内海啓貴×蒼木陣インタビュー『CLUB SEVEN another placeⅡ』「あらゆるエンターテインメントが詰まった作品」（前編）

2025.09.29

INTERVIEW

2025年10 月4日(土)より東京・有楽町よみうりホールを皮切りに、『CLUB SEVEN another placeⅡ』が上演されます。

本作は、ソング＆ダンス・芝居・タップ・ミュージカル・スケッチ､舞台の醍醐味が全て詰った､究極のエンターテインメント・ショー。

初演以来､脚本・構成・演出・振付を務める玉野和紀さんを筆頭に､吉野圭吾さん､東山義久さん､西村直人さんと初演から作品を支える“レジェンド”メンバーをはじめ､ミュージカル界をけん引する才能あふれるキャストたちが、常に全力で作品を盛り上げてきました。

CLUB SEVEN には欠かせない怒涛の五十音順ヒットメドレーや名物の無茶ぶりコーナーなど、ライブ感満載の本公演。今回は､多彩な芸で楽しませる原田優一さん､公演に不可欠の存在となりつつある北翔海莉さん､その北翔さんと宝塚歌劇団在籍時代トップコンビとして相手役を務め息もぴったりな妃海風さんも出演。

また､ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』で好演した内海啓貴さんと､ミュージカル『SONG WRITERS』ベンジャミン・デナーロ役で存在感を見せた蒼木陣さんが初出演､フレッシュな顔ぶれが加わりました。

THEATER GIRLは、内海啓貴さんと蒼木陣さんにインタビュー。前編では、初参加となる『CLUB SEVEN』の印象や久々の共演への思い、レジェンドキャストの方々との共演で楽しみなことなど、たっぷりと語っていただきました。

インタビュー後編はこちら

エンターテインメントの魅力がすべて詰まっている

――今回お二人は『CLUB SEVEN』初参加となりますが、作品の印象や出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

内海：僕は昨年初めて『CLUB SEVEN』を拝見したのですが、歌やダンス、お芝居などエンターテインメントの魅力がすべて詰まっていて、「この世界で生きていくために必要な学びがある」と強く感じました。お話をいただいたときは本当にうれしかったですし、楽しみな気持ちでいっぱいになりました。玉野さんとはダンススタジオでご縁があり、僕のコンサートで一曲だけタップを振り付けていただいたこともあったので、今回もご一緒できて光栄です。

蒼木：僕は『CLUB SEVEN』に、歌やダンス、芝居が盛りだくさんに詰まった“ジェットコースター”のような印象を持ちました。挑戦の場が散りばめられていて、全員でぶつかっていくからこそ生まれるチームワークや一体感がある。そんな座組に参加できることを今からとても楽しみにしています。玉野さんとご一緒するのは今回が初めてですが、あれだけの作品がお一人の頭から生まれていることに本当に驚かされました。

――お二人はミュージカル『テニスの王子様』以来の共演になりますね。

内海：そうなんです。名前を見たときは本当にうれしかったです。

蒼木：僕もうれしかった！

――久しぶりにお会いされて、印象が変わった部分はありますか？

蒼木：あっきー（内海さん）がこの数年でたくさんの経験や出会いを積み重ねてきたのが伝わってきます。今回同じ舞台でご一緒できることがとても楽しみですし、僕自身も多くを学ばせてもらえると思っています。

内海：僕にとって初めてのミュージカルが『テニスの王子様』で、そのとき陣くんはすでに前作から出演していたので、テニミュの先輩でした。稽古場でも真面目で紳士的で、その姿から学ぶことが多かったですし、相談して助けてもらったこともありました。

今回もきっとできないことがたくさん出てくると思うので、またいろいろ助けてもらいながら、陣くんに甘えて頑張りたいです。しかも今回僕が最年少なんですよ。最近はそういうことがほとんどないので、「最年少」という魔法の言葉を上手に使いながら（笑）、周りに頼りつつ挑戦していければと思っています。

以前とはまったく違う価値観で表現に向き合えるようになった

――内海さんはギターやサックス、作詞・作曲にも取り組んでいらっしゃり、蒼木さんはブレイクダンスや器械体操と、それぞれ強みをお持ちです。今回、先輩方との共演を通じて、どのような化学反応や新たな学びを期待されていますか？

内海：これまで培ってきたことはもちろん大切にしていますが、今後役の幅を広げていくうえで、やはりダンスはミュージカルの世界で欠かせない要素だと感じています。だからこそ玉野さんのスタジオに通わせていただいて、それが今回の出演にもつながったのですが、そのご縁を大切にしながら、特にタップを含めたダンス表現を深めていきたいと思っています。

単に「踊る」だけではなく、踊りにどう表現を乗せていくかが自分のテーマですね。そうした部分を先輩方から学び、吸収していけたらと思っています。

――ご自身の個性として、表現に生かしたい部分はありますか？

内海：やっぱり僕は歌が好きなので、歌で培ってきたリズム感や表現力を、体の動きにも反映できたらと考えています。

――蒼木さんはいかがでしょう。キャリアの中で伸ばしたい部分や、今回特に見せたいことはありますか？

蒼木：あっきーと一緒にテニミュに出演していた20代前半から中盤は、お芝居も好きでしたが、それ以上にブレイクダンスや殺陣、アクションなど体を動かすことが自分の好きなことで、それが武器にもなっていました。

でも30歳を迎える頃に「今、自分は芝居が好きだ」と心から思える瞬間があって。その体験をきっかけに、芝居が乗ったダンスや、自分の心と体を通して届ける歌を、本当に好きになれたんです。以前とはまったく違う価値観で表現に向き合えるようになれたと感じています。

――表現に対する意識が大きく変化されたのですね。

蒼木：はい。ここ数年で大きな変化がありました。ただ、まだ出会えていないジャンルのダンスや歌もたくさんありますし、タップもそのひとつです。だからこそ『CLUB SEVEN』の中で、今の自分の精神状態やこれまで積み重ねてきたものをぶつけた時に、新しい何かが生まれるんじゃないかと期待しています。それが今後の自分の武器になってくれたらうれしいですね。

いい意味で“困らせたい”と思っています

――今回は、玉野さんを筆頭に吉野圭吾さん､東山義久さん､西村直人さんと、レジェンドと呼ばれる皆さんとの共演も大きな見どころです。そうした先輩方との共演で、楽しみにしていることはありますか？

内海：舞台上でのお姿は拝見してきましたが、舞台の外でどう過ごされているのかもとても気になります。僕自身、今回いい意味で先輩方を“困らせたい”と思っているんです。といっても、できないことで困らせたいわけではなく、突き詰めていく過程で一度壊して新しいものを作り上げる作業があると思っていて。その先に、もっと面白いものが生まれるはずなので、そうした挑戦を一緒にできたらうれしいです。自分の思いもしっかり届けながら、より良い作品を作っていきたいですね。

蒼木：わかります。交流を重ねる中で、先輩方ご自身も出会ったことのない自分に出会っていただけたら、それはとんでもなく光栄なことだと思います。皆さん必ず“必殺技”のようなものを持っている方たちばかりですから。今の自分の武器がどこまで通用するかはわかりませんが、その挑戦の姿勢の中に、今後の表現に生かせるヒントが散りばめられている気がしています。なので、稽古場での時間はとにかく大切にしたいですね。具体的に会話をしなくても、見ているだけで学べることはありますし、一緒に過ごす時間そのものが大事だと思っています。

内海：少し話が広がるかもしれませんが、僕らぐらいの年齢になると「これからどう生きていこうか」という不安が常にあるんです。そんな中で最年少として大先輩方とご一緒できるのは、とても意味のあることだと思っています。皆さん必ずずば抜けた何かを持っている。歌が抜群に上手いとか、タップが飛び抜けているとか、抜きん出たものを持ちながらずっと活躍していらっしゃいます。

そうした部分をしっかり吸収して、自分の今後につなげたい。単に舞台に立って楽しいというだけでなく、自分の糧となる経験にしたい。その意味でも、すべてのエンタメが揃っているこの作品に出演できることは大きいと思っています。