内海啓貴×蒼木陣インタビュー 『CLUB SEVEN another placeⅡ』「あらゆるエンターテインメントが詰まった作品」(後編)
2025年10 月4日(土)より東京・有楽町よみうりホールを皮切りに、『CLUB SEVEN another placeⅡ』が上演されます。
本作は、ソング&ダンス・芝居・タップ・ミュージカル・スケッチ、舞台の醍醐味が全て詰った、究極のエンターテインメント・ショー。
初演以来、脚本・構成・演出・振付を 務める玉野和紀さんを筆頭に、吉野圭吾さん、東山義久さん、西村直人さんと初演から作品を支える“レジェンド”メンバーをはじめ、ミュージカル界をけん引する才能あふれるキャストたちが、常に全力で作品を盛り上げてきました。
CLUB SEVEN には欠かせない怒涛の五十音順ヒットメドレーや名物の無茶ぶりコーナーなど、ライブ感満載の本公演。今回は、多彩な芸で楽しませる原田優一さん、公演に不可欠の存在となりつつある北翔海莉さん、 その北翔さんと宝塚歌劇団在籍時代トップコンビとして相手役を務め息もぴったりな妃海風さんも出演。
また、ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』で好演した内海啓貴さんと、ミュージカル『SONG WRITERS』ベンジャミン・デナーロ役で存在感を見せた蒼木陣さんが初出演、フレッシュな顔ぶれが加わりました。
THEATER GIRLは、内海啓貴さんと蒼木陣さんにインタビュー。後編では、本作で楽しみなことや成長につながりそうだと感じること、お二人にとって「パフォーマンスすること」の意味など、様々なお話をうかがいました。
「こんな武器もあったんだ」と新しい発見をしたい
――今回の『CLUB SEVEN another placeⅡ』では、ダンスや芝居、タップ、ミュージカルスケッチ、さらには史上最長となる50音順メドレーも披露されます。特に楽しみにしていることや、取り組む中でご自身の成長につながりそうだと感じていることはありますか?
蒼木:タップですね。以前、地球ゴージャスさんの作品に出演した際に経験しましたが、まだまだ研鑽が必要です。だからこそ今回はとても楽しみですし、稽古を重ねる中で、どんどん好きになれたらいいなと思っています。
体から直接音が生まれる感覚って、本当に魅力的なんです。初めて体験した時、自分で音を奏でることの新鮮さに驚きました。ブレイクダンスや器械体操を通して身体表現をしてきましたが、そこにはなかった価値観で、とてもワクワクしています。

――内海さんはいかがでしょうか。
内海:全部が楽しみです(笑)。でも一番大きな理由は「自分のスキルを伸ばしたい」という思いで、この作品に参加を決めたので。その中で「自分にはこんな武器もあったんだ」と新しい発見をしたいですし、おそらく一つではなく、いくつも得られるんじゃないかと思っています。
何より玉野さんから「殻を破ってほしい」と言葉をいただいているので、その思いを素直に受け止めながら、自分のやりたいこともディスカッションして、いい作品にしていきたいです。

しっかり成長して恩返しをしたい
――これまでの出演作品の経験を、今回の舞台に生かしたいと感じる部分はありますか?
内海:僕は「直近の作品とは、絶対に離れたことをしたい」という思いが強くあるんです。舞台では、長ければ半年、短くても2か月ほど同じ役を演じ続けるので。だからこそ、次の作品では必ず違う顔を見せたいんです。もし『1789 -バスティーユの恋人たち-』を観てくださった方が、今回の僕を見て「あの時と同じ人?」と思ってくださったら最高だと思います。それくらい役柄から離れて、新しい自分をお見せしたいと思っています。
――役者としての挑戦心ですね。
蒼木:本当に素敵だと思います。僕は昨年、『SONG WRITERS』に出演させていただきました。2年連続で東宝作品に携われることが本当にありがたく、幸せに感じています。俳優としてこれからどうなっていくか模索している中で、このご縁をいただけたことはとても大きなことです。だからこそ、しっかり成長して恩返しをしたいですし、その挑戦する姿をお客様に楽しんでいただけたら何よりだと思っています。

――新しい蒼木さんの姿をお客様に見ていただけたらいいですね。
蒼木:はい。ぜひ見ていただきたいですね。
内海:なにより僕自身、久しぶりに再共演できることがすごく楽しみなんです。陣くんだけではなく、この年齢になってくると数年ぶりに同じ方と舞台で再会することも増えてきます。その時々でお互いの成長が見られるし、新しい化学反応が起こるんですよね。
今回、僕らにとって『CLUB SEVEN』は初めてですが、この経験が数年後にまたレジェンドの方々と別の作品でつながって、「あの時はこうだったね」と語り合えるきっかけになるかもしれません。俳優の仕事は続けていく大変さもありますが、その分、再会の喜びや積み重ねた経験が生きてくる。だからこそ、今回の挑戦も、これまで歩んできたことをしっかり生かせる場にしていきたいと思っています。

この世界は天職だと感じている
――本作はさまざまなパフォーマンスが詰まっていますが、お二人にとって「パフォーマンスすること」とはどのような意味を持ちますか?
蒼木:抽象的な言い方になりますが、僕にとってパフォーマンスは「表現」そのものだと思っています。歌でもダンスでも芝居でも、すべてが表現なので。人が表現できるのは、自分がこれまで見てきたものや、心が動いて引き出しに残っているものだけだと思っています。33年間の人生で経験していないことをそのまま舞台に出すことはできないと思うんです。だからこそ、舞台上ではその時の自分がありのままに出るのだと思います。
内海:僕のルーツをたどると、身近にスナックがあって、そこにはいつも歌がありました。何かあった時に歌ったり聴いたりすることで気持ちが発散できて、それがだんだんと自分の生きる糧になっていったんです。学校の成績も体育と音楽以外は良くなかったので(笑)、この世界は天職だと感じています。
だからこそ、エンタメの世界にいること自体が自分の支えになっていて、それが巡り巡ってお客様にも届く。自分が楽しいことを共有して、お客様が一緒に楽しんでくださる。そしてお互いが「明日も頑張ろう」と思える瞬間が本当に幸せで、この仕事を続けている理由でもあります。
玉野さんもよく「自分が楽しむことでお客様も楽しんでくれる」とおっしゃいますが、本当にその通りだと感じます。結局シンプルに、その気持ちに尽きるんです。稽古で辛いときがあっても、本番に立つとやっぱり楽しい。自分がやりたいことをやって、最後に拍手をいただける瞬間は、お客様と目には見えない思いがつながっているようで、僕はその時間が大好きなんです。だからこそ、この仕事を続けているのだと思います。

――最後に、本作を楽しみにしている皆様へメッセージをお願いします。
蒼木:今回の舞台は挑戦の連続になると思います。これまで経験してきたことも、まだ体験したことのないこともたくさん待っていて、稽古中にはきっと苦しい瞬間もあるはずです。でも、その中で先輩方やあっきーと一緒に笑い合える時間に救われることもあると思います。そうした心の拠りどころを経て本番を迎えられたらうれしいです。とにかく未来を見据えて、本番では先輩方と笑顔で舞台に立ち、その姿をお客様に楽しんでいただけるように、稽古の段階から全力で努力していきたいです。
内海:僕は昨年、観客として『CLUB SEVEN』を観劇したのですが、「こんな世界があるんだ」と本当に衝撃を受けました。出演者の皆さんが汗をかきながら一生懸命で、真っ直ぐで紳士的で、とにかく楽しそうで。3時間以上の公演なのに体感では1時間ほどに感じるほどテンポが良く、やりたいことをすべてやり尽くした最後のカーテンコールでは、思わず涙が出るほどでした。全力でふざける場面もあれば、胸を打つ瞬間もあり、本当にあらゆるエンターテインメントが詰まった作品だと思います。僕も全力で挑みますので、お客様の心に届くような、感動をお届けできる舞台にしたいです。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:髙橋 耀太
公演概要
『CLUB SEVEN another placeⅡ』
出演者:
玉野和紀 吉野圭吾 東山義久 西村直人 / 原田優一 内海啓貴 蒼木陣 / 北翔海莉 妃海風
2025年10月4日(土)~10月14日(火) 東京 有楽町よみうりホール
2025年10月24日(金)~10月25日(土) 大阪 サンケイホールブリーゼ
料金:13,000円(全席指定・税込)
