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花總まりインタビュー 舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』「どう感じるかは皆さんの自由。ぜひ気楽にこの不思議な世界を楽しんでほしい」(後編)

INTERVIEW

2024年4月1日(月)から、東京・日本青年館ホールにて、舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』が開幕します。

原作は、アンドリュー・カウフマンによるファンタジー小説。このたび、G2さんの脚本・演出によって世界で初めて舞台化されます。

銀行に突如現れた風変わりな強盗によって、魂の51%を奪われた13人の被害者たち。被害者の一人であるステイシーは、目に見えた被害には見舞われなかったものの、ある晩から少しずつ自分が縮み始めていることに気づく。夫からは気のせいだと言われるが、縮んでいくペースを計算し、8日後には自分が消えてしまうと知り……。

今回THEATER GIRLは、ステイシーを演じる花總まりさんにインタビュー。後編では、作品がもつメッセージ性や本作への意気込みを中心に、花總さんの身に起こった最近の「事件」についてもうかがってきました。

インタビュー前編はこちら

解釈の仕方に正解はない、自分も突然「あ!」と思う日が来るかもしれない

――本作の奇想天外なエピソードやファンタスティックな設定は、公式サイトで「現実社会のさまざまな事象のメタファー(暗喩)になっている」とありました。ステイシーが縮んでいくことは、花總さんは何のメタファーだと感じていますか?

まだそれは私自身もわからなくて、向き合っている最中です。ステイシーは強盗に思い入れのあるものを差し出すよう要求され、電卓を渡し、そして身体が縮んでいく……。もちろん違うパターンもあったと思うのですが、結果的にその電卓は夫婦間を繋いでいるものであって、そこを考えるとややこしいなと。

実際にやりとりをしながら、もしかしたら一つ一つの台詞が引っかかってきて、話しているうちに「もしかしてこういうことだったの?」と自分なりに解釈できる日が来るのかなと思って。それこそ、何年後かに「あれってこういうことだったのかな?」と発見することもあるかもしれません。だから、自分が今回のステイシーの事象をどう捉えていくのか、楽しみでもあります。もしかしたら公演中に「あ!」と思う日が来るかもしれないし、終わってから思うのかもしれないし。

――ある日突然感じるかもしれない、と。

お客さまによっても捉え方は違うと思うんです。舞台の感想についてお客さまからお手紙をいただくと、「この方はこういうふうに捉えていたんだ。読みが深いな」と感じることがあって、逆に教えられることもたくさんあるので、今回はより一層皆さんにとっても考察しがいのある舞台になると思います。

――手紙でお客さまやファンの方から教えられることもあるというのは素敵なエピソードですね。今回の舞台は、どんな方に届くといいなと思いますか?

本当に幅広いと思うんです。13人のエピソードもさまざまな登場人物が出てくるので、いろんな世代の方に観ていただいて、自分なりの答えを何か見つけ出してもらえたらうれしいなと思います。

お客さまの自由に受け取ってほしい作品だと思いますね。強盗にしても、被害者にしても、それぞれのエピソードにしても、解決するパターンにしても、すべての要素を観る方それぞれに委ねることができる。観終わったあとに、自由に考える余韻に浸れるといいますか、私たちが投げかける立場なのかなと思います。

「実はほんのちょっとしたことで人生は良い方向に変えられる」

――強盗は被害者13人の思い入れのあるものを受け取り、それぞれの魂の51%を手にします。そして「自ら魂の51%を回復しない限り、命を落とすことになるだろう」と告げるわけですが、その設定も不思議な感じがしますよね。

翻訳者の方とお会いしたときに「51%も持っていかれているので『そんなに?』と思ってしまいますが、よくよく考えるとたった2%頑張れば半分以上は取り戻せるので、大変そうに見えるけれど、実はほんのちょっとしたことで人生は良い方向に変えられるんだよということを言いたいのではないか?」とおっしゃっていたんですね。

でも、これをすれば回復できるというのは、すぐには分からない。作品の中でも、自分の感情が変わっていって、ふとしたことではっと気づき、違う展開になっていく。

もしかして追い詰められないと気づかないのかもしれませんが、取り組んでいるうちに「あ、もしかして?」というのがおそらく浮かぶのでしょうね。自分の内面を見つめて、そこで何かに気づいて取り戻すことができるのかなと思います。

ぴったりとモノが収まる状態“シンデレラフィット”に快感!

――ちなみに、花總さん自身はステイシーのようにいろんなものを測るタイプですか?

たまたま昨日お稽古場でG2さんが「たとえばステイシーはここからここまでの距離をミリ単位で測る。何かを買うときにも『何センチ、何ミリだから』と測るような女性なんだよ」とおっしゃっていて、それを私がうんうんと頷いていたら「(花總さんも)そうなの?」と聞かれたんです。

「シンデレラフィット」ってよくいいますが、隙間にカラーボックスを入れるとなったら、きっちりはまらないと嫌だからそこは何センチ何ミリと細かく測ります。それが綺麗にはまったときに「はー、気持ちいい!」と思うタイプではありますね。

――しっかりと巻き尺で測って?

測ります! だからそこはステイシーにとても共感できますね。入らないと、悔しいじゃないですか。なので、家の中のものは何かと巻き尺を出して測っているかもしれないです(笑)。

花總さんがつい焦ってしまった「事件」とは?

――作品のタイトルにかけて、花總さんの身に起こった最近の「事件」があったら教えていただきたいです。

こないだ新幹線で品川駅から大阪駅に公演で行かなければいけないのに、間違えて東京行きのホームで待ってしまったんです。なぜなら、どちらも発車時刻が一緒で。

東京行きのホームで待ちながら、なんだか嫌な予感ってするんですよね(笑)。「あれっ?」と思って電光掲示板を見たら、「えっ……違う!」と思って。そうしたら向こう側の大阪行きの新幹線がすでに来ていて、「はあああ、どうしよう!!!」とヒヤッとした事件がありました。

――それから走って向かい側のホームに行かれたのですか?

いえ、もう間に合いませんでした(笑)。気づいたときには向こうのホームに新幹線が入っていたので、「なんで同じ時間なのー!?」と思って、それ以来はホームを間違えていないかかなり気を付けて見るようになりましたね(笑)。

――たしかに、同じ時刻だとついつい間違えてしまいそうですね……。では最後に、公演を楽しみにしている皆さまに向けて本作の意気込みをいただけますでしょうか。

一言で言うと、本当に奇妙な物語なんです。それをどう捉えるか、どう感じるかはすべてお客さまの自由でもある作品です。

けれどその中でも原作者が伝えたいことに大切なものがあると思うので、それは私たち演者も皆さまに感じ取っていただけるよう、精一杯頑張りたいと思います。どうぞ気楽に、この不思議な世界を楽しみにいらしてください。

取材・文:矢内あや
Photo:野田涼
ヘアメイク:野田智子
スタイリスト:戸野塚かおる

ワンピース¥275,000
インドゥエリス
03-3447-0852

インタビュー前編はこちら

公演概要

舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』

【東京公演】 2024年4月1日(月)~4月14日(日) 日本青年館ホール
【大阪公演】 2024年4月20日(土)~21日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
【名古屋公演】2024年4月26日(金)〜28日(日) 御園座

【CAST】
花總まり 谷原章介
平埜生成 入山法子 栗原英雄
中山祐一朗 吉本菜穂子 幸田尚子 楢木和也 西山友貴 吉﨑裕哉 山口将太朗  黒田勇 須﨑汐理 山崎眞結

【STAFF】
原作:アンドリュー・カウフマン
脚本 / 演出:G2

【チケット情報】
S席:¥11,800- A席:¥9,800-
諸注意
・未就学児入場不可
・車椅子でご来場のお客さまは車椅子スペースに限りがございます。S席をご購入の上、事前に0570-084-617(11:00〜16:30)にご連絡ください。
・公演中止、または主催者がやむを得ないと判断する場合以外の払い戻しはいたしません。
・チケット購入後の変更、キャンセルはできません。
・今後の社会情勢に応じて、開演時間及びチケットの販売等が変更となる可能性がございます。
・営利目的でのチケットの購入ならびに転売は固くお断りいたします。
<公演に関するお問い合わせ>舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』事務局0570-002-029(平日10:30~18:30)
<チケットに関するお問い合わせ>お問い合わせダイヤル 0570-084-617(11:00~16:30)

主催 TBS / ローソンエンタテインメント

公式HP:https://www.thetinywife.com

Copyright © 2010 by Andrew Kaufman
Used by permission of The Rights Factory Inc. through Japan UNI Agency, Inc., Tokyo

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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