東 啓介×有澤樟太郎×甲斐翔真×松下優也インタビュー 『キンキーブーツ』 「期待の遥か上をいけるように」（後編）
2025年4月27日(日)より東急シアターオーブにて、ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』が上演されます。
本作は、経営不振に陥った老舗の靴工場の跡取り息子チャーリーがドラァグクイーンのローラに出会い、差別や偏見を捨て、ドラァグクイーン専門のブーツ工場として再生する過程が描かれた同名イギリス映画（2005年公開）をミュージカル化した、今なお人気を集める大ヒット作品。日本では2016年に初演、2019年、2022年に再演され、日本中を熱狂の渦へと巻き込みました。
今回はメインキャストがほぼ一新され、オーディションで選ばれた、これからの日本のミュージカルシーンを担う実力派が結集しました。靴工場の跡取り息子チャーリー役には、東 啓介さんと有澤樟太郎さん。ドラァグクイーンのローラ役には、甲斐翔真さんと松下優也さん。
靴工場で働く従業員のローレン役は田村芽実さんと清水くるみさん。チャーリーのフィアンセであるニコラ役には熊谷彩春さん、靴工場の現場主任ドン役を大山真志さん、工場長ジョージ役にひのあらたさんと、豪華メンバーが集結しました。
THEATER GIRLは、チャーリー役の東啓介さんと有澤樟太郎さん、ローラ役の甲斐翔真さんと松下優也さんの4名にインタビュー。後編では、それぞれ役を志した理由やオーディション時の手応え、取材やMV公開などを通して感じていることについて、語っていただきました。
まさか『キンキーブーツ』に挑戦できるチャンスをもらえるとは
――それぞれこの役を志した理由やオーディション時の手応えを聞かせてください。
東：僕は『キンキーブーツ』の曲がめちゃくちゃ好きで、自分のコンサートでチャーリーのソロ曲を歌わせていただいたんです。その後にオーディションがあると聞いて、こんな巡り合わせはないなと思いました。オーディションでもその曲を歌わせていただいたのですが、歌える喜びとともに難しさも感じて、受かった暁にはもっと頑張らなければと思いました。今もまだ『キンキーブーツ』ならではのパッションや力強さを身につけなければと思っているので、課題を見つけてチャレンジしている最中です。
有澤：僕も「チャーリーで受けてみませんか」というお話をいただいて。まさか自分が『キンキーブーツ』に挑戦できるチャンスをもらえるとは思わなかったので、めちゃくちゃ頑張りたいと思いました。チャーリーを見ていると、少しもどかしい気持ちになるじゃないですか。『ウォーキング・デッド』のリックみたいな感じで（笑）。だから役としてやりがいが無限大だなと感じていて。一挙手一投足が作品を左右するストーリーテラーのような雰囲気もありますし。絶対にチャレンジしたいと思いオーディションを受けさせていただきました。
オーディションでは、日本版演出協力の岸谷五朗さんがワークショップ形式でやってくださったので手応えをすごく感じました。自分の良さを最大限に引き出してくれる形式だったので、受けた人みんな手応えを感じていたのではと思います。そういう意味ではやり残したことはなかったですね。
甲斐：最初にオーディションのお話をいただいたときは、ローラではなくチャーリーかなと思っていたんです。でも、「ローラで」と言われて、「ローラ⁉」って。それくらいローラを演じることが僕の頭の中にはなくて。元々、作品のファンだったというのもあって最初は迷いました。受けさせてもらえるのはとてもありがたいお話ですが、そこに飛び込むことによって何が起きるかを考えた時に、果たして自分はそこまでいけるのだろうかと。自信がないというよりも、あまりにも自分の中になさすぎて、きっとこれは苦しい作業になるだろうと思ったんです。
（三浦）春馬くんの初演が衝撃的で、あの像を知っているからこそ踏みとどまっている自分もいました。でもきっと春馬くんも、苦しみながら研究を重ねてやっていたと思うので、僕も飛び込んでみようと思いました。ローラに求められている声質って割と僕が持っている声だと思うので、そういう歌声を使うのは初めてなので、楽曲に関してはそこが楽しみですね。
松下：今まで『キンキーブーツ』にローラ役で出るとは夢にも思っていなかったので、まずはオーディションを受ける機会をいただけたことがうれしかったですね。正直オーディションで自分の実力を発揮できれば受かると思っていたので。ミュージカル界にいろんな俳優さんがいる中で、その機会をいただけたことがめちゃくちゃうれしかったです。
この曲はチャーリーとローラを結びつける大きな曲
――先日、劇中歌の『NOT MY FATHER’S SON』のMVも公開されましたが、こうした取材やMV公開などを通して、上演に向けて気持ちも高まってきましたか？
松下：今回のMVの趣旨としては、役としてではなく「こういう役者たちが2025年の『キンキーブーツ』をやります」というもの。本来はほとんどローラが歌っている曲だし、今回はそれぞれの役者が持ついい部分を表現していく感じだったので、ローラを演じている感覚ではなかったです。ただ、今回は4人で歌い分けしていて歌割り自体はそんなに多くなかったので、これをほぼ一人で歌うのかと……。芝居歌ですし、そこに行き着く日が来年には来るのかと思うと大変ですが、作りがいのある曲だなとすごく感じます。
甲斐：実は、僕のコンサートでも『NOT MY FATHER’S SON』を小池徹平さんと一緒に歌わせていただいたんです。オリジナルキャストの徹平さんにこの曲について話を聞けたのは大きかったなと思います。この曲はチャーリーとローラを結びつける大きな曲なので、この時点からちょっとでも向き合えて良かったです。徹平さんと何を話したかは秘密です（笑）。
有澤：僕もまず曲に触れられたのが大きいですし、公演は4月ですが、こうやって取材をさせていただいたり、MVを撮ったりと、この4人で動き出していることに意味があるなと思います。大きな作品で一緒に戦っていく4人なので、取材などを通して人となりを知ることができて、稽古までの安心材料になりました。一緒に歌えたのはめちゃくちゃ大きいですし、あの場でしか生まれないものを共有することができたのでいい時間だったなと思います。
東：まずMVでこの曲を歌うとは思っていなかったので、4人で歌えたことがうれしかったです。みんなの声を聞いて、個性を出し合いながらこの曲を完成できたのもすごく実りのある時間だったと思います。さっき優也くんも話していましたが、この曲はほぼローラが歌って、僕らチャーリーは受け止める側になるので、本編ではこの曲をどう受け止め参加するのか、すごく稽古が楽しみになるMV撮影とレコーディングになりました。
『NOT MY FATHER’S SON』from Kinky Boots -SPECIAL MUSIC VIDEO
取材・文：THEATER GIRL編集部
撮影：遥南 碧
【東 啓介】
・ヘアメイク
yuto
・スタイリスト
青木紀一郎
【有澤樟太郎】
・ヘアメイク
池上豪(NICOLASHKA)
・スタイリスト
山田安莉沙
【甲斐翔真】
・ヘアメイク
木内 真奈美（オティエ）
・スタイリスト
山本隆司(style³)
【松下優也】
・ヘアメイク
ASUKA（a-pro.）
・スタイリスト
村田友哉(SMB International.)
公演概要
ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』
【CAST】
CHARLIE PRICE(チャーリー・プライス) ：東 啓介 ・ 有澤樟太郎
LOLA (ローラ） ：甲斐翔真 ・ 松下優也
LAUREN(ローレン) ：田村芽実 ・ 清水くるみ
NICOLA(ニコラ) ：熊谷彩春
DON(ドン) ：大山真志
GEORGE(ジョージ) ：ひのあらた
PAT(パット) ：飯野めぐみ
TRISH(トリッシュ) ：多岐川装子
HARRY(ハリー) ：中谷優心
ANGELS(エンジェルス) ：穴沢裕介、佐久間雄生、シュート・チェン、大音智海、工藤広夢、轟 晃遙
ANGELS/SWING(エンジェルス/スウィング) ：本田大河、長澤仙明
SIMON.SR(サイモンシニア) ：藤浦功一
MR.PRICE(ミスタープライス) ：石川 剛
RICHARD BAILEY(リチャード・ベイリー) ：聖司朗
MARGE(マージ) ：舩山智香子
MAGGIE(マギー) ：伊藤かの子
GEMMA LOUISE(ジェンマ・ルイーズ) ：熊澤沙穂
HOOCH(フーチ) ：竹廣隼人
MUTT(マット) ：趙 京來
YOUNG CHARLIE(ヤングチャーリー)：奥田奏太、星 駿成、村山董絃
YOUNG LOLA(ヤングローラ)：古澤利音、見﨑歩誠、髙橋維束
SWING：上條 駿、加藤文華
【Creative Staff】
脚本 ：ハーヴェイ・ファイアスタイン
音楽・作詞 ：シンディ・ローパー
演出・振付 ：ジェリー・ミッチェル
日本版演出協力・上演台本 ：岸谷五朗
訳詞 ：森 雪之丞
【公演期間・会場】
東京公演：2025年4月27日(日)～5月18日(日) 東急シアターオーブ
大阪公演：2025年5月26日(月)～6月8日(日) オリックス劇場
【オフィシャルサイト】
http://www.kinkyboots.jp/
【オフィシャルX/オフィシャルInstagram】
@Kinkybootsjp
【東京公演主催】
アミューズクリエイティブスタジオ・フジテレビジョン・サンライズプロモーション東京
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