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小関裕太×岡宮来夢インタビュー ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』「2024年に生きる僕たちならではの感覚で、愛と憎しみを受け取ってほしい」(前編)

INTERVIEW

2024年5月16日(木)より東京・新国立劇場 中劇場にて、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』が開幕します。

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』は、2001年にフランスで生まれ、世界20カ国以上で600万人以上を動員したメガヒット作品。2010年に日本では小池修一郎さん演出によって宝塚歌劇団で初演が行われました。のちに新たに誕生したのが、このミュージカル『ロミオ&ジュリエット』<日本オリジナルバージョン>です。今回は、2021年以来3年ぶり6度目の上演となります。

2024年公演のロミオ役をWキャストで務めるのは、小関裕太さんと岡宮来夢さん。THEATER GIRLでは、新ロミオという大役に決定したお二人にインタビュー。前編では、出演が決まったときの心境や、作品に対する魅力や想いなどを存分に語っていただきました。

インタビュー後編はこちら

それぞれ「プレッシャー」と「不安」を力に変え、本作に挑む覚悟

――出演が決まったときは、どんな心境でしたか? 特に、岡宮さんはご自身たってのご希望でオーディションに参加されたと伺っております。

岡宮:僕はもともと別のお仕事が決まっていて時期的に兼ね合いが難しくご迷惑をかけてしまう可能性があったので、オーディションを受けるのにも申し訳ない気持ちがありました。でも何もせず終わるのは後悔しそうで、落ちてもいいから受けてみたいと思い「ぜひ僕の歌を聞いてください!」とお願いしたのが、オーディションに参加したきっかけです。

ロミオはずっと挑戦したい役だったので、決まったときはとても嬉しかったです。かなり大変なスケジュールで、いろんな方に迷惑をかけてしまうのですが、それでも決まったからにはプレッシャーも力に変えて頑張りたいと思っています。

――ちなみに、どういった状況で決まったことを知られたのですか?

岡宮:オーディションを受けた翌日に「決まったよ!」と聞きました。たぶん、家に一人でいたときだったと思います。小池先生もミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』がありお忙しい時期でなかなかお会いできなかったので、「ついに先生に歌を聞いていただけた!」という喜びからか、力がふっと抜けたような感覚でした。

小関:僕もオーディションでロミオ役が決まりました。報告を聞いたときは、とても嬉しかったです。

原作でロミオという役は16歳くらいで、少年ならではの情熱と青春の一面がある物語だと思うので、それを僕の年齢である28歳が演じるのは正直「できるのか?」という不安も最初はありました。でもロミオと向き合えば向き合うほど、小関裕太の今このタイミングでしか演じられない役なのではないかと感じて。楽曲の難解さはもちろん、作品やロミオに対する理解も難しいものがたくさんあったので、逆に今で良かったのかもしれないな、と。今チャレンジすることに、とても意義を感じています。

――ちなみに、小関さんはどういうシチュエーションで決定したことを聞きましたか?

小関:はっきりといつ頃だったかは覚えていないのですが、直接マネージャーから伝えてもらいました。そのときにあらためて本作の楽曲の練習に向かっていこう、という話をしました。

今の僕たちならではの感覚で受け取ってもらえる「愛」と「憎しみ」があるはず

――本作は、人によって感じる印象や魅力が異なる作品かと思います。お二人は作品にどんな魅力を感じていますか?

岡宮:魅力、ですよね……。

小関:先に言おうか(笑)?

岡宮:いや、裕太くんは知的すぎるのでその次だと喋りにくいです(笑)。プレッシャーがかかるので僕が先に。

小関:(笑)。

岡宮:ロミオとジュリエットの恋愛を中心に進められていくお話ですが、その中でもマーキューシオやティボルトの死があって、もちろんロミオとジュリエットの死もある。死生観も、大事なテーマになっていると思います。

今まで小池先生が手がけてきた作品、たとえば『エリザベート』などもそうですが、死に関しての描き方に美しさがあると感じていました。それが誘惑に思えて、少し怖くもあるんですけれど。それだけ盛り上がる恋をして、親友の死を経験して、自分をも殺してしまって……。ロミオの周りにたくさんの死がある。

自分が演じるうえでも、死についてよく考えたいと思いました。以前、シェイクスピアの『ハムレット』をアレンジした作品『5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]』に出演したとき、“生きるべきか死ぬべきか”に関して正直あまりよく分からなかったんです。人生で生死についてそこまで考えたことがなかったので、初めてその作品で深く向き合ったと言えるかもしれません。

今回もしっかりと死生観に向き合えたらと思っているので、見どころや魅力に関しては少しダークですけれど「死」でいきたいなと。もちろん恋愛の要素も大事ですけれど。

小関:この作品は楽曲にも組み込まれているテーマ「愛と憎しみ」が全編通して大きく共通すると思うのですが、言い換えると皮肉やどうしようもない虚しさが愛と憎しみの裏にあると感じます。

愛するがゆえに争い、愛するがゆえに憎しむ。なぜならそこに愛があるから。それらが表裏一体だという皮肉さが現代の人にも通ずるからこそ、シェイクスピアが書いた当時から今もなおこの作品が語り継がれている所以なのかなと思います。

愛と憎しみ、そして争いは恋人でも家族でも社会でも国でも世界でも存在する。2024年に生きる今の僕たちならではの感覚で受け取ってもらえるものがあるのではないかな、と思います。

「いつかロミオを演じてみたい」並々ならぬ強い想いがあった

――岡宮さんは先ほども「ずっとロミオを演じたいと思っていた」とおっしゃっていましたけれども、この作品のどんなところに惹かれて「やりたい」という思いがあったのでしょうか?

岡宮:『ロミオ&ジュリエット』は、このお仕事をしていない人でも名前を聞いたことがある作品だと思うんですよ。僕は恥ずかしながら、俳優人生が始まった頃のワークショップで初めてこの作品の本を読ませてもらって「こういうお話だったんだ!」と知って。

以前、僕が出演したミュージカル『The Fantasticks』も、壁を隔てた2つのいがみ合っている家族同士の子どもが恋愛に発展して……という作品で。いろんな作品を知っていく中で、『ロミオ&ジュリエット』から派生した作品が世にたくさんあるな、と。次第に「今後続く俳優人生の中で、いつかロミオは演じてみたいな」という気持ちが芽生え始めました。

僕の大好きな黒羽麻璃央くんが演じた前回のロミオを観に行ったら、本当に素敵で! 小池先生の演出も目に飛び込んでくる衝撃があって、僕もこの舞台に立ちたいとより強く思いました。スケジュール的に大変になることは分かっていてもやっぱり諦めきれず、オーディションに参加したという経緯です。

シェイクスピアに挑戦する意義「舞台もできる役者でありたい」

――小関さんは、シェイクスピアの作品に関してどんな想いや意気込みがありますか?

小関:僕は日本オリジナル版の『ロミオ&ジュリエット』の初演と再演を実際に観に行き、まだ当時は高校生でまさかこの作品に自分が出ることになるとは思ってもいませんでしたが、「こんな美しい煌びやかな世界があるんだ」とそのときの景色が今でも鮮明に思い出されます。

それから佐藤健さんが出演していたストレートプレイバージョンを観たり、決まってからは映像で蜷川幸雄さんが手がけた藤原竜也さんのバージョン、黒羽麻璃央くんと甲斐翔真くんがやった前回のバージョンもそうですし、古川雄大さんがやっているのもそうだし、いろいろ……。

岡宮:全部観ていますね! すごいな!

小関:見比べるのが面白くて。実は映像でフランス版も宝塚版も観ているんです。

岡宮:すごすぎる!

小関:それだけ観ているので、理解はだいぶ深まっていると思います。シェイクスピアに関しては、僕がこの作品に携わってみたいと思った強い理由の一つでもあります。ちょうど壤晴彦さんと舞台『キングダム』でご一緒したとき、壤さんはロイヤル・シェイクスピア・カンパニーと交流があったり、蜷川さんの舞台にずっと出演されたりしていたので、共演中にシェイクスピアの作品についてお話を聞く機会が多かったんです。もう亡くなってしまったけれど、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに所属し、『ハリー・ポッター』のスネイプ先生役をやっていたアラン・リックマンさんとお友だちでよく飲んでいた話や、シェイクスピアの話も新鮮なことがたくさんあって。

僕の俳優人生は「舞台もできる役者でありたい」という想いがずっとあったので、それなら来夢くんと同じようにシェイクスピアの作品を知らないのは恥ずかしいことでもあるし、知っていることによって理解が深まる物事も多いだろうなという考えがありました。それが興味を持ち始めたタイミングで、ちょうど「来年『ロミジュリ』をやるらしい」と聞いて、これは運命だと思いオーディションを受けたという経緯があります。

今は、シェイクスピア原作の作品であること、昔観た『ロミオ&ジュリエット』に自分の時間を投入していくことに前のめりになっている状態です。

取材・文:矢内あや
Photo:梁瀬玉実

スタイリング:【小関裕太・岡宮来夢】能城匠
ヘアメイク:
【小関裕太】 Emiy(エミー)
【岡宮来夢】村田樹
 
衣装協力:【岡宮来夢】タキシードアトリエ ロッソネロ

インタビュー後編はこちら

公演概要

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』

原作:  ウィリアム・シェイクスピア
作:  ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:  小池修一郎(宝塚歌劇団)

出演:
ロミオ        小関裕太 / 岡宮来夢
ジュリエット     吉柳咲良 / 奥田いろは(乃木坂46)
ベンヴォーリオ    内海啓貴 / 石川凌雅
マーキューシオ    伊藤あさひ / 笹森裕貴
ティボルト      太田基裕 / 水田航生
死 栗山廉(K-BALLET TOKYO) / キム・セジョン(東京シティ・バレエ団)
キャピュレット夫人  彩吹真央
乳母         吉沢梨絵
ロレンス神父     津田英佑
モンタギュー卿    田村雄一
モンタギュー夫人   ユン・フィス
パリス        雷太
ヴェローナ大公    渡辺大輔
キャピュレット卿   岡田浩暉
ほか

【東京公演】
公演期間:2024年5月16日(木)~6月10日(月)
会場:新国立劇場 中劇場

【愛知公演】
公演期間: 2024年6月22日(土)・6月23日(日)
会場: 刈谷市総合文化センター

【大阪公演】
公演期間: 2024年7月3日(水)~7月15日(月・祝)
会場: 梅田芸術劇場メインホール

公式サイト: https://www.rj-2024.com/
公式X (旧Twitter): @musical_RJ

© ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』公演事務局

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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