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廣瀬友祐インタビュー ミュージカル『モダン・ミリー』「人生が楽しくなるような、そんな力を持っている作品です」(後編)

INTERVIEW

2024年7月10日(水)より東京・シアタークリエにて上演されるミュージカル『モダン・ミリー』。

1967年公開のミュージカル映画を原作に上演されたブロードウェイ版は、2002年にトニー賞作品賞や主演女優賞などを受賞し、大ヒットとなりました。

日本ではコロナ禍による上演中止を経て2022年に上演。モダンガールに憧れて田舎町から出てきたミリーの巻き起こす物語は、“最高にハッピーになれるミュージカル”として、多くのミュージカルファンを魅了しました。

2024年版では前作も主演を務めたミリー・ディルモント役の朝夏まなとさんのほか、廣瀬友祐さんや一路真輝さんが引き続き出演。また新キャストとして田代万里生さんや夢咲ねねさん、大山真志さん、土居裕子さんらが名を連ねます。

今回、THEATER GIRLでは前回に続きトレヴァー・グレイドン役を演じる廣瀬友祐さんにインタビュー。後編では、前回高い評価を得たコメディシーンへのこだわりや、俳優活動15周年の節目に思う今後の役者としてのビジョン、本作にちなみ“最高にハッピー!”なエピソードなどを語ってもらいました。

インタビュー前編はこちら

客席とのセッションで生み出す笑い。こだわりは「吸引力のある空気づくり」

――今作では廣瀬さん演じるトレヴァーのコミカルなシーンもとても印象的です。コメディを演じるうえで大事にしていることはなんでしょうか。

うーん……どういうものにこだわっているんでしょうね(笑)。人を笑わせることって本当に難しいことだと思います。お笑いに関しては、僕も芸人さんが好きでよく見ているんですが、やっぱり空気感っていうものが大事なんだろうなとは思います。

何かが起こる、それが笑いを誘うようなセリフだとした場合、笑いを取ろうとするその直前の空気で、お客様を引きつけるというか。お客様の意識を引き付けられるような吸引力のある空気を作って、そこで面白いことができたら、より面白い空気感が生まれて、客席と笑いを共有できるんじゃないかなと。

面白いことをやっていても、見てもらえなかったら見逃してしまうような表現よりは、面白いことをやる前段階の空気づくりという部分を大切にしている気がします。まして、劇場ではお客様と日々違う空気感が生まれるので。

――その空気感を受け取って、笑いという部分でも調整されているのでしょうか?

そうですね。もちろん僕に限らず皆さんもやっていることですが、お客様が違えば生まれる空気感も違うので「今日の客席の雰囲気はこんな感じだよね、じゃあこうしよう」とか「今日のお客様は反応がゆっくりめだからこうしよう」みたいなことは、本番中にも舞台袖でよく役者同士でも話し合っています。生で感じ取った空気感の中で、テンポを変えたり音をちょっと変えてみたりと、そういうチャレンジは前回もしていたと思います。

俳優活動15周年。探し続ける「廣瀬友祐じゃなきゃいけない理由」

――夏には俳優活動15周年記念のトークイベントも控えています。15周年を迎えて、今後の役者としてのビジョンをお聞かせください。

ビジョンがないと言えば嘘になるし、あると言っても特に具体的にあるわけではないんですよね(苦笑)。だけど、役者としてはもちろんですが、廣瀬友祐としての人生をちゃんと歩んでいきたいなという思いがあるので、よりパーソナルな部分がにじみ出る役者になっていきたいなとは思っています。

今、ジャンルを問わなければ、星の数ほど役者っていると思うんです。ミュージカル界を主戦場としている人たちは、なんとなくどんな方がいるというのはわかっていますが、違うジャンル、例えば映像やストレートプレイの現場に顔を出した時に、当然そこにもすごい方たちがたくさんいらっしゃるわけで。「代わりっていくらでもいるのかもしれない」と思う瞬間がたくさんあるんです。だからこそ、代わりのいない「その人じゃなきゃ」と言われる役者って素敵だなと思います。だから周りから「廣瀬友祐じゃなきゃいけない」と思ってもらえる理由をずっと探していきたいと思っていますね。

――この先、5年、10年と探していった中で、たどり着きたい姿というものはありますか?

周りのベテランの先輩方を見ていて、削ぎ落とされていっている様がとても素敵だなと思うんです。よりシンプルになって、シンプルだからこそ奥深いものがあって、にじみ出るものがある。その人の人生や経験がバックボーンとしてある中で、表現としては限りなくシンプルなものを出している役者さんはとても素敵だなって。

培ってきた技術を存分に全てさらけ出すような表現より、シンプルで無駄のない先輩方の表現に触れた時に、もう鳥肌が立つんです。僕も40、50、60歳と年齢を重ねていく中で、そういう役者さんになれたらいいなという憧れはありますね。今はまだ30代で削ぎ落とせるほどのものを持っていないので、この先で削ぎ落としていけるように、いろんな経験を積みたいなと思っています。

「シンプルに楽しかったという気持ちで劇場を出てほしい」

――本作にちなみまして、最近起きた“最高にハッピー!”なエピソードを教えてください。

なんだろうなあ。たくさんあるにはあるんだけど……そうだ!  先日、マイカーを手に入れました。

――素敵ですね。マイカーでドライブに行く時間もハッピーな時間になりそうですね。

ドライブも行きます。あとは微妙な距離のスパとか、温泉、サウナに行けるようになったのがハッピーなことですね。そういう施設って、電車で行くのもしんどいし、タクシーで行くような距離でもないし……みたいな立地にあることが多いじゃないですか。温泉やサウナに入った後に電車に乗って帰るのもなんだかなぁって。そういう距離感のところにマイカーのおかげで行けるようになって、行動範囲が広がったので、それが最近1番ハッピーを感じたことかもしれないですね。

――ありがとうございます。では最後に、公演を楽しみにしている皆様へメッセージをお願いします。

「こんなにハッピーなエンディングある!?」というくらい、ヒロインのミリーがいろんなものを手に入れて、幸せな終わり方をする作品ですし、コメディミュージカルということで、面白いシーンもたくさんあります。現実的じゃないような出来事に期待したり、夢を見たりすることで、人生が楽しくなるような、そんな力を持っている作品です。前回観てくださった方も、今回初めて観にきてくださる方も、きっと日々いろんなものと戦っているお客様にとって、明日の活力となるような作品だと思うので、ぜひ劇場でその空気を一緒に共有して過ごせたらなと思っています。劇場でお待ちしております。

――最後にもう1つ、この作品は廣瀬さんにとっても、ハッピーになれる作品ですか?

そうですね。まさに2022年のコロナ禍でこの作品を上演している時も、自分の役も含めてこのハッピーな作品に携われることで、僕自身も本当に救われていました。とにかくシンプルに「楽しかった」という気持ちで劇場を去れる作品って意外に少ないと思うんです。もちろん考えさせられる部分もありますが、ただただ「楽しかったね」という気持ちで劇場を出られる作品でもあると思うので、ぜひ劇場でお会いしましょう!

取材・文:双海しお
Photo:梁瀬玉実

インタビュー前編はこちら

公演概要

ミュージカル『モダン・ミリー』

公演日程:
<東京>
2024 年 7 月 10 日(水)~28 日(日) シアタークリエ

<全国ツアー>
2024 年 8 月 3 日(土)~4 日(日) 大阪 新歌舞伎座
8 月 11 日(日) 愛知 Niterra 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
8 月 16 日(金)~18 日(日) 福岡 博多座
8 月 24 日(土)~25 日(日) 東京・凱旋公演 昭和女子大学人見記念講堂

出演:
朝夏まなと 田代万里生 廣瀬友祐 夢咲ねね 大山真志
土居裕子 一路真輝

入絵加奈子 安倍康律
砂塚健斗 高木裕和 常住富大 堀江慎也 村上貴亮
伊藤かの子 島田 彩 橋本由希子 湊 陽奈 吉田萌美 玲実くれあ

スタッフ
脚本:リチャード・モリス   ディック・スキャンラン
新音楽:ジニーン・テソーリ

新歌詞:ディック・スキャンラン
【広東語翻訳】ドゥラ・レオン(柯杜華)  スーザン・チェン
原作/ユニバーサル・ピクチャーズ同名映画脚本:リチャード・モリス

演出 / 翻訳 小林 香

公式ホームページ: https://www.tohostage.com/modern_millie/

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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