真田佑馬×梅津瑞樹インタビュー『キルミーアゲイン’21』「人生の岐路に悩む人に絶対に“ささる”舞台です！」（後編）

2021.10.02

INTERVIEW

劇団鹿殺しの活動20周年記念公演『キルミーアゲイン’21』が、9月30日（木）に東京・紀伊国屋ホールにて開幕。

関西学院大学在学中に菜月チョビと丸尾丸一郎が中心となり旗揚げした同劇団は、2005年に活動の拠点を東京に移し、路上ライブや強烈なキャラクターが登場する独自の世界観を描き演劇ファンの支持を得ました。

『キルミーアゲイン』は、2016年の劇団15周年記念公演として上演され好評を博した音楽劇。『ザ・ショルダーパッズ』でも競演したシンガーソングライターのタテタカコさんが今作でも音楽を担当し、ゲストには真田佑馬さん（7ORDER）、梅津瑞樹さんら2.5次元舞台でも活躍する若手実力派キャストや、小林けんいちさん（動物電気）、谷山知宏さん（花組芝居）ら個性派俳優陣が集結！　

超強力布陣でお届けする劇団鹿殺し渾身の作品の見どころや、稽古場での爆笑エピソードなど、真田佑馬さんと梅津瑞樹さんにたっぷり語っていただきました。

インタビュー前編はこちら

「先入観を抜きに、ニュートラルな状態で楽しんで！」（真田）

「見どころは“貝殻ビキニ”です」（梅津）

――『キルミーアゲイン』というタイトルのインパクトから「どんなサスペンス作品なんだろう？」とイメージしていたのですが、全然違うみたいですね。

真田　「キルミーアゲイン＝もう一度殺して」って、すごいタイトルですよね。

梅津　僕は最初に聞いた時に、すごくおしゃれなタイトルだなと思いました。“死”からの“再生”っていう意味も込められたタイトルが、すごくいいなって。でもタイトルのスタイリッシュさに相反して、土臭さのあるストーリーなので、そこでまずひとつ大きな“裏切り”があるんですよね。

真田　“再生”にもいろんな意味があるけど、「もう一度やり直す」っていう意味では人生半ばにして思うことがある人が見たら絶対に“ささる”舞台になっていると思います。

――本作は、歌あり・ダンスあり、笑いありのストーリーですが、真田さんが思う本作の“見どころ”は、どんなところですか？

真田　あー、説明するのがめちゃめちゃ難しい！　全てのシーンが、おもちゃ箱をボーンとひっくり返したような感じで、いろんな見どころが散りばめられている作品なんですよ。個人的には、タテタカコさんの曲を菜月チョビさんが歌っているシーンが“見どころ”です。めちゃくちゃ素敵な曲で、「なんで俺は歌えないんだろう」って、ちょっと悔しく思ってます。普通に7ORDERでカヴァーしたいくらい好きな曲なんです。

――梅津さん的“見どころ”は、どんなシーンですか？

梅津　どこだろう？　全シーンがキャッチーで、絶対に観ていて飽きない作品になっているから「ここ！」って挙げるのは難しいなぁ。

真田　梅の見どころは“人魚”でいいんじゃない？

梅津　それは佑馬くんもでしょ（笑）。“貝殻ビキニ”を着るために僕ら体も絞ったし、頑張った結果を皆さんに届けられるのが楽しみですね。どんな反応が返ってくるんだろう？

真田　それなんだけど、ひとこと言わせて！　俺ちょっとでも“バケモノ”にならないように可愛い感じでやろうとしていたんだよ（苦笑）。「さなぴー、さすがだね」「可愛いのもいけるね」って言われたいから、頑張って体も絞って衣装合わせに行ったんです。でもメイクをして衣装を着た俺を見て、演出の（菜月）チョビさんが納得いってない感じで、いろんなところをチョキチョキされて、どんどんバケモノにされて･･････。

梅津　恥ずかしさをしのんで人魚の格好になったのに、可愛く完成した姿を見て首をひねられるとは心外でした（笑）。

真田　やっぱり人魚の世界は男性が虐げられているから･･････。まぁ、そんな感じで笑いの多い舞台になっているので、観劇中は声は出せないけれど心の中で笑ってください（苦笑）。

――今回の舞台で、どんな姿を見せたいですか？

真田　ポスターを見たら絶対にカッコイイ感じの舞台をイメージすると思うし、俺や梅のファンの方たちはカッコイイ芝居を期待して来る方も多いと思うんです。でもマジでそんなことないし、先入観を抜きにしてニュートラルな状態で楽しく観て欲しいですね。そもそもエンタメは笑わせてくれるものだと思うし、様々な感情を生んで心を動かしてくれるもの。辛いことがあった時も「また明日から頑張ろう！」と力をくれるのがエンタメだと、この1年半で僕自身再確認できたんですよね。舞台の上と客席でエネルギーのキャッチボールが出来る作品になったらいいなと思っています。

梅津　僕は･･････まぁ「あいつ、いろいろやれるじゃん」と思っていただければいいかな（苦笑）。いろんな舞台に出演させていただく度に、それぞれの現場や演出家さんに合った芝居のプランを考えるし、そのためには自分が持てる“武器”みたいなものが多ければ多いにこしたことはないと思っているんですよ。今回、初めて劇団鹿殺しの稽古に参加させていただいて、自分の考えを提示するためにもいろんな武器を持つことを忘れないようにもっと貪欲でいたいと改めて思いました。「こういうのも出来ますよ」って見せて「あ、いいね。でもやめとこうか」で終わったとしても、それはそれで楽しいし、「自分、こんなことも出来るんだ」「こんな声も自分出せるんだ」みたいな新たな発見にもつながるので、そんな自分自身の中にある“武器”を常に意識しながら、今後も生きていこうと思います。

真田　最後のひと言、重すぎるだろ（苦笑）。

梅津　あはは！

――お二人は2020年の舞台『27 –7ORDER-』以来久々の共演ですが、稽古場で再開してお互い「変わったな」と思うことはありましたか？

真田　いい意味で全然変わってないよね？　いつも通りの適度な距離感だし（笑）。俺ら二人とも、もともと張り切るタイプじゃないし。先陣を切って「いえ～い！」ってやるよりも、人の輪っかからちょっと外れたところに居て、たまにボソッとつぶやいた時に梅が隣でニコニコしている状況が俺は心地良かったりする。

梅津　それは僕も一緒。この1年ちょっとで世の中的には、コロナ過でエンタメを取り巻く環境はガラッと変わったけれど、久しぶりに佑馬と会って、あまりの変わらなさに「人の心はそうそう変わらないんだな」って安心しました。

真田　それ、ほめてるのか（笑）？　

――では最後に、上演を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いします。

真田　劇団鹿殺し活動20周年記念公演『キルミーアゲイン’21』は、とてもエネルギーにあふれた舞台です。そのエネルギーを受け取ってもらって、また明日から心楽しく過ごせる力になったり、劇場に来てくださったお客様には嫌な事や不安を忘れて心から楽しんでもらえるように、僕たちは一生懸命に「いい舞台」を作るだけです。声は出せないけど心の中で思いっきり笑って日ごろのストレスを発散しつつ、作品に込められたメッセージが皆様の胸に届いたら嬉しく思います。

梅津　舞台やライブを観に行くことで、モヤモヤしていた心が心がスッキリして「また明日から頑張ろう」とパワーがみなぎったり、感動の涙で心が浄化されるような感覚になることが「魂の再生」なのかなと思うんですね。日々の生活の中でも心が死んだような感覚になってしまう辛い出来事があるかもしれませんが、どんな作品も「見てくださる方々にとって変化のポイントになるといいな」と思って僕らはその役の人生を生きているので、そんな想いを受け取っていただけるように誠心誠意演じさせていただきます。どうぞ楽しみにしていてください。

劇団鹿殺し活動20周年記念公演『キルミーアゲイン』は、9月30日（木）から10月10日（日）まで東京・紀伊國屋ホール、10月15日（金）から10月17日（日）まで大阪・IMPホールにて上演される。

10月9日（土）13:00／18:00、10月10日（日）13:00の公演は配信もあるので、詳細は公式サイトをチェック！