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高橋惠子、永田崇人、小林亮太ら出演、新納慎也演出。Musical『HOPE』ゲネプロ&取材会レポート!

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10月1日(金)~17日(日)まで下北沢・本多劇場にて上演されるMusical『HOPE』。本作は、著名作家の遺稿の所有権をめぐって、実際にイスラエルで起こった長きにわたる裁判をモチーフに描いた法廷劇だ。韓国芸術総合学校の卒業制作として2017年に誕生したのち、2019年に韓国で初演が上演。その完成度の高さからすぐに翌年再演されるなど、韓国での注目度が非常に高く、今回は日本版として初めて上演される。

物語では、主人公・ホープの交錯する過去と現在を追いながら、もう一人の主人公で原稿の擬人化である「K」(ヨーゼフ・クラインの頭文字/埃を被った原稿)や、クラインの才能を守ろうとするベルト、ホープの母でありベルトの恋人マリー、過去のホープ、戦争を逃れてきた難民カデルらとともに、ホープが生きた数奇な運命が描かれていく。

幕開けに先駆けて行われたゲネプロおよび取材会には、本作で演出家デビューを飾り、上演台本・訳詞も手掛けた新納慎也、俳優歴51年目にしてホープ役で初ミュージカル主演に挑む高橋惠子、WキャストでKを演じる永田崇人と小林亮太が登壇。その模様をお届けする。

――新納さんは今回が初めての演出、さらに上演台本と訳詞にも取り組まれていますね。間も無く初日の幕が開きますが、今の思いや手応えを聞かせてください。

新納:僕は昨日の舞台稽古の時点で演出家席で号泣してましたので。あとは早く本番が観たいという、お客様と同じ気持ちでいます。もうわくわくが止まらないですね。

――演出を手がける大変さはありましたか?

新納:大変ではありましたけど、とても楽しかったです。役者の皆さんもスタッフの皆さんもとても協力的で、演出家に歯向かう大女優だったりもいませんでしたし(笑)。とても平和な稽古場でした。

――新納さんが初演出をされるということで気合の入った現場だったのではと思いますが、稽古中の演出や、稽古全体のことで印象に残っていることを聞かせてください。

高橋:私も初めてのミュージカルですので、演出家が新納さんじゃなかったらできなかったんじゃないかなと思うくらい、分かりやすく細やかに教えてくださって。新納さんも役者をやってらっしゃるからこそ、役者の気持ちと、ミュージカルを初めてやる素人の私のことがよく分かってらしたんでしょうね。手取り足取りじゃないですけど、分かりやすく教えてくださって、とてもありがたかったです。

永田:惠子さんも今おっしゃっていたんですけど、新納さんも普段は俳優さんなので、稽古をしていても「こうやってやるんだよ」って一曲歌って見せてくれたりしたんです。それがすごく印象的でしたし、とてもやりやすかったです。初演出っていうのが信じられないくらい。

高橋:演出家にすごく向いてると思う。

新納:そうなんです(笑)。

高橋:これからもどんどんやってください。

新納:ありがとうございます。

小林:新納さんの持つ空気感みたいなものが、すごく皆を温かくしてくれて。稽古場でピリつくこともなかったですし。言葉を大事にされている方だからこそ、そういった部分も丁寧な演出だなと感じました。例え話も交えてくださって……座組で誰も分からないなんてこともあったりしましたけど(笑)。そういうユーモアのあるところがすごく、演出家として素敵な方だなと感じていました。

――どんな例え話をされたんですか?

新納:どんな話をしたんだろう? あまりよくは覚えていないんですが、僕は普通に分かりやすく例えを出したつもりだったんですけど、座組の皆がキョトンとして終わるみたいなことがけっこうありました(笑)。

――高橋さんは今回ミュージカル初主演を務められますが、大変だったことや、ストレートプレイの舞台とはちがうなと感じたことがあったら聞かせてください。

高橋:ミュージカルをやっている役者さんは本当にすごいなと、改めて思いました。今回私は踊りはほとんどないんですけれども、歌って踊って、そして芝居をして。音楽の間奏の間にセリフを終わらせなければいけなかったりと、ストレートプレイとはちがういろいろな要素があって。でも、音ってやっぱりすごくいいなって思いましたし、音楽の素晴らしさを実感しましたね。言葉だけでは伝わらないものが、メロディや音になることで、観ている方に伝わっていくこともありますし。ハーモニーの美しさや、動きによって表現できるというミュージカルの素晴らしさを感じました。

――K役のお二人はダブルキャストで本作に臨まれていますが、お互いの印象や、ダブルキャストでよかったと思ったことについて聞かせてください。

永田:亮太は見て分かるように、やさしさが溢れ出ている子なんです。惠子さんからよく言われるのは、僕がガキで、亮太のほうがお父さんだと。僕のほうが五つくらい年上なんですけどね。まぁ、僕は納得してないです(笑)。……とまぁ、すごくやさしくて。僕が稽古に遅れて合流した時にも、いっこいっこ丁寧に教えてくれたんです。

高橋:だって、ちょっと肌寒い日に上着を忘れてやって来たら、「亮太、ちょっと上着なにかない?」って言っていて。仲がいいんですよね。

小林:「貸して」って言われました(笑)。

永田:本当にやさしくしていただいています。

小林:僕はきちんとしたダブルキャストが初めてだったので、稽古に入るまではすごく怯えていた部分があったり、「崇人くんかぁ」「同じKを作る身として、どんな心境になるんだろう」って思っていたりしたんですけど。稽古も交互に行ったりするんですが、それで発見できることがたくさんあるし、お互い気付いたことを稽古の後で一緒に帰りながら話をしたり。場当たり中も「昨日はあそこがこうだったよね」っていう話をいっしょにできる相手がいてくれるのは、すごく心強いなって思います。感謝してます。

永田:え、それだけ? もっと全然言っていいよ!?

小林:楽屋では一番うるさいです(笑)。

――ではあらためて、初日の開幕を目前にしての意気込みと、ご来場くださる皆さんへのメッセージをお願いします。

高橋:この『HOPE』という作品は、本当に奥が深いと感じています。稽古をしていてふと思ったんですけど「これは私、生まれる前からこの作品をやるって決めて来たんだ」って。それくらい、私にとってやらなければならない作品なんです。(ホープは)ユダヤ人役なんですが、ユダヤ人だったということのつらさや悲しみを、多分私は世に訴えたかったんだろうと。(劇中の)裁判では過去をずっと振り返って抉られるような思いもするんですけども、その度に新納さんがおしゃっていたのが「これはセラピーみたいなもので、浄化されるんだ。裁判を受けていく中で、ホープは浄化されている」と。そして最後に本当に新しく旅立っていく。そのことが、自分にとっても、観てくださっている方にとっても、こういった今の状況の中で、何かの希望になっていったらいいなと感じています。ぜひ観ていただけたらと思います。

永田:『HOPE』というタイトル通り、この作品を見てていただければ希望が芽生えると思います。新しいことにチャレンジするのはやはり勇気がいると思うんですよ。僕もミュージカルはあまりやってこなかったので、今回自分の中ではけっこうチャレンジだったんですけど。何かをやってみたいなと思いながらモヤモヤした思いを抱えている人の背中を押してくれる作品になっていると思うので、ぜひ劇場にお越しください。よろしくお願いします!

小林:僕もKとして、歴史ある本多劇場でこの作品を上演できることを、すごく自分の中で大事にしながら、日々みなさまの心を浄化できるよう、愛を持って作品をお届けしたいと思います。緊急事態宣言も明けて、当日券も出るとのことなんですが、下北沢に来て「あ、舞台観たい」って思った時に当日券があるってすごく嬉しいことだなと思うんです。なので、ぜひ、時間があれば足を運んでいただけたらと思います。よろしくお願いします!

新納:ちょうどコロナ禍が始まった昨年の4月、突如緊急事態宣言が出るぞっていう時に、僕は舞台上にいたんです。20回以上公演を予定していたものが、4回しかできないまま“不要不急”という言葉によって舞台を終えるしかなかった。それがこの本多劇場でのことだったんですけど。それからこういう形でカムバックできたことが、すごく感慨深いです。しかも、ずっとやりたかった演出という形で。

世界中が一年半耐えてきた、亡くなった方もたくさんいらっしゃる、そしてこの先どうなるかも今だに分からない。そういうコロナ禍という状況だからっていうわけではないですけど、ホープの人生を見ていると、生きることの大切さや、どう生きるかということをすごく考えさせられます。

文・撮影:古原孝子

舞台写真

永田崇人さん×小林亮太さんMusical『HOPE』インタビュー(前編)はこちら

永田崇人さん×小林亮太さんMusical『HOPE』インタビュー(後編) こちら

公演概要

Musical「HOPE」
Book & Lyrics by Kang, Nam Composer & Arrangement by Kim, Hyo-Eun
Original Production by R&D Works

上演台本・訳詞・演出:新納慎也
振付:木下菜津子
音楽監督:落合崇史

出演 :
高橋惠子 永田崇人・小林亮太(Wキャスト)/清水くるみ 白羽ゆり/
中山昇 縄田晋 染谷洸太 木暮真一郎/上山竜治/大沢健

公演期間:2021年10月1日(金)~17日(日)
会場:下北沢・本多劇場

公式サイト:https://www.musical-hope.com
公式Twitter:@MusicalHOPE2021

主催:HOPE製作委員会(atlas/エイベックス・エンタテインメント)
お問合せ:atlas/ticket2@g-atlas.jp

ライブ配信決定!詳細はHPをご覧ください。

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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