上田誠（ヨーロッパ企画）×小御門優一郎（ノーミーツ）インタビュー 「物語の中に入ったような体験ができると思います」
2022年3月に上演された、オールナイトニッポン55周年記念公演『あの夜を覚えてる』の続編となる、舞台演劇番組イベント生配信ドラマ『あの夜であえたら』が、2023年10月14日(土)・15日(日)、ニッポン放送を飛び出して、今度は、東京国際フォーラム ホールAにて会場と配信の両方で上演されます。
製作総指揮を石井玄さん、脚本・演出を小御門優一郎さん、監修を佐久間宣行さんが務めます。
そして、前作『あの夜を覚えてる』の出演者全員が続投。5人の新キャストを加えた14名で贈られます。髙橋ひかるさん、千葉雄大さん、工藤 遥さん、入江甚儀さん、山口森広さん、吉田悟郎さん、 山川ありそさん、鳴海 唯さん、相田周二(三四郎)さんが続投。さらに、新キャストとして、中島 歩さん、井上音生さん、高野ゆらこさん、渡辺優哉さん、小松利昌さんが加わりました。
THEATER GIRLは、本作で脚本・演出を務めるノーミーツの小御門優一郎さん、ヨーロッパ企画代表の演出家・上田誠さんにインタビュー。9月9日からは、上田さんが作・演出を務めるヨーロッパ企画第42回公演「切り裂かないけど攫いはするジャック」も上演されます。
インタビューではお互いの印象や作品の見どころなどについて、たっぷりとお話をうかがいました。
小御門さんは「すごく変幻自在」、上田さんは「フラットな精神を持ち続けている方」
――お二人は以前、舞台のアフタートークで初めてお会いされたとのことですが、お互いの印象について聞かせていただけますか？
上田：すごく変幻自在な感じがしますね。演劇というものを柔軟にいろんなメディアに変容できる方だと思います。
小御門：嬉しいですね。僕らの団体ノーミーツは、演劇にこだわらずいろんな形で面白いことをやりたいと思っているので、その先駆者的な存在のヨーロッパ企画さん、さらに代表の上田さんのことは、以前からとても意識させてもらっていました。
でも以前、配信のことで提案を持ちかけたらすごくフランクにお返事をくださったり、アフタートークにも来てくださったりして、面白いことに対してすごくフラットな精神を持ち続けられている方なんだと、その時に実感しました。
物語の中に入ったような体験ができると思います
――今回上演される、『あの夜であえたら』は、2022年に上演された『あの夜を覚えてる』の続編で、 舞台演劇番組イベント生配信ドラマということですが、どんなところが見どころになりそうでしょうか。
小御門：東京国際フォーラム ホールAを、とにかくその“場所”そのものとして使い倒します。番組イベント本番の時間だけではなく、幕が開くまでの直前の時間のドタバタや客席、裏の楽屋、エントランスまで全体を使って、我々が培ってきた生配信の映像をいろんなとこから飛ばすという技術を用いるので。場所をハックしている感じを楽しんでいただけるのではと思います。
さらに、今回は有観客でやるので、その一体感も体感してほしいですし、且つ、その場所にリスナーが存在することが物語の後半にすごく意味を持ってくるので、本当に物語の中に入ったような体験ができると思います。そういうところが見どころですね。
――現地でも、配信でも、どちらでも楽しめそうですね。
小御門：そうですね。今回、ステージ上と客席とのコールアンドレスポンスみたいなものがあって、それは配信でも意思表明ができます。少し普通の演劇と違うのは、観客でありリスナーのリアクションが、作中のキャラクターたちに届くというのが、『あの夜』シリーズの魅力だと思っているので、それが会場でも配信でも両方できる形にしたいとは思っています。
――上田さんも、オールナイトニッポン55 周年記念公演として、『たぶんこれ銀河鉄道の夜』の演出を務められていましたが、この企画についてはどんな印象を持たれましたか？
上田：演劇でその場所を“場所”として使うのってすごく当たり前のことではあるんですよね。すごく分かりやすいし、いわゆる舞台上にフィクションな空間を作るということとは全く違って、正解という感じがしました。
それで奇しくも自分たちがやろうとしている演劇の公演と路線が逆なので面白いなと。僕は、今回の公演では、舞台上に19世紀のロンドンをどうやって作るかということを考えているので。どちらが正解という訳ではなくて、多分どっちも答えではあると思うんですけど、面白いなと思いました。
小御門：ただ、上田さんも絶対お出来になるというか、『リバー、流れないでよ』にしても、周辺の地理や構造が完全に頭に入っていないと、あのように組めないじゃないですか。ヨーロッパ企画さんが「九十九龍城」でやっていた場所ハックみたいなものを、 現実の劇場空間でやっても絶対面白いだろうなって。
上田：そう、その場所の文脈を物語の中に取り込むのって、多分僕が得意なやり方なんです。ただ、本当に冗談抜きで、ラジオでそれはできないと思っていたんですよ。要は、貴船って明らかに映画的風情があるじゃないですか。それに比べて、ラジオ局や東京国際フォーラムは、殺風景とは言わないけど、そういうことができるのかあまり想像がつかなかったんです。
ニッポン放送さんと一緒にやる時も、「ラジオを題材に作ってください」と言われて、ラジオでそういう味わいが出せるのかなと、なんとなくお題を消化できずにいたんですけど、小御門さんはそういう空間をちゃんとエモーショナルにされますよね。
小御門：うまくいくかは本当にこれからなんですが、 やっぱりいろんなエンタメが増えれば増えるほど、ラジオが特別に好きな人っていうのが、より際立って来ると思うんです。
それこそゲームや映画の映像表現の技術がどんどん上がっていって、メディアとして完成していけばいくほど、俺たちはこのラジオという、音声しかない不完全なメディアだから好きなんだという感情が、トレードオフ的に高まっているような気がして。その気風があるから、今こういう企画ができているのかなという気もします。
上田：そういうことってあるんですよね。サザンオールスターズが、それこそ湘南という場所に、一生分のエモーションを見つけた道があるじゃないですか。僕らも、『サマータイムマシン・ブルース』では大学の部室だったり。そういう場所に「自分たちは伝説を作れた」という感覚があったんですけど、『あの夜』シリーズは、ニッポン放送さんのラジオという、そこにある青春をちゃんと見出したのが大発明で、だからこんなにお客さんも熱狂しているんだと思いましたね。
「ぜひ物語の世界の中に参加しに来てほしい」「だいぶ珍しい出し物をお見せします」
――では、最後になりますが、上演を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
小御門：『あの夜であえたら』は、引き続き、ラジオが好きなリスナーのために、ニッポン放送とノーミーツとキャスト、スタッフ一同で作っております。前作がそうであったように、見てくださる観客、リスナーが物語の中に介入してくれることで初めて完結する物語です。
今回、「好きなもの・ことの継続性」がテーマになっていて、“あの夜は、終わらない”というキャッチコピーもついています。『あの夜』シリーズそのものが終わるか続くかというのも、観客のあなたの手に委ねられているところがあるので、ぜひ物語の世界の中に参加しに来てほしいなと思います。
上田：切り裂かないけど攫いはするジャックがテーマの舞台をヨーロッパ企画25周年ツアーとして上演します。19世紀の、切り裂かないけど攫いはするジャックがロンドンの街を席巻して、そこにスコットランドヤードから刑事がやってくるという、非常に推理劇らしい推理劇です。以前からちょっとそういうことをやってみたかったんです。
ヨーロッパ企画を25年やってきた末にこういうミステリー劇をやりますが、普通の推理劇に見せかけて、ちょっと驚くような仕掛けをやろうと思っています。そういう意味だと、小御門くんが言っていた体験に対比するとしたら、僕らは出し物ですね。だいぶ珍しい出し物をお見せしますので、ぜひ観に来てもらえたらと思っております。
取材・文：THEATER GIRL編集部
公演概要
『あの夜であえたら』
キャスト：
髙橋ひかる
中島歩、工藤遥、入江甚儀、井上音生、高野ゆらこ、渡辺優哉、小松利昌
山口森広、吉田悟郎、山川ありそ、鳴海唯、相田周二（三四郎）
千葉雄大
スタッフ：製作総指揮 石井玄
脚本・演出 小御門優一郎
監修 佐久間宣行
主題歌 Ado
運営 キョードー東京
制作・宣伝 エイベックス・エンタテインメント
主催・企画・制作 ニッポン放送、ノーミーツ
日程：
2023年10月14日(土)16:00開場／17:00開演
2023年10月15日(日)15:00開場／16:00開演
会場：東京国際フォーラム ホールA
配信 ： オンライン劇場ZA
チケット：＜会場＆配信セットチケット＞
・プラチナシート ¥19,000（全席指定・税込）
特典①：お座席は1階席確約！
特典②：ほかのお客様より一足先にロビーや物販ブースに入場可能！
特典③：ペンライトがもらえます！
・通常席(ペンライト付) ¥14,000（全席指定・税込）
特典：ペンライトがもらえます！
・通常席 ¥13,000（全席指定・税込）
＜会場チケット＞
・プラチナシート ¥15,000（全席指定・税込）
特典①：お座席は1階席確約！
特典②：ほかのお客様より一足先にロビーや物販ブースに入場可能！
特典③：特別なペンライトがもらえます！
・通常席(ペンライト付) ¥10,000（全席指定・税込）
特典：ペンライトがもらえます！
・通常席 ¥9,000（全席指定・税込）学生チケット（２階席） ￥5,500（2階席・全席指定・税込）
＜配信チケット＞¥4,500（税込）
※アーカイブ期間：各公演終了後〜11月5日(日) 23:59迄
公式サイト：https://event.1242.com/events/anoyoru2
公式SNS：https://twitter.com/ann55_anoyoru
ヨーロッパ企画第42回公演「切り裂かないけど攫(さら)いはするジャック」
～ヨーロッパ企画25周年ツアー～
作・演出＝上田誠 音楽＝青木慶則
出演＝石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅
土佐和成 中川晴樹 永野宗典 藤谷理子 ／
金丸慎太郎 早織 藤松祥子 内田倭史 岡嶋秀昭
栗東プレビュー公演 栗東芸術文化会館さきら中ホール 2023/9/9(土)
京都公演 京都府立文化芸術会館 9/14(木)～9/17(日)
東京公演 本多劇場 9/20(水)～10/8(日)
高知公演 高知県立県民文化ホール グリーンホール 10/11(水)
福岡公演 キャナルシティ劇場 10/14(土),10/15(日)
広島公演 JMSアステールプラザ 中ホール 10/17(火)
大阪公演 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ 10/20(金)～10/22(日)
横浜公演 関内ホール 10/28(土)
名古屋公演 愛知県産業労働センター (ウインクあいち) 大ホール 11/3(金祝)
魚津公演 新川文化ホール 小ホール 11/11(土),11/12(日)
