渡邉 蒼×三浦宏規インタビュー 『デスノート THE MUSICAL』「今の時代だからこその視点を作品に反映していけたら」(前編)
2025年11月24日より東京建物 Brillia HALLを皮切りに、『デスノート THE MUSICAL』が上演されます。
2003年12月から2006年5月まで「週刊少年ジャンプ」に連載され、映画やドラマ、アニメなど幅広いメディア展開を遂げてきた人気漫画「DEATH NOTE」。そのミュージカル版となる本作は、2015年に日本で世界初演が開幕するや瞬く間に観客を虜にし、その後、17年、20年に上演、さらには、日本での世界初演と同年の15年から、韓国でも韓国キャストによる上演を開始。その後、17年、22年、23年と再演を重ねています。
音楽は、『ジキル&ハイド』『ボニー&クライド』などのブロードウェイ作品のみならず世界的に活躍し、世界各国で新作の創作を熱望され続けているフランク・ワイルドホーン氏、演出は、数々の演劇賞を受賞してきた日本を代表する演出家・栗山民也氏が手掛けます。
主人公・夜神 月役は、映像作品からアニメの声優まで幅広く活躍し、舞台でも数々のミュージカルで活躍する加藤清史郎さんとソロアーティストとして活動も開始するなど幅広い表現力と瑞々しい感性で存在感を放つ注目の若手俳優、渡邉 蒼さんがダブルキャストで演じ、L役は、繊細な演技力としなやかな身体性を兼ね備え、作品ごとに観客を圧倒し続ける若きカリスマ、三浦宏規さんが務めます。
さらに、弥 海砂役を鞘師里保さん、夜神粧裕役をリコさん、夜神総一郎役を今井清隆さんが演じるほか、2015年、17年に夜神 月役を演じた浦井健治さんが死神リューク役を務め、8年の時を経て濱田めぐみさんが再び死神レムを演じます。
THEATER GIRLは、夜神 月の渡邉 蒼さん、L役の三浦宏規さんにインタビュー。前編では、10周年という記念すべき公演となる本作に出演が決まった時の心境、初共演となるお二人にお互いの印象や夜神 月役、L役の印象や共感できる部分など、たっぷりとお話をうかがいました。
出演が決まったときは、本当に信じられない気持ち
――今回は10周年という節目の公演になりますが、まずは本作に出演が決まった時のお気持ちを聞かせてください。
渡邉:出演が決まったときは、本当に信じられない気持ちでした。作品の存在はもちろん知っていましたし、映像などでも拝見していたのですが、まさか自分が関わることになるとは思っていなくて。自分のレベルではまだ手の届かない作品だと思っていたので、決まったときは「これはしっかり覚悟を決めて臨まなければ」と身の引き締まる思いでした。
三浦:僕はたぶん初演からほぼすべての『デスノート THE MUSICAL』を観ていて。それくらい大好きな作品で、「いつか自分もこの舞台に立てたらいいな」とずっと思っていました。でもまさか本当に叶うとは思っていなかったので、決まったときは心からうれしかったです。
でも、やっぱり驚いたのは夜神 月が二十歳ということですよ! 二十歳でこの役を演じるなんて、本当にすごい。信頼と実力があってこその抜擢だと思うし、傍から見ても本当にすごいことだなと感じます。
渡邉:ありがとうございます(笑)。でも実は僕、最初は他のキャストの方の情報をまったく知らなかったんです。夜神 月役に決まってうれしい反面、「本当に現実なのかな?」という半信半疑な気持ちもあって。そんなとき、「L役は三浦宏規さんです」と聞いて、一気に実感が湧きました。「本当にすごい作品に参加するんだ!」と。まさに“デスノート”というタイトルと三浦さんのお名前を同時に聞いて、心にパンチを食らったような感覚でした。
三浦:僕も同じような気持ちを、浦井健治さんがリュークを演じられると聞いたときに味わいました(笑)。

――実際にしっかりお話しされるのは、今日が初めてなんですよね。
渡邉:そうなんです。お会いするのは今回が二度目ですが、こうしてちゃんとお話しするのは今日が初めてです(取材時)。以前、ビジュアル撮影のときにほんの数秒だけご挨拶した程度でした。
――三浦さんに対して、もともとどんな印象をお持ちでしたか?
渡邉:自分が二十歳になった今、同じくらいの年齢のときに三浦さんが『レ・ミゼラブル』でマリウスを演じられていたことを思うと、本当に目標のような存在でした。ミュージカルの世界で生きていくうえで、自分の指針になる方という印象がずっとありましたね。
それに、以前『ダーウィン・ヤング 悪の起源』でご一緒した内海啓貴さんのイベントのバックステージで、偶然三浦さんをお見かけしたことがあったんです。そのときはただ「かっこいい……」と思うばかりで、声をかけることもできませんでした(笑)。完全に“ミュージカルオタク”状態でしたね。まさかその憧れの方と、こうして『デスノート THE MUSICAL』で対峙することになるなんて、夢にも思っていませんでした。
三浦:いやいや、そんなふうに言われるとちょっと恥ずかしくてやりづらいですね(笑)。僕は渡邉くんのお芝居を生で観たことはなかったのですが、共通の知り合いである内海啓貴くんから「めちゃくちゃしっかりした子だよ」と聞いていたんです。
そのときはまだ今回の出演が決まっていなかったと思うのですが、あとから「月役に決まった」と聞いて、あっきー(内海さん)の先見の明を感じましたね(笑)。

――実際に共演することになって、今どんなお気持ちですか?
三浦:こんなに年下の俳優さんとがっつり対峙するのは、これまでにあまりなかったので、純粋にうれしいです。これまではどちらかというと先輩方や、同世代の方とご一緒することが多かったので、今回はとても新鮮ですね。まさに“新時代の『デスノート THE MUSICAL』”が、10周年という節目に新しく幕を開けるんだなという感覚があります。
……と言いつつ、僕もまだ“新世代”のつもりでいるんですけど(笑)。でも、二十歳の渡邉くんと一緒にいると、「もう世代が違うのかもしれない」と実感します。それでも本当に頼もしい存在ですし、頼りにしています。
渡邉:ありがとうございます! こちらこそ、たくさん頼りにさせていただきます。よろしくお願いします。

月とLは遠いようでいて、実はとても近い存在
――本作でお二人はそれぞれ夜神 月とLを演じられますが、役に対してどんな印象をお持ちですか? また、共感できるところ、逆に共感しにくい部分があれば教えてください。
渡邉:「DEATH NOTE」はあまりにも有名な作品なので、多くの方が夜神 月に対して「殺人鬼」や「狂気的な人物」という印象を持っていると思います。けれど僕自身は、月はとても人間らしく、純粋な人物だと感じているんです。
彼はデスノートを手にしたから特別になったのではなく、もともと持って生まれた頭の良さや環境、そして両親の影響によって、すでに“特別な人生を歩む運命にあった人”なんじゃないかと。いわばサラブレッドのような存在ですよね。
だからこそ、演じるうえでは月を“異常な人”として描くのではなく、強い正義感を持った一人の青年として丁寧に向き合いたいと思っています。

――今回は加藤清史郎さんとのダブルキャストになりますが、その点についてはいかがでしょうか?
渡邉:月という役は、演じる人の中にある“善悪の基準”が色濃く反映される役だと思うんです。だから、加藤さんと僕とではまったく違う月になるはずですし、そこがこの作品の面白いところでもあると思います。加藤さんからたくさん学ばせていただきながら、自分にしかできない月をしっかりと作っていきたいです。
三浦:いやあ、しっかりしていますね。本当に素晴らしいです(笑)。でも、月とLって、遠いようでいて、実はとても近い存在だと思うんです。
Lも「奇人」や「天才」といったイメージで語られることが多いですが、彼なりの正義感がある。確かに極端で、時には非情な判断を下すこともありますが、それも彼なりの“正義のかたち”なんですよね。決して心がないわけではなく、ふとした瞬間に人間的な一面が垣間見える。そこがすごく魅力的だと思います。
月とL、二人は特別な知性を持つがゆえに、それぞれが自分の信じる正義と葛藤している。その感覚はどちらにも共通していて、だからこそ強く惹かれ合い、共鳴し合うのだと思います。敵同士でありながら、もし状況が違っていたら親友になっていたかもしれない――そう言われるのもすごくわかります。本当に、この二人は表裏一体の関係ですよね。

――今回の『デスノート THE MUSICAL』では、三浦さんのこれまでにない新しい一面が見られそうですね。
三浦:実際、ラジオでも「こういうタイプの役を演じるのは珍しいですね」といったお便りをいただきました。確かに、これまでの僕は感情を爆発させたり、ボロボロになりながら心情を発散したりするような役が多かったんです。
なので今回のLのように、“感情を内に秘めた人物”というのは、これまであまり経験がないタイプの役だと思います。
――ミュージカル『ジェイミー』でWキャストを務められた髙橋颯さんも以前、L役を演じられていましたが、何かアドバイスやお話はありましたか?
三浦:颯くんが、「歩き方をたくさん練習した」と言っていました。演出の栗山民也さんと一緒に、何度もLの歩き方を研究したそうで、最終的に「栗山さんの歩き方こそがLの歩き方だった」と言っていたんです(笑)。
その話を聞いたとき、「ああ、なるほどな」と思いました。僕もその言葉を少し頭の片隅に置きながら、Lという人物を掘り下げていきたいと思います。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:髙橋 耀太
公演概要
『デスノート THE MUSICAL』
<スタッフ>
原作:「DEATH NOTE」(原作:大場つぐみ 作画:小畑健 集英社 ジャンプコミックス刊)
作曲:フランク・ワイルドホーン
演出:栗山民也
歌詞:ジャック・マーフィー
脚本:アイヴァン・メンチェル
翻訳:徐賀世子
訳詞:高橋亜子
編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ハウランド
音楽監督・指揮:塩田明弘
美術:二村周作
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
衣裳:有村 淳
ヘアメイク:鎌田直樹
映像:上田大樹
振付:田井中智子
歌唱指導:ちあきしん
演出補:豊田めぐみ
舞台監督:加藤 高
<キャスト>
夜神 月:加藤清史郎/渡邉 蒼(ダブルキャスト)
L:三浦宏規
弥 海砂:鞘師里保
夜神粧裕:リコ(HUNNY BEE)
死神レム:濱田めぐみ
死神リューク:浦井健治
夜神総一郎:今井清隆
俵 和也
石丸椎菜
岩橋 大
大谷紗蘭
小形さくら
尾崎 豪
上條 駿
川口大地
神田恭兵
咲良
田中真由
寺町有美子
照井裕隆
藤田宏樹
増山航平
町屋美咲
松永トモカ
望月 凜
森下結音
安福 毅
德岡 明(スウィング)
森内翔大(スウィング)
<東京公演>
期間:2025年11月24日(月休)~12月14日(日)
会場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
<大阪公演>
期間:2025年12月20日(土)~23日(火)
会場:SkyシアターMBS
<愛知公演>
期間:2026年1月10日(土)~12日(月祝)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
<福岡公演>
期間:2026年1月17日(土)~18日(日)
会場:福岡市民ホール 大ホール
<岡山公演>
期間:2026年1月24日(土)~25日(日)
会場:岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場
主催・企画制作:株式会社ホリプロ
公式HP:https://horipro-stage.jp/stage/deathnote2025/
公式X:https://x.com/dnmusical
公式Instagram:https://www.instagram.com/dnmusical/
