高杉真宙インタビュー 『てにあまる』「自分の持っているポテンシャルを出し切らないと意味がない」
映画・ドラマ・舞台と唯一無二の存在感で活躍する俳優・柄本明さん演出の舞台『てにあまる』が、今年12月の東京公演を皮切りに、佐賀、大阪、愛知、三島にて上演されます。
同作の濃密な会話劇で部下役を演じるのが、俳優の「高杉真宙(たかすぎ・まひろ)」さん。2009年に舞台『エブリ リトル シング’09』での俳優デビュー以降、映画『ぼんとリンちゃん』で「第36回 ヨコハマ映画祭」の最優秀新人賞を受賞するなど複数の賞を受賞。今、もっとも注目を集める若手俳優です。
秋の気配が漂い始めた9月中旬。THEATER GIRL編集部は、高杉さんにインタビューを敢行。上演にあたっての思い、映像とは異なる舞台の面白さ、リスペクトしている俳優や趣味にまつわるお話まで、たっぷり語っていただきました。
「期待」と「緊張」が同時に湧き上がってきた
――今作『てにあまる』は、高杉さんにとって約1年ぶりの舞台になりますが、お話があった際の率直なお気持ちを伺えますか?
「4人芝居」ということに、最初から緊張感や覚悟を決めなきゃなって気持ちがありました。その後、キャストが柄本明さんや藤原竜也さん、佐久間由衣さんだというお話を聞いて、「この方たちと一緒に演じられる」という期待感と「このメンバーの中の一人」という緊張感が同時に湧き上がってきた感じですね。
以前、柄本さんとはドラマで本当にちょっとだけご一緒したんですけど、僕としては初めましてというくらいの気持ち。少なくとも演出する柄本さんは初めてだし、そのほかのみなさんも初共演なので、新鮮な気持ちが強いですね。
――公式サイトでは、今作のお話があった際に「今までにない全身の痺れを感じました」とコメントを出されていました。具体的には、どんな感覚なのでしょうか?
なんでしょうね……。このメンバーの一人としてお仕事をご一緒できるのが「幸せだな」って思ったのと同時に、一つでも意識が別のところにいったら「足がすくわれるんじゃないか」っていう緊張感があって。どちらの意味でも痺れる現場だなと感じたんですよね。
だからこそ、自分の持っているポテンシャルを出し切らないと意味がないし、すべてを出せるようにできたらいいなとは思っています。
柄本明の演技力、藤原竜也の“熱量”のすごさ
――今作に対する思いの強さを感じますね。共演者の一人である柄本明さんにはどんな印象をお持ちですか?
「どんな演出家なのか」については初めてなのでこれからですが、役者の大先輩としてとても尊敬しています。
『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』というドラマで、柄本さんとは関係性のある役で共演させていただいたのですが、実際に現場でお会いすることはほとんどなかったんです。でも、最後に顔を合わせたとき、2人の役のつながりからくる「温かさ」とか「大きさ」みたいなものが柄本さんの演技から感じ取れた。本当にすごいなと思いましたね。
一番印象に残っているのは、「ただただ、柄本さんが病院をあるいていく」だけのシーン。本当に格好よかったというか、見ていて心に刺さった。だから、「もっとご一緒して(役者として)変わりたかったな」と思っていた矢先に今回のような機会をいただけたので、本当に嬉しいですね。
――思いが通じたのかもしれませんね。また、蜷川幸雄さんの作品をはじめ、様々な舞台を経験されてきた藤原竜也さんとも共演されます。藤原さんの俳優としてのすごさはどんなところにあると思いますか?
たくさんあると思うんですけど、舞台でも映像でも、とにかく“熱量”がすごい。声を張り上げたり、大げさな演技をしたりするという意味ではなくて、存在感を持って違和感なくその場に立っている感じ。これって本当に難しいことだと思うんです。とくに舞台では、そういう熱量を押し出すことが大事というか。僕も負けずに熱量を押し出せるように頑張りたいと思います。