加藤清史郎インタビュー 『未来少年コナン』「今、このメンバーで上演することにものすごく意味があると思っています」(前編)
2024年5月28日(火)より東京芸術劇場 プレイハウス、6月28日(金)より梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて、舞台『未来少年コナン』が上演されます。
本作は、1978年4月放送、頭角を現し始めていた宮崎駿氏が監督に大抜擢されたテレビアニメーションシリーズ「未来少年コナン」の舞台化作品。
演出を務めるのは、奇才インバル・ピント氏と多彩なクリエイターであるダビッド・マンブッフ氏。
主人公のコナン役を加藤清史郎さん、コナンと共に困難な冒険に立ち向かうラナ役を影山優佳さんが務めます。その他、成河さん、門脇 麦さん、宮尾俊太郎さん、今井朋彦さん、椎名桔平さんなど、実力派キャストが揃いました。
THEATER GIRLは、主人公のコナン役を務める加藤清史郎さんにインタビュー。前編では、演じるコナン役の印象やインバル・ピント氏とダビッド・マンブッフ氏の演出で楽しみにしていること、カンパニーの印象など、たっぷりとお話をうかがいました。
コナンの偉大さを知る毎日です
――本作に出演が決まった時は、嬉しい気持ちとともに緊張したとおっしゃっていましたが、実際に稽古に入られた現在の心境はいかがでしょうか。
もちろんすごく緊張はしていますし、どうしても使命感や責任感を感じてしまうこともあります。ただ、今はもっとフラットな状態で作品をクリエーションすることと向き合っていこうと思っているところです。
――本作では主人公のコナンを演じますが、役柄の印象はいかがでしょうか。ご自身と重なる部分もあったりされますか?
コナンの偉大さを知る毎日ですね。行動もそうですが、セリフ一つをとっても「どうしてこんな風に言えるんだろう」と感じることが多いんです。そういう意味で、今の僕では絶対になれない人だなと思います。それだけ彼の魅力に魅入られていますね。
今は、「なんであんなにまっすぐに言葉を飛ばせるんだろう」という部分を掘る作業を進めているところです。多分、僕が僕として同じ言葉を発してしまうと、そこに含みが生まれてしまうと思うんです。コナンの言葉って本当にまっすぐだから、そこが人を動かすんだろうなって思ってます。だからいつかはコナンみたいに生きたいですね。
みんなでものを作るってこういうことなのかもしれない
――本作は1978年に宮崎駿監督が初監督したアニメーション作品になりますが、今回インバル・ピント氏とダビッド・マンブッフ氏が演出するにあたって楽しみなことはありますか?
稽古に入ってみて思ったのは、「その場でものを作る」ということです。他の現場だと、持ってきたものをすり合わせていくことが多いんですけど、今回の現場では持ち合わせているものでは組み立てないんです。前もってインバルとダビッドで話をしていたとしても、さらにそれを広げた状態で提案をくれるので、そこに僕らキャスト、ダンサーの個性、技術やいろいろなものが入って紡ぎ上げられていくというか。
その作業ってものすごくしんどいしエネルギーのいることなんです。ただ、この『未来少年コナン』をインバルとダビッドというフィルターをかけて上演することの意味だったり、本当の意味でみんなでものを作るってこういうことなのかもしれないとすごく感じました。
――ご自身にとってかなり刺激のある現場なんですね。稽古を重ねてみて、難しいと感じることや課題に思っていることはありますか?
ものすごく当たり前ですが、いかに“コナンでいるか”ということが一番の課題だと思っています。コナンという少年ができすぎているのでそこを真似るだけでは絶対にダメだと思うんです。本質的にコナンでなきゃ言えないセリフもだし、今回の公演を通して様々なことと出会って成長しないとこの言葉は出ないよねってセリフもたくさんあるので。その“在り方”が一番の課題になると思います。
インバルは、人当たりが良くて“おばちゃん”な部分がある人
――今回、影山優佳さんや成河さん、門脇 麦さん、椎名桔平さんなど、多彩な共演者の方々が揃っていますが、カンパニーの雰囲気や共演者の皆さんの印象はいかがでしょうか。
カンパニーの雰囲気はすごくいいですね。まず、ダンサーさんたちの関係性がすごく素敵なんです。それとインバルがものすごく人当たりが良くて、あえてこの言い方をすると、 “おばちゃん”な部分がある人なんですよ(笑)。だけど稽古に入った時に、空気がものすごく糸が張った状態になるんです。それにしがみついてニュアンスを捉えようとすることができる人たちだからこそ、いいものが生まれるんだろうなと思います。
長時間稽古をやって身体的にものすごく疲弊していっている中で、集中力を保つことってものすごく大変なんですけど、それを超えた先にクリエーションの時間があるということを学ばさせていただきました。それはダンサーさんだけではなく、キャストの方からもです。特に成河さんはアイデアを出し続けていらっしゃっていて。それが受け入れられる現場だなと感じます。
取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:野田涼
スタイリスト:古舘謙介
ヘアメイク:Ken Nagasaka
・ブルゾン ¥41,800/Barbour
・ジャケット ¥38,500
・ネクタイ ¥8,580
・パンツ 参考商品
/ともにKent Ave.
・シャツ ¥14,300/SENTINEL
・靴 ¥44,000/42ND ROYAL HIGHLAND Navy Collection(42ND ROYAL HIGHLAND)
・眼鏡 ¥48,400/金子眼鏡(オプティシァンロイド)
・時計 ¥41,800/BRISTON(UNBY GENERAL GOODS STORE)
・サスペンダー/スタイリスト私物
公演概要
舞台『未来少年コナン』
原作:日本アニメーション制作「未来少年コナン」
(監督:宮崎 駿 脚本:中野顕彰 胡桃 哲 吉川惣司)
演出・振付・美術:インバル・ピント
演出:ダビッド・マンブッフ
キャスト:
コナン:加藤清史郎
ラナ:影山優佳
ジムシー:成河
モンスリー:門脇 麦
ダイス:宮尾俊太郎
ルーケほか:岡野一平
レプカ:今井朋彦
おじい・ラオ博士:椎名桔平
<ダンサー> 五十音順
川合ロン、笹本龍史、柴 一平、鈴木美奈子、皆川まゆむ、森井 淳、黎霞、Rion Watley
<ミュージシャン>
トウヤマタケオ、佐藤公哉、中村大史、萱谷亮一/服部 恵
2024年5月28日(火)~6月16日(日)
東京芸術劇場 プレイハウス
S席:平日11,000円/土日11,800円
サイドシート:平日・土日共通9,000円
(全席指定・税込)
主催・企画制作:ホリプロ
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場