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奈緒、風間俊介ら出演。『恭しき娼婦』フォトコール、初日前会見レポート!

REPORT

6月4日(土)より東京・紀伊國屋ホールにて、舞台『恭しき娼婦』が開幕する。

20世紀最大の哲学者にして、現代思想の巨人であるジャン=ポール・サルトル。「実存主義」を牽引した哲学者として、世界に大きな影響を与えたほか、小説や映画脚本の執筆にも取り組み、劇作家としても数々の戯曲を世に残していった。その中でも「恭しき娼婦」は、非情な世界における人間の“権利”、“尊厳”、そして、“自由”といった、人類が常に向き合う問題に正面から取り組んだ作品として、最も完成度が高いと評価されている。

この傑作戯曲に立ち向かうのは、常に冷静かつ、研ぎ澄まされたまなざしと並外れた手腕で、その時代の世相を作品に反映させてきた演出家・ 栗山民也。本作の上演をかねてから熱望していたという栗山が、今、この時代に上演することで、本作を通してどんなメッセージを観客に問うのか、期待が高まる。

舞台はアメリカ南部。冤罪を被せられて逃走する黒人青年をかくまう娼婦リズィー。だが、その街の権力者の息子であるフレッドはリズィーに虚偽の証言をさせようと、その黒人青年と由緒ある家系の白人の男どちらを救うか選べと迫る。街全体で黒人が犯人と決めつける状況の中で、リズィーが下した決断は……。

物語を大きく動かす重要な決断を迫られることとなる娼婦のリズィーを演じるのは、映画・ドラマ・CMで幅広く活躍中の若手実力派女優・奈緒。

そして、街の権力者の息子でリズィーに虚偽の証言を迫る白人のフレッドを演じるのは、ジャニーズ事務所きっての演技派俳優として確かな実績を積み上げてきた風間俊介。

今回は、奈緒、風間俊介が登壇したフォトコールと初日前会見の様子をお届けする。

初日前会見レポート

初日を明日に迎えるにあたって今の気持ちを聞かれると、奈緒は「劇場入りしたのが2日前で、やっとこの空間にも慣れてきました。初日に出会えるものを楽しみに、緊張はありますが、一生懸命やりたいなと思います」と述べた。

フレッドを演じる風間は「素晴らしい作品、素晴らしい演出家の栗山さん、そして素晴らしいキャストの皆さん、素晴らしいスタッフの皆さん、そして素晴らしい劇場。本当に、全てが今揃っている状況です。あとはお客さまに観ていただいて、お客さまの心が動いていただく、それを残すのみ。そんなふうに思っております。僕自身もこの作品に出会えてよかったと思っているので、ただただ一生懸命やっていけたら」と自信をのぞかせる。

18年放送のテレビドラマ『サバイバル・ウェディング』(NTV)での共演経験がある二人。お互いに刺激を受けたことについて聞かれると、奈緒は「ドラマのときは風間さんと同じシーンがなくて、打ち上げでお話をさせていただいて、『いつか同じシーンで芝居ができたら』とずっと思っていました。こうやって二人での芝居が多い作品の中で濃厚な時間を過ごせて、風間さんには信頼しかありません。感情をぶつけたりするシーンもありますが、そこは風間さんがフレッドとしていてくださるので、私も思いっきり胸をお借りして飛び込もうという気持ちでご一緒させていただいてます」とほほ笑む。

その言葉を受けて、風間も「僕自身も奈緒ちゃんに対して信頼以外の何物でもないので、お互いにそう思っているのだったらすごいありがたいことだなと思います」と笑顔を見せ、「奈緒ちゃんは柔らかくて素敵な笑顔の印象が強いですが、今回リズィーという役を通して奈緒ちゃんを見ると、今まで持っていた奈緒ちゃんのイメージが微塵もなくて。役柄として、むき出しの感情でそこにいる。そこにリズィーという女性がいるのが、惚れ惚れするというか、こちら側も背筋が伸びて、風間俊介としてではなくて役として対峙していかなきゃと改めて背筋が伸びる思いです」とコメント。

奈緒にとって挑戦的な役柄となる娼婦・リズィーを演じるにあたって、奈緒は「シーンごとにいろんなことに挑戦しました。お芝居で使ったことのない声を使ってみたりしながら、日々が本当に新鮮でした」と稽古を振り返り、「演出の栗山さんから、いただく言葉の一つ一つが胸に染み入りました。特に『台詞がないところで人は嘘をつけないんだ』と栗山さんがおっしゃっていたのが、お芝居をするうえで、とても大きい言葉をいただいたなと感じまして。舞台上では皆さんに全身を観ていただくことになるので、そこでは行動にも嘘をつかず、嘘をつけないリズィーとして舞台上にいられたらなというふうに思います」と語った。

さらに、風間も演出・栗山の印象について、「自分を失ってるシーンで、栗山さんは『そのまま自分を失って歩けばいいんだよ』と。そうなんですけど、やっぱりここは自分を失っているから『自分を失っている自分を見せよう』みたいな自我が介入した瞬間に、栗山さんは見事に『それはそういうふうに歩こうっていうのが見えます』と見抜いていらっしゃって。ただ役としてそこにいることの大事さを今回学びましたね。今こうやって話しているものの、できているかと言われたら……本当に日々成長だなと」と慎重に言葉を紡いだ。

さらに稽古場のエピソードとして、風間が「奈緒ちゃんが稽古中に、小さなカレーパンみたいなものをむしゃむしゃ食べ始めたことがあって。栗山さんが『どうした? 急にカレーパン食べて』って言ったら、奈緒ちゃんが『あ、これカレーパンじゃなくてフィナンシェです』って(笑)。あのやりとりがすごい記憶に残ってます」と話し、奈緒は「あのとき怒られるかなって一瞬私もビクッとしてしまったのですが、実は栗山さんも一つ欲しかったっていう(笑)。『食べますか?』って聞いたら、すごい喜んで食べてくれました」と茶目っ気たっぷりに記者らの笑いを誘った。

今回の舞台に合わせて学生時代ぶりに髪を切ったという奈緒は、「​​稽古中に栗山さんとヘアメイクさんと一緒に髪型を相談しながら、試行錯誤してきました。昨日と今日でもちょっとメイクを変えてみたり、いろいろと調整をしているので、もしかしたら本番が始まってからも何か変わっていくことがあるかなと思います」とヘアメイクのこだわりを語り、風間は「今まで我々が思い描いていた奈緒ちゃん像ではないというか、やっぱり人間って本当にいろんな面があるんだなっていうのと、素敵な女優さんなんだなっていう、いろんなことがこの髪型だけでも分かりますね」と絶賛。

舞台のテーマにちなみ、選択するときに譲れないものについて聞かれると、奈緒は「私は『自分が自分として生きていけるか』は選択をするときに大切にしていることで、今後誰かのせいにしてしまわないかと、自問自答を毎回選択するときにしています。それこそ『カレーパンじゃないから、フィナンシェって言っとかないと!』と、後でもしかしたら私は後悔するかもしれないと思ったら、訂正をさせていただきますし(笑)、小さいことでもなるべく後で人のせいにせず、自分の責任で選択をできるかということは日々大事にしながら生きています」とコメント。

一方、風間は「譲れないところか……。きっとあるんだと思うんですけれども、あんまりこう……それを核にしないというか、核にあってもいいんだけれど、僕は常にぶれていたいみたいな気持ちがあって。その都度、その場によって言うことが変わってもいいんじゃないかと思ったり。多分キュって固いものが絶対核にはあるんですよ。でもその周りを何か柔らかいもので包めればなと思っているのが、ちょっと回りくどい言い方をすると、それが譲れないところかな」と話した。

今回の舞台の注目ポイントについて、奈緒は「いろんなテーマがある作品ではあるんですけれど、あらゆる差別がこの舞台上で起こりますし、それはきっと皆さんに伝わるものだと思っていて。ただ、お稽古を重ねていく中で自分の中でも新しい発見がたくさんあって、きっと客席の皆さんには、私たちが想像もしえないような受け取り方をしてくださる方もいて、いろんな感情をきっと客席で感じてくださると思うので、今回は観ていただけたら、きっと皆さんに持ち帰っていただけるものがあると思います。私たちもこの舞台上でいろんなことに悩み、そのたびに選択をするんですけど、皆さんも客席でその度にどういうふうに感じ取るか、選択していただけたら嬉しいなと」と述べた。

風間は「昨今、多様性と言われますけれども、我々の生きている世の中というのは、いろんなことが混ざっているんだっていうことだと思うんですね。なので、この舞台も男女の物語だと思ってくださる方がいていいし、人種の話だって思ってくださる方がいていいし、階級の話だって思ってくださる方がいてもいい。それら全てが入ってるって思ってくださってもいい。今を生きる人たちに見ていただきたい作品だなと僕は思っているので、あとは我々がそれを全身全霊でやって、最大公約数をどれだけ大きくできるかっていうことかなと思っております」と気合十分。

また、風間の親友である相葉雅紀も同じ日に別の舞台で初日を迎えることについて聞かれると、「お互いの舞台の進捗状況はずっと共有してる状態ではあります。今回なかなかお互い観に行くのは難しいかもというぐらい綺麗に公演スケジュールが重なっているんですが、やっぱり心強いですね。同世代、同じ時代を生きてきたものが、こうやって改めてみんなで頑張っているという時間はありがたいし、負けてられないなと思いますね」と答え、「お互いに『どう? 大変?』って言って、『うち、明日通し』『うちも明日通し』と言い合ってキャッキャやってます(笑)。サッカー部と野球部で、明日試合って言ってるような感じの時間です!」とほほえましいエピソードを披露した。

最後に意気込みとして、風間は「皆さんの心に残る作品にする準備は全て整っております。あとは本番で皆さんが劇場に来て、客席に座ってくださったときに、我々キャストがどれだけのことができるか、それのみになると思います。そこに関しては必死にやっていきたいと思いますので、皆さんはこの客席に座りに来てくださったら、こんなに幸せなことはありません。劇場でお待ちしております」とコメント。

奈緒は「私も舞台が好きで、お客さんとして観に行くときは、五感を使って何かを掴んで帰ろうと思い、一つの席に座るので、きっとそういう思いで来てくださる皆さんに恥じないように、自分の全身全霊、その日一日に出せるものをフルに使って、皆さんに届けられる舞台を作りたいと思っています。必ずそういう舞台にします。劇場でお待ちしています」と力強く締めくくった。

撮影・文:矢内あや

公演概要

『恭しき娼婦』

【東京公演】
2022年6月4日(土)~6月19日(日)
紀伊國屋ホール

【兵庫公演】
2022年6月25日(土)12:00/17:00、26日(日)13:00
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

【愛知公演】
2022年6月30日(水)13:00/18:00
日本特殊陶業市民会館ビレッジホール

作:ジャン=ポール・サルトル
翻訳:岩切正一郎  
演出:栗山民也

出演:
奈緒 風間俊介
野坂弘 椎名一浩 小谷俊輔 金子由之

企画・制作:TBS/サンライズプロモーション東京

公式HP:https://www.tbs.co.jp/uyauyashiki_shofu/
公式Twitter:@uyauyashiki

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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