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新千尋役 川栄李奈と福地桃子がロンドン公演にも出演決定!舞台『千と千尋の神隠し』取材会レポート!

REPORT

2022 年、宮﨑駿の不朽の名作を英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアード翻案・演出により世界で初めて舞台化し大評判となった、『千と千尋の神隠し』。

この舞台で、初演から主人公の千尋役を演じ続ける橋本環奈と上白石萌音に加え、新たにオーディションで同役を射止めた川栄李奈と、福地桃子を加えた 4 人の千尋によって、2024 年 3 月の帝国劇場公演を皮切りとして日本での全国ツアー、更には英国・ロンドンで初の海外公演として上演される。

『千と千尋の神隠し』は、10 歳の少女千尋が、神々の世界に迷い込み豚の姿に変えられてしまった両親を救う為に懸命に働き、生きる力を呼び醒ます姿を描いた宮﨑駿による大ヒットアニメーション映画をもとに、2022 年に東宝創立 90 周年記念公演として初の舞台化がなされた作品。

映画の世界から飛び出したようなキャラクターたちと、熱い息遣いまでが感じられるライブならではの醍醐味が相まった舞台は、大衆演劇の優れた業績を表彰する『第 47 回菊田一夫演劇賞』で上演関係者一同が菊田一夫演劇大賞を受賞する快挙を成し遂げるなど、高い評価を得た。

そんな作品が、2024 年 3 月東京・帝国劇場からスタートし、名古屋・御園座、福岡・博多座、大阪・梅田芸術劇場メインホール、北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru での上演が決定している全国ツアー公演だけでなく、4月から8月にかけて、ロンドン・ウェストエンドのロンドン・コロシアムでの初の海外公演も実現するとあって、いままた大きな注目を集めている。

初演からの千尋役・橋本環奈、上白石萌音と共に千尋として初登場を果たす川栄李奈と福地桃子は、ロンドンでも千尋役を演じることが決まった。この傑作舞台で主人公を演じる思い、オーディションで感じたこと、互いの印象などを語ってくれた。

同じ台詞でも、全く違う千尋になっていく

──大ヒット映画の舞台化ですが、まず舞台版のどこに魅力を感じられましたか?

川栄 私は劇場で上白石さんの回を観させてもらったのですが、登場人物の再現度が映画のままでしたし、人が手で動かしているとわかるのにパペットにしか目がいかないと言った、細部にまでこだわった演出が本当にすごいなと思いました。

福地 私は生の空間で聞こえてくる音だったり、原作の千尋の魅力の上に、演じる方ご自身の動きが重ね合わされたことで、生まれる楽しみも魅力のひとつなんだと感じました。一つひとつのシーンに可愛らしさが詰まっていて、そんな動きを肉眼で観られる、聞くことができる贅沢さが、舞台にはあるんだと感じています。

──特に千尋役について、もう少しお話しいただくとすると?

川栄 いま、上白石さん橋本さんが演じている映像も拝見しているのですが、同じ台詞でも全然違う千尋になっていて。上白石さんの千尋には芯の強さのようなものが最初からあって、橋本さんの千尋は 10 歳の明るい無邪気な女の子という感覚がすごく出ていて、二人とも全く違うのにそれぞれ本当に素敵で。更に周りのキャストの方々も日によって変わっていくので、何通りもの組み合わせになって、それによっても全然違う作品になるんだろうな、何回観ても素晴らしいだろうなと感じました。

福地 千尋はほとんどのシーンに出ているので、体力面もまず大変でしょうし……

川栄 そうだよね。

福地 不安を抱えながら登場してくる最初の姿から、空気が風のように流れて風景が変わっていくなかで、千尋がとても自然にたくましく見えてくる。すごいものをみたと印象に残りました。
初演のお二人が取り組まれた姿を追ったドキュメンタリーなども拝見して、そこから感じられる熱量。舞台版の千尋をまず創り上げてくださったお二人と共に、まだ稽古ははじまっていませんが、今回、私たちが演じさせていただくことになりましたから、思いを繋ぐという気持ちです。一緒に素敵な作品に携われることにとても感動しています。

千尋を通してジョン・ケアードさんと会話できた

──お二人はオーディションで千尋役を勝ち取られたということですが、そもそも千尋役にチャレンジしたいと思った原動力はなんだったのですか?

川栄 私は原作映画が大好きで、舞台化されると聞いた時から「絶対に観たい!」と思っていました。ちょうど上白石さんとNHK連続テレビ小説を一緒にやらせてもらっていたので、幸運にも観ることができ、先ほども言いましたが本当に感動して。『千と千尋の神隠し』は、海外の方もよくご存じなほど有名な作品ですし、私自身ジブリ映画のなかでも一番好きで、小さい頃から何回も観ていたので、その千尋役を演じられるというところに惹かれました。

福地 私も舞台を観たいと思っていたのですが、チケットが全然なくて。

川栄 そうそう!すぐ売り切れちゃったから。

福地 それで、オーディション前は映像を拝見して、想像を膨らませて受けたのですが、その映像からでも身体が震えるほどのすさまじい感覚があって。肉眼で観たい、観たかった!といまもずっと思っている舞台へのリスペクトもありましたし、私も映画が大好きで。3 歳の時に 4 歳の兄と二人で「どうしても初日に観にいきたい!」とせがんだんだそうです。それで母が映画館に並んでくれて観ることができたんですが、そういう経緯はのちに母から聞きましたが、映画自体を観た感動の記憶はいまも残っているほどなので、演じたいと思いました。

──そのオーディションに臨まれた時の気持ちや、ジョン・ケアードさんからかけられた言葉など、印象に残るエピソードはありますか?

川栄 オーディションなのですが、どこかワークショップのような感覚で、私が演じたことを絶対に否定せずに「それもいいね。とてもいいから、もっとみんなに問いかけてみたらどうなるかやってみて」という導き方だったので、自分でも一つひとつ納得しながら進めました。それから私はまもなく 29 歳になるので「君は 10 歳だ、大人じゃないんだ」と言われました。やっぱり 10 歳の千尋ということを本番も一番意識して演じないといけない、と思っています。

福地 ジョン・ケアードさんには一瞬で和ませてもらえる雰囲気が感じられて、まずお話させていただいている時には、自分がまだ 10 歳ではないんです。でもそれをわかっていらっしゃるなかで、じゃあ実際に台本を演じてみよう、となった時に「10 歳になる」というところを動きから、身体から創るんです。セリフを言う姿を見る、というよりは 10 歳になった千尋の姿を、私の身体に投影させて見てくださっているような感覚がありました。それがとてもやりやすさにつながっていって、そこからおにぎりのシーンですとか千尋の心の動きが見えるような印象的なシーンを演じて、ジョン・ケアードさんと千尋という役を通して会話できたような気がしたので、稽古に入るのがますます楽しみです。

その場で湧き上がった感情を大切にしたい

──お二人共『千と千尋の神隠し』がそもそも大好きだったとのことですが、それだけの魅力を感じたのは、どんなところですか?

川栄 はじめて観た時は小さかったので、千尋を 10 歳の子供とは思わないで観ていたんです。
でも今こうして自分が演じるとなって改めて作品を観返すと、こんなに小さい子どもが頑張っていたんだ!という、その必死さ、一生懸命さが素敵だなと思います。

福地 私が幼心に感じたのは、でてくる生き物たちの力強さに衝撃を喰らった感じ。そしてよくこんなに怖い世界に飛び込んでいくな、ということでした。とても奇妙な雰囲気がずっと続いてるのに目が離せないものがあって。その怖かった印象が大人になると、リアルな世界ではないのに、キャラクターの人間味や場面の数々がとてもリアルに感じられて。そういうところをもしかしたら子供はまっすぐに信じることができるのかなと。そんな二つの面からこの作品を観て楽しいと感じましたし、これからもそうした楽しみがもっと広がっていく、舞台を通してそうなっていけたら素敵なことだなと思います。

──演じる上で特に楽しみにしているシーンはありますか?

川栄 オーディションの時にハクからおにぎりをもらって号泣するシーンをやらせてもらったのですが、そこはとても印象的なシーンでいいなと思っていたんです。でもいざ舞台で一連の流れを通して観ていると、走り回って、走り回って、極限の状態の千尋だったので、観ている時にはとてもいいのですが、演じるとなると心の動きも大変な場面なんだなと思いました。

福地 私がオーディションで印象に残っていたのが、ハクを助ける、釜爺に電車のチケットをもらうシーンでした。映画を観た時にも印象的だったシーンなので、演じようとか、見せようとするのではないところ、自分のなかに生まれた感情を大事にできるシーンなのかなと思っています。もちろん色々なところで各々の千尋の魅力を引き出していただく瞬間ってたくさんあると思いますが、いま自分が演じてみて湧き上がった感覚を大事にしようと思えたシーンなので、そこがどんな風に変化していくのかが、とても楽しみです。

もちろん頑張るけれども、頑張りすぎずに

──生の舞台の魅力をどう感じていらっしゃいますか?

川栄 いつも舞台はとても緊張してしまうのですが観てくださる方にも、そういう緊張感も含めた様々なものが、良い意味でダイレクトに伝わるのが舞台の良さでもあると思うんです。その日の調子もありますし、台詞を言い間違えることも時にはあります。でもそれをすべて感じとれるのが舞台のいいところだと思っているので、もちろん頑張るんですけど、ある意味で頑張りすぎずよい緊張感を持って、お客様と一緒にその日の空気感を味わえるように、少しでも余裕を持って演じられたらいいなと思っています。

福地 『橋からの眺め』では舞台って一人でやっている感覚になる時間は一度もないんだな、と教えてもらったすごく貴重な経験だったので、今日も川栄さんがお隣にいてくださって、心強いです。これから橋本環奈さん、上白石萌音さんと共に時間を過ごせたり、自分自身もそこに力を注いで、素晴らしいチームの皆さんと良い緊張感を保ちながら千尋役を楽しめるように、お客様に楽しんでいただけるようにできたらなと思っています。

──その千尋役が今回 4 人いらっしゃる訳ですが、他の方たちをどう意識していますか?

川栄 4 人ワンチームで作っていけたらいいなというのと、やっぱり橋本さん上白石さん、もちろん他のキャストの方々がここまで創り上げてくださったものがあっての舞台なので、私たちが入ることで更にパワーが増したよね!と思ってもらえるものにしたいな、と思っています。

福地 こんなにも強い味方がいてくださるという経験もなかなかない中で、あの表情の裏側にはどんなことがあったのかを知ることができるというワクワクもあります。いまワンチームとおっしゃってくださったように、プラスになれるように、皆さんの背中を見ながら、そして自分も発信できるように、取り組んでいけたらいいなという思いです。

──その 4 人の千尋のなかで、自分のチャームポイントはここだ!を教えていただくとする
と?

福地 自分のというよりは、まだ見たことない川栄さんの千尋を見るのが楽しみです。舞台ならではの動きがすごく難しいとおっしゃっていましたよね?

川栄 しなやかな動きと言うのか、座っている状態からいきなりパッと立ったり、服を引っ張られて困ったりとか、一生懸命やってみたのですが難しくて!橋本さんも上白石さんも、それがものすごく上手いんです。

福地 あぁ、わかります!

川栄 映像を一時停止して勉強していますが、そこは先輩に教えてもらいながら良いところを吸収しようと思っています。自分がどうなるのか?はまだ自分でもわかっていない段階です。

福地 その千尋の動きの面だけで見ると、これは訓練だなと思いますよね。

川栄 そう、体力がいるよね。ただ、こうしてきちんと話すのは今日がはじめてくらいなんですけど(福地は)すごくふわふわしているんです。この雰囲気で、稽古場でものすごく鋭かったらどうしようと思うくらい(笑)、ふわ~んとした空気が流れているので一緒に稽古をしていくのが楽しみです。

福地 よろしくお願いします。

川栄 こちらこそ!

福地 川栄さんは尊敬する俳優さんのおひとりだったので……

川栄 そんなぁ~(笑)

福地 本当です。ですからお稽古を一緒にさせていただける時間の全てが学びだなと思っています。その上で私がふわふわという感じなのだとしたら、川栄さんはちゃきちゃきしてますよね。

川栄 そうなんです!私すごくせっかちだから、きっとお互いの時間軸が全然違うだろうなと(笑)。そのふわふわ感がすごく素敵です。

──そんなお二人が同じ千尋役を演じることへの期待が高まりますが、この機会にお互いに訊いてみたいことはありますか?

川栄 訊いてみたいことですか?なんだろう?

福地 合間でもコミュニケーションをきちんととってくださるので、ここで改めてというと、なんでしょう……

川栄 普段は人見知りなんですけど、年下の子が大好きなので、今日はすごく喋れてる。

福地 そうなんですね?

川栄 だからこれからもすごく喋れそうだなと思ってる。

福地 あぁ、それが伺えて嬉しいです!お姉さん気質って言われたりしますか?

川栄 それはよく言われます。

福地 誰に対してもフラットな印象があったのですが、お会いしても同じだったので、安心できるお姉さんというのをとても感じます。

──では、改めてそんなお二人が臨まれる、日本各地と英国ロンドンで上演される舞台『千と千尋の神隠し』への意気込みをお願いします。

福地 世界中から愛されている『千と千尋の神隠し』が、より多くの方に観ていただける機会に恵まれたのは素晴らしいエネルギーだと思います。そこに参加させていただける緊張感もありながらも、自分が走り抜けた時に悔いのないよう一生懸命頑張りたいです。

川栄 これまでの公演で、チケットが取れなくて観に行きたいのに行けなかったという方がたくさんいらっしゃると思うので、今回色々なところに行くことによって、より多くの方に観ていただけたらと思っています。私たちは初めてなので緊張もありつつですが、海外の方にもたくさん観に来ていただけたら嬉しいです!

公演概要

舞台『千と千尋の神隠し』

公演日程:
2024 年3月 11 日(月)~30 日(土) 【東京】帝国劇場
⇒東宝ナビザーブでの選考抽選エントリー 1月 23 日(火)~1月 26 日(金)

2024 年4月 30 日(火)~8月 24 日(土) 【ロンドン】ロンドン・コロシアム
⇒チケット発売中

2024 年4月 【名古屋】御園座
2024 年4~5月 【福岡】博多座
2024 年5~6月 【大阪】梅田芸術劇場メインホール
2024 年6月 【北海道】札幌文化芸術劇場 hitaru

出演 千尋:橋本環奈、上白石萌音、川栄李奈、福地桃子(交互出演)

原作:宮﨑 駿

翻案:ジョン・ケアード
共同翻案:今井麻緒子

オリジナルスコア:久石 譲
音楽スーパーヴァイザー・オーケストレーション・編曲:ブラッド・ハーク
音楽スーパーヴァイザー補・オーケストレーション・Ableton プログラミング:コナー・キーラン
美術:ジョン・ボウサー
パペットデザイン・ディレクション:トビー・オリエ
振付・ステージング:井手茂太
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
衣裳:中原幸子
ヘアメイク:宮内宏明
映像:栗山聡之
音楽監督・指揮:深澤恵梨香
舞台監督:北條 孝
演出補佐:今井麻緒子
演出補:永井 誠
演出助手:小貫流星
プロデューサー:尾木晴佳
演出:ジョン・ケアード

協力:スタジオジブリ
製作:東宝株式会

日本公演公式ホームページ:https://www.tohostage.com/spirited_away/

ロンドン公演公式ホームページ:https://www.spiritedawayuk.com/

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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