大貫勇輔×小野田龍之介×木村達成インタビュー　ミュージカル『マチルダ』「絶対に面白いミュージカルになる確信があります」（前編）

2023.03.17

INTERVIEW

2023年3月22日（水）より、東京・東急シアターオーブを皮切りにミュージカル『マチルダ』が上演されます。本作は英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが2010年に製作した大ヒットミュージカル。

英演劇賞ローレンス・オリヴィエ賞において、ミュージカルとしては過去最多の7部門を受賞。さらに米演劇賞のトニー賞では5部門を受賞するなど、100もの国際的な演劇賞に輝きました。そんな全世界で愛される人気作が、豪華キャストにより日本で初上演されます。

厳しいオーディションにより選ばれたキャストは、主人公のマチルダ役に嘉村咲良さん・熊野みのりさん・寺田美蘭さん・三上野乃花さん。ミス・トランチブル役は近年、映像作品にも多数出演している大貫勇輔さん、ミュージカルを中心に活躍する小野田龍之介さん、確かな演技力が評価される木村達成さんがトリプルキャストで務めます。さらにミス・ハニー役には咲妃みゆさん・昆夏美さん、ミセス・ワームウッド役には霧矢大夢さん・大塚千弘さん、ミスター・ワームウッド役には田代万里生さん・斎藤司さんがいずれもWキャストで演じます。

THEATER GIRLは、ミス・トランチブル役の大貫勇輔さん、小野田龍之介さん、木村達成さんにインタビュー。前編では、作品の手ごたえや役作りについて語っていただきました。

インタビュー後編はこちら

絶対に面白いミュージカルになる確信があります

――現在絶賛お稽古中になりますが（取材時）、その中での手ごたえや、今1番感じていることを教えていただけますでしょうか。

大貫：僕が感じているのは、すごくリズムが心地いいということですね。ミス・トランチブルはセリフが多くて、覚えるのがとにかく大変なんです。それに、彼女は本当に情緒がおかしな人で、なかなか理解に苦しむ部分がいっぱいあります(笑)。そんな中で、音が入るポイントや、セリフの面白さや奇妙さのリズム感がすごく心地よくて。本当によく出来ているミュージカルだなと思いますし、まさにミュージカルらしいミュージカルですよね。今は稽古の一週目が終わって、二週目に入ったところですが（取材時）、すでに絶対に面白いミュージカルになるなという確信があります。

小野田：まだ稽古が始まったばかりなのですが（取材時）、とにかく進むスピードが早くて。どんどん次のシーン、次のナンバーと進んでいくんです。我々日本チームは、イギリスのクリエイティブチームについていけるように毎日、必死で頑張っています。それに、大貫さんがおっしゃったように、音や動きの全てが、厳密に決まっていることが非常に多いです。

それを的確にやっていくのはもちろん大変なんですけど、そんな中で音楽と動きと色んなものがパチっとはまった時は、言葉に表せないぐらいの高揚感とワクワク感が作品の中に生まれます。僕は今まで、この作品をお客さんとして観てきたので、こういった積み重ねが、この感動と衝撃を初演当時から生み出してきたんだなと感じますね。

木村：僕はミュージカルをやらせていただくのが久しぶりなので、セリフも含めて、覚えることがたくさんあって、頭をフル回転させながらお芝居に取り組んでいます。先ほど小野田さんもおっしゃったように、ミス・トランチブルは、難しいナンバーや、音に合わせて言うセリフが多いのですが、それがばっちり決まった瞬間に、ものすごいものが出来上がるんだろうなと、ワクワクしています。この前、子供達とお芝居を合わせた時に、すごく勢いを感じたので、この子達に負けてられないなと思いました（笑）。

三者三様のミス・トランチブルを作っていけたら

――今回、トリプルキャストで演じられますが、ミス・トランチブルを演じる上でそれぞれ工夫されている点や、自分らしさを出している点はありますか？

大貫：ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが製作した作品ということで、言葉回しや、言葉の持つパワーを大切にしたいなと感じています。演出補のジョセフ・ピッチャーさんも、「ミス・トランチブルは言葉にすごくこだわりがあって、噛みしめながら喋っている」ということをおっしゃっていたので、そういったところを大切に演じていきたいなと思います。それに、やっぱりシェイクスピアのお芝居って、セリフが心地いいじゃないですか。そういったニュアンスが、歌やお芝居の中でも出せたらいいなと思いますね。

小野田：最初にクリエイティブスタッフの方からお話があったのは、それぞれのキャラクターに色々なドラマがあるということ。そしてマチルダ以外は、それぞれの役のリアルを生きることにプラスアルファ、原作にある挿絵の姿を描いているんですよね。挿絵というのは、マチルダから見た大人の姿で、ミス・トランチブルやミス・ハニーの姿、家族、親の姿を描いています。ちょっと誇張した劇画的な部分を大事に、そして大胆に。言葉まわしや動きを含めて、常にフル稼働してほしいと、全員が一番初めに言われたんです。

劇画的な部分を、お芝居でキャラクターとしてどう作っていくのかなと考えながら、今は一つずつやっているところです。なので、マチルダから見たらヒステリックで威圧感のあるミス・トランチブルを、三者三様で作っていけたら面白いなと思っていますね。

木村：形が決まっている部分はあるんですが、姿勢だったり、子供に対するフォーカスの当て方だったりを常に頭の中に置いています。お客様はもちろん、子供達や他のキャストの方からも、どのように見られているかは常に意識していますね。