木村達成インタビュー 『新ハムレット～太宰治、シェイクスピアを乗っとる！？～』 「ハムレットはやらなきゃいけないと感じていた作品」（前編）
2023年6月6日(火)より、PARCO劇場にて『新ハムレット～太宰治、シェイクスピアを乗っとる！？～』が上演されます。
シェイクスピアの四大悲劇の一つに数えられる『ハムレット』を太宰治が語り直した『新ハムレット』。設定は同じながらも日本人の感覚のままで共感できるこの作品を五戸真理枝氏が戯曲化し、演出を手がけます。
ハムレット役には、近年『ジャック・ザ・リッパー』『マチルダ』などのミュージカルから、映画やドラマへと活躍の場を次々広げている木村達成さん。ハムレットを慕うオフヰリヤ役には、数々のドラマや映画で俳優としての輝きを増し続ける島崎遥香さん。ハムレットの学友ホレーショー役には、確かな演技力と個性的すぎる存在感を併せ持つ加藤諒さん。 侍従長ポローニヤスの息子レヤチーズ役には文学座の実力者、 駒井健介さん。そして侍従長ポローニヤス役には、縦横無尽に活躍する池田成志さん。ハムレットの母でデンマーク王妃 ガーツルード役には幅広い役柄でお茶の間から親しまれ続ける松下由樹さん。現王にしてハムレットの叔父にあたるクローヂヤス役を、 さらに円熟味を増した芝居で魅せる平田満さんが演じます。
THEATER GIRLは、ハムレット役の木村達成さんにインタビュー。前編では、作品の印象や演じるハムレットの役柄などについて語っていただきました。
※インタビューはお稽古前に実施したものになります。
やらなきゃいけないという使命感を強く感じました
――本作のお話をいただいたときに、どんな印象を抱きましたか。
実は自分が今年30歳になるにあたって、シェイクスピアの作品に触れなきゃいけないなと思っていたんです。その中で今自分が演じられる作品について考えてみると、『ロミオとジュリエット』と『ハムレット』 だと聞きました。そんなお話をしていたときに、ちょうど本作のオファーをいただいたので、 お断りすることは考えられませんでした。
台本を読ませていただいて、これは自分がやらなければならないと、より強く思ったんです。僕は考えるよりも、自分の意思を尊重したいという思いがあって。後悔をしたとしても、自分の道をどんどん突き進んでみたいんです。 もちろん嬉しい気持ちもありましたが、それ以上にやらなきゃいけないという使命感を強く感じました。
――ご自身が共感するものや、感じるものが多くあったんですね。
タイミングってすごく大切だと思うんです。自分の前に舞い降りたものをキャッチできないと、 この先何もキャッチできないし、何をやってもうまくいかないような気がするんですよね。
――台本を読んだときの印象はいかがでしたか？
本当によく喋る人だなと思いました（笑）。常にネガティブな発言をしているので、プライドがあるのかないのかわからない部分もありますが、正直に胸の内を晒しているから、ちゃんと強い人なんだなと。なので、愛情に飢えているというハムレットの言葉は、悲しみに耐えていて本当に苦しかったのかなと感じました。愛は言葉だと言っている姿と自分が、少し似ているようにも感じますし、常に自分の存在証明をし続けているところが、自分の考えとリンクしているような印象を受けましたね。
違う景色が見たいと思うようになりました
――役作りで意識されていることはありますか？
役作りをしすぎないようにしているので、本番に入る前も多分、全く同じ答えになっていると思います。作品に対して、「これだけ取り組んできました」と思うようになりたくないんですよね。変に背負いすぎてしまうと、リアリティや自分の持つエネルギーみたいなものを発散できない気がしていて。 今の自分にできることに常に挑戦し続けたいので、何も考えずに、そのセリフだけに力を込めてやっていけたらいいなと思います。
――本作に限らず、いつも役は作りこまれないのでしょうか？
そうですね。ここ一、二年は考えすぎずに挑むようになったかなと思います。
――その間に何か心境の変化があったのでしょうか？
違う景色が見たいと思うようになったんです。考えて、登り詰めた先に見える景色は確かに自分の求めていたものかもしれないけど、すごく限られてしまう気がして。決めすぎない方が面白いし、背負いすぎない方がフットワークが軽くなって、色々なところに着眼点が見出せるのかなと感じるようになりました。
――本作のハムレット役は、木村さんの等身大に近いお姿が見られるのかなというイメージを受けたのですが、いかがでしょうか？
すごく共感できるポイントや似ている部分はたくさんありますが、あくまでも僕はハムレットとして舞台上に立っています。それをお客様が見たときに、たしかに発言は木村達成っぽいけれど、 やっぱりハムレットだったよねと感じていただけると一番嬉しいですね。やっぱり役をいただいた以上は、木村達成である必要はないので。僕にしかできないものをやる必要は絶対にあると思うのですが、そこに木村達成がいる必要はないのかなと思います。
――シェイクスピア作品にはどんなイメージをお持ちでしょうか？
独白というかポエミーというか。恥ずかしい感じの言葉がたくさん出てくるイメージがあります。シェイクスピア作品のすべてを知っている訳ではないですが、以前、ミュージカル『ロミオ＆ジュリエット』に出演したときにそう感じました。
――本作では多彩なキャストが揃っていますが、ベテランキャストの方々から何か吸収したいと思っていることはありますか？
ベテランの方々も僕と同じように、今の状況に苦しんでいたりするのか聞いてみたいですね。先輩方が数多くの作品を経て、こうやって僕と一緒にやってくださることは嬉しいですし、その出会いが自分にどういう影響があるのか、とても楽しみにしています。
――島崎さんや加藤さんなど同世代のキャストの方についてはいかがでしょうか？
三人とも歳が近い分、楽しくやっていけたらと思いますね。ビジュアル撮影でお会いしたときに、すでにすごく楽しい現場になるのではという予感がしました。
取材・文：THEATER GIRL編集部
Photo：野村雄治
公演概要
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ
『新ハムレット～太宰治、シェイクスピアを乗っとる！？～』
作：太宰治
上演台本・演出：五戸真理枝
出 演：木村達成 島崎遥香 加藤諒 駒井健介／池田成志 松下由樹 平田満
公演日程：2023年6月6日(火)～6月25日(日)
会場：PARCO劇場（渋谷PARCO 8F）
[チケット料金] （全席指定・税込） 11,000円
U-25チケット＝6,000円
［観劇時25歳以下対象、要身分証明書(コピー・画像不可、原本のみ有効)、当日指定席券引換/「パルステ！」、チケットぴあにて前売販売のみの取扱い、指定席との連席購入不可（連席ご希望の場合は指定席をご購入ください）] ※未就学児の入場はご遠慮ください。
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[チケット取扱い]※各プレイガイドでのチケット取扱いはWebのみとなります。
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