ミュージカル『エリザベート』開幕！「一回一回、大切に公演をしていきたい」

2025.10.11

REPORT

１０月１０日(金)より東急シアターオーブにてミュージカル『エリザベート』が開幕した。

１９９６年に宝塚歌劇団により日本初演、２０００年の東宝版初演から観る者を魅了し続けてきた大ヒットミュージカル『エリザベート』。ミヒャエル・クンツェ（脚本／歌詞）、シルヴェスター・リーヴァイ（音楽／編曲）、小池修一郎（演出／訳詞）という最高のクリエイター陣が贈る本作は長きに渡り人気を博し、３年ぶりとなる今回の公演で、東宝版初演から２５周年を迎える。

今回は、望海風斗、明日海りお、古川雄大、井上芳雄が登壇した囲み取材の様子と舞台写真をお届けする。

まずは、初日を迎えるにあたってキャストそれぞれより意気込みが語られた。

望海風斗「私たちは今回が初めての参加になりますので、お客様がどんな風にご覧になるのか、その温度感がまだ分かりません。初日の舞台に立ってみて、初めて分かることも多いと思いますが、とにかく落ち着いて、一つひとつ丁寧にやっていきたいと思います」

明日海りお「私も『エリザベート』に出演するのは今回が初めてで、シシィ役を演じさせていただくのも初挑戦です。まだ必死で、いっぱいいっぱいではあるのですが、客席から見たときに、まさに完璧な『エリザベート』の世界が出来上がりつつあると感じています。以前からこの作品に携わってきた方々も、さらにパワーアップしていて、本当に熱量の高い舞台になっていると思います。これからも調整と挑戦を重ねながら、初日に向けて全力で進んでいきたいです」

古川雄大「今回、新しいエリザベートのお二人と一緒に稽古をしてきましたが、お二人とも本当に素晴らしく、それぞれ違う魅力を持っていて、たくさん刺激をもらいました。他にも新しいキャストの方が多く参加されていますが、稽古の最終日には「新しいエリザベート・カンパニー」ができあがったという実感がありました。チケットはほとんどないかもしれませんが、できるだけ多くの方に観ていただき、『エリザベート』という作品をさらに愛してもらえたらうれしいです」

井上芳雄「『エリザベート』が東宝で上演されてから25周年という記念の年に、この作品に携われることをとてもうれしく思います。僕自身もトートをやらせてもらってから10年ほどになりますが、今回は初めて帝国劇場ではなく、東急シアターオーブで上演されます。そして、新しいシシィ役のお二人を迎え、長年関わってきた作品でありながらも、とても新鮮な気持ちで稽古に臨むことができました。また渋谷での『エリザベート』がどんな風にお客様に届くのか、反応も含めてとても楽しみです」

これまで重ねた稽古について聞かれると、望海は「私たちは本当に必死でした。お三方がそれぞれのトート像をしっかり持って演じていらっしゃるので、最初は「どうやってついていこうか」と思っていましたが、皆さん本当に懐が深く、全てを受け止めてくださるので、殺伐とした雰囲気はまったくなかったです（笑）」と稽古での印象を語ると

古川「お二人は本当に仲がいいですよね」

井上「同期ですし、助け合っている感じがすごくありますよね」

と、古川と井上も、改めて望海と明日海の仲の良さについて触れた。

すると明日海が「芳雄さんと古川さんも、とても仲良しですよね」と二人について触れると、古川は「なぜか僕たち、ファンの方の間では「仲が悪い」みたいに思われてるんです」と語り、井上も「あまり話したりしないと思われていて」と返すと、古川は「だから今回は『仲良くしてくださいね』とファンの方からたくさん言っていただいたので、必要以上に仲良くしました（笑）」と、笑顔で語った。

井上も「無理して！？（笑）。でも今回は、特に舞台稽古が始まってからは、いろいろな話ができたと思います。舞台稽古では（山崎）育三郎とも同じ楽屋で、三人並んで過ごすことが多かったので、本当に楽しかったですし深い話もたくさんしました」と、トート役3人の楽屋でのエピソードも飛び出した。

井上「あと、古川くんはいろいろなものをくれるんですよ。主に食べ物ですけど」

古川「全然もらってくれないんですよ（笑）。でも今後もお渡しします」

井上「また断りますけど（笑）」

古川「断らないでください（笑）」

井上「でも仲は深まった感じがしていますね」

と、その後も二人の仲の良さが感じられる微笑ましいやり取りが続いた。

今回、それぞれダブルキャスト、トリプルキャストとして役を演じる中で、自身の「色」を出そうという意識はあるかという問いに、井上は「けっこう自由なんです。もちろん大枠の演出は決まっていますが、トートも小池先生がそれぞれの個性を生かした演出をしてくださっているので、三人ともまったく違う仕上がりになっています。

古川くんは、言われたとおりの振付をあまりしないので（笑）。僕のほうがたくさん動いていると思います（笑）」と、それぞれの役作りについて触れると

古川も「今回は小池先生に甘えさせていただいて、「いろいろなものを削ぎ落してみよう」という挑戦をしています。動きや身振りよりも、内面から出てくるものを構造してみようということで、いろいろと提案させていただいて。甘えた結果、先生も許してくださったので、今回振りも含めて結果として自分なりのものができたのかなと思います。ただ、お互いあえて違う方向というよりは、シンプルに作った結果、三者三様のトートになっているという印象です」と今回の役作りについて語った。

相手役が変わると演技のニュアンスも変わるのかという問いに、明日海は「まったく違いますね。トートとシシィの場面などは、コンビごとに微妙にニュアンスや動き自体が違いますし。自然に生まれたものを皆さんが大切にしてくださって、演出でも「それを生かそう」と取り入れてくださるので、何度ご覧になっても新鮮に楽しんでいただけると思います」と語り

トートとの絡みについて、望海も「トートとの絡みはとても特殊なものだなと。人間同士の関わりでもない関係なので、トートさんから出てくるものがそれぞれまったく違って面白いです。そこに対して、シシィとしてどう存在すればいいのかを考える時間はとても楽しかったです。

逆に、シシィという人物がしっかりしていないといけないとも感じました。トートにただ振り回されるだけではダメで、自分の中のシシィというものがしっかりしていないと、関係性が見えないなと感じて。フランツさんもダブルキャストでまったく違いますし。だからこそ、キャストによって生まれる化学反応が毎回異なって、やっていて本当に楽しいです」と、共演者ごとの化学反応の違いについて、改めて語った。

最後に、本作を楽しみにされている方々へ、エリザベート役の望海風斗と明日海りおからメッセージが語られた。

望海「今はまだ、自分たちでもどんな舞台になるのか想像がつかない部分もありますが、それだけに私たち自身が一番ドキドキ、ワクワクしていると思います。ご来場くださるお客様に楽しんでいただけるよう、一回一回、大切に公演をしていきたいです。よろしくお願いします」

明日海「この作品は他のどのミュージカルとも違う、唯一無二の魅力が詰まっていると思います。私も本当にずっと大好きで思い入れのある作品です。今回も素晴らしいキャストの皆さんと一緒に、ダブル・トリプルキャストならではの化学反応が毎日シアターオーブで生まれています。お越しくださる皆さんには、ぜひその瞬間を楽しんでいただきたいです。私も必死に心を込めて演じていきたいと思います」と思いが述べられ、囲み取材は終了した。

囲み取材撮影：近藤明子

ミュージカル『エリザベート』製作発表記者会見レポートはこちら

公演概要

ミュージカル『エリザベート』

キャスト：
エリザベート（ダブルキャスト）望海風斗／明日海りお
トート（トリプルキャスト）古川雄大／井上芳雄(東京公演のみ)／山崎育三郎（北海道・大阪・福岡公演のみ）
フランツ・ヨーゼフ（ダブルキャスト）田代万里生／佐藤隆紀
ルドルフ（ダブルキャスト）伊藤あさひ／中桐聖弥
ルドヴィカ／マダムヴォルフ未来優希
ゾフィー（ダブルキャスト）涼風真世／香寿たつき
ルイジ・ルキーニ（ダブルキャスト）尾上松也／黒羽麻璃央

マックス田村雄一
ツェップス松井工
エルマー佐々木崇
ジュラ加藤将
シュテファン佐々木佑紀
リヒテンシュタイン福田えり
ヴィンディッシュ彩花まり

朝隈濯朗安部誠司荒木啓佑奥山寛後藤晋彦鈴木大菜田中秀哉西尾郁海
福永悠二港幸樹村井成仁横沢健司渡辺崇人
天野朋子彩橋みゆ池谷祐子石原絵理希良々うみ澄風なぎ原広実真記子
美麗安岡千夏ゆめ真音

トートダンサー
五十嵐耕司岡崎大樹澤村亮鈴木凌平德市暉尚中村拳松平和希渡辺謙典

Swing
三岳慎之助傳法谷みずき

少年ルドルフ（トリプルキャスト）
加藤叶和／谷慶人／古正悠希也

クリエイティブ：
脚本／歌詞：ミヒャエル・クンツェ
音楽／編曲：シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞：小池修一郎（宝塚歌劇団）

音楽監督：甲斐正人
歌唱指導：山口正義／やまぐちあきこ
振付：小㞍健太・桜木涼介

美術：二村周作
照明：笠原俊幸
衣裳：生澤美子
音響：渡邉邦男
映像：石田肇
ヘアメイク：富岡克之（スタジオAD）

演出助手：小川美也子／末永陽一
舞台監督：廣田進

オーケストラ：東宝ミュージック／ダット・ミュージック
指揮：上垣聡（東京公演）／宇賀神典子（北海道・大阪・福岡公演）
稽古ピアノ：中條純子／宇賀村直佳／石川花蓮

制作：廣木由美
制作助手：権藤凜
プロデューサー：服部優希／江尻礼次朗
スーパーヴァイザー：岡本義次

東京公演：
2025 年10月10日（金）～11月29日（土）東急シアターオーブ