吉川 愛インタビュー 『レイディマクベス』「舞台の醍醐味を体感できることがとても楽しみ」(前編)
2023年10月1日よりよみうり大手町ホール、11月16日より京都劇場にて、『レイディマクベス』が上演されます。
ウィリアム・シェイクスピアの『マクベス』の登場人物であるマクベス夫人。彼女は主人公マクベスの妻という存在でこの戯曲の中に登場します。しかし、ここまでシェイクスピア作品の中で「有名」なキャラクターにもかかわらず、なぜ彼女は名前を与えられなかったのだろうかという疑問から誕生した本作。
この新作を書き下ろすのは、英国若手の気鋭女性作家の一人であり、演出家でもあるジュード・クリスチャン。そして本作の出演者は7名。常にトップを走りつづける天海祐希さんがレイディマクベス役に挑み、ミュージカル『Singin’ in the Rain 〜雨に唄えば』などに出演するアダム・クーパーさんが日本での新作舞台に登場します。
そしてレイディとマクベスを取り巻く登場人物たちには、レイディのそばで強かに生き抜くマクダフ役に鈴木保奈美さん、幼少期からのレイディを知る彼女の幼馴染であり野心家のバンクォー役に要 潤さん、マクベスとレイディマクベスと共に戦場で戦い、二人を「師」として仰ぐレノックス役に宮下今日子さん、そしてレイディが戦場に出られなくなった要因でもある出産で生まれた娘役を吉川 愛さん、国の統治者ダンカン役に栗原英雄さんといった豪華俳優陣が勢揃いし、世界初演に挑みます。
THEATER GIRLは、マクベスとレイディマクベスの娘役を演じる吉川 愛さんにインタビュー。前編では、二度目となる舞台へ挑むお気持ちや天海祐希さんとの共演など、たっぷりとお話をうかがいました。
二度目となる舞台出演は「少し不安な気持ちがあった」
――本作は、世界初演となる新作書き下ろし公演となりますが、出演が決まった時はどんなお気持ちでしたか?
私は今まで映像のお仕事が多く、舞台への出演が今回で二度目なので、最初は少し不安な気持ちがありました。映像とはまた異なる演じ方になると思いますし、シェイクスピアというとても難しい題材なので、理解して演じられるのかという不安が一番大きかったです。
――二度目の舞台出演ということですが、久々の舞台に挑まれるお気持ちはいかがですか?
不安はあります。もちろん前回、舞台に出演したときもとても楽しかった思い出はあるんです。一連でお芝居ができますし、皆さんと約2~3時間もの間、その作品と役に集中できる。観てくださっている方から直接受けることができる熱量は、舞台の醍醐味だと感じます。もちろん失敗したこともありましたし、以前の経験を活かしながら今回も挑めたらいいなと思っています。
――本作は、シェイクスピアの『マクベス』の中で描かれているマクベス夫人を大胆に解釈した作品になりますが、作品に対してどのような印象を抱かれましたか?
私が演じる「娘」の母親となるレイディマクベスは、娘が生まれたせいで戦場に行けなくなり、今まで自分のやってきたことができなくなってしまいます。娘としては、自分を追い詰めてしまってもおかしくないはずなのに、意外と淡々とクールに見せていると感じています。そういう親子関係が複雑なところが見どころだと思うので、難しそうではありますが、いろんな想像ができるのでとてもワクワクしています。
――「一番好きな女優さん」とコメントされていましたが、今回、天海祐希さんがレイディマクベスを演じられますが、改めて舞台で共演されるお気持ちはいかがでしょうか?
天海さんは、映像に関してももちろん大先輩ですが、元々は舞台から始められた方で、私は新参者なので天海さんを失望させないように一生懸命努力したいと思っています。
――普段の天海さんはどんな方ですか?
本当に気さくな方です。そして周りをきちんと見ていらっしゃる方だと感じます。「もっとこうした方がいい」と思ったらすぐに意見をくださるんです。作品をもっといい方向に、一緒にしていこうと思ってのことですし、愛だと思うんです。作品に対しての思いがとても強い方なので、以前映像作品で共演させていただいたときも、カッコいいと思いました。
コメディもとてもお好きらしく、芸人さんが好きとおっしゃっていたので、そういう一面もお持ちなんだなって。あまりそのようなイメージがなかったので、意外な部分が見えてギャップにキュンとしてしまいました(笑)。
――本作では、天海さんが座長を務められるのでとても安心感がありますね。
心強く、とても安心です。二度目の舞台が天海さんと一緒で本当に幸せです。
――その他の出演者も、アダム・クーパーさんに鈴木保奈美さん、要 潤さんなど豪華なキャストの方々が揃っています。今回出演者が7名だけとなりますが、少人数でお芝居されることについてはいかがでしょうか?
今まで少人数でのお芝居の経験が多くはないので、新しい挑戦になるのではと思っています。舞台はいろいろな登場人物が出てくるイメージがあるので、それをこの7人で演じるとなると、観てくださる皆さまもどうなるんだろうと感じているのではと思います。
――お一人お一人に見せ場がありそうですね。
そうですね。一人一人が重要な役割を担うので、しっかり頑張りたいです。
――ドラマや映画などの映像作品では同世代の方々との共演が多いと思いますが、 今回は大先輩の方々ばかりですが、共演されるにあたって何か楽しみにされていることはありますか?(取材は稽古開始前)
とても緊張感のある現場になるのかなと思います。ただその中でも、皆さんとお話しできることがとても楽しみです。お一人お一人のことをどんどん知っていけたらと思っています。
――今回、父親となるマクベスを演じるアダム・クーパーさんは海外の方ですし、共演する機会もなかなかないですよね。
海外の方とお芝居をする貴重な機会なので、どんな感じになるのかとても楽しみです。日本と海外では環境や演じ方も違うかもしれないですし、勉強させていただきます。
「娘」役は「二面性を出していきたい」
――今回は、マクベスとレイディマクベスの間に生まれた「娘」役を演じられますが、どのように演じていこうと考えていらっしゃいますか?
母親から愛をもらっていないからといって悲劇のヒロインを演じるのではなく、きっと母親や周囲には強気に見せる子だと思うんです。親に対して本当は愛が欲しいけれど、それを表に出さない強さを持った女の子だと思うので、そういった二面性が出せたらいいなと思います。
――前回の舞台以来、久々の稽古になるかと思いますが、稽古に向けて取り組みたいことや楽しみにされていることはありますか?(取材は稽古開始前)
一番は体力作りかなと思っています。とてもエネルギーを使う分、体力を消耗すると思うので、そのためにも今から体力作りを始めています。でも、この作品に入って、演出家さんや共演者の方々からたくさん学ぶことが多いと思うので、まずは稽古中にいろいろなことを吸収できたらいいなと思います。
――初めての舞台出演の際も、かなり体力を使われましたか?
その印象はあります。そのときは初舞台でさらに主演だったので、出番が多かったこともあるかもしれません。頑張って体力作りをしないと、体調を崩してしまったり役に集中できなかったりすると大変なので、今から頑張っています。
取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:梁瀬玉実
公演概要
『レイディマクベス』
作:ジュード・クリスチャン 演出:ウィル・タケット
音楽:岩代太郎 美術・衣裳:スートラ・ギルモア 翻訳:土器屋利行
音響:井上正弘 照明:佐藤啓 ヘアメイク:川端富生 舞台監督:本田和男
出演:天海祐希 アダム・クーパー 鈴木保奈美 要 潤 宮下今日子 吉川愛 栗原英雄
主催:TBS 読売新聞社 研音 tsp 企画:tsp 制作:TBS & tsp
【東京公演】
2023年10月1日(日)〜11月12日(日)
よみうり大手町ホール
【京都公演】
2023年11月16日(木)〜11月27日(月)
京都劇場