横山由依インタビュー 『三十郎大活劇』「今の時代で自分はどう生きるか、考えてもらうきっかけに」（前編）
2022年4月2日（土）よりパルコ・プロデュース『三十郎大活劇』の幕が開き、東京・新国立劇場 中劇場、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて公演が行われます。
鈴木聡氏の脚本で1994年に初演が上演された本作を、今回の再演ではラサール石井氏が演出を担当。昭和における日本映画の激動の時代に、一夜にして銀幕スターとなった紅三十郎とその仲間たちを描いた物語には、“LOVE & PEACE”というメッセージがストレートに込められています。
主人公・紅三十郎を演じるのは青柳翔さん。共演者陣には入野自由さん、松平璃子さん、近藤公園さん、そして小倉久寛さんと、個性豊かな実力派が揃いました。
今回THEATER GIRLがインタビューを行なったのは、ヒロイン・おやつを演じる横山由依さん。今作がAKB48卒業後初の出演作品となります。前編では作品や役の見どころ、稽古の手応えなどについてうかがいました。
今とも重なる30年前の作品「脚本の言葉も鮮やかなんです」
――まずは、横山さんが思う『三十郎大活劇』という作品の見どころについて聞かせてください。
今回は1994年に上演された作品の再演で、戦前の映画界のお話になるのですが。戦争（＝第二次世界大戦）が始まっていく中で、表現の自由が奪われていったことや、主人公の三十郎とその周りの人々のことが描かれているんです。今もコロナ禍や戦争だったりで、みなさんの普段の生活でも制限がかかったりしていることがあると思うので、そういった部分を重ね合わせて観ていただけるんじゃないかと思いますね。
それに、鈴木聡さんの脚本に書かれている言葉が、30年ほどまえに書かれたものだとは思えないほど鮮やかなんです。今の私たちにも響くものがあるので、この作品を観ることで「じゃあ今の時代で自分はどう生きて行こうか」と、ちょっとでも考えてもらうきっかけになったらいいなと思います。
――ご自身が演じるおやつ役の見どころについてはいかがですか？
おやつは温泉芸者なので、すごく明るかったり華やかだったりするんです。そんな中でも、三十郎を支える一面があったり、出過ぎないながらに、おやつの一言が三十郎にとって大きなものになっていたりするので、そういった優しさと強さを繊細に表現できたらと思っています。
自分にとってすごく特別な経験のできる現場
――稽古も佳境だと思いますが、手応えはいかがでしょう？
全部を通した稽古はまだやっていなくて、多分明日くらいにやるのかなと思っているんですけど（取材時）。シーンごとのお稽古の中でも、そこに至るまでの気持ちは作っているのですが、全部を通した時に見えてくるものもやっぱりあると思うので、早く通し稽古をしてみたいですね。
それに、今回は共演者にベテランのみなさんがとても多いんです。近藤公園さん（阪東春之介役）や、那須佐代子さん（杉浦美輪子役）、そして劇団ラッパ屋での初演にも出演されていた福本伸一さん（山岸旺次郎役）だったり、弘中麻紀さん（淀川のん役）だったり。みなさん、最初からお芝居の完成度が素晴らしいんですけど、それがさらに稽古場でどんどんブラッシュアップされていくさまを間近で見せてもらえているので、自分にとってすごく特別な経験になっています。
私自身も（AKB48を）卒業後初めての舞台ということもあって、これまでとは向き合い方を変えていかないとと思っている時なので、こういう刺激的な環境にいられるということがありがたいですね。みなさんのキャラがとても素敵なので、どうやったらおやつらしさを見つけられて、それを出していけるか、今は探りながらですが挑戦しているところです。
――キャリアも年代もさまざまな共演者陣の中に、とてもいいタイミングで入ることができたという感じでしょうか。
そうですね。今後もいろいろな作品に参加したいなと思っています。年齢もキャリアもちがうさまざまなジャンルのみなさんが、こうして舞台でひとつのものを作っていくって、とても面白いですし、その中でアドバイスをいただけることもあるので。もちろん、演出のラサールさん、そして脚本の鈴木さんも稽古場にいてくださる時があるので、そのお二人の言葉をしっかりとうかがいつつ。周りのみなさんがくださる「こうしたらもっとよくなるんじゃない？」という言葉も受け止めて、素直にどんどんチャレンジしていけたらと思います。
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