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伊原六花インタビュー ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』「おさえはやりがいがある反面、とても難しい役」(後編)

INTERVIEW

2024年7月3日(水)より東京国際フォーラム ホールC、7月20日(土)より大阪COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて、PARCO&CUBE produce 2024 ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』が上演されます。

過去に何度も上演を重ね、観客を魅了してきた伝説の舞台。この笑いと恐怖と感動を詰め合わせた宝箱のような作品『ダブリンの鐘つきカビ人間』が2024年夏、新たにミュージカルとして生まれ変わります。

本作は、ユーモアと切なさと残酷さが混じり合ったダークファンタジーを得意とする後藤ひろひとさん作、脚色・演出をミュージカル、ストレートプレイ、ノンバーバルパフォーマンスまで幅広く演出を手掛けるウォーリー木下さん、音楽および音楽監督を、ケルト音楽にも造詣が深く、リリカルな楽曲を生み出す中村大史さんが手掛けます。

物語の世界の街に住む「カビ人間」役は、Travis Japanのメンバー七五三掛龍也さん、物語の世界に迷い込む「聡」役は同じくTravis Japanのメンバー吉澤閑也さんが務めます。

物語の世界の住人で、町中に流行った奇妙な病のせいで、思っていることの反対の言葉しか話せなくなった「おさえ」役は伊原六花さん、聡と共に物語の世界に迷い込む「真奈美」役を加藤梨里香さんが務め、その他にも、入野自由さん、コング桑田さん、小松利昌さん、竹内將人さん、松尾貴史さん、中村梅雀さんといった、手練れの顔ぶれが揃いました。

THEATER GIRLは、おさえ役の伊原六花さんにインタビュー。後編では、本作の楽曲やW主演を務める七五三掛龍也さん、吉澤閑也さんの印象、本作にちなみ「困難な状況にあった時の解決法」などをお聞きしました。

インタビュー前編はこちら

本作の楽曲は「リズムがめちゃくちゃ難しい」

――本作の楽曲はケルト音楽ということで、普段のミュージカルとはまた違った音色なのかと思うのですが、楽曲についての印象はいかがでしょうか。

とてもいい曲ばかりですね。私、音楽の力ってめちゃくちゃ偉大だと思っていて。ストレートプレイや映像作品でも、音楽って絶対に入ってくるじゃないですか。例えば、撮影したものをまとめて一本の映像にして、最後に音楽をつけたらすごく良くなったと編集の方に伺ったこともありますし。

メロディーだけでもそのシーンを豊かにしてくれますし、さらに今回はミュージカルなので、どんな感じの曲になるのだろうと思っていたのですが、上がってきた楽曲を聴いたら「もうこれしかないよね」という曲ばかりで。だからこそ、ザ・ミュージカルっぽく歌い上げるのが正解じゃない楽曲もあるかもしれないとウォーリーさんもおっしゃっていました。

私は声色にたくさん引き出しがあるわけではないので、いろいろアドバイスをもらいながら、おさえとしてこの世界観に合う歌い方ができたらと思っています。パワーをもらえるような楽曲でした。

――けっこう、ダークな楽曲も多いのでしょうか。

私も最初はけっこうダークな雰囲気だと思っていたのですが、そういう要素もありつつも、特に前半は病気も楽しんでいるキャラクターがたくさん出てくるので、いろんな音楽がありますね。ケルト音楽と言っても、しっとりバラードみたいな曲もあるし、歌い上げる曲もある。ただ、リズムがめちゃくちゃ難しいんです。変拍子というか、ずっと一定のリズムではないので。自分以外の曲は本読みの時に初めて聴いたのですが、「どこにリズムがあるの?」という感じの曲がたくさんあるので、皆さんがどうやって自分のものにしていくか楽しみです。

――伊原さんはもちろん、主演の七五三掛さんと吉澤さんなどダンスが得意な方々が揃っていますが、今回ダンスシーンもあったりするのでしょうか?

まだ振り付け稽古が始まっていないのでわからないのですが(取材時)、振り付けの方もいらっしゃるので今後は振りがついてくる可能性もあるのかなと。でも、作品的には動けるといえば動けるんですよね。おさえはあまり動かなさそうなキャラクターではあるのですが、この世界観だからこそ逆にキレキレで踊っても成立しそうですし。でも、お二人のダンスシーンも見たいので、もし踊れる機会があれば頑張りたいです。

七五三掛さんは想像していたカビ人間の声にぴったり

――今回、W主演を務める七五三掛龍也さん、吉澤閑也さんをはじめとした個性豊かなキャストの方々が揃っていますが、お二方を含め、カンパニーの皆さんの印象はいかがでしょうか。

七五三掛さんは、私が想像していたカビ人間の声に本当にぴったりなんです。ちょっと明るさもありはかなさもあってキュートな声なので。正直、感情を入れずに読んだとしても、カビ人間として成立するのではというくらい、ぴったりな声だと思います。

七五三掛さんご本人も会話を大事にしてくださる方なので、「このシーンについてどう思う?」とか、デュエットに難しいハモリがあるので、「稽古の時、毎回一度は合わせるようにしよう」といろいろと提案もしてくださいます。すでに素晴らしいですが、本番ではどんな素敵なカビ人間になるのか楽しみです。

吉澤さんはまだあまり同じシーンがないので、なかなか芝居のことについてお話できていないのですが、本読みの時の雰囲気を見ていると、とても朗らかで心臓が強い方だなという印象です。みんなの前で一発ギャグをやってくれたりと、ムードメーカー的な明るさのある方なので。今回演じる聡に関しては、(加藤)梨里香ちゃん演じる真奈美に引っ張られる、ちょっとなよなよした感じが魅力的な男の子でもあるので、普段の吉澤さんとは少し違う部分を見られそうで楽しみです。

――カンパニーの雰囲気はいかがでしょうか。

めちゃくちゃいいです。愉快なお兄様方が多いので(笑)。経験値もすごい方々ばかりなのですが、こちらが変な緊張をせずにチャレンジさせてくれる広い心を持った方たちばかりで、皆さんすごく案を出してくれるんですよ。「それいいね、採用!」と、ウォーリーさんがその場で採用するものもあるし。そんな皆さんがいるからこそ、和やかな稽古場になっていると感じます。

――ベテランの皆さんが率先していろいろ試してくださるんですね。

この作品を好きな方が多くて、いいものを作りたいという気持ちがひしひしと伝わってくるからこそ、負けないように食らいついていきたいです。

でも、若いチームもけっこう発言する方が多いんです。意見を持っている方たちがたくさんいるので、言葉にして共有することがスムーズにできていて、とても良いカンパニーだなと思います。

――先ほどお話が出たように、ウォーリーさんの演出が意見を出しやすい雰囲気なのも大きそうですね。

ウォーリーさんの稽古の進め方がすごく丁寧なのも大きいですね。普段は自分の役を考えて、演出家さんにアドバイスをもらって作り上げていくことが多いと思うんです。ただ、今回は本読みの後の稽古で、ホワイトボードに全員の役の名前を書きだして、まず本役の人がその役の性格を書いて、そこから一つの役を全員で深掘りしていく時間があったんです。

例えばおさえだったら、「私はこうだと思っています」ということに対して、ウォーリーさんが「おさえって何歳ぐらいの設定なの?」といったような質問をして、それに答えていくんです。「みんなはおさえってどう思う?」と、他の方から見るおさえ像も頂いて、それを全員分やって。なので、一人で役を作る孤独さもなく、役を作る上で様々な要素をもらえる環境だったので、とてもありがたいし優しい進め方だなと思いました。

――皆さんのご意見で、ご自身の役の捉え方が変わった部分はありますか?

「おさえはこの人と仲が良かったのかな?」と思っていたことが、割と明確になりました。 作品の舞台が割と小さな街だと思うので、「これだけ狭かったらきっとみんな顔見知りだし、誰と誰が仲いいよね」ということをその場で共有できたので、空間把握を共有できたことは大きかったと思います。

ちゃんと落ち込んで考えたら前に進めるようになった

――本作では、街中で奇妙な病が流行しますが、悩んだり困難な状況にあってしまったときの伊原さんなりの解決策や克服方法はありますか?

今までは、リフレッシュできる趣味をしたり、友達と話したり家族に相談したりしていたのですが、壁にぶつかったりどうしたらいいか悩んでいることって、結局悩み続けないと何も答えが出なかったりするんですよね。

だから少し困ったことがあっても、無理に元気にならずに、ちゃんと落ち込んで考えてから、0.1歩でもいいから前に進むようになりました。

――伊原さんは映像から舞台まで様々な作品に出演されていますが、 舞台、ミュージカル作品の好きなところや、やりがいを感じるのはどんなところでしょうか?

私は観劇も趣味なので、いろいろな作品を観に行くのですが、エンターテインメントってやっぱりいいなと思えるのは、ミュージカルを観た時だったりします。

ストレートプレイだったら、ちょっと考えさせられたり、こういうことって日常にあるなと、持って帰れる良さもあったりしますが、ミュージカルは、日常を忘れてその世界観に没頭できる、良い音楽とダンスを浴びて帰れるところがすごく好きですね。ホクホクして帰れるのがミュージカルのいいところだなと思います。

――観劇もお好きなんですね。今後も、定期的に舞台のお仕事はされていきたいですか?

はい。舞台がすごく好きなので。もちろん映像のお仕事もですが、 舞台が決まると、毎回「やったー!」となります。

――稽古中でお忙しい時間を過ごされていると思いますが、伊原さんなりのリフレッシュ法はありますか?

銭湯ですね。今までサウナにはよく行っていたのですが、ドラマでご一緒した方にすごく銭湯が好きな方がいて、連れていってもらうようになってから、めちゃくちゃいいなって。何百円かで温かいお風呂にも入れてサウナも付いているし。なので、最近は銭湯に行くのにハマっています。

――では最後に、本作を楽しみにされている皆様へメッセージをお願いします。

今までたくさんの方に愛されてきたからこそ何度も上演されてきたと思いますし、今回ミュージカルになりますが、そもそもの脚本がすごく面白いですし、この作品にあった素敵な演出になると思っています。

個性豊かな出演者が集まっていて面白くなると確信しているので、この作品に出会えてとても幸せです。私も楽しみにしているので、ぜひ楽しみにしていただけたら。何度か観たことのある方も、初めての方もぜひ出会っていただけたら嬉しいです。

取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:野村雄治
スタイリスト:太田事務所 梶原浩敬
ヘアメイク:藤原リカ

インタビュー前編はこちら

公演概要

PARCO&CUBE produce 2024 ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』

作:後藤ひろひと
脚色・演出:ウォーリー木下
音楽/音楽監督: 中村大史

出演:
七五三掛龍也 吉澤閑也 伊原六花 加藤梨里香
入野自由 コング桑田 小松利昌 竹内將人 
安田カナ 安福毅 Ema 工藤広夢 半山ゆきの
松尾貴史 中村梅雀

演奏:中村大史 奥貫史子 石崎元弥

【東京公演】
2024年7月3日(水)~10日(水)
東京国際フォーラム ホールC

【大阪公演】
2024年7月20日(土)~29日(月)
COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

企画・製作:パルコ/キューブ

公式サイト:https://stage.parco.jp/program/dublin2024

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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