植原卓也×百名ヒロキインタビュー 「ROCK MUSICAL BLEACH」「1人1人に楽しんでもらえるように、まっすぐ演じていけたら」(前編)
2024年5月12日(日)より東京・天王洲 銀河劇場、5月31日(金)よりCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演される『「ROCK MUSICAL BLEACH」~Arrancar the Beginning~』。
原作は「週刊少年ジャンプ」で連載され、完結後も長く愛されている久保帯人さんの少年漫画。そのミュージカル化作品『ROCK MUSICAL BLEACH』は2.5次元作品の黎明期である2005年に上演され、「ブリミュ」の愛称で人気を博しました。
2016年に上演された『「ROCK MUSICAL BLEACH」~もうひとつの地上~』から8年の沈黙を破り、2024年ついに新生キャストで再始動。さらにシリーズ初となる「破面(アランカル)篇」のミュージカル化ということで注目が集まっています。
今回THEATER GIRLでは、破面篇の中心人物となる十刃(エスパーダ)のグリムジョー・ジャガージャック役の植原卓也さん、ウルキオラ・シファー役の百名ヒロキさんにインタビュー。前編では破面という難しい役に挑む心境や役作り、演じる役の魅力、注目シーンなどについてお話を聞きました。
役の持つ“怪物感”を出すために。「自分の想像を超える」役作り
――まずは本作への出演が決まってのお気持ちを聞かせてください。
植原:お声がけいただいたときは、純粋にすごく嬉しくて。『BLEACH』を勉強していけばいくほど、とんでもない役をやらせていただけるんだなという気持ちがひしひしとこみ上げてきています。周りからの反響もすごくて、「『BLEACH』すごい!」となりました。
百名:僕も同じで、周りから「ウルキオラやるんだ」っていう連絡をたくさんもらって身が引き締まる思いですし、本当に僕、『BLEACH』世代ど真ん中なんですよ。学生時代に、自分で“オリジナル卍解”を作って遊んでいたくらい(笑)。ウルキオラは卍解しないキャラですけど、当時からウルキオラやグリムジョーの印象って強烈だったので、出演できて本当に嬉しいですね。
――ちなみにそのオリジナル卍解の解号は覚えていますか?
百名:覚えています! 「かきくらせ、源造」っていうんですけど……。「かきくらせ」が中学の古文で出てきたのかな。悲しみで心が暗くなる、みたいな意味で。それと「源造」は当時『ルパン三世』の次元にハマっていて、そこから取ったんだと思います。
――『BLEACH』への当時の熱が伝わってきました。今回はお二人とも、破面(アランカル)という難しい役を演じられます。現時点でどう捉えて役作りをしていますか。
植原:破面は人間じゃないけど、心はある。だけどやっぱり人間じゃない、という役どころで。なんて言ったらいいんだろう。
百名:いや、なんかわかります。人間じゃないけど、人間の心にもある1つの要素を特化している存在というか。
植原:そう。感情はもちろんあるんだけど、キャラ的にそこを表現するような存在でもなくて。そのあたりのさじ加減が難しいですね。人ではないから、自分の想像を超えるだろうという観点も持っていないと、最終的にいい方向にいかない気もしているし。感情を起点にした作り方だけをしていても、彼の“怪物感”は出ないと思うし。
百名:本当にそうなんですよね。いつもなら「普通の人間だったらこう考える」っていうのを考えるんですが、それを考えた上で、あえてずらさないといけない。人間じゃない怪物感を出すには確かにそういうことが必要だなと、今の話を聞いていて思いましたし、ウルキオラなんてとくに感情の起伏が少ないので……。でもヤミーやグリムジョーへの態度を見ていると、ウルキオラにも意外と感情っぽいものが感じられるので、それをどう舞台で見せるかっていうのは今、試行錯誤しているところです。
どうしたらこんなに魅力的なキャラが生まれるのか。2人を虜にする『BLEACH』のキャラ造形
――難しい役、かつ主人公たちに立ちはだかる敵という立場になりますが、お二人が感じるグリムジョーとウルキオラの魅力はどんなところでしょうか。
植原:グリムジョーはわかりやすいところがまず好き(笑)。
百名:ふふ(笑)。
植原:裏もなくてまっすぐだし、「こう思うからこうする」と即行動できるところは、“男が憧れる男”的な男らしさというかかっこよさがあるな、と。悔しいんですが、グリムジョーには自分にない部分がめちゃくちゃあるので、お芝居としてやらせてもらえるのは、植原卓也として嬉しいですね。僕にはあんなに男らしい瞬間なんてないので……。
百名:そういう(男らしい)イメージありますけどね。
植原:本当に?
百名:はい。
植原:優しいじゃん(笑)。いや、でも実際はそんなこと全然ないんだけどね。あとは演じさせてもらう身で言うのもちょっとアレなんですけど、普通にルックスがかっこいいじゃないですか。
百名:(食い気味に)キャラデザインいいですよね!
植原:そう。最近は毎日、勉強で漫画を読むんですが、普通に「顔かっこいいな」って、本当に思うんですよ。だから、なんというか……ありがとうございます!
一同:(笑)
――一方で、ウルキオラの魅力はいかがでしょう。
百名:ウルキオラはミステリアスなところがグリムジョーとは対極にいる存在で。グッときますよね。
植原:稽古場もちょっと“ウルキオラモード”でいるよね? 彼は本来もっとおふざけの人なんですよ(笑)。結構ハチャメチャなんですが、今回はハチャメチャ要素0でスッ……といるんです。それは無意識?
百名:無意識かもしれないです。今回はその感じは合わないだろうな、と。
植原:「北斗の拳」(ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』)のときはだいぶふざけてたのに(笑)。
百名:全然ふざけてないですって(笑)。
植原:でも、テンション感が今回は違うよね。
百名:そうですね。そこも模索中です。魅力に関しては、この前も「グリムジョーとウルキオラって本当にいいキャラだよね」って話をたっくん(植原)として。十刃(エスパーダ)のなかで、実力的に2人がツートップではないじゃないですか。ウルキオラが第4十刃(クアトロ)で、グリムジョーが第6十刃(セスタ)で。だけどストーリーの中ではすごく印象的な立ち回りをするし、おしゃれだし。(原作者の)久保帯人先生がどう考えてこのキャラクターを生み出したんだろうってすごく気になりましたし、それくらい魅力がつまっている2人だと思います。
植原:この2人って難しさの方向性が違うなと感じていて。僕はグリムジョーとして発散できる部分があるけど、ウルキオラはきっと内側で黙々と淡々とお芝居をしてエネルギーをどこに持っていくのか、という難しさがある。
百名:しかも映像じゃなくて舞台ですからね。そこはすごく難しいです。
植原:2人が並ぶとあるシーンで、グリムジョーが「ウラァァ」と熱く戦っているところに、ウルキオラが突然スッとやって来て戦いを諌めるっていうシーンがあるんですね。こっちは1秒前まで暴れていたのに、次の瞬間そのウルキオラのテンションに合わせなきゃいけなくて。演じる中でも、2人の温度感が違うのを感じます。ポーズ1つとっても、ウルキオラは美しく立っているけど、こっちは足を組んでいるとか。絵的にも、ここの2人の対比は楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。
「グリムジョーと一護のバトルが熱い」2人の注目シーンは?
――稽古をする中で見えてきた、注目してほしいシーンや好きなシーンを教えてください。
百名:グリムジョーと一護が戦うところの歌があるじゃないですか。
植原:2人で戦いながら歌う曲ね。
百名:あの2人の交差している感じが大好きですね。
植原:たしかに今回、グリムジョーと一護のバトルは熱いですね。本当にいろんなバトルがあるんですが、この2人のバトルはかなり印象に残ると思います。間違いなく見どころの1つです。
取材・文:双海しお
Photo:野田涼
「ROCK MUSICAL BLEACH」~Arrancar the Beginning~開幕コメント、舞台写真はこちら
公演概要
「ROCK MUSICAL BLEACH」~Arrancar the Beginning~
上演期間・劇場:
【東京】2024年5月12日(日)~5月26日(日) 天王洲 銀河劇場
【大阪】2024年5月31日(金)~6月2日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
原作 久保帯人「BLEACH」(集英社 ジャンプコミックス刊)
脚本・演出 児玉明子
音楽 兼松 衆
出演:
黒崎一護:木原瑠生
井上織姫:佐當友莉亜
茶渡泰虎:チャンヘ
石田雨竜:佐藤永典
平子真子:山﨑晶吾
浦原喜助:根本正勝
朽木ルキア:田野優花
朽木白哉:山本一慶
阿散井恋次:宇野結也
日番谷冬獅郎:松岡拳紀介
松本乱菊:美麗
更木剣八:岡本悠紀
斑目一角:川﨑優作
内田未来 亀井照三 白崎誠也 田邊 謙
細川晃弘 松川大祐 宮川 連 望月 凜 師富永奈
藍染惣右介:井澤勇貴
市丸ギン:秋沢健太朗
東仙 要:藤田浩太朗
ウルキオラ・シファー:百名ヒロキ
グリムジョー・ジャガージャック:植原卓也
主催: RMBLEACH製作委員会2024(ネルケプランニング/ぴえろ/集英社/テレビ東京/電通)
チケット料金: S席11,500円/A席9,500円(全席指定/税込)
▼公式サイト:https://www.rmbleach.com/
▼公式X(Twitter)@RM_BLEACH2024
©久保帯人/集英社・RMBLEACH製作委員会2024