松下優也インタビュー ブロードウェイ・ミュージカル「バイ・バイ・バーディー」「声が出せなくても楽しみを表に出してもらえたら嬉しい」(後編)
2022年10 月 18 日(火)よりKAAT 神奈川芸術劇場<ホール>を皮切りに、ブロードウェイ・ミュージカル「バイ・バイ・バーディー」が上演されます。
本作は、一度聴いたら忘れられない!キャッチーな楽曲に彩られ、キュートでパワフル、底抜けにハッピーなコメディ・ ミュージカル。本作が誕生した当時、アメリカ中を熱狂の渦に巻き込んでいたキング・オブ・ロックことエルヴィス・プレスリーの徴兵エピソードからヒントを得て作られました。
1961 年にミュージカル作品賞をはじめとするトニー賞を受賞するなど観客を沸かせ、その後、1963 年には映画化、2009 年にはブロードウェイ再上陸を果たすなど、長らく愛されています。
高橋亜子氏が翻訳、演出・振付をTETSUHARU氏が務めます。主人公アルバートを演じるのは、長野博さん。共演に、霧矢大夢さん、松下優也さん、寺西拓人さん、日髙麻鈴さん、内海啓貴さん、敷村珠夕さん、田中利花さん、樹里咲穂さん、今井清隆さんとバラエティ豊かな実力派が揃いました。
THEATER GIRLは、スーパーロックスターのコンラッド・バーディーを演じる松下優也さんにインタビュー。後編では、歌い方のこだわりや本作にちなみ、今松下さんが熱狂しているもの、今年の出演作を振り返った印象などを語っていただきました。
インタビュー前編はこちら
歌い方には相当こだわっている
――普段やっている音楽とミュージカルでは、歌唱法も全く違うものだと思いますが、いろいろな音楽を自分のものにするにあたって、こだわっていることはありますか?
自分は相当こだわっている方だと思います。一個一個細かく、どの部分でどのようにするか、まずは感覚で歌ってから作っていきます。どこの部分でフォールさせるか、どこまで伸ばすか、ここはビブラートをかける、かけないとか。 どういう声で歌うかは、割とそのときの感情に合わせてやりますね。
ただ今回の作品に関しては、どちらかというと音楽寄りなので、ミュージカルの歌い方よりも、普段のアーティストとしての歌を生かせる楽曲なのかなと思います。
――コンラッド・バーディーと松下さんご自身で何か共通点であったり、演じるにあたってフックにしたことはありますか?
歌に関して言うと、エルヴィス・プレスリーの楽曲はいろいろ聴きました。でも、「自分はそういうやり方はしないな」という部分もやっぱりあるんですよ。例えばエルヴィス・プレスリーって、ふざけて少し低めに歌ったりすることもあって。コンラッド・バーディーもそういうポイントがあるので、「ここはそういう風にやってみよう」ということもあるし。逆に「ここは自分のこの感じの方が良いのでは」と思ったらそれを試したりもします。コンラッドってなんて言うか……すごくフレッシュなんですよね。自分はフレッシュではないので、そこはちょっと違うなと感じています。
元々自分がやってきていたものを生かせそう
――本作の舞台は60年代のアメリカということですが、その時代のアメリカの音楽についてはどのように感じていらっしゃいますか?
いろいろ時代背景はあると思いますけど、僕自身やってきた音楽ってブラックミュージックが割と多いんです。エルヴィス・プレスリーみたいな存在ってやっぱりすごいと思うんですよ。白人であれだけ歌ってダンスもして。エルヴィス・プレスリーからはただのロックな感じは全くしなくて、アフリカン・アメリカンのグルーヴもすごく感じます。
――ずっと聴かれてきた音楽としては、やっぱりブラックミュージックが多いのでしょうか?
そうですね。やっぱりR&B、ヒップホップ、ソウルだったり。あとはゴスペルをやってたりもしたので。まさに自分の歌い方自体、そういう音楽をやってきた人だってわかるような歌い方になっていますし。その人が何を通ってきたのかって、歌を聞いたらわかるんですよ。
特に僕らがやっているような、R&Bだったりはアフリカン・アメリカンの音楽の影響はすごくあるなと。元々持っている歌のグルーヴ感というのは、今回のコンラッド・バーディーの楽曲に生かせるなと思っています。