田中涼星×荒牧慶彦×上山航平×櫻井圭登×納谷健インタビュー舞台『忘却バッテリー』　「“One for all All for one”の精神でカンパニー一丸となって作品をつくり上げたい」（後編）

2025.10.15

INTERVIEW

2025年10月10日(金)より東京・天王洲銀河劇場、10月25日(土)より大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて、舞台『忘却バッテリー』が上演されます。

『忘却バッテリー』は、2018年より「少年ジャンプ＋」にて連載を開始した、みかわ絵子氏による漫画作品。魅力的なキャラクターや、高校野球のリアルな部分を描いた描写、ギャグとシリアス要素の絶妙なバランスなどが人気を博し、「少年ジャンプ＋」での累計閲覧数が４億を超える大人気作品。2024年春にはTVアニメ第１期が放送され、第２期の制作も決定しています。

脚本・演出は、劇団「悪い芝居」の代表であり、『HUNTER×HUNTER』THE STAGE、LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく！」、舞台「五等分の花嫁」など、壮大な冒険ストーリーからリアルな青春模様まで、大胆かつ繊細に描いた作品が好評を博している山崎彬さんが担当し、音楽は、ミュージカル『刀剣乱舞』、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー‼」、『TRUMPシリーズ』など2.5 次元ミュージカルや多数の人気シリーズを担当し、人々を魅了する音楽を生み出す和田俊輔さんが手掛け、最高のタッグで届けられます。

さらに、清峰葉流火役を田中涼星さん、要圭役を荒牧慶彦さんが務めるほか、藤堂葵役に上山航平さん、千早瞬平役に櫻井圭登さん、山田太郎役に納谷健さん、土屋和季役に伊崎龍次郎さん、国都英一郎役に塩田一期さん、巻田広伸役に松田昇大さん、桐島秋斗役に二階堂心さん、岩崎勤役に細見大輔さんと、様々な舞台で活躍する個性豊かなキャストが揃いました。

※千早瞬平役は櫻井圭登に代わり大見拓土が出演し、岩崎勤役は細見大輔に代わり平川和宏が出演いたします。

THEATER GIRLは、田中涼星さん、荒牧慶彦さん、上山航平さん、櫻井圭登さん、納谷健さんにインタビュー（※取材は8月中旬）。後編では、同じ小手指高校の野球部員を演じる上山さん、櫻井さん、納谷さんに共演にあたって楽しみにしていることやご自身の役柄以外で原作での好きなキャラクターについてお聞きしました。

インタビュー前編はこちら

キャラクター同士の関わりを存分に楽しめたら

――上山さん、櫻井さん、納谷さん演じる藤堂葵、千早瞬平、山田太郎は、同じ小手指高校の野球部員ですが、共演にあたって楽しみにしていることを教えてください。

納谷：シンプルに原作がすごく面白くて、掛け合いもたくさんあるので楽しみです。圭登くんとは一度共演したことがあるのですが、その時はけっこういじられ役だったので（笑）。

今回は千早役で、いじる側に回る圭登くんを見るのも楽しみですし、それこそまっきーの二面性というか、今回の作品ではっちゃけた姿を見られるのも新鮮です。

上山くんや涼星くんとは初めましてですが、お芝居で絡めること自体が楽しみですし、『忘却バッテリー』ならではのキャラクター同士の関わりを存分に楽しめたらと思っています。

上山：僕が演じる藤堂は、櫻井さんが演じる千早と一緒にいるシーンが多いんです。二人で悪ノリするような場面もあって、要をいじったりすることもよくあります。それに振り回されて困っている山田の姿も原作で描かれているので、舞台でもたくさん困らせていけたらいいなと思っています。

櫻井：本当に小手指高校のメンバー同士の会話や日常のやりとりは、アニメを観ていてもテンポがすごく良いので、隙間なく楽しめる時間をみんなで一緒に作っていけたらと思っています。

皆さんのお気に入りのキャラクターとは……⁉

――ご自身の役柄以外で、『忘却バッテリー』原作でのお気に入りキャラクターを聞かせてください。

田中：僕は藤堂ですね。めちゃくちゃ好きなんです。実は僕自身もショートを守っていたので、ポジションが同じなんですよ。だからすごく気持ちがわかるなって。ショートって絶妙に距離が遠くて、一番球が飛んでくるポジションだからこそ、イップスになる理由もすごく理解できるんです。だから藤堂の苦悩や葛藤している姿がめちゃくちゃ刺さって。バッティングセンターのシーンなんかは本当に心を掴まれて、読んでいて「藤堂すごい！」と思いました。

荒牧：僕は岩崎監督ですね。最強バッテリーをとりたかったのに、別の学校で見つけた瞬間……というあの感じ。

上山：藤堂以外か、難しいですね……。でも僕は、本当に藤堂が好きなんです。たとえ今回の舞台に出演していなかったとしても、ずっと藤堂を推していただろうなと思うぐらい好きなので……やっぱり藤堂でお願いします！

櫻井：本当にどのキャラクターもそれぞれバックボーンが素敵で、なかなか選べないんですけど……。でも、原作を読んで大号泣したのが要圭のシーンでした。詳しく言うとネタバレになってしまうので控えますが、要圭のその場面がすごく好きなんです。

納谷：僕は千早にすごく共感しましたね。僕自身も身長が低いことに悩んだ時期があったので、千早が思わず本音をポロッと言ってしまうシーンは心に刺さりました。「自分も言ってたな」って。葛藤を経て、自分にできることを突き詰めて、心が折れてもまた野球と向き合う。その姿が本当にかっこいいなと。

巻田と対峙するシーンでの千早の姿がすごく格好良くて、僕自身も胸を打たれました。ちゃんと仲間を信頼するというのが、野球らしいしとても好きなシーンです。

――最後に、本作を楽しみにされている皆様へメッセージをお願いします。

納谷：アニメや「少年ジャンプ＋」、単行本など、さまざまな媒体で作品を楽しむことができますが、もちろん原作を読んでから来てくださる方にも楽しんでいただけますし、舞台を入り口に観に来てくださる方にとっても満足いただけるものになると思います。僕らも心から楽しんで取り組んでいますし、演出の山崎彬さんもこの作品が大好きな方なので、その熱量を信じて一緒に作品を作り上げていきます。ぜひご期待ください。

櫻井：本当にたくさんの方に愛されている作品なので、責任を持って演じたいですし、舞台ならではの表現方法もあると思います。劇場に足を運んでいただき、生で熱を感じていただけたらうれしいです。そして何より、このカンパニーの皆さんと一緒にお芝居できるのがとても楽しみです。千穐楽までどうぞよろしくお願いします。

上山：『忘却バッテリー』は野球をしてきた方はもちろん、やったことのない方でも楽しめる作品だと思います。野球漫画はルールが難しかったりと、野球に馴染みがなかったりする方には少しハードルが高く感じられることもあると思うんです。でもこの作品は「記憶をなくしている」という設定もあるので、お客さんと同じ目線で一緒に理解していける。だからこそ、誰にでも楽しんでもらえる作品だと感じています。ぜひ多くの方に劇場へ足を運んでいただきたいです。そして、僕自身はこんなに素敵な先輩方とご一緒できることが本当に光栄なので、誰よりも頑張って、誰よりも楽しみたいと思います。よろしくお願いします。

荒牧：原作の持つ力を最大限に引き出しつつ、舞台ならではの要素も取り入れて、原作・アニメ・舞台それぞれが融合するような化学反応を生み出せたらと思っています。舞台だからこそ生まれる表現の面白さがありますし、漫画を読んでいるだけでは気づけなかったことに、舞台化することで改めて気づかされる部分も多いと思います。そういった新しい発見も楽しんでいただけたらと思います。僕自身は要圭を全力で演じて「パイ毛」も披露するので（笑）、ぜひ温かく見守っていただけたらうれしいです。

田中：『忘却バッテリー』を舞台として上演できることを、とても光栄に思っています。野球を題材にした舞台はいくつもありますが、その中で一個新しい風を吹かせる作品にしたいという思いがあります。今回、演出の山崎さんとご一緒するのは初めてなのですが、周囲から「とても素敵な方」と伺っているので、この作品もきっと素敵なものになると確信しています。

野球はチームプレーでつながっていくものですが、演劇も同じように、みんなで作り上げるものです。“One for all All for one”の精神でカンパニー一丸となって作品をつくり上げ、劇場に届けたいと思います。そして、皆様が笑ったり泣いたりしながら、この『忘却バッテリー』という作品を心から楽しんでいただけたらうれしいです。みんなで進んでいきたいと思いますので、お楽しみください。