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岸谷五朗×寺脇康文インタビュー 『儚き光のラプソディ』「一人でも多くのお客様に地球ゴージャスに参加してほしい」(前編)

INTERVIEW

2024年4月28日(日)、明治座にて『儚き光のラプソディ』が開幕します。

本作は、岸谷五朗さんと寺脇康文さんにより結成された演劇ユニット「地球ゴージャス」の結成30周年を記念して上演される6年ぶりの新作。物語の舞台は“謎の白い部屋”。時空を超え、“逃げ出したい”という強い感情から集まってきた7人の男女たち。部屋のなかで繰り広げられる会話により、互いの関係が変化していきます。今回、風間俊介さんと保坂知寿さんを除く主要キャストが地球ゴージャス初参加となり、中川大志さん、鈴木福さん、三浦涼介さん、佐奈宏紀さんといった新鮮な顔ぶれが並びます。

今回、THEATER GIRLは、地球ゴージャスのお二人、毎公演、作・演出も手掛ける岸谷五朗さんと寺脇康文さんにインタビュー。前編では、本作の制作過程やキャストについて伺いました。

インタビュー後編はこちら

タイトルが地球ゴージャスの歴史の年表になっているんです

――今回、どういった思いから『儚き光のラプソディ』の制作に至ったのでしょうか。

岸谷:以前から、オリジナル作品を作るときには言っているのですが、タイトルが地球ゴージャスの歴史の年表になっているんです。結成25周年の際には、『星の大地に降る涙』を再演して。翌年には『The PROM』というブロードウェイ・ミュージカル作品に初めて挑戦して。2022年には、僕ら二人が出演しない『クラウディア』という作品の再演もありました。それらのタイトルを見ると、その年にどんなことを考えていたのかというのが、僕は台本を書いていることもあってわかるんです。

そういう意味では、6年ぶりの新作となる『儚き~』は、やはり世界の状況が大きいですね。ロシア、ウクライナ、ガザと、今まだどこかで子どもたちが泣いている、その命が失われているということは、台本を書いていてどうしても消えないんですね。どんなシーンを書いていても、頭のどこかにそのことがある。ということは、それが今書きたいもので、表現されるべきことだと思うんです。表現されるべきことというのは、自分で書きたくて書くのではなく、どうしても書かされてしまうという感覚なんです。

だから今回、作品のバックボーンにあるのは、今も続いている二つの大きな戦争ですね。といっても、本作が戦争の話というわけではないのですが、我々が今生きていること。自分たちのイデオロギーとかテーマとか、それがやっぱり一つの光であり希望であり、命も光であるわけですよね。命は貴重なものであるのに、今すごく儚いものになってしまっているという。本作の登場人物たちが抱えるその光みたいなもの……これは命=光ということではなく、その生き方も光だし、その人間の魅力も光だし。それがこんなに儚く消えていってしまっていいのかっていうことも自分のなかにあるんです。

まったく違う人生を生きてきた人たちが集められるというストーリーなんですが、それまでまったく違うメロディーを奏でていた人たちが合わさったときに、どういう音楽や化学反応が生まれるんだろうというところからこのタイトルにしました。演劇を創造するうえで、キャストが稽古場に集まったときにどうなるか、というのも僕にとってはラプソディなので。すごく楽しみです。

寺脇:五朗ちゃんの書く脚本は、その時代時代に僕らが感じてることが必ず入っているんです。これまでにも“戦争はよくないよ。やめようよ”という作品を作ってきているんですが、もちろん僕らの芝居によって戦争がなくなることはない。でも、それがよくないことなんだと思う人間を増やすことはできると思うんです。僕らの作品を見てくださった方がそう感じてくださって、自分の知り合いや家族にそういう話をして広がっていくこともあるだろうし。本当に微力ではありますが、そういう人を増やしたいという思いを持って芝居をしたいと思っています。

今、現状に慣れてきてしまっているというか。今は戦争のニュースが終わると、「では、スポーツのコーナーです」なんていうふうに続くこともある。本当は、戦争をまずやめさせることに全世界が集中するべきじゃないかと思いますが、そうもいかないので。僕らができること……好きな芝居をしながら、戦争はなくなるべきだという思いを少しでも持ってもらえたらと願っています。

セリフ劇をやりたいなというところからスタートを切ったかもしれません

――毎回、地球ゴージャスさんの公演には新たな驚きがありますが、今回の新たな試みや挑戦がありましたら教えてください。

岸谷:今まで上演した作品のなかで、一番セリフが多いかもしれません。それを前提にキャスティングもしましたし。

寺脇:うん、セリフの量は今までで一番多いと思う。

岸谷:あの広い明治座を、一瞬にしてまるで小劇場でセリフ劇をしているかのように見せていく。技術的にも演出的にも手腕が必要なことがたくさんありますが、それもやりたいことの一つなんです。今回は脚本を書き始めるときに、セリフ劇をやりたいなというところからスタートを切ったかもしれませんね。

あと、エンターテインメントという面では、アクロバット要素の多い内容になっているかな。見せ方として何がメインかといったら、アクロバティックさが一番前にきますかね。もちろんダンスもあります。あとは、作ってみないとわからないかな。本当に舞台は生き物なので。

――セリフ劇にしようという発想は、どういうところから?

岸谷:知らない者同士が突然よくわからない部屋にポンと放り込まれたときに、何を話すのかなって。20代から60代までと年代の差があり、価値観も違う人たちが何を発信していくかなというのを見てみたかったんですよね。

――岸谷さんが書かれた脚本をお読みになって、寺脇さんはどんな感想をお持ちになりましたか?

寺脇:今回ほど“えっ、これ、どうやってやるの!?”と思う箇所がいっぱいある台本は初めてでしたね。もう(脚本の)1ページ目から、それの連続で。読み終わった後、五朗ちゃんに「すごくおもしろかった。で、これはどうやってやるの?」と聞いたら、「ん? わからない」と返ってきました(笑)。まぁ、まずはイメージ先行なので、これから考えるのでしょうけど。でも、どうやるのか楽しみだね。

岸谷:うん、それがおもしろさの一つでもあるから。

寺脇:きっと、今までにない演出が入ってくるのではないかなと思いながら脚本を読んだのですが。例えば「人が空を飛んでいる」ってあるけど、これは単純にワイヤーで飛ぶとかってことでもないよな、とか。「空を飛んでいる人から見る風景」なんていうのも出てくるわけですよ。

岸谷:でも、今回は早めに進行していて、もう模型ができているんでね。

寺脇:おー! 

岸谷:ブレーンストーミングみたいなことがもうできているから。

寺脇:ブラッシュアップされているんだね。

岸谷:今回、脚本を書き上げるのが早かったんですよ。というのも、大河ドラマ(『光る君へ』)の撮影が控えていたりもしたので、自分でちょっと早めに上げておかないと怖いな、というのがあって。そうしたら、思った以上に早く上がりました(笑)。

寺脇:先生! さすがです。

“こっち側”の芝居をする彼も見てみたいなと思った

――中川大志さんはじめ、キャストのみなさんに期待していることをお聞かせください。

寺脇:(中川)大志は、僕が『おひさま』という朝ドラに出演したとき、僕の長男役の幼少期を演じていたんです。まだ小学6年生か中学1年生ぐらいだったと思うんですが、顔はもちろんカッコいいし、芝居に対する取り組み方も真摯だし、“この子はスターになるな”と思いました。その後、彼がもう少し大人になったときにまた共演したんですが、その真摯な態度が全然変わっていなくて。しかも、笑いが好きだというのがわかったんです。大志が急にコントを仕掛けてきたりするんですよ(笑)。だから、いつか舞台も一緒にやれたらいいなという話はしていたんですが、それが今回叶いました。

(風間)俊介はね、“10年に1回出る男”ということで。10年経ったので出ていただきます(笑)。俊介も(鈴木)福くんも、本当にお茶の間で好かれている人気者だけど、やっぱり人間がよくないとそうならないのでね。人のよさというのはもうわかっていたし。この年齢の役として、福くんもピッタリですし。まぁ、五朗ちゃんと飲むときは、「この人いいよ」とか「一緒にやってみたいね」とか、いつも話しています。

岸谷:今回は脚本とキャスティングがほぼ同時にスタートして、プロデューサーといろいろな話をしながら、だんだんとキャストを絞っていったんです。中川くんは、音楽劇『歌妖曲~中川大志之丞変化~』を観たときに、今、寺ちゃん(寺脇)の言った通り、舞台に対する気持ちが俺たちと同じ男だなと感じました。自分の役に対してまったくブレないところがとってもステキで。舞台に立つ彼を見ながら、“こっち側”の芝居をする彼も見てみたいなと思ったんです。それで今回、「地球ゴージャスのメンバーとやるのはどうですか」とオファーしました。

俊介は、ちょうど20年前に『クラウディア』という作品に出てもらったのですが、そのときのことを俊介はすごく感慨深く思ってくれているんですよ。次に出てもらった『クザリアーナの翼』では、いわゆる主人公を演じてもらって。30周年公演となる今回は、新たに集まってくれる福くんや三浦(涼介)くん、佐奈(宏紀)くんたちを芝居で引っ張ってくれるような。つまり、地球ゴージャスにおける我々の役目を担ってもらおうと思っています。彼は、それにふさわしい舞台経験を積んで帰ってきてくれたから。そう決めていたわけではないのですが、自然と脚本に反映されている感じがしますね。

三浦くんはこの間、ギリシャ劇で主演を立派に務め上げていたし。佐奈くんは2.5次元舞台において必要なアクションや歌が備わっていて、舞台上で光っているなと感じたので、今回お願いして。(保坂)知寿さんはね、僕らのなかでもう絶対的な信頼感がありますから。

寺脇:パーフェクトですよね。

岸谷:以前、『The PROM』というブロードウェイ・ミュージカルには出ていただいたことがあるんですが、オリジナル作品に出てくれるかなと不安だったんです。ゴージャスの芝居はかなり観てくれているので、僕らがどれだけくだらないことをやっているか知っているとはいえ(笑)。ですが、快く参加してくれました。

――本作は、歴史ある明治座と、開場したばかりのSkyシアターMBSで上演されます。

岸谷:地球ゴージャスを結成したときは、30年後を迎える頃には“もうやったことのない劇場はない”となるぐらいの勢いで、どんどん作品を発表していこうと意気込んでいたんです。実際は全然実現できていないですが、明治座さんは作品作りをしてみたいとずっと思っていた劇場なので、今回、それが叶うのがうれしいですね。SkyシアターMBSは今年出来た新劇場で、新しい劇場でやる楽しさもあります。

本当に不思議なんですが、人が通い慣れた劇場って、建物に声もアクティングも全部染み込んでいくような感覚があるんですよ。それが、新しい小屋だと跳ね返ってくるような……ヘタすると、自分たちのやっていることを拒絶されているような匂いがしたりだとか。逆に言うと、新しい劇場としては音にまだ慣れてなくてビックリしている感じがあるんです。そこで大きな音を出し、大きな声でセリフを吐くことで、その劇場がだんだんと生き物に変わっていく。今回は、一つの作品でそれを両方体感できるのが楽しみです。

取材・文:林桃

インタビュー後編はこちら

公演概要

Daiwa House Special 
地球ゴージャス三十周年記念公演『儚き光のラプソディ』

作・演出:岸谷五朗

出演:
中川大志 風間俊介 鈴木福 三浦涼介 佐奈宏紀 保坂知寿 

原田治 小林由佳 井出恵理子 杉山真梨佳 内木克洋 高木勇次朗 水原ゆき 精進一輝 高島洋樹 
輝生かなで 東川歩未 尾関晃輔 栁原華奈 伊藤彩夏 千葉悠生 権田菜々子 清水錬

岸谷五朗 寺脇康文

【東京公演】
公演日程:2024年4月28日(日)~5月26日(日)
会場:明治座

チケット発売日 2024年1月20日(土)
チケット料金 S席(1・2階席)13,500円 A席(3階席)7,500円(全席指定・税込・未就学児入場不可)
お問合せ [公演に関して]地球ゴージャスFC https://fc.dps.amuse.co.jp/chikyu/qa/faq
[チケットに関して]チケットスペース 03-3234-9999(平日10:00-12:00/13:00-15:00)
※電話対応時間は変更になることがございます。
主催 株式会社アミューズ 株式会社明治座

【大阪公演】
公演日程:2024年5月31日(金)~6月9日(日)
会場:SkyシアターMBS

チケット発売日 2024年3月23日(土)
主催 株式会社キョードーグループ

特別協賛: 大和ハウス工業株式会社
企画・製作:  株式会社アミューズ

公式サイト:https://www.chikyu-gorgeous.jp/30th
公式X: https://twitter.com/chikyu_gorgeous

THEATER GIRL編集部

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