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『DREAM BOYS』観劇レポート! 渡辺翔太(Snow Man)、森本慎太郎(SixTONES)が紡ぐ唯一無二の絆の物語

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2024年10月9日(水)より、東京・帝国劇場にて『DREAM BOYS』が上演中。本作は、一時閉館を控える現・帝国劇場で上演される最後の『DREAM BOYS』となる。

本作は、それぞれの夢のために精一杯生きる青年たちの友情と絆の物語。昨年に続き、主人公のショウタ役を渡辺翔太(Snow Man)、そのライバルであるチャンプことシンタロウ役を森本慎太郎(SixTONES)が務める。今年は初めて少年忍者21人が揃って出演、メンバーのうち9人が本作初出演となった。そして、今年もマリア役は紫吹 淳、エマ役は鳳 蘭が演じる。

今回は、ゲネプロ公演の模様をレポートする。

※作品内容に一部触れています。

演出・堂本光一からの熱烈なオファーを受けて、渡辺と森本がショウタとシンタロウとして『DREAM BOYS』に新たな1ページを刻んでから1年。2度目となるショウタとシンタロウの物語は、より泥臭く、それでいて洗練されたステージに仕上がっていた。

主人公とライバルの絆を深めたものはボクシングだ。ボクシングといえば拳と拳のぶつかり合い。だからこそ、ストーリーを担う主人公には、“強さ”のイメージが先行する。

しかし、渡辺は昨年に続き、彼だからこそ生み出せる繊細なショウタ像で観客の心をグッと引き寄せた。彼の持ち前の柔和なオーラは、ショウタが人のために動ける人物という点に抜群の説得力を持たせる。

1幕では、客席にせり出した桟橋でのシーンや、弟分のコウキ(川﨑皇輝)とベンチで語らうシーンで、ショウタの優しさを色濃く感じられた。月光に照らされながら歌うナンバー「星の光る空」では、自分ができることを模索する姿が暗闇の中に幻想的に浮かび上がる。どこか神々しさすら感じる姿と切ない歌声に、全てを一人で背負い込んでしまうショウタの孤独を感じ、胸が締め付けられた。

もちろんショウタは優しいだけの人物ではなく、悩みもがきながらも、決して歩みを止めない強さも持つ。1幕終盤、マダム・エマ(鳳 蘭)の古びた劇場にて。悪夢にうなされる「DEATH SPIRAL」から、昨年追加された新曲「光」での独白まで、この1年でさらに磨かれた渡辺の演技力と歌唱力がこれでもかと輝いた。

ショウタは「これが夢なら」と歌いながら、一筋の見えない“光”を求める。彼が置かれている場所は、今はきっと真っ暗なのだろう……。彼のあまりに切ない表情に視線が奪われ、ふとそんな考えが頭に浮かんだ。これも渡辺の想像力を掻き立てる表現力あってこそだろう。

そこから続く芝居では、圧巻の奈落落ちやアクロバティックな壁フライングも含め、覚悟を決めた男の強さが際立っていた。1幕とはまた違った色気をまとった姿から、多くの観客が目を離せなくなるはずだ。

ショウタの儚さは、ライバルであり親友であるシンタロウの強さが隣に並び立つことで、ひときわ輝く。森本の健康的な肌と鍛え上げられた肉体が、チャンプとしての風格を放っていたことは劇中写真を観てもらえれば一目瞭然だろう。

本作の製作発表会見で、森本は今回の出演オファーを一度断ったことを明かしていた。「自分の中で納得いかないところがたくさんあった」と出演に後ろ向きだった彼に、渡辺は「慎太郎とやりたい」と伝えたという。“リアル『DREAM BOYS』”とでも言うべきこのエピソードは、ファンの記憶にも残っているだろう。

今作でさらにギアの上がったチャンプの包容力や葛藤を観ていると、このやり取りがあったことも、森本の芝居に奥行きを与えているように思えた。前述の会見で、森本は「(ライバル役は)僕じゃない人の方が、いい芝居を届けられるんじゃないか」と、出演に後ろ向きだった理由について語っていた。一方で作中のシンタロウは、8年前の試合でショウタが途中棄権して自分が勝ったことに対してしこりを胸に抱えている。この2つのエピソードから、森本とシンタロウの不思議なシンクロを感じずにはいられない。

現状に心から満足しきれず、それでも腕を伸ばして“その先”を掴み取ろうとする。飽くなき向上心を持つ森本、そして強さを求めるチャンプとしての渇望が、彼の芝居からにじみ出ていた。その生命力を感じさせるチャンプ像が魅力的であるだけに、クライマックスに向かって濃くなっていく絶望感はひとしおだ。

また、序盤から雄々しい存在感を放つチャンプだが、それでいて彼を慕う練習生や、ショウタの弟分であるコウキには時折、なんとも優しい視線を向ける。このギャップもなんともズルく、次があるならばまた森本のチャンプに会いたいと願ってしまう。

本作において、“家族としての絆”の鍵を担うコウキ役は、2021年からこの役どころを演じる少年忍者の川﨑皇輝。可愛らしい弟感の強かった前作のコウキよりも、今作では等身大の青年といった印象が強くなっていた。2024年に入り、ミュージカル初主演、月9デビューと躍進華々しい川﨑。コウキとしての丁寧な芝居に、改めて彼が役者として引く手あまたであることに納得させられた。

今回、アイドルチームを演じたのは川﨑のほか、ヴァサイェガ渉、北川拓実、黒田光輝、田村海琉の面々。デビュー曲「DREAM BOY」のパフォーマンスでの華やかさはもちろん、北川が事あるごとに「はい、タクミくんですっ!」と果敢に攻めて笑いを取るなど、バラエティにも強いアイドル像が見てとれたのも興味深かった。

チャンプチームを演じたのは、リーダー格のナオ役の織山尚大をはじめ、深田竜生、元木 湧、檜山光成、安嶋秀生、そして川﨑の実弟・川﨑星輝。ブレイキンを得意とし、グループ内でもダンスリーダー的立ち位置にいる織山のクールなダンスと、力強い楽曲との相性は抜群。甘いマスクを封印した険しいナオの表情に、織山が鹿野太一役として爪痕を残したドラマ『死役所』での衝撃を思い出したほどだ。

キャストが受け継がれていく中、変わらず作品を支え続けている鳳 蘭と紫吹 淳の元タカラジェンヌコンビは、今回も作品に厚みをもたらす。復讐心の裏に見え隠れするマリアの行き場のない愛情、我が子を手放したエマの苦悩……。誰かの“夢”によって生まれた光もあれば、影もまたある。夢を語る機会がなくなった大人にとっては、彼女たちの苦悩が、どこかリアルに感じられるのではないだろうか。

そして、まばゆい光に包まれながら歌うフィナーレの「Next Dream」は、まさに夢の世界。2004年の初演から20年間、帝国劇場とともに歩んできた唯一無二の絆の物語は、劇場への別れを惜しむかのように、激しくそして華やかに劇場を興奮に染めた。果たして次は、どんな“夢”を我々に見せてくれるのだろうか。

文:双海しお
撮影:くさかべまき

公演概要

『DREAM BOYS』

演出 堂本光一

渡辺 翔太(Snow Man) 主演
森本慎太郎(SixTONES) Champ

少年忍者
(田村海琉 織山尚大 川﨑皇輝 内村颯太 深田竜生 黒田光輝 檜山光成 久保廉
小田将聖 元木湧 北川拓実 青木滉平 安嶋秀生 ヴァサイェガ渉 鈴木悠仁
瀧陽次朗 川﨑星輝 山井飛翔 長瀬結星 豊田陸人 稲葉通陽)

紫吹 淳 鳳 蘭

2024年 10月9日(水)~29日(火)帝国劇場

公式サイト:https://www.tohostage.com/dreamboys/

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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