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平野良インタビュー「笑う門には福来・る祭 明治座でどうな・る家康」 「笑いの大戦争が勃発すると思います」(後編)

INTERVIEW

2022年12月23日(金)より明治座にて、2023年1月8日(日)に梅田芸術劇場メインホールにて、「笑う門には福来・る祭 明治座でどうな・る家康」が上演されます。

本作は2011年より、演劇製作会社る・ひまわりと創業150年を迎える老舗大劇場の明治座がタッグを組み、「大人たちが本気でふざける」をモットーに、“面白おかしく、そして なんとなく歴史が学べる舞台公演“として、世界に誇れる「日本人」そして「日本の歴史」を 面白可笑しくシュールに上演してきた“祭”シリーズの最新作です。

伝統ある商業演劇スタイルに則った二部構成で上演され、第一部では「それでも生きる」をテーマに、戦国という、今以上に混沌とした時代を生き抜いた男“徳川家康”の半生を描きます。そして第二部では「三方の森ジブれ美術館」と題して、家康が武田信玄と激闘を繰り広げた「三方ヶ原」の森の奥にある不思議な美術館で繰り広げられるショーが届けられます。

演出は、ミュージカル『ファクトリーガールズ』 にて第 27 回読売演劇大賞作品賞を受賞し、シリーズ 10 作目の演出をつとめる板垣恭一氏、脚本は、劇団「拙者ムニエル」 の主宰で舞台『ママと僕たち』シリーズやミュージカル『ざんねんないきもの辞典』などの脚本・演出をつとめる村上大樹氏が手掛けています。

主役の徳川家康役には、『憂国のモリアーティー』『文豪とアルケミスト』『さよならソルシエ』など数々の主演を務める平野良さんが、4 年連続、シリーズとしては 8 年ぶり、自身初となるシリーズ単独主演に挑みます。そして、藤田玲さん、菊池修司さん、大平峻也さん、山崎静代さん(南海キャンディーズ)、原田龍二さん、浅野ゆう子さんが“祭”シリーズ初参戦。

さらに、蒼木陣さん、松本岳さん、松田岳さん、宮下雄也さん、平田裕一郎さん、井深克彦さん、小早川俊輔さん、谷戸亮太さん、林剛史さん、久ヶ沢徹さん、伊藤裕一さん、安西慎太郎さん、大山真志さん、辻本祐樹さん、味方鏡介さん、水瀬裕也さんという個性豊かな豪華メンバーが集まりました。第二部の司会は、前川優希さんが初挑戦し、不思議な美術館へとご案内します。

THEATER GIRLは、単独主演を務める平野良さんにインタビュー。後編では、2022年を振り返っての心境やオフの時の息抜きの方法などを語っていただきました。

インタビュー前編はこちら

芝居経験が活かせた1人20役だった

――平野さんご自身の俳優のお仕事について伺いたいのですが、2022年の前半までを振り返ってみて、どのような半年でしたでしょうか。

今年の頭は、3人ミュージカルに挑戦させていただいて、舞台上で20役ほどを演じたんです。中学生の頃にお芝居に出会ってから、一度辞めた時期もあったんですけど、20数年間お芝居に携わってきたなかで、集大成というか。早着替えとともに20役をやるっていう。今の俳優としての、報告ができた年だったなと感じています。今は38歳ですが、これからまた俳優人生でいろいろなものを取り入れて、成長していけたらいいなと思いますね。

――マルチマンの役は、今までの役者人生で得たものを活かして演じられたんですね。

けっこう盛り込みましたね。何役もやると言ってしまえば楽なんですけど、一役一役が本当に世の中にいるような人というか。ちゃんと想像できるように作りたかったんです。そういう面では、かなり考えました。出てくる順番によって人物の性格を決めたり、喋り方や勢い、テンポも公演中に違う役柄とチェンジしようみたいな作り方もしました。

無口なバーテンダー役を演じるのに、稽古の段階では面白いおじさんになりきっていたんですけど、恋愛の話だったので、直前で渋い芝居に切り替えてエキストラというか2人のお芝居を際立たせる立場に組み変えたり。そういうチョイスができたりしたのも、今まで出会ってきた作品のおかげなのかなと思いました。

――今後も、もし機会があればマルチマンのような役をやりたいと思われますか?

またやりたいですね。

――マルチマンのように本番が始まってから、アレンジを加えたり、芝居を変更させたりすることは普段の役柄ではあまりないのでしょうか?

変更と言いつつも、やっぱり3人芝居は支え合いですし、急に変えてしまうと周りのリズムも変わっちゃうので、一蓮托生で3人のバランスを見ながらではありました。僕以外の出演者はダブルキャストでの3人芝居だったので「日によって全く違うね」とも言われたのですが、あまり意識はしていなかったですね。絡む人間が変われば、自然と変わるということだったんだと思います。

普通が一番難しい

――俳優のお仕事をされていて、どんな瞬間に一番やりがいを感じられますか?

何気ないシーンでも、僕にとっては大切なんです。物語後半の感情が動いて叫んだりと、見せ場となるシーンはもちろんやりがいがありますが、何もない、普通に喋っているだけのシーンの方が、意外とやりがいを感じます。普通にやるって意外と一番難しくて。100人が見たら100人が普通と答えるお芝居をするのって、意外と難しいんです。なので、僕のなかでは普通のシーンが、裏テーマであり、やりがいに感じていることですね。

――今までいろいろな役柄を演じられてきていますが、これから挑戦したい役や作品はどんなものでしょうか?

既にやられている作品ではあるものの、僕がずっと言っても叶っていないのは『アルジャーノンに花束を』なんです。このまま叶わないで終わるんだろうなと思っています。もうチャーリイ・ゴードンの年齢を超えちゃいましたから(笑)。

――本作は年末に上演されますが、平野さんが年末までに達成したいことはありますか。

別の作品になっちゃうんですけど、コントの舞台の演出をさせてもらうので、面白いものにしたいなと思っています。個人的に演出をするのは2回目なのですが、ちゃんとした舞台の演出なので、楽しみなことでもあり、成し遂げたいことでもあります。いち役者と演出だと楽しさも全く違いますね。

演出は、作っていく過程が楽しいなって。俳優さんが加わって、自分が思いもよらない作品が出来上がったり、いろんな人の人生が混ざり合ったりして作品が出来上がっているんだなと感じられるので。

仕事を一緒に出来ることが奇跡

――本作でも、後輩の俳優の方も多数出演されますが、先輩としてアドバイスをされたりすることもあるのでしょうか?

以前は、20代の子には勉強してほしいとか、学んでほしいとかいろんなことを求めてしまう気持ちもありましたね。でも、中には、まだあまり演技経験がないという方もいたりするので、最近は、そんな今しかない貴重な瞬間に一緒に仕事ができることを幸せに感じられるようになりました。

――お忙しく過ごされている中で、なにか息抜きとしてやられていることはありますか。

これは毎回同じ答えになっちゃうんですけど、やっぱりサウナです(笑)。最近はドライブがてらサウナに行っています。ちょっと遠出してサウナに入って帰ってくるとか。新規開拓する時もありますけど、同じところに行っちゃうことが多いんですよ。ネットで調べて評判が良いところにも行ったりしますね。カンパニーにサウナ好きの方がいたら、やっぱりつい語っちゃいますね。最近は、逆に「どこかいいところないですか? サウナデビューしたいけどどうしたらいいですか?」と聞かれることが多くなりました(笑)。

あとは、海外ドラマを観るのも好きです。あまりアニメは観ないんですけど、この間、今更ですが『東京リベンジャーズ』を一気見したらめちゃくちゃ面白くて。漫画を読もうかなと思っていたんですけど、アニメの評判も良かったのでアニメで観ました。

――サウナ以外ですと、けっこうインドアで過ごされることが多いのでしょうか?

サウナ以外だったら、あまり外に出ないかもしれないですね。あとは、ラーメンを食べに遠征することもあります。ラーメン経由のサウナとか(笑)。僕はジロリアンではなくて、醤油ラーメンを食べることが多いんですけど、最近、昆布水つけ麺にハマっていて、めちゃくちゃ美味しいんです。

――昆布水つけ麺、ぜひチェックしてみたいと思います。では最後に、本作を楽しみにしている方に、メッセージと意気込みをいただけますでしょうか。

今年は家康の生涯を描いた作品で、「それでも生きる」という、テーマ自体は重いのですが、今、耐え忍んでいる人ってけっこう多いと思うんです。日本は特に、我慢する文化もあって苦しんでいたり、辛い思いをしていたりする人もいっぱいいると思うのですが、そういう方に向けた応援歌と言いますか。この作品を通じて、今一緒に生きているこの時代を我々からも応援させていただければ、と思っています。重いテーマをいかにライトに、笑いに引っ張れるか。笑いに関して、今回はスペシャリストが多いので、ものすごく笑えるし、考えられるし、観た後になにか持ち帰ってもらえるような作品になると思います。

そして、第二部の方はかなりアイドル色が強めで、キラキラしてます。2022年がいい年だった方も悩ましかった方も、最後は笑って泣いて明治座で2022年を終えられたら。そして2023年を頑張るために、また大阪の梅田芸術劇場にて新年の公演で初笑いをしていただけたらと思います。

取材・文:THEATER GIRL編集部

インタビュー前編はこちら

公演概要

「笑う門には福来・る祭 明治座でどうな・る家康」

第一部:芝居「明治座でどうな・る家康」
第二部:ショー「三方の森ジブれ美術館」

構成•演出:板垣恭一
脚本:村上大樹

出演:平野良/蒼木陣、菊池修司、大平峻也、松本岳/藤田玲(W キャスト)•松田岳(W キャスト)/ 宮下雄也、平田裕一郎、井深克彦、味方鏡介、水瀬裕也、小早川俊輔、谷戸亮太、林剛史/
久ヶ沢徹、伊藤裕一/山崎静代(南海キャンディーズ)/安西慎太郎、大山真志/辻本祐樹/ 原田龍二/浅野ゆう子

東京公演:2022 年 12 月 23 日(金)~26 日(月)@明治座
※織田信長役(W キャスト)は藤田玲

大阪公演:2023 年 1 月 8 日(日)@梅田芸術劇場メインホール
※織田信長役(W キャスト)は松田岳

チケット一般発売:2022 年 11 月 26 日(土)10:00~
※詳細は「る祭」公式ホームページをご覧ください。

「る祭」公式HP:https://douna-ru.com/

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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