木津つばさ×田村升吾インタビュー「Dr.STONE」THE STAGE〜SCIENCE WORLD〜「分かりやすさの中にも複雑さを織り込む努力を」(後編)
2023年9月に東京、兵庫にて「Dr.STONE」THE STAGE~SCIENCE WORLD~が上演されます。
本作は「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載されていた大人気漫画「Dr.STONE」を舞台化、2022年7月に初演が東京にて上演されました。特筆すべきは演劇の楽しさのみならず、目の前で繰り広げられる科学実験など、五感への刺激を体感しながら「科学」を学べること。子どもから大人まで世代を問わずに楽しめる「科学ファンタジー演劇」となっています。
今回は主人公・千空役の木津つばささんと、クロム役の田村升吾さんのお二人にインタビュー。後編では、お互いの印象や、学生時代に情熱を傾けたことについてたっぷり語っていただきました。褒め合いになった空気に照れが混じったりと、お二人の掛け合いもお楽しみください。
お互いの印象は「演劇に対してハートがある」「熱さの出力を調節できる座長向きの人」
――木津さんと田村さんのお二人は、このドクステで初めて共演をされたとのことですが、お互いの印象はいかがでしたか?
木津:最初は本当にもう、かわいい、元気、後輩、っていう感じで、「いいなぁ……ステキだなぁ」って思っていました。僕自身が最初は「……っす」(目をあまり合わせないようにしながら小さく頭を下げる仕草)みたいなタイプで、初めからあんまり気楽に絡みに行けないんですよ。だから、すごく話しかけてくれるし、写真も撮ろうって言ってくれるし、「明るぅ」って。
田村:いやいやいや(笑)。
木津:でも同時に、頑張ってくれてるんだろうなと思いましたよ。(千空とクロムは)関わることの多い役だし、早めに仲良くなりたいって思ってくれてるのかなって。僕がどうしても身構えるような感じになっちゃってたのもあったし。だけど、話してみたら、すごく熱いものを持ってるなって感じたんですよ。言い方が悪いんですけど「あぁ、こいつも演劇バカか」と(笑)。
田村:あはは!
木津:僕もそうなんで「あぁ、いいな。いい人みっけ」みたいな感覚でしたね。
田村:いやー、嬉しいですねぇ。
木津:舞台となると28歳くらいから30代と年上の先輩方が多いので、僕も“後輩”になることが多くて。升吾は後輩の中でも……って、ひとつしか年は変わらないんですけど、すごく熱を持っているというか、演劇に対してハートがあるなと。僕、ハートがある人が好きなので。ハートを持ち合わせてくれているから、こっちもハートを送れるし、ちゃんと演劇でぶつかれる。それはケンカとかじゃなく、演劇に対してのディスカッションができるって意味なんですけど。舞台上で言葉を交わせることがとても楽しくて、「素敵だなこの子は!」って思いながらやってます。こいつはスゴイっす! なんか上から目線でファンの方にも親御さんにも申し訳ないんですけど(笑)。
田村:いやいや、ありがとうございます(笑)。つばさくんは……そうっすね。同年代で尊敬できる人って、僕はあんまりいないんですけど。つばさくんはすごく尊敬してます。それに、頭いいんだろうなぁって。
木津:いや、バカよー? めちゃめちゃバカ。
田村:いやその、地頭? なんて言うんだろう。人としての頭がいいんだろうなって。
木津:あ、でもそれ最近、ばぁちゃんにも言われたの! 電話した時に「アンタって頭よかったんだね」って(笑)。
田村:おばあちゃん、何でも分かってるんですよ(笑)。
木津:「あんなに言葉を覚えられるなんて、じゃあ勉強もできたはずじゃないの」
田村:「なのになんでできなかったの?」って?(笑)
木津:そうそう!
――(一同笑)。
田村:あとは、人にすごく気を遣えて、周りが見えていて。それって才能だと思うんですよ、努力でどうにかなるものではないので。
木津:まぁまぁ。でも、10代の頃は全然こんなんじゃなかったから。やっぱり、人と関わることで人を好きになれるようになったんですよ。
田村:確かに。人を好きになる才能、めっちゃあると思います! そして、根底にあるものはすごく熱いですけど、それすらも自分で温度調節できるような人だなって。……うん、上手いこと言えたぞ(笑)。
木津:エアコンみたいな?
――エアコンって!(笑)
田村:じゃないけど!(笑) 熱くもなれるし、出力を調整しながら周りを見られる。やっぱり座長にすごく向いてる方なんだなって思います。
木津:エアコン座長。
田村:いや、ストーンワールドにエアコンないし、上手くもないですよ(笑)。
木津:上手くもないか(笑)。
学生時代の二人が、情熱を持って追いかけたものとは
――では、作品にちなんだ質問も伺わせてください。千空とクロムはかなりの情熱を科学に向けていますが、お二人がこれまで情熱を持って追究したものは何でしょうか?
木津:僕は量子力学ですね。
田村:あはは! まじで?(笑)
木津:なんで笑ってんの?(笑)
田村:難しいこと言ってんなぁと思って(笑)。
木津:中学校の頃、量子力学が本当に好きだったの。勉強は大嫌いだったんですけど、アインシュタインたちの研究からの“世界は量子で成り立っている”っていう説が、すっごく好きで。あとは、あの……なんとかの猫ってあるじゃん?
田村:シュレーディンガーの猫?
木津:そう! そのお話なんかもめっちゃ好き。自分たちの見えている世界を疑ってかかるっていうか。例えば、ここにある手は本当にあるのかなとか。まぁ、ひねくれ者だなとは思うけど。
田村:へぇ! なんかやっぱ千空っぽいよね。
木津:そういうのがかなり好きで。量子のことをけっこう熱を入れて勉強してましたね。
――田村さんはいかがですか?
木津:やっぱり、血豆ができるくらいやってるあれじゃないですか?
田村:あぁ、そうだ。今、手に血豆ができてるんです。別の仕事で野球をするんですけど、昨日その練習があって。中学生の頃、野球部だったんですが手が豆だらけになるくらいにやってて。
木津:髪も坊主だったんだっけ。
田村:坊主でした。しかも五厘の。坊主にするのはもう超イヤだったけど、野球が大好きだからするしかなくて。なんであんなに毎朝5時とか6時から朝練やってたんだろう……。
木津:ありえないよね、今考えたら!
田村:そして夜まで練習した後に自主練して、とか。今考えると学生の頃って本当にありえない熱量を持っていましたね。子どものエネルギーってどこから湧いてくるんだろうって、しみじみ思いました。
木津:でもすごいと思いますよ、僕は。中学生の時には野球にぐわーっと熱中していて、今となっては「なんであんなに熱量を注げていたのか分かんない」って言いますけど。それはアナタ、今は役者に熱を注いでますから。
田村:なるほど。
木津:だからそっち(野球)に行ききれないんですよ。
田村:そうか、行けないのか。人ってもう、容量が決まってるのか。
木津:そうです、決まってますから。
田村:じゃあもう今後は、共に役者に熱を注いで。ね!
木津:あはは! でもいいね、野球に熱を注いでたって素敵。僕もサッカーやってたし。エネルギーの注ぎ方とか集中力とかもさ、「なんであんなにバット振ってたんだろう?」って思っちゃわない?
田村:思っちゃう。
木津:別に何かをするわけでもなく、球を打つ、そのためだけにバットを振って。しかも、それに気持ちを込められる。
田村:すごいよねぇ。
木津:すごいよ!
田村:あの時の自分を褒めてあげたい。
木津:今も熱を注いでる方が、選手になったりするわけですから。
田村:役者も含め、どの世界のプロフェッショナルも、やっぱり全部熱量を注げる人が残ってくのかなって思うと、ね。役者頑張ります!
木津:……っていう具合に落ち着いたんですけどいい感じです?
――とてもいい感じだと思います(笑)。では最後に一言ずつ、読者の方へのメッセージをお願いします。
田村:今回の再演は、ほぼフルキャストが続投ということで、みんなとまたやれるっていうのがすごく楽しみです。僕自身、これまでに再演を経験したことがないので、再演というものへの、不安な部分もありますが。お客さまの期待を超えられるような、そして原作をも超えられるような……なんて、難しいことですし、簡単には言えませんが、超えられるような舞台を届けたいと思いますので、応援よろしくお願いします!
木津:観に来ていただいて、感じていただいたことが全てだと思います。僕たち、そしてこのカンパニーなら(期待を)超えられるような作品にできると思うので、それを信じてついてきていただけたら嬉しいです。大人の方には純粋に子どものような気持ちで、お子さんにはただただ楽しみにお越しいただけたらと思うので、この何だか奇跡のような体験を劇場でいっしょに味わいましょう。よろしくお願いします。
取材・文:古原孝子
Photo:梁瀬玉実
公演概要
「Dr.STONE」THE STAGE~SCIENCE WORLD~
【公演期間・劇場】
東京:2023 年 9 月 2 日(土)~9 月 10 日(日) 品川プリンスホテル ステラボール
兵庫:2023 年 9 月 15 日(金)~9 月 18 日(月・祝) AiiA 2.5 Theater Kobe
【原作】稲垣理一郎・Boichi 「Dr.STONE」(集英社 ジャンプ コミックス刊)
【脚本・作詞】浅井さやか(One on One)
【演出】伊藤マサミ(進戯団 夢命クラシックス)
【主題歌】40mP
【科学監修・指導】市岡元気(GENKI LABO)
【キャスト】
千空:木津つばさ
大木大樹:岩城直弥
小川 杠:西葉瑞希
コハク:永利優妃
クロム:田村升吾
金狼:長塚拓海
銀狼:田口 司
スイカ:石田結彩(W キャスト)
スイカ:三浦あかり(W キャスト)
あさぎりゲン:大隅勇太
獅子王 司:宇野結也
ドクタロー:石田 隼
サイエンスボーイズ&ガールズ:宮本親臣 阿比留大樹 渡邊彩乃 青山瑠里
【主催】ネルケプランニング
【チケット料金】大人 7,000 円 子供 3,500 円(全席指定/税込)
【チケット一般発売日】2023 年 7 月 29 日(土)10:00
【公演に関するお問い合わせ】
ネルケプランニング https://www.nelke.co.jp/about/contact1.php
【公式サイト】https://drstone-stage.com/
【公式Twitter】@DrSTONE_stage
Ⓒ米スタジオ・Boichi/集英社・ネルケプランニング