。

圧倒的な悪として存在する綿谷ノボル役は、初演で衝撃的なダンスシーンを見せた大貫勇輔さんと、新たに、バレエダンサーとして世界的に活躍し現在は俳優としても多くの舞台に出演する首藤康之さんがダブルキャストで務め、トオルを不思議な世界へ導く加納マルタ・クレタ姉妹役は、昨年退団した宝塚歌劇団で娘役として歌・ダンス・芝居の技量が高く評価された音くり寿さんが新たに挑みます。 さらに初演でこの壮大な物語をクリエイターと共に創り上げた松岡広大さん、成田亜佑美さん、さとうこうじさん、吹越満さん、銀粉蝶さんが再演でも「演じる、歌う、踊る」で表現します。

THEATER GIRLは、笠原メイ役の門脇 麦さんにインタビュー。前編では、再演に臨む心境や役への取り組み方などについてお聞きしました。

「やっとまた動き出す」という気持ち

――初演の時は、稽古場でどのように作品を作られていたのでしょうか?

演出のインバル・ピントさんはイスラエルの方なんですが、お互いの言語の細かいニュアンスが分からない中で創作していく日々は、本当に形になるのだろうかと不安になるほど、試行錯誤が繰り返された稽古場でした。

やっぱりインバルの才能やセンスが一番発揮されるところってダンサーの方を交えて人数がいる空間を作っていくところなのですが、私は、渡辺大知くん演じるトオルと二人のシーンが多かったので逆に難しくて。でも、稽古場でその様子を見ているのが面白かったです。

日本語のセリフも分からないから、最初の方は「真ん中にメイでトオルはこっち、次はこっちに移動して重なってて」と。ふわっとした感じの演出だったので、このまま本番を迎えて大丈夫かなと思っていました(笑)。どちらかというとワークショップみたいな。言葉じゃないからこそ、ニュアンスや雰囲気を大切にしていたので、インバルも最後まで固めようとしていなかった気がします。

――再演が決まったときは、どんなお気持ちでしたか?

私、再演自体が初めてなんです。前回は途中で終わってしまったのでみんな本当に悔しい気持ちでしたし、今回こうやって再演ができて本当に幸せです。コロナ禍で中止になった舞台がたくさんある中、もう一度みんなで作ることができて、作品に関わった人全員が「やっとまた動き出す」という気持ちだと思います。

――再演については、どんなお気持ちで臨まれるのでしょうか?

前回は、本番だけではなく稽古も何もかも途中で終わってしまったので。特にインバルみたいな演出家だと完成することがないので、挑戦するのではなく、「ただ再開されるだけ」という感覚です。

また違うものになるかもしれないし、ならないかもしれない。初演のときですら、まだ完成されていなかったと思うんです。それもまた魅力だとは思うけど、もう一度始まる感覚ですね。

初演よりもテンポが良くなってスリムになった印象

――今回、初演ぶりにキャストの方々と再会されていかがでしたか?(取材は稽古開始前)

ポスター撮影の時に成河さんと渡辺さんとお会いしたのですが、お二人とも元気そうでした。さっき成河さんの言葉を借りちゃったんですけど(笑)、成河さんに「再演ってどんな気持ちで臨めばいいんですか?」って話をしたら、「フラットにもう一度始まるだけだよ」とおっしゃっていて。それをそのまま使っちゃいました(笑)。

成河さんは、たくさん再演を経験されているので、「毎回一時停止していたものがもう一度再生されるだけ」ということをおっしゃっていました。

――再演が初めてということですが、改めて意気込みのようなものはありますか?

今回初めて観に来てくださる方もいると思いますが、初演を観てくださった方もいると思うので、みんなでパワーアップしていかなければと思っています。台本もけっこう変わっていたので、それはとてもいい変化だと感じました。初演よりもテンポが良くなってスリムになった印象なので、より観やすくなっていると思います。

――今回、演じる笠原メイ役について、再演では役への取り組み方やアプローチ方法を変えたりもされるのでしょうか?

前回どんなふうにやったか全く思い出せないんです(笑)。台本を読んで、確かにこんなセリフを言っていたなと思うんですけど。なので、再演とは考えずに新たにやるくらいの気持ちで演じたいなと思います。逆に覚えていなくてよかったです(笑)。覚えていたら少し前回をなぞってしまいそうなので。

ただ、覚えていない形からやったとしても、結局前回と同じ形になるのではと。自分の中の正解はないんですけど、一番近いものの中でやっているので、結果、同じように見えると思います。

私、台本を読んだ時に、大体どんなテンションで喋るか決まってしまうんですよ。だから台本を読んで「前回こんな感じだったな」というのを思い出しました。

取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:梁瀬玉実
スタイリスト・高野智史 
ヘア&メイク・伏屋陽子(ESPER)

モヘアニットトップス\45,100 スカーフ\27,500(以上オーラリー03・6427・7141)
ブレスレット\53,900 左手につけたリング\32,400 右手につけたリング\35,200 (以上サピア△バハール/フィルグ△ショールーム03・5357・8771)

公演概要

舞台『ねじまき鳥クロニクル』

2023年11月7日(火)~11月26日(日)
東京芸術劇場プレイハウス

2023年12月1日(金)~3日(日)
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

2023年12月16日(土)・17日(日)
刈谷市総合文化センター大ホール

原作:村上春樹
演出・振付・美術:インバル・ピント
脚本・演出:アミール・クリガー
脚本・作詞:藤田貴大
音楽:大友良英

<演じる・歌う・踊る>
岡田トオル:成河/渡辺大知
笠原メイ:門脇 麦
綿谷ノボル:大貫勇輔/首藤康之(Wキャスト)
加納マルタ/クレタ:音 くり寿
赤坂シナモン:松岡広大
岡田クミコ:成田亜佑美
牛河:さとうこうじ
間宮:吹越 満
赤坂ナツメグ:銀粉蝶

<特に踊る>
加賀谷一肇
川合ロン
東海林靖志
鈴木美奈子
藤村港平
皆川まゆむ

渡辺はるか

(五十音順)

<演奏>
大友良英
イトケン
江川良子

チケット:
S席:平日10,800円/土日祝11,800円
サイドシート:共通8,500円
(全席指定・税込)

公式サイト:https://horipro-stage.jp/stage/nejimaki2023/

『ねじまき鳥クロニクル』レクチャー会:https://youtu.be/G7CT5n6WfH4

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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