廣瀬友祐インタビューミュージカル『モダン・ミリー』「人生が楽しくなるような、そんな力を持っている作品です」（前編）

2024.07.08

INTERVIEW

2024年7月10日（水）より東京・シアタークリエにて上演されるミュージカル『モダン・ミリー』。

1967年公開のミュージカル映画を原作に上演されたブロードウェイ版は、2002年にトニー賞作品賞や主演女優賞などを受賞し、大ヒットとなりました。

日本ではコロナ禍による上演中止を経て2022年に上演。モダンガールに憧れて田舎町から出てきたミリーの巻き起こす物語は、“最高にハッピーになれるミュージカル”として、多くのミュージカルファンを魅了しました。

2024年版では前作も主演を務めたミリー・ディルモント役の朝夏まなとさんのほか、廣瀬友祐さんや一路真輝さんが引き続き出演。また新キャストとして田代万里生さんや夢咲ねねさん、大山真志さん、土居裕子さんらが名を連ねます。

今回、THEATER GIRLでは前回に続きトレヴァー・グレイドン役を演じる廣瀬友祐さんにインタビュー。前編では、3度目となるトレヴァー役を演じることや主演の朝夏まなとさんの魅力、今回初参加となるミス・ドロシー役の夢咲ねねさんらとの共演についてなど、たっぷりとお話をうかがいました。

インタビュー後編はこちら

トレヴァー役は「役者のパーソナルな部分を生かせる」余白が楽しい

――中止となった2020年を含めると3度目のトレヴァー役となります。どんなところにトレヴァーの魅力を感じながら演じていますか。

この作品の元々の脚本で言うと、ヒロインのミリーからのアプローチには目もくれず、ドロシーに一目惚れするけど振られてしまうという、ちょっと残念なキャラクターの印象があります。でも、コロナ禍で2020年の初演が中止になって、とにかくお客様を楽しませるんだということを掲げて挑んだ2022年の『モダン・ミリー』の中で生きるトレヴァーは、「ちょっとずれているところが魅力的に映ればいいな」ということを意識して演じました。一見すると二枚目ポジションで、でもビジュアルには若干似合わない要素を持っている、とても人間らしい部分が魅力というか。自分が演じたトレヴァーに対する魅力って難しいですね（笑）。

でも、ただただかっこいい役って、僕自身は演じるのがしんどかったりするんですよね。ちょっと抜けているとか、隙があるとか。その余白の部分に役者のパーソナルな部分を生かせるような役っていうのは、演じていてとても楽しいです。トレヴァーはまさにそういう役なので、また演じられるのは嬉しいですし、前回も楽しく演じていたのを覚えています。

――4年前、2年前とちょうど2年毎のサイクルでこの役に取り組んでいますが、今回の役作りでプラスアルファとして加えようと思っていることや、変化をつけようと思っていることはありますか。

特に新しく加えようと思っていることはないですが、今回は田代万里生くんや夢咲ねねちゃんといった主要メンバーも新しいキャストになって、作品全体の色だったりカンパニーが持っている空気感だったりが自然と変わっていくと思うので、その中で必要なトレヴァー・グレイドンでいたいなと。それが今回の挑戦かなと思います。まだ稽古も始まったばかりなのでわからないですが（取材時）、結果として変わるかもしれないし、もしかしたら何も変わらないかもしれないですね（笑）。

「1つ目のハードルはクリア」、ドロシーとの化学反応に期待がふくらむ

――前回を観た方は、2幕での廣瀬さんに期待しているかと思いますが……。

2幕……そうですよね、僕も楽しみです（笑）。

――中でもドロシーとの掛け合いは注目シーンだと思います。新キャストとしてドロシー役を演じる夢咲ねねさんとはどんな化学反応が起こりそうですか。

（夢咲）ねねちゃんは本当に共演作品が多いし、今まで共演してきた中でも、恋人役だったり夫婦役だったりを演じてきているので、まだ一緒のシーンはほとんど稽古をしていないのですが、僕としてはいい感じになることが想像できているというか。ねねちゃんはどう思っているかわからないですけど（笑）、僕は関係値ができているという感覚です。だから、とても人見知りな僕にとっては、今回のような関係性の役を演じる上での1つ目のハードルをすでにクリアできているなと思っています。

――お二人のナンバー「人生の神秘～誰かに恋して」も楽しみです。

いやぁ本当に楽しみですよね！　ねねちゃんとデュエットダンスみたいなものは今までしたことがないし、ぜひ笑ってもらいたいシーンではあるので。ねねちゃんの持つ面白さみたいなものと、いい意味で融合できたら、かなり面白くなるのではと思います。前回を観てくださった方は、僕のグレイドンに対する印象がすでにあると思うのですが、ねねちゃんも相当なコメディエンヌなので、彼女自身が持っている面白さが存分に出ればいいなと思いますし、僕もそれに負けないように、2人のシーンを作っていけたらいいなと思います。

「ミリーは誰もができる役じゃない」主演・朝夏まなとさんの魅力

――主演を務めるミリー役の朝夏まなとさんの魅力についてもお聞かせください。

やっぱりミリーって誰もができる役じゃないと思うんですよね。めちゃくちゃ人を明るくできるというのは、もうまーちゃん（朝夏さん）自身が持っている1つの大きな魅力で。もちろん彼女自身も、誰もがそうであるように常に明るい人間ではないとは思うんですよ。でも、空気が重くなったときに、周りを気にかけたり笑顔にしようとしたり。そういうシーンを、この作品やその後に共演したミュージカル『天使にラブ・ソングを～シスター・アクト～』でも見かけて、改めて素敵な方だなと思いましたね。