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竹中凌平が役者として歩む理由「表現することに魅力を感じて」【シアダン vol.01】(前編)

INTERVIEW

THEATER GIRLが注目する“今知りたい若手俳優”へのインタビュー企画「シアダン」。

記念すべき第1回にお招きしたのは「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」で主演の沢田綱吉役を演じ、今年1月にはテレビアニメ「W’z《ウィズ》」のオープニング主題歌『Reason』にてCDデビューも飾った「竹中凌平(たけなか・りょうへい)」さん。

7月には舞台「博多豚骨ラーメンズ」に女装の殺し屋 林憲明役で出演される竹中さんに、前編では役者になったきっかけや、これまで演じた様々な役柄について振り返りながら、じっくりと語っていただきました。

インタビュー後編はコチラ

役者の世界に飛び込んだきっかけ「尾崎豊さんに憧れて・・・」

――まずは役者の仕事を始めたきっかけについて聞かせてください。

直接のきっかけになったのは、大学の入学式でスカウトされたことなんですが、この役者業にも通じる何かしら“表現をする”ということに魅力を感じるようになったのは、小学生の頃、テレビの歌謡曲特集で尾崎豊さんのライブを観た時からなんです。当時の自分はあまり感情を表に出さないように、静かに過ごしていたので、テレビで見た尾崎豊さんにかなり衝撃を受けたのを覚えています。その衝撃は僕の生き方を変えましたね。以前は表に出たいなんて思うような性格では全くなかったので、人間って変わるものなんだなとつくづく思いますね(笑)。

――竹中さんにとってのお芝居は、表現することの手段なんですね。役作りの上ではどんなことを大切にしていますか?

そうですね、まず、オリジナル脚本の舞台でも、原作のあるような2.5次元作品でも最初にやることは全く同じなんですけど、役と自分の共通点を探します。僕の役作りは、そこがスタートなのです。例えば、役の性格と僕の性格、その両方が重なる部分を見付けるんです。その見つけた共通な部分を少しずつ膨らませていって、最終的に足りないところを肉付けする。そういう感覚でやってますね。これは前にお芝居を教えていただいた方が教えてくださった考え方なんですが、それが自分の中でもとてもしっくりきたので、今でもそれを参考にして役を作っています。

――作品のジャンルは問わず、ベースの役作りは同じなんですね。

そうですね。あと少しだけプラスしている部分は、2.5次元作品は原作あってこそのものなので、アニメの声質などは意識したりもします。そうすることで、自分自身も安心できるし、舞台を観てくださるお客様も作品に入ってきやすくなるんじゃないかなと思うんです。ベースとしては、自分なりのお芝居のプランをきちんと持ちつつ、演出家さんによっても演出方針はいろいろなので、意見を聞きながら作り込んでいく感じです。

演じた役の全てが、今の自分を作っている・・・

――これまで演じた役を振り返ってみて、自分を大きく成長させてくれたと感じるのはどの役柄でしょうか?

それぞれの全ての役で成長させてもらっているので選び切れないんですが……。実は僕、一度役者を辞めているんです。そんな僕がこの世界に戻ってくるきっかけになったのが「東京ワンピースタワー ONE PIECE LIVE ATTRACTION」のルフィ役だったので、それですかね? あれは僕の役者人生にとって大きな契機になったなと思います。それから「ツキステ。」(=「2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ」)の卯月 新役です。この作品では大きな劇場に初めて立つことができてすごく自信をもらいましたし、「熱海殺人事件-ザ・ロンゲスト・スプリング-」の大山金太郎役では、かなりのセリフ量を1週間強で作り込んだので、そこでも自信がつきました。

今、第2弾を稽古中の「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」沢田綱吉役も、アニメからずっとリボーン役を演じてこられているニーコさんの相棒というポジションを演じさせてもらった上に、大阪での公演も経験できましたし……本当にどれか一つは選べないですね。(※取材は5月末に行いました)

――演じた役のひとつひとつが血や肉になっているんですね。

なっていますね。ここで、挙げられなかった作品もたくさんありますけど、それらも全部、自分のためになっていますし。これまでの役全てが、今の僕を作ってくれたと思っています。

――そんな中で、劇団アレン座第2回本公演「空行」ヒロト役、「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」沢田綱吉役、舞台「夢王国と眠れる100人の王子様 ~on Stage~」キエル役、SPECTACLE STAGE「W’z《ウィズ》」ユキヤ役と、主演を続けて経験されたわけですが、気持ちの上での変化はありましたか?

僕は多分、人をぐいぐい引っ張るというより、ひとつひとつの作品と真剣にきっちり向き合う姿勢を見てもらうほうが向いている気がするんです。その上で僕という人間を信頼して「ついて行きたい」って思ってもらえるように、皆さんの目に映っているならいいなと思います。飲み会なんかも、座長なのに自分からは全然誘えませんし(苦笑)。誰かが言ってくれたら、それに便乗しようかなって。基本、人見知りなんです。

――主演としてのプレッシャーのようなものも、特に感じなかったですか?

本番を迎えるまでにプレッシャーを感じなくなるくらい、しっかり稽古するので、本番中は全く問題なかったですね。むしろ、一番最初の舞台化の発表時やビジュアルの解禁の時の方が緊張しているかもしれないです。それから先は、自分次第なので。

――舞台化の告知でいうと、「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」の発表時の反響がSNSなどでも大きかったので、かなり緊張されたのではと思ったのですが、いかがでした?

「REBORN!」もそうだったんですけど、僕自身としては「ツキステ。」のキャスト発表時の方が緊張しました。というのも、前任キャストの方がいらっしゃって、それを引き継ぐ形だったので「作品ファンのお客様に受けいれてもらえるだろうか」と考えたりもして。だから、初演キャストとしての発表のほうが、僕自身は緊張はないように思います。

音楽という表現方法への挑戦

――今年に入ってからは音楽活動もされていますよね。ご自身ももとより音楽が好きとのことですが、CDデビューをしてみての思いを聞かせてください。

最近考えるようになったのが、こういう仕事って新しい人も次々と現れるし、自分自身が変化しないままだと限界が見えやすいのかなって。だから、こうして音楽など新しい表現に挑戦することは、ファンの方々に自分についての新しいレシピを提供するみたいな感覚があります。また、そうやって自分の引き出しを増やすことで、僕自身がひとつ先のステージに進めたり、ちがう分岐にも行けるようになったらいいなと思っています。

――活動できるフィールドが広がったら、それだけ可能性も増えますよね。

そうなんですよね。もちろん、僕自身が色々やりたいっていう気持ちもありますし。舞台だと、演出家さんがいて、台本があって、稽古場が用意されていてと、既にあるものをベースにして何倍にも増幅させていていく感じなんですけど。たとえば作詞って、自分の中でゼロから作っていくので、芝居とはまた違った面白さがあって。すごく楽しいです。

――作詞は初挑戦とのことでしたが、難産だったりはしませんでしたか?

それが意外とすらすら書けました。僕、けっこう向いてるんじゃないかなって(笑)。メロディーをいただいて、それに合わせて詞を作ったんですけど、韻を踏んだりという技術的な部分で多少苦労した以外は、わりとスムーズにできました。ひとりでコツコツやることは得意なんです(笑)。

――レコーディングやミュージックビデオの撮影など、さまざまな新しい経験もされたかと思いますが、その中で印象に残っているエピソードはありますか?

MVをスタジオと屋外で撮ったんですけど、屋外での撮影は川が見える所でやったんです。そこがけっこう普通に人がいる場所で、カップルなんかもこっちを見ている中、「実際にここで歌ってくれ」と言われて。やっているうちに慣れはしましたけど、あれはちょっと恥ずかしかったです。

――その状況だと、周りにギャラリーができたりもしたのでは?

かなり視線は感じましたね。カメラは回ってるし「なんかカッコつけてるヤツがいるぞ」って(笑)。メンタルかなり鍛えられました。

パンイチ、ニーハイも「役者冥利に尽きます」

――では7月に出演される舞台「博多豚骨ラーメンズ」についても伺わせてください。竹中さんが演じる林憲明(リンシェンミン)はマフィアに雇われていた殺し屋で、戦闘時は女装しているという設定だそうですね。既にメインビジュアルで女装姿も披露されていますが、かわいらしくて驚きました。

(笑)いやいやいや・・・

――女装されたのは初めてですか?

初ですね。実際やってみると、思ったより自分自身の容姿については男感が強いんだなと感じました。ただ、ニーハイを履いた自分の脚を「変な光景だなぁ」って見ていたんですけど、予想外にキレイな気がして、思わず自撮りしてSNSに上げちゃいました(笑)。カメラマンさんが「脚を伸ばしたほうが写りがよくなるよ」ってアドバイスをくれたので、それを生かしつつ。

――その脚線美でのアクションはステージ映えしそうです。今の時点での、作品への意気込みはいかがでしょうか。

初演から参加する作品は、これまでもそれぞれにちがった思い入れができたので、この作品もそうしていけたらと考えています。まだ先のことは分かりませんが、第2弾、第3弾と続いていく舞台になればいいなと思いますね。

――「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」も続編が控えていますし。

そうなんですよね。前作の時から「続編はきっとある」と思って取り組んではいましたけど、本当に続くかどうかは当時の僕には分からなかったので、お客様からも好評をいただけていて本当に嬉しいです。

――前作では早替えにアクションに、まさに体力勝負という印象を受けました。

この前、自分でもDVDを観たんですけど「よく頑張った!」って我ながら抱きしめてやりたくなりました(笑)。ほぼずっと舞台の上に出ていて、叫びっぱなしでしたから。あれを乗り越えられたのは、自分の自信になりましたね。1,000人くらいもの人の前でパンイチになるっていう、なかなかない体験もできましたし。

――役者さんって、滅多にない体験ができる仕事ですよね。パンイチからのニーハイとは、なかなかの振り幅のように思います(笑)。

確かに。たまに「俺をどうしたいんだろう?」と思ったりもしますけど(笑)、いろいろ経験させていただけるのは役者冥利に尽きますね。

仲のいい役者仲間と「お互いに頑張っていきたい」

――尊敬している役者さんを挙げるなら、どなたでしょうか?

最近すごく好きなのは、エディ・レッドメインです。それから、ジャレッド・レトやジャック・ニコルソンも。自分とは全くタイプのちがう方々ですけど、こういうすごい人たちのお芝居を観ると、カッコいいなぁって思いますね。共演したことのある方では、「空行」で父親役だった近童弐吉さんがすごくすてきな人で。個人的にはナチュラルなお芝居をされる方に惹かれるのかなと思います。

――では、仲のいい役者仲間の方についても聞かせてください。

(上仁)樹くんですね。ほかにも(鷲尾)修斗さんや(輝山)立くんとか、とにかくみんな本当に仲良しですね! 「ツキステ。」メンバーはみんな大好きです!!

――途中でメンバーの入れ替わりもあったかと思いますが、みなさん和気藹々とした雰囲気なんですね。

そうですね。みんないい人で努力家揃いなので、お互いに頑張っていきたいなって思います。誰かから「新しい仕事が決まった」って聞いたら嬉しくなるし、スケジュールが合った時には舞台を観に行ったり、観に来てもらったりもしていますね。

――今後はどんなお仕事や役柄に挑戦してみたいですか?

悪役を演じることがあまりないので、挑んでみたいですね。どうやら顔が正義顔みたいで、基本的にそういう役をいただくことが多くて。「熱海殺人事件」では犯人役だったんですけど、同情を誘う系の犯人だったので、根っからの悪人は演ったことがないんです。極悪人とか、サイコパスにも興味があるので、お声掛けお待ちしてます!(笑)

取材・文:古原孝子
編集:桑原梨沙(THEATER GIRL編集部)
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)
ヘアメイク:太田夢子(earch)

インタビュー後編はコチラ

【プロフィール】

竹中凌平(たけなか・りょうへい)
1993年9月22日生まれ、千葉県出身。
「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」シリーズ 主演 沢田綱吉役、「ツキステ。」メインキャスト卯月新役、舞台「夢王国と眠れる100人の王子様~on Stage~」W主役キエル王子役、「東京ワンピースタワーONE PIECE LIVE ATTRACTION」主役 モンキー・D・ルフィ役等、舞台を中心に着々と活動の幅を広げている。2019年1月 テレビアニメ「W’z《ウィズ》」オープニング主題歌「Reazon」を担当。カップリング曲の作詞も自ら担当。また2.5次元以外のストレートプレイの舞台にも多数出演し、本年は新派の俳優と古典戯曲にも意欲的に挑戦するなど着実に様々な分野に活躍の場を広げている。【ドリーヴス所属】 https://www.dreaves-official.com/menber/man/ryohei-takenaka/

【出演舞台情報】

舞台「博多豚骨ラーメンズ」 林憲明 役
2019/7/13(土)-2019/7/21(日)@シアターサンモール

朗読劇「女優」 中山晋平 役
2019/8/11(日)@新橋演舞場 (松竹株式会社主催・制作)
(問い合わせ先:チケットホン松竹 0570-000-489)

「キャッシュ・オン・デリバリー」 W主役 ノーマン・バセット役
2019/10/10(木)-2019/10/14(月・祝)@品川プリンスホテル クラブ eX

【 竹中凌平さん動画コメント】

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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