村井良大、木村達成、渡辺 大インタビュー 『魔界転生』 「お祭り的な感じで楽しんでいただけたら」(後編)
山田風太郎による伝奇小説『おぼろ忍法帖』を原作とし、2018年に上演された舞台『魔界転生』。動員10万人超を記録した本作が4月から6月にかけ再演され、愛知・福岡・東京・大阪の全国4カ所を巡ります。
演出を再び堤幸彦が手掛け、脚本はマキノノゾミが担当。ド派手なアクション、変幻自在なフライング、LEDによる映像効果を駆使し、演劇と映像の融合による画期的な演出により、感動の人間ドラマ、魅惑のエンターテインメント時代劇となっています。
今回お話をうかがったのは、初演に続いての出演となる根津甚八役の村井良大さん、柳生又十郎役の木村達成さん、再演からの参加でさらに今作が初舞台となる、宮本武蔵役の渡辺 大さん。後編では、それぞれの役柄の見どころや、堤さんの演出の印象をうかがいました。
お祭り的な感じで、観て楽しんでいただけるようなものにしたい
――村井さんは、初演から引き続き、根津甚八役を演じられます。コメントでは「この役、大好きなんです」とおっしゃっていましたが、役柄についての見どころをうかがえますでしょうか。
村井:この役はそもそも、堤さんが演出してくださった、舞台『真田十勇士』という作品から続いているキャラクターなんです。役を引き継いで他の舞台に出ることって、なかなかないじゃないですか。なので僕としては、柳生衆、魔界衆どちらでもない、一人だけ違うというポジションを、前回は意識していたんですけど。今回はそれを大事にしつつも、さらに密度を濃くしないといけないなと思っています。
堤さんも製作発表でおっしゃっていましたが、このコロナ禍で、安全、安心を確保しつつ、演出されているので、自分がどう舞台上にいるべきかということを考えて、丁寧につくっていかなければいけないと思うんです。だから 、役の立場だったり、位置だったりっていうのを非常に計算しながら流動的にも動いていくということは、すごく考えています。あとは、どちらかというとにぎやかしの役なので、日々トライアンドエラーを繰り返して、面白くなるように頑張ってつくっている最中です。
――木村さんも初演から引き続き、上川隆也さん演じる柳生十兵衛の弟、柳生又十郎役を演じられますが、役柄についての見どころをうかがえますでしょうか。
木村:今回は、兄である柳生十兵衛と一緒に旅のお供をするというのが、かなり僕の中で重要でして。前回より色濃く兄弟の関係性というか、柳生家の関係性が物語にうまく反映できるのかなと思います。それと、見て欲しいところはやっぱり友である(田宮)坊太郎との一騎打ちですかね。この作品の中でもけっこう重大なポイントになると思いますし、兄弟愛、家族愛、そして友との愛みたいな。それがすごく色濃く反映されるポイントだと思うので、意識的に相手ともコミュニケーションを取るようにしています。
村井:多分、初演から一番変化のあったキャラクターだと思います。
木村:そうですね。前回はまた北条主税っていうキャラクターがいたんですけど。その役を今回は又十郎が吸収してやっている感じです。
渡辺:魔界の人間みたい(笑)。
――前作とは大きく変わっている部分なんですね。
木村:でも、不思議と77回もセリフを聞いてたのもあって、初めてやってる感覚がないんですよ。前回も、別に又十郎が旅しても面白いんじゃないかなって考えていたところもあったので、今回そういう台本がいただけて、「よし、頑張るぞ」っていう気持ちになりましたね。
――渡辺さんは二刀流の宮本武蔵役で上川さん、松平さんとの立ち回りもあるとのことですが、意気込みはいかがでしょうか?
渡辺:手はもうだいぶついてきたんですけど。基本、一刀しかやったことがなかったので、二刀流は今回が初めてだったんです。なので、今は松平(健)さんと上川(隆也)さんから千本ノックを受けている感じです(笑)。本当にスピードがあるので、それをやりながら、さらにも芝居しながら一連でバーッとやっていくのがとても大変です。
上川さんとは、現代劇では何回か共演があるんですけど、時代劇ではまだご一緒したことがないんです。だから今回すごく新鮮な気持ちですね。松平さん自身も、一緒の作品に出演したことはあるんですけど、共演はなかったので本当に新鮮です。これだけがっつり立ち回りをやるのもすごく久しぶりだったので、毎日ああでもない、こうでもないなと試行錯誤しながらやっています。
でも、できるようになるとやっぱり面白いですよね。今回、全体的なボリュームでいうと、立ち回りがすごく多いんですよ。今回コロナ禍ということもあって、堤さんはお祭り的な感じで、観て楽しんでいただけるようなものにしたいとおっしゃっていたんで、チャンチャンバラバラでも楽しんで観てもらえたらいいんじゃないかなと思ってます。